AUTOMATIC HTML VERSION

クレイン・ミルマンの定理:関数解析その0のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

クラインミルマンの定理

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文章では,主に[2]に沿って Krein–Milmanの定理を紹介する. 応用としてextreme pointを使った議論によってBernsteinの定理を証明する. この文章で局所凸空間といったら局所凸線形位相空間のことであり,さらにハウスドルフな物だけ考える. また,局所凸空間の線形形式といったら連続な物だけ考えることにする.係数は基本的にℂで考えているが, 以下の議論は全てℝでも成り立つので,応用編では断りなく係数ℝの話をしている.

1 本文

定理 1 (Hahn–Banachの定理の一つの形,使う分だけ).

Eを局所凸線型空間とし, Aをその空でない凸コンパクト空間, p∈Eは点でp∉A とする. このとき連続な線型写像f:E→ℂが存在して supx∈ARe⁢f⁢(x)<Re⁢f⁢(p) となる.

証明.

定理の名前で調べると証明が出てくる.省略. ∎

定義 2 (extreme point).

局所凸空間Eの凸集合L の点p∈L がextreme point であるとは, 任意のx,y∈L についてもしもt∈(0,1)が存在して t⁢x+(1−t)⁢y=pならば p=x=yとなるときにいう. 凸集合L のextreme point 全体の集合を ∂e⁢x⁢t(L) と書くことにする.

補題 3.

局所凸空間Eの凸集合Lとその点pについて以下の二つは 同値である.

  1. (1)

    点pはLのextreme point である.

  2. (2)

    任意のx,y∈Lについてもしもp=12⁢x+12⁢yが成り立つならばx=y=pとなる.

証明.

(1)⟹(2)はわかる. (2)⟹(1) を示そう.任意のx,y∈Lについて t∈(0,1)が存在してpがp=t⋅x+(1−t)⁢yとなるとしよう. ここでs∈(0,1)についてl⁢(s)=s⁢x+(1−s)⁢yとおく. このときϵ∈(0,min⁡{t,1−t})となるϵについて tϵ,+=t+ϵでtϵ,−=t−ϵ としたとき,p=12⁢(l⁢(tϵ,+)+l⁢(tϵ,−))である.よってp=l⁢(tϵ,+)=l⁢(tϵ,−) である. よって(t+ϵ)⁢x+(1−t−ϵ)⁢y=(t−ϵ)⁢x+(1−t+ϵ)⁢yであるから式変形して x=yがわかる.よってp=x=yも従う. ∎

定義 4 (閉凸包).

局所凸空間E の部分集合Sについて Sの凸包とは Sを含む全ての凸集合の共通部分のことである. これを co⁢(S) と書く事にする. また Sの閉凸包とは Sを含む全ての閉凸集合の共通部分のことである. Sを含む閉凸集合のうち最小のものと言っても良い. Sの閉凸包のことを co¯⁢(S) と書くことにする.

補題 5.

局所凸空間E の部分集合Sについて co¯⁢(S) はco⁢(S)の閉包に等しい.

証明.

局所凸空間において 凸集合の閉包が凸集合であることから まず co¯⁢(S)⊂cl⁢(co⁢(S)) がわかる. また co¯⁢(S)は凸集合なので co⁢(S)⊂co¯⁢(S) がわかるから co⁢(S)⊂co¯⁢(S) が従う. ∎

定義 6 (Face).

局所凸空間E の空でない集合Sの 部分集合Fが Sの face であるとは もしもx,y∈Sについて t∈(0,1)が存在して t⁢x+(1−t)⁢y∈Fとなっているならば x,y∈F となるときにいう. ここでSが凸集合の状況で一点集合{p}がfaceになっていることと pがextreme point であることは 同値であることに注意しよう.

補題 7.

局所凸空間E の凸集合Sの 部分集合F0 とF1について F0がLのfaceで F1がF0のfaceならば F1はLのfaceである.

証明.

任意のx,y∈Lについて あるt∈(0,1)が存在して t⁢x+(1−t)⁢y∈F1 となっているとしよう. このときF1⊂F0 であるから t⁢x+(1−t)⁢y∈F0である. よってF0 がLのfaceであることから x,y∈F0 である. よって F1がF0 のfaceであることから x,y∈F0 である. ∎

補題 8.

局所凸空間E の凸集合Sの faceの族{Fi}i∈I について⋂i∈IFi はSのfaceである.

証明.

明らか. ∎

補題 9.

局所凸空間 Eと線形形式fを与える. このときEの部分集合S とSのface F について 集合 A={p∈F∣Re⁢f⁢(p)=supa∈FRe⁢f⁢(a)}が空でないならば AはSのfaceである.

証明.

補題 7 より AがFのfaceであることを示せば良い. Aが空でないので特にFも空でない. そこで M=supa∈FRe⁢f⁢(a)とおく. 任意の x,y∈Fについて あるt∈(0,1)が存在して t⁢x+(1−t)⁢y∈Aとなっているとする. このとき M=Re⁢f⁢(t⁢x+(1−t)⁢y)=Re⁢(t⁢f⁢(x)+(1−t)⁢f⁢(y))=t⁢Re⁢f⁢(x)+(1−t)⁢Re⁢f⁢(y)≤t⁢max⁡{Re⁢f⁢(x),Re⁢f⁢(y)}+(1−t)⁢max⁡{Re⁢f⁢(x),Re⁢f⁢(y)}≤t⁢M+(1−t)⁢M≤Mとなる.よってmax⁡{Re⁢f⁢(x),Re⁢f⁢(y)}=Mである. 対称性からf⁢(x)=Mとしても良い.すると t⁢Re⁢f⁢(x)+(1−t)⁢Re⁢f⁢(y)=Mから f⁢(y)=Mも成り立つ. よってx,y∈Aとなるから AはFのfaceである. ∎

Krein–Milmannの定理を証明しよう. 以下の(2)が通常,Krein–Milmanの定理と呼ばれる.

定理 10 (Krein–Milmanの定理: 幾何形).

Eを局所凸線型空間とする. そしてKを 空でない 凸コンパクト空間とする. このとき 以下が成り立つ.

  1. (1)

    Kの閉集合であるような任意の空でないface FについてFに属するextreme point が存在する.特に ∂e⁢x⁢t(K)≠∅が成り立つ.

  2. (2)

    K=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K)) が成り立つ.

定理 11.

E上の連続な線形形式全体を適当に添字付けして {fα}α<κ+1とおきさらに fκは0としておこう. 例えばκは線形形式全体の濃度にすれば良い. ここで添字付けは全射になっていることに注意しよう(単射性は特に必要ない). ここで超限再帰によって Kの部分集合 Fαを以下のように定義する. β<αとなるβについては Fβが定義されているとして, Cα=⋂β<αFβ かつC0=F と定義して

Fα={CαCα=∅⁢のとき{x∈Cα∣Re⁢fα⁢(x)=supp∈CαRe⁢f⁢(p)}Cα≠∅⁢のとき

と定義する. このようにしてKの閉部分集合の列 {Fα}α<κ+1を得る. 今から任意のα<κ+1について Fα≠∅を証明しよう. まず C0=F であり Fのコンパクト性から Re⁢f0⁢(x)=supp∈C0Re⁢f⁢(p) となる x は存在するから F0≠∅である. そして一般にβ<αとなるβについてFβ≠∅だとすると Kのコンパクト性からCα≠∅ となる.よってCα自体もコンパクトとなるから Fα≠∅となる. 以上から任意のFαについて Fα≠∅となる. 次にFκが一点のみからなることを証明しよう. 任意の2点e,q∈Fκをとる. このとき任意のα<κ+1について e,q∈Fγであることから supu∈CαRe⁢fα⁢(u)=Re⁢fα⁢(e)=Re⁢fα⁢(q)である. つまり任意の線形形式について eとqは同じ値をとる. よってHahn–Banachの定理 (定理1)から e=qとなる. つまり Fκ={e} である. 補題8から 任意のCαはKのfaceであり また定義と 補題9から任意のFαは Kのfaceであることがわかる.特にFκ={e} はKのfaceなのでeがKのextreme point であることが従う.

次に 主張(2)を示す.つまりK=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K)) を示そう.L=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K))とおく. まずL⊂Kがわかる. そして任意のp∈Kをとる. このときE上の任意の線形形式fについて Mf=supk∈KRe⁢f⁢(k)とおく. Sf={x∈K∣Re⁢f⁢(x)=Mf} はKの閉集合かつfaceである.よって extreme point af∈Sfが存在する. ここでaf∈Lなので特に supl∈LRe⁢f⁢(l)=Mf である.故にMfの定義から Re⁢f⁢(p)≤supl∈LRe⁢f⁢(l)となる. よって Hahn–Banachの定理 (定理1)より p∈Lでなければならない. よって K=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K))である.

注意.

手で操作してる感じが欲しかったので超限帰納法による証明にしてみた.

注意.

局所凸空間E の空でないコンパクト部分集合A とその点x∈A, A上のラドン確率測度μ について, μがxを表現する, あるいは, μの重心がx であるとは E上の任意の線形形式 Lについて L⁢(x)=μ⁢(L)となるときにいう. ここでμ⁢(L)=∫AL⁢𝑑μという意味である.

命題 12.

局所凸空間Eの空でないコンパクト部分集合T とx∈Eについて x∈co¯⁢(T)が成り立つことと T上のラドン確率測度μが存在して xがμの重心になることは同値である.

証明.

後半から前半を示そう. xを表現するT上の確率測度μ があったとき任意の線形形式fについて

Re⁢f⁢(x)=Re⁢μ⁢(f)=Re⁢∫Af⁢(a)⁢𝑑μ=∫ARe⁢f⁢(a)⁢𝑑μ≤∫Asupa∈ARe⁢f⁢(a)⁢d⁢μ=supa∈ARe⁢f⁢(a)

なので,Hahn–Banachの定理 (定理1)から x∈co¯⁢(T)である. 今度は前半から後半を示そう. x∈co¯⁢(T)であることから co⁢(T)のフィルター基底ℱ であってE上でℱ→xとなるものが存在する. このときco⁢(T)の元はT上のディラック測度の有限凸結合であるから特にT上のラドン確率測度と見做せる. 写像ι:co⁢(T)→𝒫⁢r⁢(T)(⊂C⁢(T)w∗∗) をそのようにみなす写像とする. ここでバナッハ・アラオグルの定理から 𝒫⁢r⁢(T)はw∗位相についてコンパクトである. つまりこの上の全ての極大イデアルは収束する. よってι⁢ℱを含む極大イデアル𝒜 はある確率測度μ∈𝒫⁢r⁢(K)に収束する. C⁢(T)∗のw∗位相とはg∈C⁢(T)をC⁢(T)∗∗の元とみなしてgを連続とするC⁢(T)∗上の最弱の位相のことであったから任意のg∈C⁢(T)について g⁢𝒜→g⁢(μ)=μ⁢(g)=∫Tg⁢𝑑μである. 特g⁢(μ)∈ℂの任意の近傍VについてあるW∈ℱとA∈𝒜が存在して g⁢(ι⁢(W)∩A)∈Vとなる. ここでgが線形形式fのTへの制限になっている時を考えよう. ϵ∈(0,∞)を任意にとる.このとき 上記のVをg⁢(μ)=f⁢(μ)のϵ近傍とする. さてf⁢(x)のϵ近傍をUとし, fのxでの連続性を担保するδ近傍をNとする. ここで上記のW∈ℱを十分小さく取り追加でxのδ近傍N についてW⊂Nとなるようにできる. 特にf⁢(W)⊂f⁢(N)⊂Uである.

ここでg⁢(ι⁢(W)∩A)⊂Vとなることから ι⁢p∈Aとなるp∈Wをとる. さて p=∑i=1mλi⁢yi (yi∈T,λi∈[0,1],∑iλi=1)となっているとする.ついでι⁢p=∑i=1mλi⁢δyiに注意せよ. すると f⁢(p)=∑i=1mλi⁢f⁢(yi)=(ι⁢p)⁢(f)=f⁢(ι⁢p)=g⁢(ι⁢p) なので f⁢(p)∈f⁢(N)∩g⁢(ι⁢(W)∩A)⊂U∩Vである. よってUとVは共通部分を持つのでf⁢(x)と f⁢(μ)=μ⁢(f)の距離は2⁢ϵ以下である. ϵは任意であったから μ⁢(f)=f⁢(x)である. よってμはxを表現する測度である. ∎

注意.

ネットは使いづらいのでフィルターを用いた証明にした.

定理 13 (Krein–Milmanの定理: 積分形).

Eを局所凸空間とし, K をその空ではないコンパクト凸集合とする. するとK の任意の点はcl⁢(∂e⁢x⁢t(K)) に台を持つラドン確率測度の重心である.

証明.

K=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K))であるから 特にK=co¯⁢(cl⁢(∂e⁢x⁢t(K))) でもある.よって 命題 12 からKの任意の点は cl⁢(∂e⁢x⁢t(K)) に台を持つ確率測度μ によって 表現される. ∎

注意.

逆に積分形から幾何形を導くことができる. なぜならば一般に集合Sについて co¯⁢(S)=co¯⁢(cl⁢(S))が成り立つからである. なんとなればまずco¯⁢(S)⊂co¯⁢(cl⁢(S))は自明であり, cl⁢(S)⊂co¯⁢(S)であることから co¯⁢(cl⁢(S))⊂co¯⁢(S)が従う.

2 応用:Bernstein functions

以下では線型空間はℝ係数である.

定義 14.

関数f:(0,∞)→ℝが completely monotonicであるとは fがC∞級であり 任意のn∈ℤ≥0と 任意のx∈(0,∞)について (−1)n⁢f(n)⁢(x)≥0 が成り立つときにいう.

Krein–Milmanの定理を用いてBernsteinの定理を証明していく. つまり次の定理を証明する: fを有界なcompletely monotonic 関数とする. このとき[0,∞]上のラドン測度 μが一意的に存在して μ⁢([0,∞])=limx→+0f⁢(x)かつ

f⁢(x)=∫[0,∞]exp⁡(−α⁢x)⁢𝑑μ⁢(α)

を満たす. また,fがこの結論のように表されることと, fが有界かつcompletely monotonicであることは同値である.

この定理は[0,∞]上の有限測度のラプラス変換の値になるような関数の特徴づけを与えている.

このセクションでは Eを(0,∞)上のC∞有界関数全体であって, 位相はその導関数の広義一様収束とする. E上のセミノルムpm,nを

pm,n⁢(f)=supx∈[2−m,2m]max0≤k≤n⁡|f(k)⁢(x)|

とすれば{pm,n}m,n∈ℤ≥0 はEの位相を生成するセミノルムの族となる. 可算個のセミノルムによって位相が生成されているので Eは距離づけ可能であることに注意しよう. そして Kをf⁢(+0)≤1となるf∈E全体とする.

補題 15.

Kn={(−1)n⁢f(n)∣f∈K} とする. このとき 任意のn∈ℤ≥0 と任意のa∈(0,∞)について[a,∞) 上で Knの各元は上から a−n⁢2(n+1)⁢(n/2) で抑えることができる.

証明.

nに関する帰納法で証明する. まずn=0のときはKは上から1で抑えられているので大丈夫である. nにおいて上の命題が成り立つと仮定する. n+1のときを考えよう. f(n)に対して[a/2,a]上で 平均値の定理を用いて c∈[a/2,a]であって (a/2)⁢f(n+1)⁢(c)=f(n)⁢(a)−f(n)⁢(a/2)が成り立つものが存在する. (−1)n⁢f(n+1)の導関数を考えると (−1)n⁢f(n+2)=(−1)n+2⁢f(n+2)≥0なので (−1)n⁢f(n+1)は広義の単調増加である. つまり (−1)n+1⁢fn+1は広義の単調減少である. よって任意のx∈[a,∞) について

(−1)n+1⁢f(n+1)⁢(x)≤(−1)n+1⁢f(n+1)⁢(a)≤(−1)n+1⁢f(n+1)⁢(c)
≤2a⁢((−1)n⁢f(n)⁢(a/2)−(−1)n⁢f(n)⁢(a))≤2a⁢(−1)n⁢f(n)⁢(a/2)≤2a⁢(a/2)−n⁢2(n+1)⁢(n/2)
=a−(n+1)⁢2(n+1)⁢(n/2)+n+1=a−(n+1)⁢2(n+2)⁢(n+1)/2

よって帰納法が回って補題が正しいことがわかる. ∎

命題 16.

KはEの空でないコンパクト凸集合である.

証明.

1∈Kなので空ではない. 凸性もわかる. コンパクト性は 補題 15 とアスコリアルツェラの定理, そしてEが距離化可能であることからコンパクト性と点列コンパクト性が同値になることからわかる. ∎

以下ではα=∞のとき exp⁡(−α⁢x)は定数関数0 と思うことにする.

命題 17.

Kのextreme pont全体は {x↦exp⁡(−α⁢x)∣α∈[0,∞]}に一致する.

証明.

f∈∂e⁢x⁢t(K) をとりp∈(0,∞) を任意にとる. そして u⁢(x)=f⁢(x+p)−f⁢(x)⁢f⁢(p) とおく. 今からf±u∈Kを証明する. f⁢(p)∈[0,1]であることに注意せよ. このとき f⁢(+0)+u⁢(+0)=f⁢(+0)+f⁢(p)−f⁢(p)⁢f⁢(+0)=(1−f⁢(p))⁢f⁢(+0)+f⁢(p)≤(1−f⁢(p))+f⁢(p)=1 であり, f⁢(+0)−u⁢(+0)=f⁢(+0)−f⁢(p)+f⁢(p)⁢f⁢(+0)=f⁢(+0)+f⁢(p)⁢(f⁢(+0)−1)≤f⁢(+0)≤1 である. さらに任意のnについて(−1)n⁢fnが単調減少であることを用いると以下を得る.

(−1)n⁢(f+u)(n)⁢(x)=(−1)n⁢f(n)⁢(x)+(−1)n⁢f(n)⁢(x+p)−(−1)n⁢f⁢(p)⁢f(n)⁢(x)
=(−1)n⁢(1−f⁢(p))⁢f(n)⁢(x)+(−1)n⁢f(n)⁢(x+p)≥0

かつ

(−1)n⁢(f−u)(n)⁢(x)=(−1)n⁢f(n)⁢(x)−(−1)n⁢f(n)⁢(x+p)+(−1)n⁢f⁢(p)⁢f(n)⁢(x)
≥(−1)n⁢f(n)⁢(x+p)−(−1)n⁢f(n)⁢(x+p)+(−1)n⁢f⁢(p)⁢f(n)⁢(x)=(−1)n⁢f⁢(p)⁢f(n)⁢(x)≥0

が成り立つ. よって f±u∈K である. このことと f=12⁢((f+u)+(f−u)), そしてfが extreme pointであることから f=f+u=f−uがわかる. これはつまりu=0ということである. よって f⁢(x+p)=f⁢(x)⁢f⁢(p) がわかる.これはコーシーの関数方程式の乗法版であり, fが連続であることから f=0かもしくは f⁢(x)=exp⁡(−α⁢x)α∈ℝと表される. ところでf(1)⁢(x)≤0なのでα∈[0,∞) である. これでextreme pointになっている関数は求める形になっていることがわかった. 逆にexp⁡(−α⁢x)はextreme point になっているだろうか? ここでr∈(0,∞) に対してTr:E→E をTr⁢(f)⁢(x)=f⁢(r⁢x)で定義すると これは連続な全単射線形作用素で Tr⁢(K)=Kとなる. 線形性から Tr⁢(∂e⁢x⁢t(K))=∂e⁢x⁢t(K)もわかる. ところでKは空でないコンパクト凸集合であることから, Krein–Milmanの定理から K=co¯⁢(∂e⁢x⁢t(K))である. Kはもちろん定数でない関数も含んであるので, ∂e⁢x⁢t(K)も定数でない関数を含んでいなければならない.よって定数でないextreme point p⁢(x)=exp⁡(−γ⁢x)(γ∈(0,∞))が存在する. 上の議論から Tr⁢(p)⁢(x)=exp⁡(−r⁢γ⁢x)もextreme point である. rの任意性からexp⁡(−α⁢x)(α∈(0,∞)) がextreme point になることが従う. 定数関数0と1がextreme point になることは, f∈Kが0≤f≤1となることから従う. ∎

定理 18 (Bernstein).

fは有界なcompletely monotonic 関数とする. このとき[0,∞]上のラドン測度 μが一意的に存在して μ⁢([0,∞])=f⁢(+0)かつ

f⁢(x)=∫[0,∞]e−α⁢x⁢𝑑μ⁢(α)

を満たす.

また,fがこの結論のように表されることと, fが有界かつcompletely monotonicであることは同値である.

証明.

写像H:[0,∞]→∂e⁢x⁢t(K) をH⁢(α)⁢(x)=exp⁡(−α⁢x)と定義する. このときHは連続になり,さらに[0,∞] はコンパクトなのでHは同相写像になる. さてfをcompletely monotonic な関数とする. このときf/f⁢(+0)を考えれば,問題は f⁢(+0)=1のときに帰着されるから最初からそのように仮定しても良い. Krein–Milmanの定理より, fに対してμが存在して 任意の線形形式Lについて

L⁢(f)=∫∂e⁢x⁢t(K)L⁢(p)⁢𝑑m⁢(p)

となる. 特に

f⁢(x)=∫∂e⁢x⁢t(K)δx⁢(p)⁢𝑑m⁢(p)

である. 同相写像H:[0,∞]→∂e⁢x⁢t(K) により 右辺を変数変換する. p=H⁢(α)とするとα=H−1⁢(p)なので

∫∂e⁢x⁢t(K)δx⁢(p)⁢𝑑m⁢(p)=∫∂e⁢x⁢t(K)H⁢(α)⁢(x)⁢𝑑m=∫[0,∞]H⁢(α)⁢(x)⁢𝑑μ⁢(α)=∫[0,∞]exp⁡(−α⁢x)⁢𝑑μ⁢(α)

となる.ここでμ=(H−1)∗⁢mである. これで測度の存在性がわかる. 一意性を考えよう. [0,∞]上の確率測度 μ0,μ1が

f⁢(x)=∫[0,∞]exp⁡(−α⁢x)⁢𝑑μ0⁢(α)
f⁢(x)=∫[0,∞]exp⁡(−α⁢x)⁢𝑑μ1⁢(α)

を満たしているとする. このとき族{α↦exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞] を考える. ここでαの関数と見て,xはパラメーターと見ている事に注意せよ. するとこの族 {exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞]は乗法について閉じている.故にAをこの族{exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞]で生成された C⁢([0,∞])の部分代数とすると, Aの任意の元aは{exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞]に属する有限個の元の多変数多項式で表されるが, {exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞]が情報で閉じていることからaはただ単に{exp⁡(−α⁢x)}x∈[0,∞]に属する有限個の元の線型結合で表される. A上でμとνが等しいことを示したいが,上記のことからexp⁡(−α⁢x)における値が等しいことを確かめれば良い.仮定からμ⁢(exp⁡(−α⁢x))=f⁢(x)=ν⁢(exp⁡(−α⁢x))なので μとνはA上で等しい. ところでAの元は[0,∞]の任意の2点を分離することからストーン・ワイエルストラスの定理より AはC⁢([0,∞])の中で稠密である. 故にμ=νであるから一意性が示された.

後半の話は優収束定理などから従う. ∎

References

  • [1] 宮島静雄, 関数解析, 横浜図書, 2005.
  • [2] R. R. Phelps, Lectures on Choquet’s Theorem, 2nd ed., 2001, Lecture Note in Mathematics 1757, Springer-Verlag.
  • [3] K. R. Davidson, Functional Analysis and Operator Algebras, 2025, Springer-Verlag.