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次元論ショートコース:0次元から始める位相次元のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

位相次元論入門: 0次元から始める次元論

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文章では可分距離化可能空間に関する 位相次元論を0次元空間を元にして 構築する.

その応用として 参考文献に紹介されている多様体の埋め込み定理のための次元論的な補題、この文章で定理27とされている命題を証明する. 第二可算な位相多様体は可分な距離付け可能空間であるという事実を知っておけば定理27が第二可算多様体に適用することができ、参考文献の多様体の埋め込み定理の大きな行間を埋めることができることであろう。

多様体は局所コンパクトハウスドルフ空間であり、特に正則空間なので、第二可算な多様体はウリゾーンの距離付け可能定理から距離付け可能である。ことが分かる。また第二加算な空間は可分なので第二可算な多様体が可分であることもよくわかる。 局所コンパクトハウスドルフな空間が第二可算ならば距離化可能であることは,はてなブログ「電波通信」の 記事[5]に書いてある.

後半の応用の話は既に私が記事化している[4]をそのまま引き写した.

1 次元論

この文章ではスタンダードな次元論とは異なり, 0次元空間の和集合によって次元を定義している. これは多様体の埋め込み定理 で本質的に0次元部分空間の和集合に分解する定理を用いているから最初からそれを定義にしたものである. 埋め込み定理の証明を 理解するためには この節の 定理13 と 補題 24 が分かれば十分である. 一応先人に敬意を払って小さい帰納的次元ind と同じものであることも証明してはいる.

1.1 本文

定義 1.

dimTX=1 であるとはX= と定義する.

定義 2.

位相空間Xの部分集合Sclopenであるとは,S が開かつ閉集合であるときにいう.

定義 3.

Xを可分距離化可能空間とする. このときX0次元であるとは Xが空集合ではなく Xのclopen集合からなる開基 が存在する時にいう. このときdimTX=0と表す.

定義 4.

n0とし, Xを可分距離化可能空間とする. このとき整数dimTXを 以下を満たす最小の整数mで定義する. Xm+1個の部分空間X0,Xm が存在してdimTXi0X=i=0mXi を満たす. この定義のもと,dimTXnとは Xn+1個の部分空間X0,XndimTXi0X=i=0nXi を満たすものが存在することを意味する. また,dimTは位相不変量であることがわかる.

dimTの定義から直ちに次の二つのことがわかる.

補題 5.

Xを可分距離化可能空間とし, SXとする.この時 dimTSdimTX が成り立つ.

補題 6.

Xを可分距離化可能空間とし, A,BXとする.この時 dimTAnかつdimTB0ならば dimTABn+1 が成り立つ.

補題 7.

Xを可分距離化可能空間とする. Xの開基とする. このとき の部分集合 𝒜で開基になりさらにcard(𝒜)0を満たすものが存在する.

証明.

Xは可分距離化可能空間なのでその部分集合も 可分距離化可能である. よってXの任意の部分集合はリンデレフである. Xの可算な開基𝒞を取る. 任意のU𝒞に対して が開基であることと,Uがリンデレフである ことから可算集合𝒜UV𝒜UV=Uとなるものが存在する. そして

𝒜=U𝒞𝒜U

とおけば𝒜が求めるものになっている. ∎

系 8.

Xを可分距離化可能空間とする. このときdimT0であることと, 可算開基であってclopenな集合からなるものが存在することは同値である.

補題 9.

Xを可分距離化可能空間とするこのとき dimTX0であることと 任意のX内の交わらない二つの閉集合G,Hに対して clopen集合Oが存在して GOHO= を満たすことは同値である.

証明.

後半の条件からdimTX0 が導かれるのは明らかなので逆を示す.

dimTX0 なので 各点に可算な近傍形でclopenなものからなるものが存在する. そのようなものをpGについて𝒩p と表すことにする.さらにHが閉集合であることから任意の V𝒩pについてVH= と仮定してもよい(必要なら{S(XH)}S𝒩pと置き換えれば良い). そしてXGも次元が0以下なので clopenな集合からなる開基が存在する. このとき集合族

pG𝒩p

Xの開基になるので補題 7 からこの集合族の部分族で 可算な開基{Ui}i0 が存在する.ここでUiGならば UiH=に注意しよう. そしてV0=U0Vi=Uij=1i1Ui と定義する.すると各Vi は開集合でX=iViとなる. そして

O=ViGVi

とすると

XO=ViG=Vi

なのでOはclopenであり,GOを満たす. さらにViについてViG ならばViH=なので HXO となるからOは求める集合になっている. ∎

命題 10.

Xを空でない可分距離化可能空間とする. もしも可算個の閉集合{Ai}i0dimTAi0X=i0Ai を満たすならば dimTX=0である.

証明.

Xが 補題 9 の条件を満たすことを証明しよう. Xの交わらない二つの閉集合 G, Hを与える. 帰納的にPiQi, Ri, Li を構成する. まず GA0HA0A0 のなかの交わらない閉集合である. A00次元空間なので 補題 9より A0の中のあるclopen集合 P0Q0が存在して

  1. (1)

    GA0P0

  2. (2)

    HA0Q0

  3. (3)

    P0Q0=

  4. (4)

    P0Q0=A0

を満たす.

さてA0は閉集合だからP0Q0Xの閉集合でもあるし, GP0HQ0Xの交わらない閉集合である. ここで Xの正規性111距離化可能空間は常に正規である.を用いて 以下を満たすX二つの開集合R0L0 を得る.

  1. (1)

    GP0R0

  2. (2)

    HQ0L0

  3. (3)

    CL(R0)CL(L0)=

一般にPi, Qi Ri, Liを帰納的に 以下を満たすように定義する.

  1. (1)

    PiQiAiのclopen集合

  2. (2)

    CL(Ri1)AiPi

  3. (3)

    CL(Li1)AiQi

  4. (4)

    PiQi=

  5. (5)

    PiQi=Ai

  6. (6)

    Ri, LiXの開集合

  7. (7)

    CL(Ri1)PiRi

  8. (8)

    CL(Li1)QiLi

  9. (9)

    CL(Ri)CL(Li)=

このように構成できることは 各AiがclopenであることとXの正規性からわかる. このとき以下が満たされる

  1. (1)

    AiRiLi

  2. (2)

    CL(Ri1)Ri

  3. (3)

    CL(Li1)Li

そしてR=iRi, L=iLi とするとRLは開集合である. そして X=iAiRL なのでX=RLである. また矛盾を導き出すためにxRLとなるxがもしも存在したとすると xRixLjとなるi,j が存在するがk=max{i,j} とすると xRkLk= となり矛盾する. つまりRL=である. RLは交わらない開集合で定義から GRHL を満たす.そしてRL=X なのでRLは閉集合でもある. このことは補題 9からdimTX=0を意味する. ∎

定義 11.

Xを位相空間とする. Xの部分集合SFσ であるとは SX内の可算個の閉集合の和集合として表される時に いう.

系 12.

可分距離空間が0次元であるような可算個のFσ 集合の和集合で表されるのならば全体空間も0次元である.

定理 13.

n0 とする. Xを可分距離空間とする. このとき Xの可算個のFσ集合{Ai}i0 が存在しdimTAinX=iAiを満たすならば dimTXnである.

証明.

nに関する帰納法で証明する. n=0の時は既に 命題10で 証明されている. n+1より小さい数では定理が成り立つとする. このとき 可算個の閉集合{Ai}i0 が存在しdimTAin+1X=iAiを満たすと仮定してもよい. このときB0=A0, Bi=Aij=0i1Aj と定義する. すると各BiFσ集合でありdimTBin+1 を満たしさらにBiたちは交わらずX=iBi が成り立つ. さてdimTn+1の定義から 各iについてBiの部分集合MiNidimTMindimTNi=0 となる.M=iMiN=iNiと定義する. 各Miは互いに交わらないので Mi=MBiとなる. よって MiMのなかでFσ集合である. よって帰納法の仮定よりdimTMn となる.同様にdimTN=0である. XMNの和集合なので,補題 6から dimTXn+1 が成り立つ. ∎

さて今から dimTnndimT𝕊nn を証明する. ここで, 𝕊nとはn次元球面である.

補題 14.

n0 とする. このとき n0次元である.

証明.

一点集合は閉集合でなおかつ0次元なので 命題 10からわかる. ∎

補題 15.

n0 とする. このとき ()n0次元である.

証明.

x=(x1,,xn)()n をとる.任意にϵ>0をとり, 各i{1,,n}について ηi,κi>0

  1. (1)

    iについて ηi<ϵかつκi<ϵ

  2. (2)

    (x1η1,,xnηn)n

  3. (3)

    (x1+κ1,,xn+κn)n

を満たすようにとる. (2),(3)の条件を満たすηi,κi が存在するのはの中で が稠密だからである. U=i=1n(xiηi,xi+κi) かつ C=i=1n[xiηi,xi+κi] とおく.これらの集合について U()n=C()n なのでU()n()nのclopen集合であり, xの近傍でもある. ϵは任意なので各点xについて()n内の clopenな近傍系が存在することがわかった. よってdimT()n=0 である. ∎

補題 16.

n0とする. このとき dimTnndimT𝕊nn が成り立つ.

証明.

k{0,,n} について Eknnの部分集合で 高々k個の座標が有理数になっている点全体とする. 今からdimTEk=0 を証明する. 今En=nかつE0=()n なので補題 14, 15 からdimTEn=dimTE0=0 がわかる. よってk{1,,n1}について dimTEk=0 を証明する. Z(k){1,,k}の濃度がちょうどk個の 部分集合全体とする. そしてσ={i1,,ik}Z(n,k)v=(v1,vk)n についてA(σ,v)を 任意のj{1,,k}について 第ij座標がvjになるような nの点全体とし, B(σ,v)を 任意のj{1,,k}について 第ij座標がvjになり,それ以外の座標が無理数に属するようなnの点全体の集合とする. このとき Ekの定義から任意のσ={i1,,ik}Z(n,k)v=(v1,vk)k についてEkA(σ,v)=B(σ,v) となる.ゆえにB(σ,v)Ek の閉集合である.さらにB(σ,v)()nkと同相なので 0次元である. さてEkの定義から

Ek=σZ(n,k)vkB(σ,v)

が成り立ち,各B(σ,v)Ekの閉集合かつ0次元でZ(n,k)nk は高々可算集合なので命題 10から dimTEk=0 が従う. さらに明らかにn=k=0nEk なのでdimTnnがわかる. 次に𝕊nについて考えよう. はnの一点コンパクト化であり, 𝕊n=(E0{})k=1nEk である. そして命題 10から dimT(E0{})=0 なので, dimT𝕊nn がわかる. ∎

注意.

一般にdimTn=dimT𝕊n=n が示せるが,証明は面倒である. この文章で行う理論展開のためには dimTnn がわかっていれば良い.

1.2 蛇足:小さい帰納的次元とか

定義 17.

Xを位相空間とする. SXとする. このときSの境界集合をXS で表す. xXSであるとは 任意のxの近傍Hについて HSかつ HS を意味する. 一般にXS=CLXSIntXS である.ここでCLX, IntXXにおける閉包と 開核を表す.

補題 18.

Xを位相空間とし, ASXとする.このとき SASXA が成り立つ.

証明.

一般に位相空間TMTについて PMHとなる開集合Oと閉集合C についてTMHP であり,TM=CLT(A)IntT(A) に注意しよう.

さて,O=IntXAC=CLXAとおく. するとOSCSはそれぞれ Sの開集合と閉集合でOSACSを満たす. よって SA(CS)(OS) を満たす. ここで (CS)(OS)=(CO)S=(CLXAIntXA)S=XS となる. これは SAXSを意味する. ∎

補題 19.

Xを位相空間とし,NAXとする. すると NAの開集合であるとき AN=A(CLX(N)N) が成り立つ.

証明.

まず A(N)=CLA(N)IntA(N) である. ここでNAの開集合なので IntAN=Nである. そして CLA(N)=ACLXN なので222この等式は一般に成り立つ すると A(N)=CLA(N)IntA(N)=ACLXNN=A(CLXNN) が成り立つ. ∎

補題 20.

Xを可分距離化可能空間とし, AAXdimTA=0とする. このとき任意のpAX内のpの開近傍U に対してX内の 開集合Wが存在して AXW= を満たす.

証明.

まずdimTA=0より A内のpのclopenな 近傍 NANUA となるものが存在する. ここで AN=に注意しよう. いまNACLX(N)について考える. 明らかに CLX(N)(XCLX(N))= であり, さらに

CLX(ACLX(N)) =ACLA(ACLX(N))
=ACLA(A(ACLX(N)))=ACLA(ACLA(N))
=CLA(ACLA(N))=(ACLAN)AN
=(ACLAN)

なので NCL(ACLX(N))= である.以上のことからNACLXA は互いにもう一方の閉包と交わらない. よってXの完全正規性からXの開集合Wが存在して NWCLX(W)(ACLX(N))=を満たす. 後半の条件から ACLXWACLXNがわかる. 必要ならWUWに置き換えてWUとしてもよい. さて以上と補題 19を踏まえると

AXW =A(CLX(W)(XW))ACLX(N)(XN)
=A(CLX(N)N)=AN=

を得る. ゆえにAXW=がわかる. ∎

定理 21.

Xを可分距離化可能空間とする. この時dimTXn であることとXの開基{Vi}i0 が存在してdimTXVin1 であることは同値である.

証明.

最初にまずdimTXn と仮定する.すると Xの部分集合A0,,An が存在して dimTAi0i=0nAi=X を満たす. 補題 20より, 各iと各pAについてpX内の開近傍系𝒩p,i が存在して,任意のV𝒩p,i について AjXV= を満たす. このときXVは はAkV (ki) の和集合なのでdimTXVn1である. そして集合族

i=0npAi𝒩p,i

Xの開基になるので 補題7 より可算な開基{Vi}i0 が存在しdimTXVin1 を満たす.

逆を示そう.今Xの開基{Vi}i0 が存在してdimTXVin1 を満たすとする. このとき定理 13 よりS=i0XVidimTSn1を満たす. さらにA=XSとおくと, {AVi}i0Aの開基になる. そして補題 18より AViAXVi= なのでdimTA0がわかる. そしてX=SAなので補題 6 よりdimTXnがわかる. ∎

定義 22 (小さい帰納次元).

空間Xの小さい帰納次元を帰納的indXに次のように定義する。

indX=1X=Øとし、n1まで定義されたとして

indXnXの任意の点xxの任意の近傍Uに対してxの近傍Nが存在してind(BdryN)n1かつNUを充たす。

と定義する。ちなみにindX=nとはindXnかつn1<indXである。

定理21から次のことが従う.

系 23.

可分距離化可能空間Xについて indX=dimTX

注意.

本来はindを定義したのちに indnならばn+1個の0 次元空間の和集合としてかけることを証明するのだが, この文章では逆にそちらを位相次元の定理にしている.

補題 24.

n0とする. このとき dimTnndimT𝕊nn が成り立つ.

indを使った別証明.

m1とする. m+1𝕊m+1 はともに境界が𝕊m となる開集合からなる開基を持つ. よってdimTm+1dimT𝕊mdimT𝕊m+1dimT𝕊m が成り立つ. 𝕊1 は境界が2点になるような開集合からなる開基を持つから dimT𝕊11 である.もしくはが有理数と無理数という二つの0 次元集合の和であることと𝕊1の一点コンパクト化であることを用いても dimT𝕊11 であることがわかる. よって帰納的に dimTnndimT𝕊nn が成り立つことがわかる. ∎

2 応用

この節では多様体をユークリッド空間に埋め込む話をする.

まず部分空間の開集合をもとの空間の開集合に持ち上げるための次の補題から始まる。

補題 25.

空間Xの部分空間Aの開集合Uについて

B(U)={xX|d(x,U)<d(x,AU)}

と置くと、B(U)Xの開集合であり、B(U)A=Uを充たす。ここでdとはXの距離の一つである。

さらにAの二つの開集合U,VについてUV=ØならばB(U)B(V)=Øである。

証明.

やるとわかる。 ∎

命題 26.

第二可算なn次元位相多様体Mについて

dimTMn
証明.

局所ユークリッド性と 第二可算性とdimTnnと 定理 13から命題が成り立つことがわかる. もしくは 境界が𝕊n1と同相な開集合からなる開基が存在することと系23からもわかる. ∎

定理 27.

空間XdimTXnを充たすとする。そして𝒰を空間Xの開被覆とする。このとき𝒰の細分であるXの局所有限な開被覆𝒱と開集合からなる(被覆とは限らない)n+1個の族𝒲0,𝒲1,,𝒲nが存在して

𝒱=𝒲0𝒲1𝒲n

及び

iについて𝒲iは互いに素な族である。

を充たす。

証明.

空間Xは距離化可能空間であるから Xと同じ位相を生成する距離を一つ固定してdとする. さらにXはパラコンパクト333一般に距離空間はパラコンパクトであるが、可分距離空間のパラコンパクト性は一般的なそれよりも容易に証明できる。であるので𝒰の細分である局所有限な開被覆である𝒞が存在する。ところでXは可分距離空間なので特にリンデレフであるから𝒞は可算であるとしても一般性を失わない。𝒞={Uk}kとしよう。

さてdimTXnからn+1個の高々0次元部分空間{Ai}i=0nが存在してX=i=0nAiを充たす。

ここで各iについてAi上でAiの被覆{AiUk}kを考えよう。Ai0次元なので開かつ閉な開基を持つ。また可分でもあるので{AiUk}kの細分で高々可算な開かつ閉な集合からなるAiの被覆{Ol(i)}lが存在する。これを用いて

G1(i)=O1(i),Gj(i)=Oj(i)l<jOl(i)(j2)

と定義すると{Gj(i)}jAiの開集合からなる444Aiの閉集合でもあるが、そのことは使わない。Aiの被覆で{AiUk}kの細分になる。また定義から明らかにabならばGa(i)Gb(i)=Øであるので{Gj(i)}jの元は互いに素である。そして{Ia(i)}a

I1(i)={j|GjU1}

とし、m1までIa(i)が定義されてるとして

Im(i)={j|GjUm}a=1m1Ia(i)

と帰納的に定義しよう。そしてこれを用いて

Pa(i)=sIaGs(i)

と定義しよう。するとこれはAiの開集合であり、{Pa(i)}aAiの被覆となり、定義から明らかに{Pa(i)}aは互いに素な族である。

これを用いてQm(i)=B(Pm(i))Umと定義しよう。(補題25参照)このとき補題25から{Qm(i)}mは互いに素な族となり、Aiを被覆する。(ただしQm(i)は空である場合もある。)また、Qm(i)Umから{Ui}iの細分になっている。さて、任意の点xXについて𝒞の局所有限性を担保するxの近傍をNとすると、一般に

NQm(i)ØNUmØ

が成り立つことから{Qm(i)}mは局所有限な族であることが分かる。(ただしXの被覆であるとは限らない)

i=0,1,,nごとに存在する{Qm(i)}m𝒲iとすれば𝒲iは互いに素な族であり、かつ局所有限であり、かつ𝒞={Uk}kの細分となっている。そして𝒱=𝒲0𝒲1𝒲nと置けば各𝒲iが局所有限で𝒞={Uk}kの細分であることから𝒱は局所有限であり、𝒞={Uk}kの細分となる。またAi𝒲iX=i=0nAiなので𝒱Xの被覆となる。𝒞={Uk}k𝒰の細分であることから𝒱𝒰の細分であることが分かる。

以上で証明は終わった。 ∎

3 埋めこみ定理

定義 28 (開収縮).

位相空間Xの開被覆𝒰に対して{VU|U𝒰}が開収縮であるとは{VU|U𝒰}Xの開被覆であって、任意のU𝒰について

CL(VU)U

を充たすこと。

以下の補題の証明は[2]を参照のこと.

補題 29.

位相空間XについてXが正規であることと X点有限開被覆に開収縮が存在することは同値である.

定義 30.

連続写像f:XYに対し

L(f)={yYxiとなる{xi}が存在してf(xi)yとなる}

と定義する。これをf極限集合と呼ぶ。

次の命題の証明は[3]を参照のこと.

命題 31.

f:XYを単射と仮定する。このとき

fL(f)f(X)=Ø

さていよいよ多様体のユークリッド空間への埋め込みの存在の証明をする.

定理 32.

Nn次元Cr級多様体とする。このとき Embr(N,(n+1)2)

証明.

Nの相対コンパクトな局所座標系を𝒜に対して 定理27を用いて、𝒜の細分と開集合からなる(被覆とは限らない)n+1個の族𝒰0,𝒰1,,𝒰nが存在して

=𝒰0𝒰1𝒰n

及び

iについて𝒰iは互いに素な族である。

を充たす。必要ならば、各iについて V,W𝒰iならばCL(V)CL(W)=Øと仮定しても良い。 適当に番号付して、

𝒰k={Ui(k)}i

とする。 また正規性に関する補題29を用いて 集合族の有限列{𝒱k}k=0n𝒱k={Vi(k)}iと番号付されていて

CL(Vi(k))Ui(k)

を満たしかつ、 𝒱0𝒱1,,𝒱nNの被覆になっているようなものとする。 また、同様に集合族の有限列{𝒲k}k=0n𝒲k={Wi(k)}iと番号付されていて

CL(Wi(k))Vi(k)

を満たしかつ、 𝒲0𝒲1,,𝒲nNの被覆になっているようなものとする。

さて、Ai(k)CL(Vi(k))となる𝒜の元とする。 このときAi(k)上の局所座標で

  1. (1)

    ijならばϕi(CL(Vi))ϕj(CL(Vj))=Ø

  2. (2)

    xsVisxsならばϕjs(xs)

となるものが存在する。これは平行移動とかを鑑みれば存在がわかる.

そしてfi(k)Vi(k)上で1の値をとり、Ui(s)の外では0の値をとるN上のCr級関数とする。 これを用いて

ψ(k)(x)={fj(k)ϕj(k)xUi(k)0xiUi(k)

と定義する。 ϕ(k)|Vi(k)=ϕi(k)に注意しよう。

CL(Wi(k))Vi(k)なので

ϕi(k)(CL(Wi(k)))ϕi(k)(Vi(k))

である、 滑らかな関数gi(k):nϕi(k)(Wi(k))上で1ϕi(k)(Vi(k))のそとで0の値をとる関数とする。 そして

ψi(s)(x)={gj(k)ϕ(k)xVj(k)0xiVi(k)

として定義する。ψj(k)Cr級である。

l=(n+1)2としてΦ:Nl

Φ(x)=(ψ(0)(x),,ψ(n)(x),ϕ(0)(x),,ϕ(n)(x))

として定義する。

今からΦは可微分な埋めこみであることを今から証明しよう.

まずΦの微分のランクが退化していないことは ψ(k)の定義からわかる.

次に単射性を調べよう。 Φ(x)=Φ(y) とするとあるkが存在してx,yiVi(k)である。 よってϕ(k)(x)=ϕ(k)(y)よりx=yがわかる。

次にΦが位相的埋め込みであることを示そう。 L(Φ)Φの極限集合として, 命題31から L(Φ)=を示せば Φが埋め込みであることがわかる. {xs}sNxsとなる列とする。このとき適当に部分列をとればあるkに対して

xsiVi(k)

となっていると仮定しても一般性を失わない。 このとき局所座標ϕi(k)の定め方からϕ(k)(xs)となる。 よって特にΦ(x)なのでL(Φ)=がわかる。 ∎

注意.

この証明からΦは閉写像であることがわかる。

注意.

いろいろ頑張れば, Embr(N,2n+1) であることがわかるし, 2n+1N ならばEmbr(N,N) が可微分写像の空間の中で稠密であることがわかる.

References

  • [1] yamyamtopさんの次元論PDF,
    https://yamyamtopo.wordpress.com/2015/01/10/pdf/
    
     2016年6月閲覧
  • [2] はてなブログ「電波通信」の記事 「正規性の特徴付け」
    https://concious4410.hatenablog.com/entry/2015/12/21/170610
    
  • [3] はてなブログ「電波通信」の記事 「極限集合の基本的性質の証明」
    https://concious4410.hatenablog.com/entry/2017/11/16/170409
    
  • [4] はてなブログ「電波通信」の記事 「いわゆる志賀多様体における多様体の埋め込み定理のための次元論的な補題の証明」
    https://concious4410.hatenablog.com/entry/2016/06/11/202249
    
  • [5] はてなブログ「電波通信」の記事 「ウリゾーンの距離化可能定理」
    https://concious4410.hatenablog.com/entry/2015/09/13/190522
    
  • [6] 志賀浩二,多様体論,岩波書店,1976
  • [7] W.Hurewicz and H.Wallman,Dimension Theory,Princeton Univ. Press,1948