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可分距離空間上の 被覆次元と帰納次元

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文書では正規空間の被覆次元にまつわる基本的な命題を紹介していく. 特におまけの球面の拡張問題の話は興味深いと思う. この文書の内容は [8] を大いに参考にした. 基本的な命題を述べた後に, 可分距離化可能空間において, 被覆次元で帰納的次元が上から抑えられることを証明する.

1 位相的準備

補題 1 (被覆の収縮補題).

正規空間X の有限開被覆 {U1,…,Um} について,開被覆 {V1,…,Vm} が存在して CL⁡Vi⊂Ui が満たされる.

証明.

帰納法によって証明できる. 詳細は省略する. ∎

集合族の相似という概念を導入する.

I を添字集合とする. 集合 X の部分集合族 𝒜={Ai}i∈I と ℬ={Bi}i∈I が 相似であるとは Iの任意の部分集合S について ⋂s∈SAs=∅ と ⋂s∈SBs=∅ が同値になることである. 同じことだが ⋂s∈SAs≠∅ と ⋂s∈SBs≠∅ が同値になるということでもある.

位相空間論では特に 特に Bi⊂Ai などの包含関係が存在して Ai や Bi が開集合だったり 閉集合だったりするような状況において 相似な集合族を構成できるかどうかに興味がある. この文章では一般的な話は行わず 有限集合族の場合に限って話を進めるということにする.

補題 2.

Xを 正規空間とする. そして {F1,…,Fm} と {U1,…,Um} を それぞれ 閉集合族と開集合族で Fi⊂Ui を満たしているとする (Xを被覆しているなどの条件はつけない). このとき 開集合族集合族 {W1,…,Wm} が存在して Fi⊂Wi と CL⁡Wi⊂Ui を満たしさらに {F1,…,Fm} と {CL⁡W1,…,CL⁡Wm} は相似である.

証明.

帰納法によって証明する. 自然数kについて 族 {W1,…,Wk}∪{Fk+1,…,Fm} が {F1,…,Fm} と相似であり Fj⊂Wj かつ CL⁡Wj⊂Uj を j=1,…,kで満たしているとする. 今から Wk+1を構成する. 今 {CL⁡W1,…,CL⁡Wk}∪{Fk+1,…,Fm} の有限個の共通部分で表される集合のうち Fk+1と交わらないものを 𝒦とかく. そして H=∖⋃𝒦 と定義すると, 𝒦 は有限集合であるから H は X の開集合であり Fk+1⊂H を満たす. ここで X の正規性を用いて Wk+1 を Fk+1⊂Wk かつ CL⁡Wk⊂H∩Uk+1 となる開集合とする. このとき 𝒦 の定義から {CL⁡W1,…,CL⁡Wk}∪{Fk+1,…,Fm} と {CL⁡W1,…,CL⁡Wk+1}∪{Fk+2,…,Fm} は相似である. 以上で証明が終わる. ∎

2 被覆次元

集合 Xの 集合族 𝒰 と x∈Xについて Cdeg⁢(𝒰;x) を xを含む 𝒰 の個数とする. そして Cdeg⁢(𝒰) を supCdeg⁢(𝒰;x) と定義する.

さて位相空間X とn∈ℤ≥0 について dim⁢X≤nであるとは Xの任意の有限開被覆 𝒰 について, その細分となる開被覆 𝒱 が存在して Cdeg⁢(𝒱)≤n+1 となることである. また n<dim⁢X とは dim⁢X≤nの否定が成り立つときにそう書く.

補題 3.

X を正規空間とする. このとき以下は同値である.

  1. (1)

    dim⁢X≤n

  2. (2)

    Xの任意の有限開被覆 {U1,…,Um} について 開被覆 𝒱={V1,…,Vm} が存在して Vi⊂Ui かつ Cdeg⁢(𝒱)≤n+1 が成り立つ.

  3. (3)

    Xの任意の有限開被覆 {U1,…,Um} について 開被覆 𝒱={V1,…,Vm} が存在して Vi⊂Ui かつ{1,…,m} の濃度がn+2の部分集合J について ⋂j∈JVj=∅ が成り立つ.

  4. (4)

    Xの 濃度がn+2の 任意の開被覆 {U1,…,Un+2} について 開被覆 𝒱={V1,…,Vn+2} が存在して Vi⊂Ui かつ ⋂j=1n+2Vj=∅ が成り立つ.

証明.

同値性 [(2)⇔(3)] は自明である. また [(2)⟹(1)] と [(3)⟹(4)] も自明である.

[(1)⟹(2)] の証明: 開被覆 {U1,…,Um} に対してその細分となる開被覆 𝒢={G1,…,Gk} でCdeg⁢(𝒢)≤n+1 となるものが存在する. ここで l:{1,…,k}→{1,…,m} を l⁢(a) を Ga⊂Ub となる最小のb として定義する. そして各i=1,…,m について Vi=⋃l⁢(a)=iGa と定義し 𝒱={V1,…,Vm} とすれば 𝒱は Xの開被覆であり, Cdeg⁢(𝒢)≤n+1から Cdeg⁢(𝒱)≤n+1 を満たす.

[(4)⟹(3)] の証明: Xの有限開被覆 {U1,…,Um} を任意に与える. もしも m<n+2のときは適当に空集合を付加して やってn+2≤mと仮定しても良い. そして𝒜 を集合{1,…,m} のn+2個の部分集合の直和分割全体の集合とする. つまり𝒜の元は{I1,…⁢In+2} であって各Ikは{1,…,n+2}の空でない部分集合で a≠bの時Ia∩Ib=∅ で⋃kIk={1,…,n+2} である. 𝒜は有限集合なので 番号をつけて {A1,…,Ar} とする. 以下の操作を帰納的に繰り返して Xの開被覆 {Gl,1,…,Gl,m} (l=0,1,…,r+1) を構成する. まず G0,i=Uiとする. そして {Gl,1,…,Gl,m} が構成されたとき Gl+1,iを構成する. Al={I1,…,In+2} としてk=1,…,n+2について Ok=⋃j∈IkGl,j とする. すると {O1,…,On+2} は X の開被覆になるので (4)を用いて その細分となる開被覆 {P1,…,Pn+2} で⋂i=1n+2Pi=∅ となるものが存在する. ここで i=1,…,mについて Gl+1,i=Pk⁢(i)∩Gl,i と定義する.ここでk⁢(i)は i∈Ik⁢(i)となるk⁢(i)∈{1,…,n+2} である. 今 Gl+1,i⊂Gl,i に注意しよう. ここで Vi=Gr+1,i で 𝒱={V1,…,Vm}と定義する. 今からCdeg⁢(𝒱)≤n+1を示そう. {1,…,m} の濃度がn+2の任意の部分集合K についてK={a1,…,an+2} として I1=a1,…,In+1={an+1} としてIn+2は余った{1,…,m} の元全部とする. そして Al={I1,…,In+2}とする. 上で構成したのと同じ記号を用いる. 任意の ai∈Kについて

(2.1) Vai=Gr+1,ai⊂Gl+1,ai⊂Gl,ai∩Pi

であり, ⋂i=1n+2Pi=∅ なので ⋂a∈KVa=∅ である. よって (3)が成り立つ.

以上で証明が終わる. ∎

補題 4.

X を正規空間とする. このとき以下は同値である.

  1. (1)

    dim⁢X≤n

  2. (2)

    Xの任意の有限開被覆 {U1,…,Um} について 開被覆 𝒱={V1,…,Vm} が存在して CL⁡Vi⊂Ui かつ Cdeg⁢(𝒱)≤n+1 が成り立つ.

  3. (3)

    Xの 濃度がn+2の 任意の開被覆 {U1,…,Un+2} について 閉被覆 𝒱={F1,…,Fn+2} が存在して Fi⊂Ui かつ ⋂j=1n+2Fj=∅ が成り立つ.

証明.

[(1)⇔(2)] は補題 1からわかる. また [(2)⟹(3)] は自明である.

[(3)⟹(1)] は補題 2 から従う. ∎

被覆の境界のdegreeによって 被覆次元を特徴付けることができる.

命題 5.

X を正規空間とする. このとき以下は同値である (以下の条件において,被覆とは仮定していないことに注意せよ).

  1. (1)

    dim⁢X≤n

  2. (2)

    Xの任意の有限開集合族 {U1,…,Um} と閉集合族 {F1,…,Fm} について 開集合族 𝒱={V1,…,Vm} が存在して Fi⊂Viと CL⁡Vi⊂Ui を満たし かつ Cdeg⁢({∂⁡V1,…,∂⁡Vm})≤n が成り立つ.

  3. (3)

    Xの任意の有限開集合族 {U1,…,Um} と閉集合族 {F1,…,Fm} について 開集合族 𝒱={W1,…,Wm} と 𝒱={V1,…,Vm} が存在して Fi⊂Vi⊂CL⁡Vi⊂Wiと CL⁡Wi⊂Ui を満たし Cdeg⁢({CL⁡W1∖V1,…,CL⁡Wm∖Vm})≤n が成り立つ.

  4. (4)

    Xの 濃度がn+1の 任意の開集合族 {U1,…,Un+1} と 閉集合族 {F1,…,Fn+1}で Fi⊂Ui となるもの について 開集合族 𝒱={V1,…,Vn+1} が存在して Fi⊂Vi と CL⁡Vi⊂Ui を満たし かつ ⋂j=1n+1∂⁡Vj=∅ が成り立つ.

証明.

[(1)⟹(2)]の証明: ℋ を {U1,…,Um}∪{X∖F1,…,X∖Fm} の濃度がmの部分集合族の共通部分で表される集合全体 とする. このとき仮定から ℋ は X の開被覆となる. よって (1) から degreeが≤n+1 であるような 開被覆 {W1,…⁢Wq} でℋ の細分になるものが存在する. さらに 閉被覆 {K1,…,Kq} でKr⊂Wr となるものをとる. ここで r=1,…,q に対して Nr を Fi∩Wr≠∅ となるような i=1,…,m の集合全体とする. そして 補題 1 から 各 i∈Nr について Vi,r を Kr⊂Vi,r⊂CL⁡Vi,r⊂Wr となるようにとる. ここで,i,j∈Nr がi<jを満たすならばCL⁡Vi,r⊂Vj,r となるようにとる. さて, i=1,…,m について

(2.2) Vi=⋃{Vi,r∣i∈Nr}

と定義する. このとき Fi⊂Vi が成り立つ. というのも, x∈Fi かつ x∈Kr となるi,rが存在するので x∈Vi,r⊂Vi となるからである. また Nrの定義と ℋの定義から i∈Nrなら Wr⊂Uiであり, Viを定義する式は有限和であるから CL⁡Vi⊂Ui となることがわかる. 最後に背理法のために 濃度がn+1の{1,…,m}の部分集合I が存在し ⋂i∈I∂⁡Vi≠∅ となるとしよう. 点 x∈⋂i∈I∂⁡Viをとる. さて x∈∂⁡Vi であるから x∈⋃i∈Nr∂⁡Vi,r である. ここで各iについて r⁢(i) を x∈∂⁡Vi,r⁢(i) 満たすものとして定義しよう. このときi≠jならば r⁢(i)≠q⁢r⁢(j)である. というのも,i<jと仮定して もしもr⁢(i)=r⁢(j)ならば, CL⁡Vi,r⁢(i)⊂Vj,r⁢(i) なので x∉∂⁡Vi となり矛盾するからである. さて x∈∂⁡Vi,r⁢(i) なので 特に x∉Vi,r⁢(i) である. ここで x∈Kr⁢(n+2) となる番号 r⁢(n+2) をとる. {Kr} は被覆なのでこれは可能である. さて x∉Vi,r⁢(i)なので r⁢(n+2) はr⁢(i)たちとは異なる. よって∂⁡Vi⊂Wr⁢(i) より x∈⋂i=1n+2Wr⁢(i) となるが, これは Cdeg⁢({W1,…,Wm})≤n+1 に矛盾する. よって Cdeg⁢({∂⁡V1,…,∂⁡Vm})≤n である.

[(2)⟹(3)]の証明: (2)から 開集合族 {V1,…,Vm} で Fi⊂Vi と CL⁡Vi⊂Ui を満たしかつ Cdeg⁢{∂⁡V1,…,∂⁡Vm}≤n となるものが存在する. このとき ∂⁡Vi⊂Ui であるから 補題2 から 開集合族{P1,…,Pm} で {CL⁡P1,…,CL⁡Pm} と {∂⁡V1,…,∂⁡Vm} が相似なもので ∂⁡Vi⊂Pi⊂Ui となるものが存在する. ここで Wi=Vi∪Pi と定義すると,CL⁡Vi⊂Wi であり ∂⁡Vi⊂CL⁡Wi∖Vi かつ CL⁡Wi∖Vi⊂CL⁡Pi なので {CL⁡W1∖V1,…,CL⁡Wm∖Vm} は {∂⁡V1,…,∂⁡Vm} と相似である. よって Cdeg⁢{CL⁡W1∖V1,…,CL⁡Wm∖Vm}≤n である.

[(3)⟹(4)]の証明: 自明である.

[(4)⟹(1)] の証明: Xの n+2枚の開集合からなる開被覆 {O1,…,On+2} を任意に与える. 補題 1 から 閉被覆{A1⁢…,An+2} が存在して Ai⊂Oiを満たす. ここで {O1,…⁢On+1} と {F1,…⁢Fn+1} に対して (4) を用いて 開集合族 {H1,…,Hn+1} で Fi⊂Hi と CL⁡Hi⊂Ui を満たし ⋂i=1n+1∂⁡Hi=∅ を満たすものが存在する. そして ここで閉集合 i=1,…,n+2について 閉集合Li をi=1,…,n+1のとき Li=CL⁡Hi∖⋃k<iHk で Ln+2=Fn+2∖⋃k=1n+1Hk と定義する. このとき{L1,…,Ln+2}はXの閉被覆である. というのも任意のx∈Xについて x∈Hiとなるiが存在しなければ x∈Ln+2 であり, x∈Hiとなる添字が存在するなら値が最小のそれを jとしてx∈Lj となるからである. さらにLi⊂Oi である. さて

(2.3) ⋂i=1n+2Li=Ln+2∩⋂i=1n+2(CL⁡Hi∖⋃k<iHk)⊂Ln+2∩⋂i=1∂⁡Hi=∅

となるから 補題 4から dim⁢X≤n が従う. ∎

定理 6.

n∈ℤ≥0 とし, X を dim⁢X≤n である正規空間とし, {Fi}i∈ℤ≥0 と {Ui}i∈ℤ≥0 をそれぞれ閉集合族, 開集合族 で Fi⊂Ui を満たすとする. このとき 開集合族 {Vi}i∈ℤ≥0 であって Fi⊂Vi と CL⁡Vi⊂Ui を満たしかつ Cdeg⁢({∂⁡Vi}i∈ℤ≥0)≤n を満たすものが存在する.

証明.

まず ℤ≥0 の部分集合であって 濃度が n+1 のもの全体を考える. そのような集合は高々可算個しかないので, 番号をつけて列挙して Γ1,Γ2,…,Γi,… とする. そして 今から帰納法により, k∈ℤ≥0によって添字付られた 以下のような開集合の列の列 {Pi⁢(k)}i∈ℤ≥0, {Qi⁢(k)}i∈ℤ≥0 で 任意のi∈ℤ≥0 について Fi⊂Pi⁢(k) と CL⁡Qi⁢(k)⊂Ui を満たしかつ 任意の l∈{1,…,k} について Cdeg⁢({CL⁡(Qa⁢(k))∖Pa⁢(k)∣a∈Γl})≤n が成り立つ ものを構成する. 今kまでは上記の列が構成できたとする. 今から{Pi⁢(k+1)}i∈ℤ≥0, {Qi⁢(k+1)}i∈ℤ≥0 を構成する. まず a∈Γk+1 については {CL⁡Pa⁢(k)}a∈Γk+1 と {Qa⁢(k)}a∈Γk+1 について 命題 5 を用いて CL⁡Pa⁢(k)⊂Pa⁢(k+1)⊂Qa⁢(k+1) かつ CL⁡Qa⁢(k+1)⊂Qa⁢(k) で Cdeg⁢({CL⁡Qa⁢(k+1)∖Pa⁢(k+1)}a∈Γk+1)≤n となる {Qa⁢(k+1)}a∈Γk+1 と{Pa⁢(k+1)}a∈Γk+1 をとる. b∈ℤ≥0∖Γk+1 については Pb⁢(k+1)=Pb⁢(k) かつ Qb⁢(k+1)=Qb⁢(k) と定義する. ここで任意のi∈ℤ≥0について CL⁡Qi⁢(k+1)∖Pi⁢(k+1)⊂CL⁡Qi⁢(k)∖Pi⁢(k) なので, 任意のl について について Cdeg⁢({CL⁡(Qa⁢(k))∖Pa⁢(k)∣a∈Γl})≤n が成り立つ. さて,この k∈ℤ≥0によって添字付られた 列 {Pi⁢(k)}i∈ℤ≥0, {Qi⁢(k)}i∈ℤ≥0 を用いて, 任意のi∈ℤ≥0について Vi=⋃k∈ℤ≥0Pi⁢(k) と定義する.もちろん Fi⊂Vi⊂CL⁡Vi⊂Ui は満たされる. また任意のkについて Pi⁢(k)⊂Vi かつ CL⁡Vi⊂Qi⁢(k) なので ∂⁡Vi⊂CL⁡(Qi⁢(k))∖Pi⁢(k) である. よって Γkについて Cdeg⁢({∂⁡Va∣a∈Γk})≤n となる. これで証明が終わる. ∎

3 可分距離空間

定理 7.

n∈ℤ≥0 とする. そして X を dim⁢X≤nを満たす 可分距離化可能空間とする. さらにXの閉集合 Fと開集合 U は F⊂U を満たしているとする. このとき開集合 Vが存在して F⊂V と CL⁡V⊂U を満たし さらに dim⁢∂⁡V≤n−1 を満たす.

証明.

Xに全有界な距離関数dでXと同じ位相を生成するのもを与える.これはXが完備距離化可能であることから [0,1]ℵ0に位相的に埋め込み可能であることから とってこれる. 適当に正の有理数全体を番号付して {rk}k∈ℤ≥0 とし 空間Xの可算稠密部分集合を {qs}s∈ℤ≥0 とする. そして (k,s)∈ℤ≥02について Fk,s を半径がrkで 中心がqs dに関する閉球 とし, Uk,s を を半径が2⁢rkで 中心がqs dに関する 開球 とする. もちろん Fk,s⊂Uk,s である. 今 二つの可算族 {F}∪{Fk,s}k,s∈ℤ≥0 と {U}∪{Uk,s}k,s∈ℤ≥0 に対して 定理 6 を用いて F⊂V かつ CL⁡V⊂U となる開集合U と Fk,s⊂Vk,s かつ CL⁡Vk,s⊂Uk,s となる開集合Vk,s であって Cdeg⁢({∂⁡V}∪{Vk,s}k,s∈ℤ≥0)≤n となるものをとる. このとき dim⁢∂⁡V≤n−1 であることを示そう. 閉集合族 {C1,…,Cn} と開集合族 {O1,…,On} は Ci⊂Oi と Ci∩∂⁡V≠∅ を満たすとする. さてXは dに関して全有界であるから 開被覆{X∖A1,…,X∖An}∪{O1,…,On} にはルベーグ数 η が存在する. 2⁢rk<η となるk∈ℤ≥0 をとる. 再び全有界性から 有限集合H⊂ℤ≥0 が存在して {Fk,qh}h∈H がXを被覆する. ここで, Hをm個数の部分集合 H1,…,Hnに と 直和分割してさらに i=1,…,n について 各Hi は Uk,qh⊂Oiとなる ようにする. ここで適当にHに有限個の元を追加することにより 任意のi∈{1,…,n}について Hi≠∅ としても良い. これは 2⁢rk<ηなので可能である. そして Si=⋃h∈HiVk,qh と定義するとi∈{1,…,n}について Ai⊂Si⊂Oi である. これは2⁢rk<ηからの帰結である. ここで ∂∂⁡V⁡Si⊂∂⁡Si⊂⋃h∈Hi∂⁡Vk,qh であることから Cdeg⁢({∂⁡V}∪{Vk,s}k,s∈ℤ≥0)≤n を用いて

(3.1) ∂⁡V∩⋂i=1n∂⁡Si⊂∂⁡V∩⋂i=1n⋃h∈Hi∂⁡Vk,qh=⋃a1∈H1,…,an+1∈Hn+1∂⁡V∩⋂i=1n∂⁡Vk,qai=∅

となる. よって 5 より dim⁢∂⁡V≤n−1 である. 以上で証明が終わる. ∎

補題 8.

X を正規空間で dim⁢X≤0 を満たしているとする. このとき X はclopen な開基を持つ. つまり ind⁢X≤0 である.

証明.

点 x∈X をとる. そしてO を xの 開近傍とする. ここで 開被覆 {O,X∖{x}} を考える. dim⁢X≤0 より P⊂O かつ Q⊂X∖{x} で P∪Q=Xとなる 開集合 P,Q であって Cdeg⁢({P,Q})≤1 を満たすものが存在する. この条件から P∩Q=∅ である. そしてP∪Q=X より Pと Qはclopenである. このとき x∈P⊂O であるから X にclopenな開基が存在することがわかった. ∎

定理 9.

X を可分距離空間とする. このとき ind⁢X≤dim⁢X である.

証明.

定理 7 と 補題 8 と帰納法を用いるとわかる. ∎

4 おまけ:球面への写像の拡張問題が被覆次元を特徴付けること

定理 10 (Borsukのホモトピー拡張定理).

n∈ℤ≥0 で X を可算パラコンパクトな正規空間とし Aをその閉集合とする. 連続写像 H:A×[0,1]→𝐒n について H⁢(x,0)=f⁢(x)でH⁢(x,1)=g⁢(x) とおく. このときもしも F:X→𝐒n で F|A=f となるものが存在するならば G:X→𝐒n で G|A=gとなるものが存在する. さらに GはFとホモトピックに選べる. つまり,空間全体に 拡張されるという性質は (球面に値をとるホモトピーに関して)ホモトピー 不変ということである.

証明.

Xが可算パラコンパクトなので X×[0,1]は正規である. 定理の仮定にあるFを用いて写像 H:A×[0,1]→𝐒nを 拡張子て H:X×{0}∪A×[0,1]→𝐒nとみなす. もちろんX×{0}上で HはFに一致するということである. さらにこのHを ℝn+1への写像とみなして Tietze-Urysohn の拡張定理を適応すると Hの拡張 P:X×[0,1]→ℝn+1 を得る. そして W=P−1⁢(ℝn+1∖{0}) とし, Q:W→𝐒n を

(4.1) Q⁢(x,t)=P⁢(x,t)∥P⁢(x,t)∥

と定義すると QはW上連続である. もちろん X×{0}∪A×[0,1]⊂W であり Q|X×{0}∪A×[0,1]=P である (以上の議論は𝐒nがANR(正規空間)ということをこの言葉を用いずに証明したものである). そして Xの 開集合 U を p∈Xであってある近傍pのNが存在し N×[0,1]⊂Wとなるもの全体 とする. すると Tube Lemma と A×[0,1]⊂W から A⊂U そして Xの正規性から ある連続写像 u:X→[0,1] でu⁢(A)=1かつ u⁢(X∖U)={0} となるものが取れる. そこで L:X×[0,1]→𝐒nを

(4.2) L⁢(x,t)=Q⁢(x,t⋅u⁢(x))

と定義する. もちろんこれは連続であり G⁢(x)=L⁢(x,1)はgの拡張になっていて, GはFとホモトピックである. ∎

定理 11.

X を正規空間とする. このとき dim⁢X≤n であることと以下の条件は同値である. Xの任意の閉集合 Aと 連続写像f:A→𝐒n に対して連続写像 F:X→𝐒n が存在しF|A=fを満たす.

証明.

位相的には同じなので 𝐒nと∂𝐈n+1 を同一視する. まず最初に dim⁢X≤n を仮定する. このとき写像fは 写像f:A→∂𝐈n+1である. そしてf=(f1,…,fn+1) と成分表示し

Ki={x∈A∣fi⁢(x)=−1}
Li={x∈A∣fi⁢(x)=1}

とすると KiとLi は X の閉集合でなおかつ Ki∩Li=∅ を満たしさらに

A=⋃i=1n+1(Ki∪Li)

となる. ここで 定理 5 を {Ki}i=1n+1 と {X∖Li}i=1n+1 に適応し 各 i について 開集合Pi と Qi で Ai⊂Pi と Pi⊂Qi CL⁡Qi⊂X∖Li でなおかつ ⋂i=1n+1(CL⁡Qi∖Pi)=∅ を満たすものが存在する. ここでTietze-Urysohnの拡張定理から 各 iについて 連続写像ui:X→[−1,1] であって ui⁢(CL⁡Pi)=−1 かつ ui⁢(X∖Qi)=1 となるものが存在する. このとき ui−1⁢(0)⊂Qi∖CL⁡Pi⊂CL⁡Qi∖Pi なので ⋂i=1n+1ui−1⁢({0})=∅ となる. もちろん 各iについて Ki⊂ui−1⁢({−1}), Li⊂ui−1⁢({1}) を満たすことに注意せよ. ここで

u:X→[−1,1]n+1

をu=(u1,…,un) と定義する. ここで A=⋃i=1n+1(Ki∪Li)と uiの性質からx∈Aのとき u⁢(x)は∂𝐈n+1 への写像になる.ここで v=u|A:A→∂𝐈n+1とおく. そして h:[0,1]→ℝn+1 を

h⁢(x,t)=(1−t)⁢v⁢(x)+t⁢f⁢(x)

と定義する. A=⋃i=1n+1(Ki∪Li) であることと Ki, Li uiの定義から h⁢(x,t)は常にその成分のいずれかは絶対値が1 である. つまり∥h⁢(x,t)∥∞≠0である. ここで ∥∗∥∞ はℓ∞-ノルムである. つまりH:X×[0,1]→∂𝐈n+1 を

H⁢(x,t)=h⁢(x,t)∥h⁢(x,t)∥∞

と定義できる. ここで H⁢(x,0)=v⁢(x) で H⁢(x,1)=f⁢(x) に注意せよ. このH はvと fを結ぶホモトピーであり, vはX全体への連続拡張 u を持つから Borsukのホモトピー拡張定理 (定理10)から fは拡張F:X→∂𝐈n+1 を持つ.

逆に拡張問題が常に解けるとして, Xの次元の評価をしよう. Xの 濃度がn+1の 任意の開集合族 {U1,…,Un+1} と 閉集合族 {F1,…,Fn+1}で Fi⊂Ui となるもの を考える. 今 Hi=X∖Ui として A=⋃i=1n+1(Fi∪Hi) とする. そして 各ui:A→[−1,1] を ui⁢(Fi)=−1かつ ui⁢(Hi)=1 を満たすものとする. このときu=(u1,…,un+1) は ∂𝐈n+1 への写像になっている. さて,定理の仮定から 連続写像 g=(g1,…⁢gn+1):X→∂𝐈n+1 でg|A=u となるものが存在する. そして Vi=gi−1⁢([−1,0)) とすると CL⁡Vi⊂gi−1⁢([−1,0]) で Fi⊂Vi⊂CL⁡Vi⊂Ui を満たす. さらに ∂⁡Vi⊂gi−1⁢({0}) なのでgが∂𝐈n+1 への写像であることから ⋂i=1n+1∂⁡Vi=∅ である. よって 命題 5 から dim⁢X≤n である. ∎

References

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  • [2] 電波通信, 「次元論ショートコース:0次元から始める位相次元」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2022/03/12/161532
  • [3] 電波通信, 「不動点定理と同値な命題」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2026/04/05/181441
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