代数学の基本定理
HTML変換日:2026年7月26日
この文書では代数学の基本定理の初等的な証明を述べる。前提知識は特に必要ない。まずは次の補題を証明する。
補題 1.
複素係数多項式に対してその絶対値は複素平面上で最小値を持つ。
証明.
という風に最高次係数が(つまりモニックということ)と仮定しても良い。最初にを示そう。この式の意味は
である。をでくくって
で明らかに
なのでがわかる。さてとしてを選べば、
となる。はコンパクトなのではこの上で最小値をとるが、でなので、その最小値が全体でのの最小値となる。 ∎
補題 2.
定数でない複素係数多項式について、ならば
となるがの十分小さい近傍に存在する。
証明.
なので
が定義できる。なので
と表せる。がとならない最小の番号をとして、(つまりならばで、ということ)を極座標表示してと書き表し、とする。さて正の実数を十分小さくとり
と出来る。なぜなら
だからである。さてと置き、
を得る。 よってよりとすれば
∎
ここまで来たら後は簡単である。いよいよ本題に入ろう
定理 3 (代数学の基本定理).
定数でない複素係数多項式はに零点を持つ。
証明.
補題1より最小値が存在するがに零点がないとするとなので補題2から
となるが存在するがこれは最小性に矛盾するのでは零点を持つ。 ∎
References
- [1] 齋藤正彦『線形代数入門』(基礎数学1)東京大学出版会(1966)