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可分距離化可能空間, 被覆次元と埋め込み,関数空間

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

1 準備

定義 1.

l1 とする. ユークリッド空間 l 内の 有限個の点 e1,,emアフィン的独立であるとは t1,,tmi=1mti=0i=1mtiei=0 を満たしているならば, t1==tm=0 を満たす時にいう. これは e2e1,,eme1 が線型独立であることと同値である. また, l内の有限個の点 w1,,wmアフィン結合とは mこの実数 t1,,tm であって i=1ti=1 を満たすものを使って i=1mtiwi と表される 点のことである. もしも w1,,wm がアフィン的独立であるのならば これらのアフィン結合の係数は一意的である ことに注目しよう. また w1,,wm が張る アフィン部分空間 Aff(w1,,wm) とは, w1,,wmのアフィン結合 全体の集合のことである. Aff(w1,,wm)w2w1,,wmw1 で張られる線型空間Wを使うと Aff(w1,,wm)=e1+W と表されることに注目しておこう. 特に mlのとき Aff(w1,,wm)l の閉集合であり,さらに内点を持たない.

定義 2.

l1 とする. このとき 部分集合 Sl一般の位置にある とは 任意のi{1,,l+1} について Si 個の 異なる元は アフィン的独立であるときにいう.

命題 3.

l1 を任意に与え, Ol を稠密開集合とする. そして CO を高々可算な 一般の位置にある集合とする. このとき 可算な稠密 集合 SOCSが一般の位置にあり CS=となるものが存在する.

証明.

lの 可算稠密集合を適当にとり E とする. そして E×>0 を適当に番号付して E×0={(qk,rk)}k0 とおく. 帰納法により 次のような列 e1,,ek を構成する: C{e1,,ek}は一般の位置にあり, 任意のi{1,,k}について eiqi<riを満たす. 帰納法によりe1,,ek まで構成できたとして ek+1を構成する. まず C{e1,,ek} の任意の有限部分集合 Icard(I)lとなるもの について A(I)=Aff(I) と定義し, AをそのようなA(I)全体の和集合とする. このとき各A(I)は閉集合で内点を持たなく, Aはそのような集合の可算個の和集合なので, Baireの範疇定理によりA自体も内点を持たない. よって OA は稠密である. さらにC も高々可算なので O(AC) も稠密である. よって ek+1O(AC) でなおかつ ekqk+1<rk+1 を満たすものが取れる. ここで C{e1,,ek} の任意の有限部分集合 Icard(I)lとなるもの について ek+1A(I) となるので C{e1,,ek,ek+1} は一般の位置にあることがわかる. ∎

命題 4.

n,l1 とする. e1,,emll の一般の位置にある列とする. このときもしも 2n+1lならば, 集合{1,,m}の 濃度高々n+1の部分集合I を台に持つ アフィン結合 i=1msiei の係数は一意的である. ここでIを台に持つとは iI のとき,そしてその時に限り si=0 となるということである.

証明.

I とは異なる 濃度が高々 n+1{1,,m} の部分集合 J を台にもつ アフィン結合 i=1mtieii=1msiei と等しいと しよう. このとき

(1.1) iIJsiei+iJI(ti)ei+iJI(siti)ei=0

であり, その係数を見ると

(1.2) iIJsi+iJI(ti)+iJI(siti)=0

である.ここで IJ の濃度が高々 2n+2 であり, l2n+1l, つまり 2n+2l+1 を満たすので e1,em が一般の位置にあることから {ei}iIJ はアフィン独立である. よって IJ上で si=0 かつ JI 上で ti=0 かつ IJ 上で si=ti となるが, sitiがそれぞれ IJ を台にもつので I=Jでなければならず このとき I=J=IJ なので si=tiI 上で成り立ち, 係数の一意性が成り立つ. ∎

2 関数空間と埋め込み

定義 5.

X を位相空間とする. そして (H,d) を距離空間とする. この文章では C(X,H) という記号で Xから H への連続写像全体で, 次の意味で有界なもの全体を表す: 任意のfC(X,H)について ある点 pHM(0,)が存在して 任意の xX について d(p,f(x))M となる. そして dから誘導される C(X,H) 上のsup距離関数 を d^ で表す.つまり d^(f,g)=supxXd(f(x),g(x)) である. 今回の C(X,H) の定義からd^ はちゃんと有限の値を取ることに注意しよう.

次の命題の証明は省略する.いつものやつである.

命題 6.

X を位相空間とし (H,d) は完備距離空間とする. このとき (C(X,H),d^) は完備である.

定義 7.

位相空間 X の被覆 𝒰 について 写像 fC(X,H)𝒰-map (あるは𝒰-small) であるとは 任意のzH についてある zの近傍NU𝒰 が存在し f1(N)U を満たすことである. この文書では E(𝒰)C(X,H) 内の 𝒰-map 全体を表すとする.

命題 8.

X を位相空間とし 𝒰 はその被覆で (K,d) を コンパクト距離空間とする. このとき E(𝒰)C(X,K) の開集合である.

証明.

fE(𝒰) を任意にとる. 各点 zK について Nzzの開近傍である U𝒰 が存在し f1(Nz)U となるものとする. このとき {Nz}zKK の被覆で K はコンパクトだから {Nz}zKのルベーグ数 r(0,) が存在する. ここで gd^(f,g)<23r となる任意の gC(X,K) とする. 任意に zK を取る. そして M=U(z,23r;d), つまり Mz を中心とする 半径23rdによる開球とする. そして p(z)ZU(z,r;d)Np(z) となるものとする. さて, 任意に xg1(M) を取る. このとき g(x)M である. つまり d(z,g(x))23r である. また d^(g,f)<23r から d(g(x),f(x))<23r である. よってf(x)U(z,r;d) なので f(x)Np(z) である. Np(z) の定義より f1(Np(z))U となる U𝒰 が存在する. このとき xf1(Np(z)) より xU である. ここでxg1(M) は任意であったから g1(M)U である. 以上で証明が終わる. ∎

命題 9.

X を距離空間とし, dimXn で, 𝒰X の有限被覆とする. そして l12n+1lを満たすとし Kl のコンパクト部分集合で IntKは凸で CL(IntK)=K を満たすとする. このとき E(𝒰)C(X,K) のなかで稠密である.

証明.

任意のfC(X,K) を取る. そして 任意のη(0,) を与える. このとき K を直径が 210η 以下の有限個の開集合 O1,,Oqで覆うことができる. そして {Uf1(Oi)U𝒰,i=1,,q} を考えるとこれは Xの有限被覆でであり, 故に dimXn なのでこの被覆 の細分であるような有限被覆 𝒱={V1,,Vm} が存在して Cdeg(𝒱)n+1 を満たす. 適当にゼロ集合がVi に一致するような関数 wi:X[0,1] をとり適当に話を取って割ったりして i=1rwi=1 を満たすとしても良い( 例えばwi(x)=d(x,XVi)など). このとき f(Vi)の直径は 210η以下であることに注意しよう. 命題 3 を稠密部分集合 lC= に用いて 稠密な一般の位置にある集合 El を取る. そして i{1,,r} について eiEIntKd(f(Vi),wi)<25η を満たすようにとる. これはCL(IntK)=K であるから可能である. そして写像 g:XKg(x)=i=1rwi(x)ei と定義する. このとき任意のxXについて

d(f(x),g(x)) =f(x)i=1rwi(x)ei=i=1rwi(x)f(x)i=1rwi(x)ei
i=1rwi(x)f(x)ei

であり wi(x)>0となるiについては f(x)ei の距離は 25η なので d^(f,g)<ηがわかる. ここで gE(𝒰) に属することを示そう. e1,,em の高々n+1個の元のアフィン結合で表される集合を Rとすると これはn+1単体と同相な有限個の集合の和集合であるからコンパクトである.そしてgの像はRに含まれている. よってRに含まれない zKについては Rの補集合をNzと取れば g1(Nz)=なので 条件は満たされる. zR としよう. ここで z=iIcieiIcard(I)n+1となるような {1,,m} の部分集合とし ci0 とする. ここで アフィン結合の定義から I である. 十分小さいϵ(0,) を取れば 任意のyU(z,ϵ;d)R についてはy=iaiei と表したときiIについて ai0となる. これは 命題 4 から可能である. もしも gの像がU(z,ϵ;d) と共通部分を持たない場合には gによるU(z,ϵ;d)の引き戻しは空集合なので 𝒰-mapの条件は満たされている. 集合N=U(z,ϵ;d)gの像が共通部分を持つとしよう. このときg(x)Nとなる xXについて iIを適当に取ると ϵの取り方から wi(x)>0 なので xVi である. つまり g1(N)Vi である. 以上で gE(𝒰) がわかった. よって E(𝒰)C(X,K) のなかで稠密である. ∎

位相空間 X の被覆 𝒰xX について St(x,𝒰)={U𝒰xU} と定義する.

位相空間 X の有限被覆の列 𝒰0,𝒰n,被覆の基本列 であるとは 任意のxX について {St(x,𝒰n)}n0xの基本近傍系になるときにいう.

補題 10.

X を可分距離化可能空間とする. このとき X には被覆の基本列 が存在する.

証明.

Xは可分距離化可能空間であるから [0,1]0 に位相的に埋め込める(ウリゾーンの距離化可能定理). よって Xと同じ位相を生成する距離 d(X,d) が全有界であるもの が存在する. このとき 𝒰nXを被覆する 半径2n以下の開球 の有限集合とする. このような取り方ができるのは (X,d)が全有界だからである. すると {𝒰n}n0 は被覆の基本列になっている. ∎

命題 11.

X を距離化可能空間とし, (H,d) を 距離空間とする. そして {𝒰i}i0 は被覆の基本列とする. このとき i0E(𝒰i) の任意の元は 位相的埋め込みになっている.

証明.

fi0E(𝒰i) を任意にとる. 今からこれが埋め込みになることを示そう. まず単射性を示そう. xyとする. このとき被覆の基本列の定義から あるi0 が存在して ySt(x,𝒰i) となる.そして fE(𝒰i) であるから f(x)の近傍 Nが存在して f1(N)U となる U𝒰i が存在する. 今ySt(x,𝒰i) なので yUであり f(y)Nが従う. 特にf(x)f(y)である. 次にfが位相的埋め込みであることを示そう. 点xNを任意に与え,その近傍 Vも任意に与える. このとき被覆の基本列の定義から あるi0 が存在して St(x,𝒰i)V である. そして fE(𝒰i) であるから f(x)の近傍 Nが存在して f1(N)U となる U𝒰i が存在する. このとき f1(N)St(x,𝒰i)V である. よってf1f(x) で連続であることが証明された. これで証明が終わる. ∎

X から K への位相的埋め込み全体 をEmb(X,K) と書くことにする.

定理 12.

X を可分距離空間とし, dimXnl12n+1lを満たすとし Kl のコンパクト部分集合で IntKは凸で CL(IntK)=K を満たすとする. このとき X から K への位相的埋め込み全体 Emb(X,K)C(X,K) のなかでGδ かつ稠密である. 特に 有限次元の可分距離化可能空間は ユークリッド空間に埋め込み可能である.

証明.

上記の定理群を全て合わせるとわかる. ∎

3 普遍空間

次に高々n次元の 可分距離化可能空間を全て埋め込めるような コンパクト距離空間を構成しよう.

l0Xを位相空間とし, l の部分集合 K, および l の部分アフィン空間 M について Avoid(M)C(X,K) の元で CL(f(X))M= となるもの全体とする.

命題 13.

X を距離空間とし, dimXn で, 𝒰X の有限被覆とする. そして l12n+1lを満たすとし Kl のコンパクト部分集合で IntKは凸で CL(IntK)=K を満たすとする. このとき l の任意の 高々n次元のアフィン部分空間 M について Avoid(M) は稠密かつ 開集合である.

命題 14.

まずAvoid(M)が開集合であることを示そう. 任意にhAvoid(M) を取る. このとき CL(h(X))M であり, Kがコンパクトであることから CL(h(X)) もコンパクトである. よって十分小さい η を取れば CL(h(X))M の距離はη以上になる. そして d^(f,h)<21η のとき fCL(f(X))M=を満たす. よって Avoid(M) は開集合である. 次に稠密性を示そう. 任意に fC(X,K) を取る. ここで アフィン空間M を張る アフィン的独立な元 c1,,cq を取る. このとき qn+1 であることに注意せよ. そして C={c1,,cq} に対して 命題 3 を適応して 一般の位置にある稠密可算集合 ElCEも一般の位置にあり, CE= となるものをとる. ここで 命題 9 の証明 と同じ構成をして g(x)=i=1rwi(x)ei を構成する. 異なるのは E の取り方のみである. この gf を近似することは 命題 9 の証明と同様である. 今から gAvoid(M) を証明しよう. e1,,em の高々n+1個の元のアフィン結合で表される集合を Rとすると これはn+1単体と同相な有限個の集合の和集合であるからコンパクトである. そして g の像は R に含まれている. このとき 命題4EC= より RM= である. よって CL(g(X))M= であり gAvoid(M) がわかる. これで証明が終わる.

n0 を任意に与える. このとき 記号 Nn2n+1[0,1]2n+1 の部分空間で その点の 座標のうち 有理数であるものの個数が 高々n個であるもの 全体を表すとする. この空間は Nöbeling space と呼ばれることもあるようである. この空間が n次元の可分距離空間の 普遍空間であることを証明しよう.

定理 15.

n0 とし X を 可分距離化可能空間で dimXn とする. このとき X から Nn2n+1 への位相的埋め込みが存在する.

証明.

{1,,2n+1} の濃度がn+1 の部分集合 Iq=(q1,,qn+1)n+1 について

(3.1) M(I;q)={x2n+1iI,xi=qi}

と定義する. このとき M(I;q)n次元 アフィン部分空間である. このとき Nn2n+1 の定義から [0,1]2n+1Nn2n+1=I,qM(I;q) である.ここで Iの動く範囲は有限だし qの動く範囲は可算である. さて 命題 6, 定理 12, そして 命題 11 より

(3.2) Emb(X,[0,1]2n+1)I,qAvoid(M(I;q))

は 稠密かつ Gδ である. よって Xから Nn2n+1 への位相的埋め込みが存在する. ∎

ユークリッド空間の次元がその線型空間としての次元と等しいということと, ちょっとした計算をすると Nn2n+1 の次元がn であることが示せる. すると以下のことがわかる.

系 16.

n0 とし X を 可分距離化可能空間で dimXn とする. このとき Xのコンパクト化 Y であって距離化可能かつ dimX=dimY となるものが存在する.

References

  • [1] 電波通信 「不動点定理」 https://concious4410.hatenablog.com/entry/2017/08/27/182714
  • [2] 電波通信, 「次元論ショートコース:0次元から始める位相次元」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2022/03/12/161532
  • [3] 電波通信, 「不動点定理と同値な命題」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2026/04/05/181441
  • [4] 電波通信, 「次元論からの領域不変性定理の証明」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2026/04/15/220550
  • [5] M. G. Charalambous, Dimension theory. A selection of theorems and counterexamples Springer/Atlantis Press (2019).
  • [6] W. Hurewicz and H. Wallman,Dimension Theory,Princeton Univ. Press,1948
  • [7] A. R. Pears, Dimension theory of general spaces, Cambridge University Press 1975.
  • [8] K. Morita, On the dimension of normal spaces, I. , Japanese journal of mathematics :transactions and abstracts, vol 20 (1950), pp. 5–36, DOI: 10.4099/JJM1924.20.0_5