多項式に関する一致の定理
この文章では多項式に関する一致の定理を証明する. つまり実係数多項式の零点全体の集合が内点を持つならば 恒等的にに等しいことを証明する.
まず最初に初等的な行列式の計算を行う.
定理 1 (ファンデルモンドの行列式).
とする. このとき任意の に対して
が成り立つ.
証明.
に関する帰納法で証明する. より小さい数では成り立つと仮定する. このとき第行を各行から引くと
となる.計算は次のページに続く
さらに行列式の展開の性質から
となる. ここで第列の倍をを列に足すと最後の両列式は
となるので証明が終わる. ∎
別証明.
与えられた行列式を とするとこれはに関する多項式で しかも各に関する最高次数はである. さて,行列式の性質からとすると となる. ゆえにはを因数にもつ. よって多項式 によってを割り切ることができる.ここで 多項式について各の最高次数はであるから はの定数倍であることがわかる. つまりとなるが存在する. 簡単にがわかり,また の場合にとすると
となり,また
なのでがわかり,結局 がわかるので,定理は成り立つ. ∎
定理 2 (多項式に関する一致の定理).
を変数の実係数多項式とする. もしもの零点全体の集合が内点を持つならば は恒等的にとなる. つまりが定数に等しくないならば となる全体の集合は のなかで稠密になる.
証明その1.
に関する帰納法で証明する.より小さい数では 命題が成り立つと仮定する. についてこれは多項式なので, に関する最高次数をとして として以下のように表すことができる.
ここで各はの多項式である. 今の零点全体をと書くと, は内点を持つので開集合 と開集合が存在して となる. から相異なる点を取ると とについて
となる.これは次のように書くことができる.
先の定理から左辺に出てくる行列は可逆であることがわかるので,結局任意のとについて がわかる. よって各の零点全体は内点を持つことがわかったので 帰納法の仮定より, 各は恒等的にに等しい. よっても恒等的にに等しい. ∎
証明その2.
上の証明と同じく帰納法で証明する. 同じ記号を用いる. の元をの元で近似できれば良い. とする. この時
となる.
Case1 : あるについて の場合. このときは をの多項式として見れば一変数なので 一変数の場合からに十分近いであって となるものが存在する. よってが求めるの元である.
Case2: 全てのについて がの零点だった場合. このときには帰納法の仮定よりに十分近い各の 非零点になっているようなが存在する. の場合は が求めるものになっている. の場合にはCase1に還元される. ∎
証明その3.
の時には次多項式は高々個の零点を持たないことから定理が成り立つことがわかる. 次に一般のについて考える. の内点をとする. このとき十分小さいが存在して 開円盤 はの部分集合となる. ここで を任意にとり を と定義する. するとはに関する多項式であり, が上でになることからは の時となる. よって変数の場合からは恒等的に になる.は任意だったので は全空間で恒等的にになる. ∎
証明その4.
まず最初に, として 多項式はの一次式で割り算できることに注意しよう. さて,の零点が内点を持つとする. 内点について は変数として見たときに内点をもつよって帰納法の,仮定よりは恒等的にになる. つまりはの零点になるので はを因数に持つ. の次数をとして 相異なる点を 任意のについて となるようにとる と 変数多項式が存在して となる.ここでとすると なのでは恒等的にになる. つまりも恒等的に になる. ∎
References
-
[1]
StackExchangeの質問
“The complement of a zero-set of a polynomial is dense”
とその回答
https://math.stackexchange.com/questions/2025978/ the-complement-of-a-zero-set-of-a-polynomial-is-dense
-
[2]
StackExchangeの質問
“Why if is
polynomial on ,
then is satisfied open dens set?
”
とその回答
https://math.stackexchange.com/questions/1731267/ why-if-p-x-1-dots-x-n-is-polynomial-on-mathbbrn-then-p-x-neq-0/1731288
- [3] はてなブログ「電波通信」の記事「実解析関数に関する逆関数定理」 https://concious4410.hatenablog.com/entry/2021/02/28/130208
- [4] 箱さんのwebページの「解析関数のノート」 https://o-ccah.github.io/docs/analytic-function.html