EXPERIMENTAL HTML VERSION

完全写像をpullbackで記述する,圏を知らぬ私が.のHTML版をLaTeXMLで変換したものです。正本はPDF・TeXです。

pullback と 完全写像
—Describing perfect maps with pullback—

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年9月29日

この文章では [1] に沿ってpullbackによって完全写像の特徴付けを記述していく. よくわからなかったところは [5]も参考にした.

1 pullback

可換図式の説明は省略する.

位相空間X,Y,Zと 写像f:X→Z と g:X→Zを考える.

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このとき 位相空間Pと二つの写像 g′:P→X と f′:P→Y が上の図式に対する pullback であるとは以下の図式が可換であり

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尚且つ図式を果敢にする他の T, b:T→X, a:T→Y が与えられた時に 以下の図式を可換にするuが一意的に存在するときにいう.

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Pがpullbackであることを示すために以下のように直角記号を書く.

[Uncaptioned image]

またf′をbase changeなどと言ったりする.

pullbackPを X×Z,f,gYや X×ZYと書いたりする.

以上の定義からpullbackは存在するならば同型を除いて一意的であることがわかる. 今から位相空間のpullbackに関する幾つかの基本事項を確認しよう.

定理 1.

位相空間の圏において,pullbackは常に存在する.つまり上で述べた状況において,pullback Pは常に存在する. さらにpullbackの具体的表示としてP={(x,y)∈X×Y∣f⁢(x)=g⁢(y)}で,f′とg′は射影であるように取れる.

証明.

具体的に表示を与えているので可換性と普遍性を調べるだけである.せかせか手を動かせばわかる. ∎

位相空間のpullbackは上記のように具体的に書けるのだが, 特殊な状況においてそれが何と同一視できるのかが大事だと思われる.

命題 2.

以下の命題群が成り立つ.

  1. (A1)

    以下の図式において f−1⁢(x)はpullbackになっている. つまり,写像f:X→Z に対して,一点y:{∗}→Zを考えたとき, fのbase changeは一般化ファイバーf−1⁢(y) になっている.

    [Uncaptioned image]
  2. (A2)

    連続写像f:X→Y と位相空間Sについて以下の図式はpullbackである.

    [Uncaptioned image]

    連続写像f:X→YとYの部分集合Bについて以下の図式はpullbackである.ここでι:B→Y は包含写像である.

  3. (A3)
    [Uncaptioned image]
  4. (A4)

    連続写像f:X→Y について以下の自明なpullback図式が成り立つ.

    [Uncaptioned image]
  5. (A5)

    以下の図式がpullbackとする.

    [Uncaptioned image]

    このとき任意の位相空間Sについて 以下の図式もpullbackとなる.

    [Uncaptioned image]
証明.

(A1)の証明: 上の状況で X×Z{∗}={(x,∗)∈X×{∗}∣f⁢(x)=y} なので,X×Z{∗}と f−1⁢(y)は同相になる.

(A2)の証明: 普遍性をせかせか計算するとわかる.

(A3) の証明: P=X×YB={(x,b)∈X×B∣f⁢(x)=ι⁢(b)} である. α:f−1⁢(B)→P をα⁢(x)=(x,f⁢(x)) と定義する. β:P→f−1⁢(B) をβ⁢(x,b)=x と定義する. これらは互いに逆写像になっているので Pとf−1⁢(B) が同相であることがわかる.

(A4)の証明: 普遍性を計算するとわかる.

(A5)の証明: 普遍性をせかせか計算するとわかる.

一般にpullbackと極限は交換する.特にpullbackと直積は交換するので,二つのpullhack図式を直積するとpullbackになる.

ここら辺で証明を終わろう. ∎

pullback同士を連結させてもpullbackになる.

定理 3.

以下の可換図式の状況を考える.

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つまり右側の図式においてXはAとZのB上のpullbackとする. このときPが左側の図式のpullbackになっていることと, Pは一番外側の大きい図式のpullbackになっていること つまり

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がpullback図式になっていることは同値である.

証明.

まずPが小さい図式のpullbackになっているとする. 大きい図式の 普遍性を示すために位相空間Tから 図式が可換になるような連続写像p:T→A と q:T→Y が伸びてるとする.

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すると p:T→A と g∘q:T→Z は v:A→Bと h:Z→Bからなる図式を可換にする.

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よってXがpullbackであることから一意的に写像 r:T→Xが存在して図式を可換にする.

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そしてr:T→Xとq:T→Y に対してPの普遍性を用いて一意的な写像l:T→P を得る.

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以上の図式は全て可換なので以下の図式も可換になる.

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一意性もrやlの一意性からわかる(なぜか?). 以上からPがA×BYであることがわかった. 逆を示すのは省略する.今やった操作を逆に辿ればきっとできるよ. ∎

図式を縦にすることで以下のこともわかる.

定理 4.

以下の可換図式の状況を考える.

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このときPが小さい四角のpullbackになっていることと一番外側の大きい図式のpullbackになっていることは同値である.

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2 完全写像

まず最初に埋め込みのbase changeは埋め込みなることを説明する.

命題 5.

以下のpullback図式を考える.

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このときfが埋め込みならばf′もそうである. さらにfが閉埋め込みならばf′もそうである.

証明.

Xは埋め込みなのでZの部分集合と見なしても良い. 命題2 の(A3) よりPはg−1⁢(X)である. つまり

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である.f′はYへの包含写像である. 特に埋め込みである. またfが閉埋め込みであるとき XがZの閉集合であることからg−1⁢(X) はYの閉集合である.つまりf′ は閉埋め込みである. これで証明が終わる. ∎

命題 6.

X,Yを位相空間とし, f:X→Yを連続写像とする. このとき以下が成り立つ.

  1. (T1)

    Xがハウスドルフであることと対角写像ΔX:X→X×Xが閉埋め込みであるは同値である.

  2. (T2)

    Yがハウスドルフならば, グラフへの写像Γf:X→X×Y;x↦(x,f⁢(x))は閉埋め込みである.

証明.

(T1)の証明: 対角線が閉集合であることと XがT2であることが同値ということからすぐに従う.

(T2)の証明: 次の可換図式からわかる.

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ここで 命題2の(A4)から一番外側の四角が pullbackであることと 同じく命題2の(A2)から右側の図式がpullbackになることに注意しよう.すると 定理3から 左側の四角がpullbackになることがわかる. このとき 命題5と ΔXが閉埋め込みであることを用いて, それの base change であるΓfも閉埋め込みであることを用いた.おわり. ∎

定義 7.

連続写像f:X→Y が完全写像であるとは fが閉写像であり,任意のy∈Y についてf−1⁢(y) がコンパクトになる時にいう.

命題 8.

以下のことが成り立つ.

  1. (K1)

    Xをコンパクトとし,Yをハウスドルフとすると 任意の連続写像f:X→Yは完全写像である.

  2. (K2)

    空間 K がコンパクトであることと 一点への写像K→{∗} が完全写像であることは同値である.

  3. (K3)

    空間Kがコンパクトであることと 任意の位相空間Sについて 射影p⁢r:S×K→S が閉写像であることは同値である.

証明.

コンパクトハウスドルフ性 から(K1)や(K2)は従う. そしてtube lemma([2]などを参照のこと)を使うと(K3)のうち射影が閉写像であることがわかる. 射影が閉であることからコンパクト性を証明する話は [3]で解説されている. ∎

今から完全写像の性質をpullbackで記述していく.

定理 9.

XとY を位相空間とし, f:X→Y を連続写像とする. このとき以下は同値である.

  1. (P1)

    fは完全写像である.

  2. (P2)

    任意の空間Zについて f×1Z:X×Z→Y×Z は完全写像である.

  3. (P3)

    どんなg:Y′→Yについても base change f′:X′→X は完全写像である.

    [Uncaptioned image]
  4. (P4)

    任意の空間Zについて f×1Z:X×Z→Y×Z は閉写像である.

  5. (P5)

    どんなg:Y′→Yについても base change f′:X′→X は閉写像である.

    [Uncaptioned image]
証明.

以下のように証明する.

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(P1)⟹(P3)の証明:

まずファイバーがコンパクトであることを示そう. 以下の図式を考える. p∈Y′ を任意にとる. そしてq=g⁢(p)∈Yとする. 一番外側の図式は命題2の(A1) からpullbackとなり, 右側の図式は (P1)の仮定からpullbackである.

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よって 定理 3 から右側の四角がpullbackになっている. このpullbackは(f′)−1⁢(p)のはずなので (f′)−1⁢(p)とf−1⁢(q)が同相であることがわかる.よって f′ のファイバーがコンパクトであることがわかる.

次にf′ が閉写像であることを示す. 完全写像の話のここは ジェネトポパワーでなんとかする.

X′={(x,a)∈X×Y′∣f⁢(x)=g⁢(a)}

であることと f′:X→Y′が射影であることに注意しよう. AをX′の閉集合とする. そして p∉f′⁢(A)をとる. p∈Y′に注意しよう. このとき 任意の(f−1⁢(g⁢(p))×{p})∩A=∅ である.というのも,交わりを持った場合, p∉f′⁢(A)に反するからである. ここでfが完全であることから f−1⁢(g⁢(p))はコンパクトであるので,特に f−1⁢(g⁢(p))×{p} もコンパクトである. するとtube lemmaから 開集合 V⊂Xと W⊂Y′が存在して (V×W)∩A=∅ かつ f−1⁢(g⁢(p))×{p}⊂V×W となる. さて fが閉写像であることから, O=Y∖f⁢(X∖V)とおくとこれはYの開集合で ある(この操作についてのより詳しい解説は[4]を参照のこと). そしてP=g−1⁢(O)⊂Y′とし, G=P∩Wとする. 今からGがpの近傍でありf′⁢(A)と交わらないことを証明しよう.まず Pがpの近傍であることを示そう. f−1⁢(g⁢(p))∈Vなのでf−1⁢(g⁢(p))∩X∖V=∅である.よって そしてg⁢(p)∉f⁢(X∖V)である. 故にg⁢(p)∈Y∖f⁢(X∖V) なのでp∈g−1⁢(Y∖f⁢(X∖V))=P である. これでGがpの近傍であることがわかった. 次に G∩f′⁢(A)=∅を示そう. q∈Gについてq∈Wかつ g⁢(q)∈Y∖f⁢(X∖V) である. 故に g⁢(q)∉f⁢(X∖V)であるから f−1⁢(g⁢(q))∩(X∖V)=∅ である. つまりf−1⁢(g⁢(q))⊂V である. つまり f−1⁢(g⁢(q))×{q}⊂V×W であり (V×W)∩A=∅ だからq∉f′⁢(A)である. よってGとf⁢(A)が交わりを持たないことがわかった. そしてpの任意性から f′⁢(A)の補集合が開集合であることがわかったので, f′⁢(A)は閉集合である. すなわち f′は閉写像である.

(P3)⟹(P2)の証明: 以下の図式を考える. 命題2の (A2)から これはpullbackである. よって (P3)から f×1Zが完全写像であることが従う.

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(P2)⟹(P4): 自明.

(P3)⟹(P5): 自明.

(P5)⟹(P4)の証明: (P3)⟹(P2)の証明と同様である.つまり 以下の図式を考える. 命題2の (A2)から これはpullbackである. よって (P5)から f×1Zが閉写像であることが従う.

[Uncaptioned image]

(P4)⟹(P1)の証明: Z={∗} とすることでfが閉写像であることがわかる. 次にf−1⁢(p)がコンパクトであることを証明しよう. Sを任意の位相空間とする

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上の図式 はpullbackなので 以下の図式もpullbackになる(命題2の(A5)).

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命題5と (p,1S)が閉埋め込みであることから hも閉埋め込みである. さらに (P4)から f×1Sも閉写像である. 今からvが閉写像であることを示そう. Aを左上の空間の閉集合とすると {p}×v⁢(A)=(f×1S)⁢(h⁢(A)) となる.今まで積み重ねてきたことから右辺は閉集合である. よって{p}×v⁢(A)は部分空間{p}×Sの閉集合となる.よってv⁢(A)はSの閉部分集合となり vが閉写像であることが従う. すると Sの任意性と 命題8の(K3)から f−1⁢(p)はコンパクトになる. よってfが完全写像であることがわかる. 以上で証明を終わる. ∎

系 10.

f:X→Yを完全写像とする. このときYの任意の部分集合Bについて f|f−1⁢(B):f−1⁢(B)→B は完全写像である.

証明.

以下の図式を考える.ここでv=f|f−1⁢(B) である.

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するとこの図式がpullbackであることから vは完全写像である. ∎

補題 11.

f:X→Yと g:Y→Z を完全写像とする. このとき g∘f:X→Z も完全である.

証明.

任意にh:A→Zを考えて 以下の図式を考える.

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すると定理9 の(P5) から f′ と g′ は閉写像である. よってそれらの合成 g′∘f′も閉写像である.

よってpullbackの図式

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においてg′∘f′が常に閉写像になるから再び 9より g∘fが完全であることがわかる. ∎

系 12.

f:X→Y を完全写像とし, KをYのコンパクト集合とする. このときf−1⁢(K) はXのコンパクト集合である.

証明.

g=f|f−1⁢(K):f−1⁢(K)→K とおく. これは 系10より完全写像である. そして K→{∗}は 命題8の (K2)より完全写像である. そして 補題 11より これら二つの写像の合成f−1⁢(K)→{∗} は完全である. よって再び 命題8の (K2)より f−1⁢(K) がコンパクトであることがわかる. ∎

定理 13 ([9, Theorem 1.1]).

X,Yを位相空間とし, Zをハウスドルフ空間とする. そしてf:X→Yを完全写像とし g:X→Z を連続写像とする. このとき(f,g):X→Y×Z は完全写像である.

証明.

(1X,g):X→X×ZはZがハウスドルフであることから閉埋め込みである(命題6).特に完全である. さらにf×1Z:X×Z→Y×Z は完全写像である(定理9の(P2)). よってこれら二つの合成である(f,g)も完全写像である (補題11). ∎

定理 14 ([9, Corollary 1.4]).

A,B,Cを位相空間とし, Bはハウスドルフとする. そしてα:A→Bは連続写像で β:B→Cは完全射像とする. もしもβ∘α:A→C が完全写像ならばαも完全写像である.

証明.

f=β∘α とおき, 以下のpullbackを考える.

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ここで P=A×CB={(x,y)∈A×B∣f⁢(x)=β⁢(y)} の射影を pA,pB としている. 写像 j:A→P を j⁢(a)=(a,α⁢(a)) と定義し, h:P→B×B をh⁢(a,b)=(α⁢(a),b) と定義する. すると次の図式はpullbackである.

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最初の図式と定理9より, fの基底変換であるpBは完全写像である. また,BはハウスドルフなのでΔBは閉埋め込みである. 二つ目の図式と命題5より, その基底変換jも閉埋め込みであり,特に完全写像である. したがって,α=pB∘jは 補題11より完全写像である. ∎

この文章で 完全正則空間といったら T1を仮定する方の意味である. またβ⁢Xで位相空間Xの ストーンチェックコンパクト化を表すとする.

定理 15.

XとY を完全正則空間とし f:X→Y を連続写像とする. このとき以下は同値である.

  1. (Q1)

    fは完全写像である.

  2. (Q2)

    あるコンパクト空間Kと閉埋め込みi:X→Y×Kが存在して f=p⁢r∘i が成り立つ. ここでp⁢r:Y×K→Yである.

  3. (Q3)

    以下の図式がpullback になる.ここでgとg′ は自然な埋め込みである.

    [Uncaptioned image]
  4. (Q4)

    Yの任意のコンパクト化をη⁢Yと書くこのとき以下の図式がpullbackになる.

    [Uncaptioned image]
  5. (Q5)

    γ⁢Xとη⁢YはそれぞれXとY のコンパクト化であって尚且つ以下の図式を可換にするものとする.このとき以下の図式はpullbackになる.

    [Uncaptioned image]
  6. (Q6)

    条件(Q3)と同じ状況で (β⁢f)−1⁢(Y)=Xが成り立つ.

  7. (Q7)

    条件(Q4)と同じ状況下で (β⁢f)−1⁢(Y)=Xが成り立つ.

  8. (Q8)

    条件(Q5)と同じ状況下で (γ⁢f)−1⁢(Y)=Xが成り立つ.

証明.

(Q1)⟹(Q2)の証明: 以下の可換図式を考える.

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XからXに伸びる射は合成すると恒等写像になる. よってK=β⁢Xととれば (Q2)が満たされる.

(Q2)⟹(Q1)の証明: 命題8の(K3)と 補題11から従う.

(Q3)∨(Q4)∨(Q5)⟹(Q1)の証明: β⁢f, γ⁢fなどはコンパクトハウスドルフ空間の間の連続写像なので完全写像である.このことと 定理 9の (P3)から従う.

(Q1)⟹(Q3)∧(Q4)∧(Q5)の証明:

(Q5)⟹(Q3)∧(Q4) なので, (Q1)⟹(Q5) を証明する.

以下の図式を考える. Qを作った後にPを作る.

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ここでg:Y→η⁢Yが埋め込みであることから Qは(γ⁢f)−1⁢(Y)と同相である. よって以下の図式を得る.

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ここでu′は包含写像である.

先の定理 9の (P3)より, f′は完全である. また同様にγ⁢fは完全なので hも完全であり,またh′ も完全になる.

自明な埋め込み v′:X→β⁢Xがあるので以下の図式が成り立つ.

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よってQの普遍性からr:X→Qが一意的に存在する.

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さらにPの普遍性からl:X→P が一意的に存在する.

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ここでg′∘l=1Xで, g′と1Xは完全写像なので, 定理 14から lも完全写像になる. さらにr=f′∘lなので rも完全写像である.

ところでX⊂(γ⁢f)−1⁢(Y)なので 包含写像X→(β⁢f)−1⁢(Y)があるが, これは(β⁢f)−1⁢(Y)の図式のrと入れ替えても可換図式を満たす.よってrの一意性よりrは 包含写像X→(γ⁢f)−1⁢(Y)である. Xはγ⁢Xの中で稠密なので特に (γ⁢f)−1⁢(Y)の中でも稠密である. 今rが完全写像で,特に閉写像であることがわかっているのでXは(γ⁢f)−1⁢(Y)の中で閉集合ということになる. 稠密性からX=(γ⁢f)−1⁢(Y)となり,結局 rは恒等写像であったことがわかる. さらに図式の可換性からh=fがわかるので結局以下の図式がわかる.

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これは (Q5)が成り立つということである.

(Q5)⟹(Q6)∧(Q7)∧(Q8)の証明: (Q8)⟹(Q7)∧(Q8)が成り立つので (Q5)⟹(Q8) を証明すれば良い. 上述の (Q1)⟹(Q5)の証明と似たようなもんだが,めんどくさがらず一応説明する.

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がpullbackであることと

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がpullbackであることから X=(γ⁢f)−1⁢(Y)が従う.

(Q6)∨(Q7)∨(Q8)⟹(Q1)の証明: β⁢fやγ⁢fが完全写像であることと,系10 からfが完全写像であることが従う.

以上で証明が終わる. ∎

注意.

定理 15 の (Q6), (Q7), (Q8) の条件はそれぞれ β⁢f⁢(β⁢X∖X)=clβ⁢Y⁢(f⁢(X))∖f⁢(X), β⁢f⁢(β⁢X∖X)=clη⁢Y⁢(f⁢(X))∖f⁢(X), γ⁢f⁢(γ⁢X∖X)=clη⁢Y⁢(f⁢(X))∖f⁢(X) と同値になる. fが全射の時は β⁢f⁢(β⁢X∖X)=β⁢Y∖Y, β⁢f⁢(β⁢X∖X)=η⁢Y∖Y, γ⁢f⁢(γ⁢X∖X)=η⁢Y∖Y となる. つまり,コンパクト化の剰余の像が行き先の剰余に等しいということである.

3 おまけ

連続写像fが 固有写像であるとはfによるコンパクト集合の引き戻しがコンパクトになるときにいう.

空間Xがk-空間であるとは Xの部分集合Aが閉集合であることと, 任意のコンパクト部分集合Kについて K∩AがKの閉集合であることが同値になるときにいう.つまり写像の族{ιK:K→X}K⁢:cpt in ⁢X による商位相とX自体の位相が一致するということである. この空間のことをコンパクト生成であるともいう.

位相空間Xが弱ハウスドルフであるとは,任意のコンパクト部分集合が閉集合になるときにいう.

命題 16.

Xを位相空間とし, Yをコンパクト生成弱ハウスドルフ空間とする. このとき連続写像f:X→Y が完全写像であることと固有写像であることは同値である.

証明.

まずfが完全であると仮定する.このとき 系 12より fは固有写像になる. 逆にfが固有であると仮定しよう. このとき固有写像の定義からfの各ファイバーは コンパクトになる.今からfが閉写像になることを示そう. AをXの任意の閉集合とする. このときf⁢(A)がYの中で閉集合であると言えれば良い. Yの任意のコンパクト部分集合を Kとする.このとき f⁢(A)∩K=f⁢(A∩f−1⁢(K))が成り立つ(この式は射影公式と呼ばれ,集合間の写像とその部分集合についていつでも成り立つ). ここでfが固有であることからf−1⁢(K)はコンパクト集合であり AはXの閉集合なので A∩f−1⁢(K)はf−1⁢(K)の閉集合である. 特にコンパクトである. 故にf⁢(A∩f−1⁢(K))もコンパクトである. つまりf⁢(A)∩KはYのコンパクト部分集合である. よってYが弱ハウスドルフであることから f⁢(A)∩Kは閉集合である.Kの任意性と Yがk-空間であることから f⁢(A)は閉集合である. よってfが閉写像,ひいては完全写像であることがわかった. ∎

注意.

[1]においては全て完全正則空間で考えて,完全写像をpullbackで記述していた. もしかしたら完全正則空間の圏はスキームっぽさがあるのかもしれない.今回の文書では,筆者が手を加えて最後の定理以外ではなるべく一般の位相空間で証明が済むようになっている. 結果として9の証明が一つずつ証明をするようなものになってけったいなものなったかもしれない.

定理15 の (Q2) は,文献[9]によれば, [8, Theorem 1]と[10, Theorem, p.21]で見出されたものらしい. 定理 15の(Q3) は文献[7] によれば [6, Lemma 1.5] で見出されたものらしい.

次の定理は使うかもと思って準備したが使わなかった.

3×3の図式のpullbackについても考えよう.

定理 17.

以下の可換図式において小さい正方形の図式の左上はpullbackになっているとする.このときA′ は一番大きい外側のpullbackにもなっている.

[Uncaptioned image]
証明.

縦に分割したり,横に分割したりして 定理 3や 定理4 を使うと証明できる. ∎

References

  • [1] A private communication with yujitomo. 2024年7月14日.
  • [2] はてなブログ電波通信, 「未完成(tube lemma)」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2015/12/04/204115
  • [3] はてなブログ電波通信, 「コンパクト性と閉射影:Kuratowski–Mrówka’s Thoerem」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2016/06/23/151341
  • [4] はてなブログ電波通信, 「閉写像云々とか固有写像とか」 https://concious4410.hatenablog.com/entry/2015/11/06/205115
  • [5] Stack Project, 5.17 Characterizing proper maps, https://stacks.math.columbia.edu/tag/005M
  • [6] M. Henriksen and J. R. Isbell, Some properties of compactifications, Duke Math. J. 25, 83–105 (1958), doi: 10.1215/S0012-7094-58-02509-2.
  • [7] D. Holgate, The pullback closure, perfect morphisms and completions, (1995), PhD Thesis, University of Cape town, https://open.uct.ac.za/server/api/core/bitstreams/c3824df1-0075-4bb1-a4a2-9aecdb5a7f5f/content
  • [8] J. Nagata, A note on M-space and topologically complete space, Proc. Japan Acad. 45 (1969), 541-543, doi: 10.3792/pja/1195520664.
  • [9] E. Michael, A theorem on perfect maps, Proc. Am. Math. Soc., (1971) 28, 633–634, doi:10.2307/2038028.
  • [10] J. van der Slot, Some properties related to compactness, Mathematical Center, Tracts 19, Amsterdam, 1966.