児玉永見のゼロ集合に関する演習問題とその反例について
1 児玉永見の演習問題と反例について
位相空間の部分集合がゼロ集合 であるとは連続関数 が存在して となることである。
児玉永見[児玉・永見][p.45, 1.I, (6)]には以下の問題を示せという趣旨の演習問題がある。
問題 1.
を位相空間とし、をそのゼロ集合とする。さらにをのゼロ集合とするとき、はのゼロ集合であることを示せ
この問題1には、反例がある。
命題 2.
次の条件を満たす位相空間が存在する。
-
1.
は完全正則空間である。
-
2.
は可分である。
-
3.
のゼロ集合であって、連続体濃度の離散空間と同相なものが存在する。
証明.
注意.
定理 3.
上の命題の位相空間とそのゼロ集合 について、 のゼロ集合 であって、のゼロ集合ではないものが存在する。
証明.
と を 命題 2 のものと同じとする。 このとき 上記の注意書きと同様の論法での存在を証明できる。 今からそれを説明しよう。
の可分性からのゼロ集合の個数は高々連続体濃度である。なぜならそれは実連続関数の引き戻しで表され、 実連続関数の個数は高々連続体濃度だからである。
上のゼロ集合の個数について考えてみよう。 は 離散空間なので、任意の部分集合がのゼロ集合となる。 そしては連続体濃度を持つので、 上のゼロ集合の個数はちょうど連続体濃度の冪と同じ濃度になる。 よって、濃度の大小関係から、 のゼロ集合ではないようなのゼロ集合が存在する。 ∎
2 正規空間のときどうなるか
前の節では完全正則空間に対してゼロ集合の話をしたが、 正規空間で反例になる空間が存在するのか気になるところである。実はが正規空間の時にはゼロ集合のゼロ集合は元の空間のゼロ集合となる。 次の定理を利用するとすぐにわかる。 証明は [2, Corollary 2.1]と [1, Theorem 1] を参照されたし。
定理 4.
を正規空間とし、 をその閉集合とし、 を の 閉集合とする。 そして を 連続関数で となるものとする。 このとき、連続関数 であって と を満たすものが存在する。
References
- [児玉・永見] 児玉之行,永見啓応, 「位相空間論」,岩波書店,1974
- [反例集] L.A.Steen and J.A.Seebch, Counterexamples in Topology, Dover Publications, Inc.,New York, 1995
- [1] M. Frantz, Controlling Tietze-Urysohn extensions, Pacific J. Math. 169 (1995), no. 1, 53-73.
- [2] K. Yamazaki, Controlling extensions of functions and C-embedding, Topology Proc. 26 (2001/02), no. 1, 323-341.