論文メモ
— ボレル階層とか —
本棚を整理したいので, 溜まっている論文のメモを書いて未来への手紙とすることにする.
以下の論文は ボレル階層とかを調べようとして放置されていた論文の束だと思う.
論文 [3]の用語をおさらいしよう. 一般に距離空間が 絶対次ボレル階層を持つ(は可算順序数) とは任意の距離空間 にを位相的に埋め込んだ時に の中でが次のボレル集合になっている 時にいう.埋め込む先は距離空間というのが大事である. この用語を踏まえた上で,よく知られた事実として が絶対であることと がポーランドであることが同値である. こういうのはブルバキに書いている. ブルバキは一般性を志向している感じがするが 急にポーランド空間とか具体的な話を扱い始めるのでなんか物珍しいと思う. 論文 [3] では距離空間が絶対 になるための必要十分条件を導出している. ちなみにが可分の場合には絶対 と コンパクト性が同値ということは知られていたようだ. 他にも大体以下のようなことを証明している.
定理 1 ([3]).
以下が成り立つ.
-
(1)
距離空間が絶対空間(つまり開集合と閉集合の共通部分で絶対書かれる) ための必要十分条件はが局所コンパクトであることである.
-
(2)
が絶対であるための 必要十分条件はそれが可算個の局所コンパクト(距離)空間の 和集合で表されること(-locally compact)である.
論文 [2] は距離空間ではなく, 一般の位相空間の絶対閉性を扱っている. 位相空間が絶対閉というのは ハウスドルフ空間に埋め込んだ時に 必ず閉集合になるという意味で これはコンパクト性の一般化と見做せる. 論文ではハウスドルフ空間は絶対閉空間に 閉集合として必ず位相的に埋め込めるとか 絶対閉包がproductiveになる必要十分条件とか 絶対閉空間の圏の射影対象や入射対象の研究をしているようだ.
論文 [1] ではタイトル通りボレル集合の和について研究している. ここで和と言っているが 和集合ではなく, の二つの部分集合と に対しての足し算を使って定義される
である. ざっくりいうととがボレル集合だとしても がボレルとは限らなし, 例えとがそれぞれコンパクト, だとしてもがボレルとは限らないという例を構成している.コンパクトとかというのは人間にとってかなり都合のいいボレル階層であることに注意しよう. また,コンパクト集合と閉集合の和は閉集合になり, 閉集合は距離空間の中だと集合であることにも注意しよう.この事実からコンパクト集合と集合の 和がになることがわかるので, コンパクト集合との和というのはすでに知られていることと不明だったことのちょうど境目である. エルデシュとストーンはフォンノイマンが構成した の連続体を持つ部分集合であって 上代数的独立な具体的(ZFで構成できる) なものを使って, (まあこれはカントール集合に同相だったりするのだが), 和がボレルにならないものを構成している. また以外の位相群でもできるっぽいことを注意している.
この種の話題はこれらの論文に限らない. これらの論文が引用している論文や, これらの論文を引用している論文を 確かめられたい.
References
- [1] (1970) On the sum of two Borel sets. Proc. Amer. Math. Soc. 25, pp. 304–306. External Links: ISSN 0002-9939,1088-6826, Document, Link, MathReview (E. R. Lorch) Cited by: 論文メモ — ボレル階層とか —, 論文メモ — ボレル階層とか —.
- [2] (1968) Absolutely closed spaces. Trans. Amer. Math. Soc. 130, pp. 86–104. External Links: ISSN 0002-9947,1088-6850, Document, Link, MathReview (R. F. Dickman, Jr.) Cited by: 論文メモ — ボレル階層とか —, 論文メモ — ボレル階層とか —.
- [3] (1962) Absolute spaces. Proc. Amer. Math. Soc. 13, pp. 495–499. External Links: ISSN 0002-9939,1088-6826, Document, Link, MathReview (J. Segal) Cited by: 定理 1, 論文メモ — ボレル階層とか —, 論文メモ — ボレル階層とか —.