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次元論からの領域不変性定理の証明のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

次元論からの領域不変性定理の証明

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文書は [2]の続きであるが, 電波通信の記事[2]は独自の定義で次元論をやっているので,この文書では繰り返しをためらうことなく 最初から説明をする.見返してみたら結構ガバガバでびっくりした.

1 前回までのあらすじ1・次元の定義

定義 1.

dimTX=−1 であるとはX=∅ と定義する.

定義 2.

位相空間Xの部分集合Sが clopenであるとは,S が開かつ閉集合であるときにいう.

定義 3.

Xを可分距離化可能空間とする. このときXが0次元であるとは Xが空集合ではなく Xのclopen集合からなる開基 が存在する時にいう. このときdimTX=0と表す.

定義 4.

n∈ℤ≥0とし, Xを可分距離化可能空間とする. このとき整数dimTXを 以下を満たす最小の整数mで定義する. Xのm+1個の部分空間X0⁢…,Xm が存在してdimTXi≤0 と X=⋃i=0mXi を満たす. この定義のもと,dimTX≤nとは Xのn+1個の部分空間X0⁢…,Xn でdimTXi≤0 と X=⋃i=0nXi を満たすものが存在することを意味する. また,dimTは位相不変量であることがわかる.

dimTの定義から直ちに次の二つのことがわかる.

補題 5.

Xを可分距離化可能空間とし, S⊂Xとする.この時 dimTS≤dimTX が成り立つ.

補題 6.

Xを可分距離化可能空間とし, A,B⊂Xとする.この時 dimTA≤nかつdimTB≤0ならば dimTA∪B≤n+1 が成り立つ.

補題 7.

Xを可分距離化可能空間とする. ℬをXの開基とする. このときℬ の部分集合 𝒜で開基になりさらにcard⁡(𝒜)≤ℵ0を満たすものが存在する.

証明.

Xは可分距離化可能空間なのでその部分集合も 可分距離化可能である. よってXの任意の部分集合はリンデレフである. Xの可算な開基𝒞を取る. 任意のU∈𝒞に対して ℬが開基であることと,Uがリンデレフである ことから可算集合𝒜U⊂ℬ で⋃V∈𝒜UV=Uとなるものが存在する. そして

𝒜=⋃U∈𝒞𝒜U

とおけば𝒜が求めるものになっている. ∎

系 8.

Xを可分距離化可能空間とする. このときdimT≤0であることと, 可算開基であってclopenな集合からなるものが存在することは同値である.

補題 9.

Xを可分距離化可能空間とするこのとき dimTX≤0であることと 任意のX内の交わらない二つの閉集合G,Hに対して clopen集合Oが存在して G⊂OとH∩O=∅ を満たすことは同値である.

証明.

後半の条件からdimTX≤0 が導かれるのは明らかなので逆を示す.

今 dimTX≤0 なので 各点に可算な近傍形でclopenなものからなるものが存在する. そのようなものをp∈Gについて𝒩p と表すことにする.さらにHが閉集合であることから任意の V∈𝒩pについてV∩H=∅ と仮定してもよい(必要なら{S∩(X∖H)}S∈𝒩pと置き換えれば良い). そしてX∖Gも次元が0以下なので clopenな集合からなる開基ℬが存在する. このとき集合族

⋃p∈G𝒩p∪ℬ

はXの開基になるので補題 7 からこの集合族の部分族で 可算な開基{Ui}i∈ℤ≥0 が存在する.ここでUi∩G≠∅ならば Ui∩H=∅に注意しよう. そしてV0=U0で Vi=Ui∖⋃j=1i−1Ui と定義する.すると各Vi は開集合でX=⋃iViとなる. そして

O=⋃Vi∩G≠∅Vi

とすると

X∖O=⋃Vi∩G=∅Vi

なのでOはclopenであり,G⊂Oを満たす. さらにViについてVi∩G≠∅ ならばVi∩H=∅なので H⊂X∖O となるからOは求める集合になっている. ∎

命題 10.

Xを空でない可分距離化可能空間とする. もしも可算個の閉集合{Ai}i∈ℤ≥0 でdimTAi≤0 とX=⋃i∈ℤ≥0Ai を満たすならば dimTX=0である.

証明.

Xが 補題 9 の条件を満たすことを証明しよう. Xの交わらない二つの閉集合 G, Hを与える. 帰納的にPiとQi, Ri, Li を構成する. まず G∩A0 とH∩A0 はA0 のなかの交わらない閉集合である. A0は0次元空間なので 補題 9より A0の中のあるclopen集合 P0 とQ0が存在して

  1. (1)

    G∩A0⊂P0

  2. (2)

    H∩A0⊂Q0

  3. (3)

    P0∩Q0=∅

  4. (4)

    P0∪Q0=A0

を満たす.

さてA0は閉集合だからP0とQ0 はXの閉集合でもあるし, G∪P0とH∪Q0 はXの交わらない閉集合である. ここで Xの正規性111距離化可能空間は常に正規である.を用いて 以下を満たすX二つの開集合R0とL0 を得る.

  1. (1)

    G∪P0⊂R0

  2. (2)

    H∪Q0⊂L0

  3. (3)

    CL⁡(R0)∩CL⁡(L0)=∅

一般にPi, Qi Ri, Liを帰納的に 以下を満たすように定義する.

  1. (1)

    PiとQi はAiのclopen集合

  2. (2)

    CL⁡(Ri−1)∩Ai⊂Pi

  3. (3)

    CL⁡(Li−1)∩Ai⊂Qi

  4. (4)

    Pi∩Qi=∅

  5. (5)

    Pi∪Qi=Ai

  6. (6)

    Ri, Li はXの開集合

  7. (7)

    CL⁡(Ri−1)∪Pi⊂Ri

  8. (8)

    CL⁡(Li−1)∪Qi⊂Li

  9. (9)

    CL⁡(Ri)∩CL⁡(Li)=∅

このように構成できることは 各AiがclopenであることとXの正規性からわかる. このとき以下が満たされる

  1. (1)

    Ai⊂Ri∪Li

  2. (2)

    CL⁡(Ri−1)⊂Ri

  3. (3)

    CL⁡(Li−1)⊂Li

そしてR=⋃iRi, L=⋃iLi とするとRとLは開集合である. そして X=⋃iAi⊂R∪L なのでX=R∪Lである. また矛盾を導き出すためにx∈R∩Lとなるxがもしも存在したとすると x∈Riとx∈Ljとなるi,j が存在するがk=max⁡{i,j} とすると x∈Rk∩Lk=∅ となり矛盾する. つまりR∩L=∅である. RとLは交わらない開集合で定義から G⊂RとH⊂L を満たす.そしてR∪L=X なのでRとLは閉集合でもある. このことは補題 9からdimTX=0を意味する. ∎

定義 11.

Xを位相空間とする. Xの部分集合S がFσ であるとは SがX内の可算個の閉集合の和集合として表される時に いう.

系 12.

可分距離空間が0次元であるような可算個のFσ 集合の和集合で表されるのならば全体空間も0次元である.

定理 13.

n∈ℤ≥0 とする. Xを可分距離空間とする. このとき Xの可算個のFσ集合{Ai}i∈ℤ≥0 が存在しdimTAi≤nと X=⋃iAiを満たすならば dimTX≤nである.

証明.

nに関する帰納法で証明する. n=0の時は既に 命題10で 証明されている. n+1より小さい数では定理が成り立つとする. このとき 可算個の閉集合{Ai}i∈ℤ≥0 が存在しdimTAi≤n+1と X=⋃iAiを満たすと仮定してもよい. このときB0=A0, Bi=Ai∖⋃j=0i−1Aj と定義する. すると各Bi はFσ集合でありdimTBi≤n+1 を満たしさらにBiたちは交わらずX=⋃iBi が成り立つ. さてdimT≤n+1の定義から 各iについてBiの部分集合MiとNi でdimTMi≤nとdimTNi=0 となる.M=⋃iMi とN=⋃iNiと定義する. 各Miは互いに交わらないので Mi=M∩Biとなる. よって MiはMのなかでFσ集合である. よって帰納法の仮定よりdimTM≤n となる.同様にdimTN=0である. XはMとNの和集合なので,補題 6から dimTX≤n+1 が成り立つ. ∎

さて今から dimTℝn≤nと dimT𝕊n≤n を証明する. ここで, 𝕊nとはn次元球面である.

補題 14.

n∈ℤ≥0 とする. このとき ℚn は0次元である.

証明.

一点集合は閉集合でなおかつ0次元なので 命題 10からわかる. ∎

補題 15.

n∈ℤ≥0 とする. このとき (ℝ∖ℚ)n は0次元である.

証明.

点x=(x1,…,xn)∈(ℝ∖ℚ)n をとる.任意にϵ>0をとり, 各i∈{1,…,n}について ηi,κi>0 を

  1. (1)

    各iについて ηi<ϵかつκi<ϵ

  2. (2)

    (x1−η1,…,xn−ηn)∈ℚn

  3. (3)

    (x1+κ1,…,xn+κn)∈ℚn

を満たすようにとる. (2),(3)の条件を満たすηi,κi が存在するのはℚがℝの中で が稠密だからである. U=∏i=1n(xi−ηi,xi+κi) かつ C=∏i=1n[xi−ηi,xi+κi] とおく.これらの集合について U∩(ℝ∖ℚ)n=C∩(ℝ∖ℚ)n なのでU∩(ℝ∖ℚ)n は(ℝ∖ℚ)nのclopen集合であり, xの近傍でもある. ϵは任意なので各点xについて(ℝ∖ℚ)n内の clopenな近傍系が存在することがわかった. よってdimT(ℝ∖ℚ)n=0 である. ∎

補題 16.

n∈ℤ≥0とする. このとき dimTℝn≤nと dimT𝕊n≤n が成り立つ.

証明.

k∈{0,…,n} について Ek⊂ℝn をℝnの部分集合で 高々k個の座標が有理数になっている点全体とする. 今からdimTEk=0 を証明する. 今En=ℚnかつE0=(ℝ∖ℚ)n なので補題 14, 15 からdimTEn=dimTE0=0 がわかる. よってk∈{1,…,n−1}について dimTEk=0 を証明する. Z⁢(k)を{1,…,k}の濃度がちょうどk個の 部分集合全体とする. そしてσ={i1,…,ik}∈Z⁢(n,k) とv=(v1⁢…,vk)∈ℚn についてA⁢(σ,v)を 任意のj∈{1,…,k}について 第ij座標がvjになるような ℝnの点全体とし, B⁢(σ,v)を 任意のj∈{1,…,k}について 第ij座標がvjになり,それ以外の座標が無理数に属するようなℝnの点全体の集合とする. このとき Ekの定義から任意のσ={i1,…,ik}∈Z⁢(n,k) とv=(v1⁢…,vk)∈ℚk についてEk∩A⁢(σ,v)=B⁢(σ,v) となる.ゆえにB⁢(σ,v)はEk の閉集合である.さらにB⁢(σ,v) は(ℝ∖ℚ)n−kと同相なので 0次元である. さてEkの定義から

Ek=⋃σ∈Z⁢(n,k)⋃v∈ℚkB⁢(σ,v)

が成り立ち,各B⁢(σ,v)はEkの閉集合かつ0次元でZ⁢(n,k)とℚn−k は高々可算集合なので命題 10から dimTEk=0 が従う. さらに明らかにℝn=⋃k=0nEk なのでdimTℝn≤nがわかる. 次に𝕊nについて考えよう. はℝnの一点コンパクト化であり, 𝕊n=(E0∪{∞})∪⋃k=1nEk である. そして命題 10から dimT(E0∪{∞})=0 なので, dimT𝕊n≤n がわかる. ∎

注意.

一般にdimTℝn=dimT𝕊n=n が示せるが,証明は面倒である. しかしこの文章で証明を行う.

2 前回までのあらすじ改・大きいのと小さい帰納的次元

定義 17.

Xを位相空間とする. S⊂Xとする. このときSの境界集合を∂XS で表す. x∈∂XSであるとは 任意のxの近傍Hについて H∩S≠∅かつ H∖S≠∅ を意味する. 一般に∂XS=CLX⁡S∖IntX⁡S である.ここでCLX, IntXはXにおける閉包と 開核を表す.

補題 18.

Xを位相空間とし, A⊂S⊂Xとする.このとき ∂SA⊂S∩∂XA が成り立つ.

証明.

一般に位相空間TとM⊂Tについて P⊂M⊂Hとなる開集合Oと閉集合C について∂TM⊂H∖P であり,∂TM=CLT⁡(A)∖IntT⁡(A) に注意しよう.

さて,O=IntX⁡AでC=CLX⁡Aとおく. するとO∩SとC∩Sはそれぞれ Sの開集合と閉集合でO∩S⊂A⊂C∩Sを満たす. よって ∂SA⊂(C∩S)∖(O∩S) を満たす. ここで (C∩S)∖(O∩S)=(C∖O)∩S=(CLX⁡A∖IntX⁡A)∩S=∂XS となる. これは ∂SA⊂∂XSを意味する. ∎

補題 19.

Xを位相空間とし,N⊂A⊂Xとする. すると NがAの開集合であるとき ∂AN=A∩(CLX⁡(N)∖N) が成り立つ.

証明.

まず ∂A(N)=CLA⁡(N)∖IntA⁡(N) である. ここでNはAの開集合なので IntA⁡N=Nである. そして CLA⁡(N)=A∩CLX⁡N なので222この等式は一般に成り立つ すると ∂A(N)=CLA⁡(N)∖IntA⁡(N)=A∩CLX⁡N∖N=A∩(CLX⁡N∖N) が成り立つ. ∎

補題 20.

Xを可分距離化可能空間とし, Aを A⊂Xで dimTA=0とする. そしてKを Xの閉集合としXの開集合 UはK⊂U を満たしているとする. このときX内の 開集合Wが存在して K⊂W⊂Uと A∩∂XW=∅ が成り立つ.

証明.

まず Xの正規性から開集合 Vであって K⊂V とCLX⁡(V)⊂U となるものをとる. そしてL=CLX⁡(V)とおく. ここで dimTA=0より K∩Aの 近傍 N⊂Aで L∩A⊂N⊂U∩A となるものが存在する. ここで ∂AN=∅に注意しよう. いま NとA∖CLX⁡(N∪L)について考える. 明らかに

CLX⁡(N)∩(A∖CLX⁡(N∪L))=∅

であり

CLX⁡(K)∩(A∖CLX⁡(N∪L))
⊂CLX⁡(K)∩(A∖CLX⁡(N))
⊂CLX⁡(K)∩(A∖(L∩A))
⊂CLX⁡(K)∩(A∖(K∩A))
=K∩(A∖(K∩A))
=(K∩A)∖(K∩A)
=∅

であるから CLX⁡(N∪K)∩(A∖CLX⁡(N∪L))=∅ である. さらに

N∩CLX⁡(A∖CLX⁡(N∪L))
⊂N∩CLX⁡(A∖CLX⁡(N))
=N∩A∩CLX⁡(A∖CLX⁡(N))
=N∩A∩CLA⁡(A∖(A∩CLX⁡(N)))
=N∩A∩CLA⁡(A∖CLA⁡(N))
=N∩CLA⁡(A∖CLA⁡(N))
=N∩((A∖CLA⁡N)∪∂AN)
=N∩(A∖CLA⁡N)=∅

である. また K⊂VであることとX∖Vが閉集合であることから

K∩CLX⁡(A∖CLX⁡(N∪L))
⊂K∩CLX⁡(A∖CLX⁡(L))
=K∩CLX⁡(A∖L)
⊂K∩CLX⁡(X∖L)
⊂K∩CLX⁡(X∖V)
⊂K∩(X∖V)
⊂V∩(X∖V)
=∅

がわかる. 故に (N∪K)∩CLX⁡(A∖CLX⁡(N))=∅ である. 以上のことからN∪KとA∖CLX⁡(N∪L) は互いにもう一方の閉包と交わらない. よってXの完全正規性からXの開集合Wが存在して N∪K⊂Wと CLX⁡(W)∩(A∖CLX⁡(N∪L))=∅を満たす. 後半の条件から

A∩CLX⁡W⊂A∩CLX⁡(N∪L)

がわかる. ここでCLX⁡(N∩L)=CLX⁡N∪CLX⁡L=CLX⁡N∪Lであり,L∩A⊂Nなので

A∩CLX⁡W⊂A∩CLX⁡N

がわかる. 必要ならWをV∩Wに置き換えてW⊂Vとしてもよい. さて以上と補題 19を踏まえると

A∩∂XW =A∩(CLX⁡(W)∩(X∖W))⊂A∩CLX⁡(N)∩(X∖N)
=A∩(CLX⁡(N)∖N)=∂AN=∅

を得る. ゆえにA∩∂XW=∅がわかる. ∎

定理 21.

n∈ℤ≥0としXを可分距離化可能空間とする. このとき以下は同値である.

  1. (1)

    dimTX≤nである.

  2. (2)

    Xの任意の閉集合Kと任意の開集合Uが K⊂Uを満たしているならば 開集合Vが存在して K⊂V⊂CLX⁡V⊂U かつdimT∂XV≤n−1

  3. (3)

    Xの開基{Vi}i∈ℤ≥0 が存在してdimT∂XVi≤n−1 である.

(1)⟹(2)の証明.

: (1),つまりdimTX≤n という仮定から Xの部分集合A0,…,An が存在して dimTAi≤0 と⋃i=0nAi=X を満たす. ここでXの Xの任意の閉集合Kと任意の開集合Uが K⊂Uを満たしているとしよう. すると 補題 20より, Xの開集合Vが存在して K⊂V と CLX⁡V⊂Uと A0∩∂XV=∅ を満たす. するとdimTの定義よりdimT∂XV≤n−1となる. これで (2)が示された.

[(2)⟹(3)の証明]: Xの可算開基ℬ={Bi}i∈ℤ≥0 をとる. そして

𝒞={(Bi,Bk)∣Bi,Bk∈ℬ,CL⁡(Bi)⊂Bk}

と定義する. このとき𝒞はたかだか可算集合であることに注意しよう. そして (Bi,Bk)∈𝒞となるBiとBkについて CLX⁡(Bi)とBkに 条件(2)を適応して 開集合Vi,kで CLX⁡(Bi)⊂Vi,kと CL⁡(Vi,k)⊂Bk そしてdimT∂XVi,k≤n−1 となるものが存在する. このとき{Vi,k}は Xの開基になるので (3)が示された.

[(3)⟹(1)の証明]: 今Xの開基{Vi}i∈ℤ≥0 が存在してdimT∂XVi≤n−1 を満たすとする. このとき定理 13 よりS=⋃i∈ℤ≥0∂XVi はdimTS≤n−1を満たす. さらにA=X∖Sとおくと, {A∩Vi}i∈ℤ≥0 はAの開基になる. そして補題 18より ∂AVi⊂A∩∂XVi=∅ なのでdimTA≤0がわかる. そしてX=S∪Aなので補題 6 よりdimTX≤nがわかる. ∎

定義 22 (小さい帰納次元).

空間Xの小さい帰納次元を帰納的ind⁢Xに次のように定義する。

ind⁢X=−1⇔X=Øとし、n−1まで定義されたとして

ind⁢X≤n⇔Xの任意の点xとxの任意の近傍Uに対してxの近傍Nが存在してind⁢(∂⁡N)≤n−1かつN⊂Uを充たす。

と定義する。ちなみにind⁢X=nとはind⁢X≤nかつn−1<ind⁢Xである。

伝統的な 小さい帰納次元と大きい帰納次元の定義を紹介する.

定義 23 (小さい帰納次元).

空間Xの小さい帰納次元を帰納的ind⁢Xに次のように定義する。

ind⁢X=−1⇔X=Øとし、n−1まで定義されたとして

ind⁢X≤n⇔Xの任意の点xとxの任意の近傍Uに対してxの近傍Nが存在して ind⁢(∂⁡N)≤n−1かつN⊂Uを充たす。

と定義する。ちなみにind⁢X=nとはind⁢X≤nかつn−1<ind⁢Xである。

定義 24 (大きい帰納次元).

空間Xの大きい帰納次元を帰納的 Ind⁢Xに次のように定義する。

Ind⁢X=−1⇔X=∅とし、n−1まで定義されたとして

Ind⁢X≤n⇔Xの 閉集合Kと開集合Uで K⊂Uを満たすものについて 開集合Vが存在して K⊂Vと CL⁡V⊂Uそして Ind⁢∂V≤n−1 を満たす.

と定義する。ちなみにInd⁢X=nとはInd⁢X≤nかつn−1<Ind⁢Xである。

定理21から次のことが従う.

系 25.

可分距離化可能空間Xについて ind⁢X=Ind⁢X=dimTX

注意.

本来はindを定義したのちに ind≤nならばn+1個の0 次元空間の和集合としてかけることを証明するのだが, この文章では逆にそちらを位相次元の定理にしている.

補題 26.

n∈ℤ≥0とする. このとき dimTℝn≤nと dimT𝕊n≤n が成り立つ.

indを使った別証明.

m∈ℤ≥1とする. ℝm+1と𝕊m+1 はともに境界が𝕊m となる開集合からなる開基を持つ. よってdimTℝm+1≤dimT𝕊m と dimT𝕊m+1≤dimT𝕊m が成り立つ. 𝕊1 は境界が2点になるような開集合からなる開基を持つから dimT𝕊1≤1 である.もしくはℝが有理数と無理数という二つの0 次元集合の和であることと𝕊1 がℝの一点コンパクト化であることを用いても dimT𝕊1≤1 であることがわかる. よって帰納的に dimTℝn≤nと dimT𝕊n≤n が成り立つことがわかる. ∎

3 今回のお話

命題 27 (ウリゾーンの補題のちょっと良い版).

Xを距離化可能空間とし, FとHをその閉集合とし,F∩H=∅ と仮定する. このとき 連続写像f:X→[0,1] で f−1⁢({0})=Fかつ f⁢(H)⊂{1} となるものが存在する.

証明.

Xの位相を生成する距離関数を hとする. 必要ならmin⁡{h,1}と取り替えることによって 最初から h≤1と仮定しても良い. さてウリゾーンの補題から 連続写像 g:X→[0,1] であって g⁢(F)⊂{0} かつ g⁢(H)⊂{1} を満たすものが 存在する. このとき d:X×X→[0,∞) を d⁢(x,y)=max⁡{h⁢(x,y),|g⁢(x)−g⁢(y)|} と定義する. すると gの連続性から hの位相に関する仮定から dもXと同じ位相を生成する. このときgの取り方から d⁢(F,H)=1になることに注意せよ(一般に交わらない閉集合同志の距離が0になることがある.そういう状況を避けるために上記のような距離の修正をしている). そしてf:X→[0,1]を f⁢(x)=d⁢(x,F)と定義すると このfは求める条件を全て満たす. ∎

注意.

実際は 距離空間であることを用いると F=f−1⁢({0}) かつ H=f−1⁢({1}) となる連続写像の存在が示せるが, そこまで強い性質の写像の存在は以下では使わない. どうやって構成するかというと, 命題 27をFと Hに2回適応して適当にアフィン変換を噛ませてg:X→[0,1] とu:X→[1/2,1] でF=g−1⁢({0}), H⊂g−1⁢({1}), F⊂u−1⁢({1/2}), H=u−1⁢({1}) となるものを得る. そして f:X→[0,1] を f⁢(x)=g⁢(x)⋅u⁢(x) と定義すると, F=f−1⁢({0}) かつ H=u−1⁢({1}) となる. このようなことは一般的には Xが正規空間で F とHが ともにGδ閉集合であるときに成り立つ.

定義 28.

Xを位相空間とし A, B, Cをその部分集合とする. A∩B=∅と仮定する. このときCがAとBを分離する とは開集合UとVが存在して A⊂U, B⊂V, U∩V=∅そして X∖C=U⁢∐V を満たす時にいう. この時必然的にCは閉集合になることに注意しよう.

命題 29.

Xを距離空間とし, AとB, Lはその閉部分集合で LはAとBを分離しているとする. このとき連続写像 f:X→[−1,1] でf⁢(A)⊂{−1}, L=f−1⁢({0}), f⁢(B)⊂{1} を満たすものが存在する.

証明.

開集合UとVを X∖L=U∪V で U∩V=∅, A⊂UとB⊂V を満たすものとする. 命題27 をU∪LとV∪Lにそれぞれ適応して 連続写像 g:U∪L→[−1,0] とh:V∪L→[0,1] でg⁢(A)⊂{−1}, L=g−1⁢({0}), h⁢(B)⊂{1}, L=h−1⁢({0}) を満たすものをとる. さてここで写像f:X→[−1,1]を

f⁢(x)={g⁢(x)x∈U∪Lh⁢(x)x∈V∪L

と定義する. このとき (U∪L)∩(V∩L)=L でL上ではgとhが同じ値を取るので fが貼り合わさって,ちゃんと定義され, さらに連続写像になることがわかる. このfが求める条件を満たすのはgとhの満たす条件から従う. ∎

定理 30.

n∈ℤ≥0とし, Xを可分距離化可能空間で dimTX≤nを満たすものとする. そして n+1個の閉集合の組み (A0,B0)…, (An,Bn) は Ai∩Bi=∅ を満たすとする. このときn+1個のX の閉集合L0, …, Ln が存在して LiはAiとBiを分離し, ⋂i=0nLi=∅ を満たす.

証明.

dimTX≤nなので, R0, …, Rnが存在して dimTRi≤0 と X=⋃i=0nRi を満たす. 各iについて AiとX∖Bi とRiに 補題20を適応して Xの開集合Viであって Ai⊂Vi と CLX⁡Vi⊂X∖Bi そしてRi∩∂XVi=∅ を満たす. このとき Li=∂XVi とおけば Liは Aiと Biを分離し Ri∩Li=∅ である. このとき Ri∩⋂k=0nLk⊂Ri∩Li=∅なので ⋂i=0nLi=∅ である. ∎

定理 31.

n∈ℤ≥0とし, Xを可分距離化可能空間で dimTX≤nを満たすものとする. そして n+1個の閉集合の組み (A0,B0)…, (An,Bn) は Ai∩Bi=∅ を満たすとする. このとき各iごとに 連続写像f:X→[−1,1]が存在して Ai⊂f−1⁢({−1})と Bi⊂f−1⁢({1}) そして ⋂i=0nfi−1⁢({0})=∅ を満たす.

証明.

定理 30 より n+1個の閉集合 L0, …, Ln が存在して Liは AiとBiを分離し, ⋂i=0nLi=∅ を満たすものが存在する. そして 命題 29 より 連続写像 fi:X→[−1,1]であって, Ai⊂f−1⁢({−1}) と Bi⊂f−1⁢({1}) および f−1⁢({0})=Liを満たすものが存在する. このときLiの性質から ⋂i=0nf−1⁢({0})=∅ となる. ∎

定義 32.

n∈ℤ≥0 とする. 位相空間X上の二つの連続写像f0,f1:X→ℝnについて 連続写像H:X×[0,1]→ℝn がf0とf1を結ぶ一様ホモトピーであるとは H⁢(x,0)=f0⁢(x), H⁢(x,1)=f1⁢(x)を満たしそして 任意のϵ∈(0,∞)についてあるδ∈(0,∞)が存在して s,t∈[0,1]が|s−t|を満たすならば 任意のx∈Xについて ∥H⁢(x,s)−H⁢(x,t)∥<ϵ が成り立つときにいう. このようなHが存在するときに f0とf1は 一様ホモトピックと呼ぶことにする.

定義 33.

n∈ℤ≥1とする. このとき 𝐃n={x∈ℝn∣∥x∥≤1} とし 𝐒n−1={x∈ℝn∣∥x∥=1} と定義する.ここでノルム∥∗∥は通常の内積から誘導されるノルムとする.つまり 𝐃nはn次元閉球体で 𝐒n−1はその境界であるn−1次元球面である.

定義 34.

n∈ℤ≥1とし, i∈{1,…,n} とする. このとき 𝐈n=[−1,1]n と定義し 𝐈+n,i={x∈𝐈n∣xi=1} で 𝐈+n,i={x∈𝐈n∣xi=−1} と定義する. さらに ∂𝐈nを𝐈nの境界集合 とする. このとき ∂𝐈n=⋃i=1n𝐈+n,i∪𝐈−n,i であることに注意しよう. また 𝐈n は𝐃nに同相であり, ∂𝐈nは 𝐒n−1 に同相であることにも注意しよう.

命題 35.

n∈ℤ≥0 としXを T1正規空間とし Aをその閉集合とする. このとき二つの写像 f0:A→𝐒nと f1:A→𝐒n が一様ホモトピックであるとする. このときf0がXへの拡張 g0:X→𝐒n を持つならば f1も拡張 g1:X→𝐒n を持つ.

証明.

連続写像H:A×[0,1]→ℝn+1 をf0とf1を結ぶ一様ホモトピーとする. このとき一様ホモトピーの定義から 適切に[0,1]の有限点列r0⁢…,rmをとれば 任意のx∈Xとi∈{0,…,m−1}について ∥H⁢(x,ri)−H⁢(x,ri+1)∥<1 が成り立つ. よってf0とf1が一様ホモトピックであるという仮定の代わりに ∥f0⁢(x)−f1⁢(x)∥<1を満たすという仮定の元で 定理を証明すれば上記のH⁢(x,ri)を使って帰納的に 定理を証明することができる.以下では∥f0⁢(x)−f1⁢(x)∥<1の仮定の元f1の拡張を構築する.

まずティーチェの拡張定理を使って f1の拡張となる連続関数 g:X→ℝn+1 を得る. そして

V={x∈X∣∥g0⁢(x)−g⁢(x)∥<1}

と定義するとVは開集合である. ここでA上で ∥f0⁢(x)−f1⁢(x)∥<1となるという仮定から A⊂Vである. さてウリゾーンの補題から 連続写像ϕ:X→[0,1] で A上で1を常にとりX∖V上で 恒等的に0となるものが存在する. ここでh:X×[0,1]→ℝn+1 を

h⁢(x,t)=(1−t)⁢g0⁢(x)+t⁢g⁢(x)

と定義するとこれは連続写像になる. 今からh⁢(x,ϕ⁢(x))が任意のx∈X についてノンゼロであることを証明しよう.

まずx∈Vについてはg0の値域は 𝐒nなので 任意のt∈[0,1]について 以下の計算を得る.

∥h⁢(x,t)∥ ≥∥g0⁢(x)∥−∥g0⁢(x)−h⁢(x,t)∥
=∥g0⁢(x)∥−∥t⁢g0⁢(x)−t⁢g⁢(x)∥
=∥g0⁢(x)∥−t⁢∥g0⁢(x)−g⁢(x)∥
≥∥g0⁢(x)∥−1⋅∥g0⁢(x)−g⁢(x)∥
>∥g0⁢(x)∥−1
=0

つまり h⁢(x,t)≠0 である. 特にh⁢(x,ϕ⁢(x))≠0である.

次にx∉Vの時はϕ⁢(x)が0の値を取り続けることから 恒等的にh⁢(x,ϕ⁢(x))=g0⁢(x) である.特にh⁢(x,ϕ⁢(x))≠0 である. 以上から任意のx∈X でh⁢(x,ϕ⁢(x))≠0となることがわかった. そこでg1:X→𝐒n を

g1⁢(x)=h⁢(x,ϕ⁢(x))∥h⁢(x,ϕ⁢(x))∥

と定義すれば x∈A上では確かにf1と一致する. これで証明が終わる. ∎

定理 36.

n∈ℤ≥0とする. そしてXを可分距離化可能空間で dimTX≤nを満たしているとする. このとき任意の閉集合A上の 任意の連続関数 f:A→𝐒nは X上への拡張となる連続関数 g:X→𝐒n を持つ.

証明.

位相的には同じなので 𝐒nと∂𝐈n+1 を同一視する. よってfはf:A→∂𝐈n+1である. そしてf=(f1,…,fn+1) とし

Ki={x∈A∣fi⁢(x)=−1}
Li={x∈A∣fi⁢(x)=1}

とすると KiとLi はXの閉集合でなおかつKi∩Li=∅ を満たしさらに

A=⋃i=1n+1(Ki∪Li)

となる. ここで 定理 31 から各iについて 連続写像ui:X→[−1,1] が存在して Ki⊂ui−1⁢({−1}), Li⊂ui−1⁢({1}) を満たしさらに ⋂i=1n+1ui−1⁢({0})=∅ となるものが存在する. ここで

u:X→[−1,1]n+1

をu=(u1,…,un) と定義する. ここで A=⋃i=1n+1(Ki∪Li)と uiの性質からx∈Aのとき u⁢(x)は∂𝐈n+1 への写像になる.ここで v=u|A:A→∂𝐈n+1とおく. そしてH:[0,1]→ℝn+1 を

H⁢(x,t)=(1−t)⁢v⁢(x)+t⁢f⁢(x)

と定義する. このHが一様ホモトピーとなることを見よう. 任意のs,t∈[0,1]に対して

∥H⁢(x,s)−H⁢(x,t)∥=|s−t|⋅∥v⁢(x)−f⁢(x)∥

となる.vとfの値域はともに∂𝐈n+1であるから適切な実数M>0が存在して 任意のx∈Aについて∥v⁢(x)−f⁢(x)∥<M であるからHはvとfを結ぶ一様ホモトピーである.

ここでvがX上へ拡張できることを見よう. 関数vはuの制限であった. そして ⋂i=1n+1ui−1⁢({0})=∅であるからuの像には0を含んでいないので,0から u⁢(x)へ直線を伸ばして∂𝐈n+1との交点を w⁢(x)と定義するとこれはA上ではvに一致する 連続関数w:X→∂𝐈n+1である. よってvはXへの拡張w:X→∂𝐈n+1 を持つ. よって一様ホモトピーHの存在から 命題35 より fは拡張 g:X→𝐒n を持つ. ∎

注意.

実はこれらの性質は正規空間上での被覆次元の特徴づけになっているのだが,ここではその話は省略する.長いので. 被覆次元の話も省略する.もしかしたらこの文章の続きを書く可能性がなくもない.

4 領域不変性定理

以下の定理により ユークリッド空間内のコンパクト部分集合Kの境界点は Kの位相的言明のみで特徴付できることがわかる. これが領域不変性定理の肝である.

定理 37.

n∈ℤ≥1 とし Kをℝn のコンパクト部分集合とする. このときp∈∂ℝnK となるための必要十分条件は pのK内の任意の近傍 Nについて p のK内の開近傍U であってU⊂Nを満たしかつ 任意の連続写像 f:K∖U→𝐒n−1 は連続な拡張g:K→𝐒n−1 を持つようなものが存在することである.

証明.

まず最初にp∈∂Kを仮定して定理の条件を導く. Nをpの任意の近傍とする. そしてBをpを中心とする十分小さい半径を持つ開球で K∩B⊂N を満たすものとする. このときU=K∩B が条件を満たすことを見よう. ここでL=∂BとするとLは 𝐒n−1 と同相である. 今ここで任意の連続写像 f:K∖U→𝐒n−1 を考える. ここでK∖Uは Kの閉集合である. 特にℝnの閉集合でもある. ここで dimTL≤n−1 なので dimT(K∩L)≤n−1 である. ここでL∩K⊂K∖U に注意して 定理 36 から連続写像 f|L∩K:L∩K→𝐒n−1 の拡張である連続写像 u:L→𝐒n−1 を得る. さてLとK∖Uの共通部分はL∩K で,この上ではuとfは同じ値を取るので写像が貼り合わさって連続写像 h:(K∖U)∪L→𝐒n−1 を得る. そしてpがK の境界なので Bの点であってKに属さないものqを取ることができる. 任意の点x∈Kについて qからx∈Kへ伸ばした直線と Lとの交点をb⁢(x)とする. このときb:X→L は連続写像である. そしてg:X→𝐒n−1を

g⁢(x)={h⁢(b⁢(x))x∈U∪(L∩K)f⁢(x)x∈K∖U

と定義すると これら二つの関数h⁢(b⁢(x))とf⁢(x)はL∩K上で値が一致するのでちゃんと張り合って連続関数になる. このgはちゃんとfの拡張になっている.

逆にp∈Kが 定理の条件を満たすとしよう. 背理法のためにp∈KはK の内点であるとする. ここでpを中心とする十分小さい半径を持つ 開球BでCL⁡B⊂Kとなるものを考える. すると定理の仮定よりpの開近傍Uで U⊂B で任意の連続関数f:K∖U→𝐒n−1がK上に拡張するものが存在する. ここで写像 f:K∖U→𝐒n−1 を以下のように定義する. 点pからx∈K∖Uへと直線を伸ばし ∂Bとの交点をf⁢(x)とする. これは連続写像で∂Bは𝐒n−1 と同相なので ちゃんと連続写像 f:K∖U→𝐒n−1 を得る.このとき fは∂B上で恒等写像になることに注意しよう. すると定理の条件より 連続写像g:K→𝐒n−1 が存在する. さてCL⁡B⊂Kであった. このときg|CL⁡B:CL⁡B→∂B を考えると g|CL⁡B はCL⁡Bから ∂B へのレトラクトになる. これはNo retract theorem に矛盾するので p∈Kは境界点でなければならない. ∎

注意.

上記の定理において非自明な部分は 球面への写像を拡張する 定理 36 と No retract Theorem である. さらに 定理 36は X=𝐒n−1 に対するものだけを用いているし, 𝐒n−1を南と北の半球に分ければ, 結局利用しているのは n−1次元円盤𝐃n−1 (あるいはn−1次元立方体) に対する定理 36 のみである. なので,No retract Theorem は楽に証明する方法は特にないが(せいぜい積分の変数変換を使う方法など),円盤に対する定理 36は 簡単に証明できる可能性があり, 領域不変性定理もある程度楽になる可能性がある.

いよいよ領域不変性定理を証明する.

定理 38 (領域不変性定理).

n∈ℤ≥1 とし Uはℝn の開集合とする. そして f:U→ℝn を連続単射とする. このときf⁢(U) はℝnの開集合である.

証明.

任意のp∈Uについて f⁢(p)がf⁢(U)の内点であることを証明すれば良い. pの十分小さい近傍NでCL⁡Nがコンパクトで CL⁡N⊂Uであるものをとる. このときf|CL⁡Nを考えると fはコンパクト集合からハウスドルフ空間への 連続単射なので位相的埋め込みになる. 定理37より 点pが境界点かどうかはCL⁡Nの内在的な位相的条件で特徴づけられる.つまりpはCL⁡Nの内点であるから f⁢(p)はf⁢(CL⁡N)の内点になる. よって特にf⁢(p)はf⁢(U)の内点である. ∎

系 39.

MとNを同じ次元の境界つき多様体とし f:M→Nを同相写像とする. このときfは∂Mを∂Nに移す.

証明.

もしもfがp∈∂MをN∖∂N に移すと,f−1を考えることによって局所的には ユークリッド空間の内点がpに写っていることになるが, pは上半平面の境界点なので領域不変性定理に矛盾する. ∎

5 ユークリッド空間の次元

電波通信 [3]で 以下のことを証明した.

定理 40.

n∈ℤ≥1について以下は同値であり, また,(1)もしくは (2)は成り立つことがよく知られているので, 以下のすべての主張は正しい.

  1. (1)

    (No retraction theorem) レトラクション r:𝐃n→𝐒n−1 は存在しない.

  2. (2)

    (Brouwer’s fixed point theorem) 任意の連続写像 f:𝐃n→𝐃n は不動点を持つ.

  3. (3)

    i∈{1,…,n}を添字とする 閉集合Ci⊂𝐈n の族が𝐈+n,i と𝐈−n,i を分離するならば ⋂i=1nCi≠∅ を成り立つ.

  4. (4)

    (the Poincaré-Miranda theorem) i∈{1,…,n}を添字とする連続写像の族 fi:𝐈n→ℝが fi⁢(𝐈+n,i)⊂[0,∞) と fi⁢(𝐈−n,i)⊂(−∞,0] を満たすならば, ある点p∈𝐈n が存在して fi⁢(p)=0が成り立つ. つまり共通零点が存在する.

この定理 40 の(3),もしくは(4)と 定理30 の対偶 あるいは 定理 31 の対偶 を使うと以下の定理を得る.

定理 41.

n∈ℤ≥1 とする. このとき 𝐃nと ℝnの次元はちょうどnである.

系 42.

n,m∈ℤ≥1とする. もしもℝmとℝn が同相ならばm=n である.

系 43.

n,k∈ℤ≥0とする. ℝnの部分集合 A1⁢…,Ak はdimTAi≤0 と ℝn=⋃i=1kAi が成り立っているとする. このときn+1≤kである.

定理 40 定理38 系 42はなんだか 同値っぽい感じがする. もちろん正しい命題はすべて同値になるのだが,もうちょっと深い意味で同値のような感じがする. 実際[6]では,この同値っぽさを逆数学の上で論じている.逆数学に詳しくないので私は深くは解説できないのだ.

ところで次元論を仲介しない領域不変性定理の証明は テレンス・タオ[9]がブログで証明しているようだ. この証明に対して伝統的な証明はなんなんだと興味を持ったのがこの文書を書くきっかけになった.

References

  • [1] 電波通信 「不動点定理」 https://concious4410.hatenablog.com/entry/2017/08/27/182714
  • [2] 電波通信, 「次元論ショートコース:0次元から始める位相次元」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2022/03/12/161532
  • [3] 電波通信, 「不動点定理と同値な命題」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2026/04/05/181441
  • [4] M. G. Charalambous, Dimension theory. A selection of theorems and counterexamples Springer/Atlantis Press (2019).
  • [5] W. Hurewicz and H. Wallman,Dimension Theory,Princeton Univ. Press,1948
  • [6] T. Kihara, The Brouwer invariance theorems in reverse mathematics, Forum of Mathematics, Sigma, vol.8, 2020, doi: 10.1017/fms.2020.52.
  • [7] C. Kuratowski, Une Méthode de Prolongement des Ensembles Relativement Fermés ou Ouverts, Colloq. Math. 1 (1948), 273-278, doi:10.4064/cm-1-4-273-278.
  • [8] W. Kulpa, The Poiancré–Miranda Theorem, Amer. Math. Monthly 104, No. 6, 545–550 (1997) doi: 10.2307/2975081
  • [9] T. Tao, Brouwer’s fixed point and invariance of domain theorems, and Hilbert’s fifth problem, https://terrytao.wordpress.com/2011/06/13/brouwers-fixed-point-and-invariance-of-domain-theorems-and-hilberts-fifth-problem/
  • [10] A. R. Pears, Dimension theory of general spaces, Cambridge University Press 1975.