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数学的失敗とその教訓:ファイバーバンドルの元版HTMLをLaTeXMLで自動変換したものです。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

位相空間上のバンドルについて

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年7月26日

バンドルとか難しいけど1-チェックコサイクルとみなして扱ったら割かしわかりやすかったという話。

バンドルとはコサイクルが付いた開被覆のことであることを主張するための文章がこれである111フーズモラーなどはグロタンディークに倣ってすべての写像はバンドルであることを主張している本なので、この文章はまだ穏当であると言える。。

繊維束を商空間として徹底的に取り扱いたい文章であるところのものである。

一般に商空間の話は難しいので、バンドルの話も難しい。

もともとは多様体の間の写像の空間のホイットニートポロジーを記述するためにジェットバンドルを定義したかっただけなのだが話がやたら膨らんでしまった。

この文章では 位相空間Xと位相群Gに対して X上のG-抽象束、(もしくはX上のG-コサイクル付き開被覆)を定義して、ファイバー束との関係を見る。

1 準備

位相空間Xの開集合系を𝔒⁢(X)と書くことにする。

開被覆による連続性の判定[張り合わせ]を紹介する。

命題 1.

位相空間X,Yと 写像f;X→Yについて、任意のU∈𝒰でf|U:U→Yが連続関数であるようなXの開被覆𝒰が存在すれば、fはX上でも連続である。

証明.

各U∈𝒰上でf|Uが連続なので、任意のU∈𝒰と 任意のYの開集合Oについて、f−1⁢(O)∩UはUの開集合である。また、UはXの開集合なのでf−1⁢(O)∩UはXの開集合でもある。そして𝒰が被覆を成すことから

f−1⁢(O)=⋃U∈𝒰(f−1⁢(O)∩U)

が成り立ち、この式の右辺はXの開集合であるから、f−1⁢(O)はXの開集合である。OはYの任意の開集合であったからf:X→YはX上連続である。 ∎

関数f,g:X→Gについてその積f⁢gが定義される。

定義 2 (添え字付き開被覆).

集合Aから𝔒⁢(X)への写像U:A→𝔒⁢(X)が

X=⋃a∈AU⁢(a)

を充たすとき、Uを添え字付き開被覆といい、Aのことを添え字という。 Uのa∈Aにおける値U⁢(a)をUaと書いたりする。また、 なまぐさをしてUのことをU={Ua}a∈Aとか書いたりする。

集合として同じでも添え字が違う場合は別のものとして扱いたいので添え字付き開被覆を用いる。 大げさだが、つぎのように定義する。

O⁢M⁢P⁢(X,G)=⋃P∈𝔒⁢(X)M⁢a⁢p⁢(P,G)

つまりO⁢M⁢P⁢(X)はXの開集合からGへの写像を全部集めた集合である。 また集合Aに対してA2でA×Aを表すことにする。

定義 3 (変換関数).

UをXの添え字付き開被覆とし、その添え字をAとする。g:A×A:→⁢O⁢M⁢P⁢(X,G)がUに付随する変換関数であるとは次の条件を充たすときに言う。222以下ではg⁢(b,a)をgb⁢aと書くことにする。

  1. (1)

    gb⁢aの定義域はUb∩Uaである。

  2. (2)

    gb⁢a:Ub∩Ua→Gは連続写像である。

  3. (3)

    ∀x∈Uc∩Ub∩Uagc⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=gc⁢a⁢(x) (コサイクル条件)

注意.

Ub∩Ua=Øのときgb⁢aは空写像である。また、Uc∩Ub∩Ua=Øのとき条件(3)は真になることに注意しよう。

注意.

コサイクル条件からUa≠Øのときga⁢a≡1Gとなることや、 Ub∩Ua≠Øのときgb⁢a=(ga⁢b)−1が成り立つことなどがわかる。

2 抽象束、または変換関数付き開被覆、または1-チェックコサイクル。

定義 4.

位相空間Xと位相群Gに対して、 XとG、添え字集合AとAを添え字に持つX上の添え字付き開被覆U, およびUに付随する変換関数gの五つ組(X,G,A,U,g)のことをX上のG-抽象束(もしくはX上のG-変換関数付き開被覆、またはXの(G,1)-チェックコサイクル)と呼ぶ。 Xを底空間、Gをこの束の構造群と呼ぶ。 X上のG-抽象束全体を𝒞⁢(X,G)と書く。333𝒞はcocycleのcである。

注意.

抽象束にはファイバーがないことに注意せよ。

例 5.

任意の位相空間Xと位相群Gを与える。添え字付き開被覆U:{1}→𝔒⁢(X)をU⁢(1)=Xと定義し、変換関数g:{1}2→O⁢M⁢P⁢(X)をg11≡1Gと定義する444X=∅の場合にはg11は空写像と定義する。と(X,G,{1},U,g)は抽象束になる。この束のことを自明束という。

どんな位相空間と位相群Gについても 𝒞⁢(X,G)≠∅である。これはG上の自明束が常に存在するからである。

以下では抽象束をフラクトゥールの一文字で表す。

2.1 抽象束の束同値

二つのG-抽象束が束同値であるということを定式化する。

定義 6.

𝔄,𝔅∈𝒞⁢(X,G)について

𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,B,V,h)

とする。任意の(a,b)∈A×Bについて連続関数

pb⁢a:Vb∩Ua→G,qa⁢b:Ua∩Vb→G

が存在して、以下の条件を充たすとき𝔄と𝔅は束同値であるという。

  1. (1)

    ∀(a,b,c)∈A×A×B⁢∀x∈Vc∩Ub∩Ua⁢pc⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=pc⁢a⁢(x)

  2. (2)

    ∀(a,b,c)∈A×B×A⁢∀x∈Uc∩Vb∩Ua⁢qc⁢b⁢(x)⁢pb⁢a⁢(x)=gc⁢a⁢(x)

  3. (3)

    ∀(a,b,c)∈B×A×A⁢∀x∈Uc∩Ub∩Va⁢gc⁢b⁢(x)⁢qb⁢a⁢(x)=qc⁢a⁢(x)

  4. (4)

    ∀(a,b,c)∈B×B×A⁢∀x∈Uc∩Vb∩Va⁢qc⁢b⁢(x)⁢hb⁢a⁢(x)=qc⁢a⁢(x)

  5. (5)

    ∀(a,b,c)∈B×A×B⁢∀x∈Vc∩Ub∩Va⁢pc⁢b⁢(x)⁢qb⁢a⁢(x)=hc⁢a⁢(x)

  6. (6)

    ∀(a,b,c)∈A×B×B⁢∀x∈Vc∩Vb∩Ua⁢hc⁢b⁢(x)⁢pb⁢a⁢(x)=pc⁢a⁢(x)

𝔄と𝔅が束同値であることを

𝔄⋈𝔅

と表す。

注意.

pは𝔄から𝔅への変換で、qは𝔅から𝔄への変換であり、

pb⁢a=(qa⁢b)−1

を充たす。

さすがにファイバーがないと束同士の写像は定義できない。

命題 7.

𝔄∈𝒞⁢(X,G)について

𝔄⋈𝔄
証明.

pb⁢a=gb⁢a,qb⁢a=gb⁢aと定義すればわかる。 ∎

命題 8.

𝔄,𝔅∈𝒞⁢(X,G)について

𝔄⋈𝔅⟹𝔅⋈𝔄
証明.

束同値の定義は対象になっているのでわかる。 ∎

命題 9.

𝔄,𝔅,ℭ∈𝒞⁢(X,G)について

𝔄⋈𝔅,𝔅⋈ℭ⟹𝔄⋈ℭ
証明.

超めんどいけど頑張る。

𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,B,V,h),ℭ=(X,G,C,W,k)

とする。

𝔄⋈𝔅なので 任意の(a,b)∈A×Bについて連続関数

pb⁢a:Vb∩Ua→G,qa⁢b:Ua∩Vb→G

が存在して、以下の条件を充たす

  1. (1)

    ∀(a,b,c)∈A×A×B⁢∀x∈Vc∩Ub∩Ua⁢pc⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=pc⁢a⁢(x)

  2. (2)

    ∀(a,b,c)∈A×B×A⁢∀x∈Uc∩Vb∩Ua⁢qc⁢b⁢(x)⁢pb⁢a⁢(x)=gc⁢a⁢(x)

  3. (3)

    ∀(a,b,c)∈B×A×A⁢∀x∈Uc∩Ub∩Va⁢gc⁢b⁢(x)⁢qb⁢a⁢(x)=qc⁢a⁢(x)

  4. (4)

    ∀(a,b,c)∈B×B×A⁢∀x∈Uc∩Vb∩Va⁢qc⁢b⁢(x)⁢hb⁢a⁢(x)=qc⁢a⁢(x)

  5. (5)

    ∀(a,b,c)∈B×A×B⁢∀x∈Vc∩Ub∩Va⁢pc⁢b⁢(x)⁢qb⁢a⁢(x)=hc⁢a⁢(x)

  6. (6)

    ∀(a,b,c)∈A×B×B⁢∀x∈Vc∩Vb∩Ua⁢hc⁢b⁢(x)⁢pb⁢a⁢(x)=pc⁢a⁢(x)

そして𝔅⋈ℭなので 任意の(a,b)∈B×Cについて連続関数

sb⁢a:Wb∩Va→G,ta⁢b:Va∩Wb→G

が存在して、以下の条件を充たす

  1. (1)

    ∀(a,b,c)∈B×B×C⁢∀x∈Wc∩Vb∩Va⁢sc⁢b⁢(x)⁢hb⁢a⁢(x)=sc⁢a⁢(x)

  2. (2)

    ∀(a,b,c)∈B×C×B⁢∀x∈Vc∩Wb∩Va⁢tc⁢b⁢(x)⁢sb⁢a⁢(x)=hc⁢a⁢(x)

  3. (3)

    ∀(a,b,c)∈C×B×B⁢∀x∈Vc∩Vb∩Wa⁢hc⁢b⁢(x)⁢tb⁢a⁢(x)=tc⁢a⁢(x)

  4. (4)

    ∀(a,b,c)∈C×C×B⁢∀x∈Vc∩Wb∩Wa⁢tc⁢b⁢(x)⁢kb⁢a⁢(x)=tc⁢a⁢(x)

  5. (5)

    ∀(a,b,c)∈C×B×C⁢∀x∈Wc∩Vb∩Wa⁢sc⁢b⁢(x)⁢tb⁢a⁢(x)=kc⁢a⁢(x)

  6. (6)

    ∀(a,b,c)∈B×C×C⁢∀x∈Wc∩Wb∩Va⁢kc⁢b⁢(x)⁢sb⁢a⁢(x)=sc⁢a⁢(x)

さて、任意の(a,b)∈A×Cに対してvb⁢a:Wb∩Ua→G以下のように定義する。 各x∈Wb∩Uaに対してx∈Vωとなるω∈Bを取る。そして

vb⁢a⁢(x)=sb⁢ω⁢(x)⁢pω⁢a⁢(x)

と定義する。このvb⁢aについて最初はこの定義がwell-defined、即ちω∈Bの取り方によらないことを示そう。 別のΩ∈Bがx∈VΩを充たしているとする。このとき(1)−(6)の条件から

sb⁢ω⁢pω⁢a=sb⁢Ω⁢(x)⁢hΩ⁢ω⁢(x)⁢pω⁢a⁢(x)=sb⁢Ω⁢(x)⁢pΩ⁢a⁢(x)

となるので、vb⁢a⁢(x)はω∈Bの取り方によらないことがわかった。 また、{Wb∩Ua∩Vi}i∈BはWb∩Uaの被覆であり、vb⁢aは各Wb∩Ua∩Vi上で連続なのでvb⁢a:Wb∩Va→Gは連続である。

同様にして任意の(a,b)∈A×Cに対してwa⁢b:Ua∩Wb→Gをwa⁢b=vb⁢a−1と定義する。このwa⁢bはx∈Vωとなるω∈Bをとれば

wa⁢b⁢(x)=qa⁢ω⁢(x)⁢tω⁢b⁢(x)

と表される。

ここからはこのvb⁢aとwa⁢bが束同値の定義にある(1)−(6)を充たすことを見ていこう。

(1) ∀(a,b,c)∈A×A×C⁢∀x∈Wc∩Ub∩Ua⁢vc⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=vc⁢a⁢(x)を証明しよう。各x∈Wc∩Ub∩Uaに対してx∈Vωとなるω∈Bを取る。すると

vc⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=sc⁢ω⁢(x)⁢pω⁢b⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)=sc⁢ω⁢(x)⁢pω⁢a⁢(x)=vc⁢a⁢(x)

となるので(1)は証明された。他の(2)から(6)も同様に証明される。 ∎

以上をまとめて以下を得る。

定理 10.

束同値⋈は𝒞⁢(X,G)上の同値関係である。

被覆が同じ抽象束同士の束同値の判定には次の命題が簡便である。

命題 11.

𝔄,𝔅∈𝒞⁢(X,G)とし、

𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,A,U,h)

とする。 即ち𝔄と𝔅は同じ添え字付き被覆を持つとする。 このとき 𝔄⋈𝔅と次のことは同値である。

各a∈Aについて連続関数λa:Ua→Gが存在して

hb⁢a⁢(x)=λb⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)⁢λa−1⁢(x)

がUa∩Ub上で成り立つ。

証明.

まず𝔄⋈𝔅を仮定する。 束同値の定義に出てくる各(a,b)∈A2について連続関数pb⁢a:Ub∩Ua→Gと qa⁢b:Ua∩Ub→Gが存在しほげ。 このとき、Ua∩Ub上でで以下のことが成り立つ。

pb⁢b⁢gb⁢a=pb⁢a
hb⁢a⁢pa⁢a=pb⁢a

よって

hb⁢a⁢pa⁢a=pb⁢b⁢gb⁢a

がUa∩Ub上で成り立つ。そこで λa⁢(x)=pa⁢a⁢(x)と定義すればよい。 (pa⁢aはUa上のGに値を取る連続関数であることに注意せよ。)

逆に各a∈Aについて連続関数λa:Ua→Gが存在して

hb⁢a⁢(x)=λb⁢(x)⁢gb⁢a⁢(x)⁢λa−1⁢(x)

がUa∩Ub上で成り立つと仮定しよう。 このときpb⁢a=λb⁢λa−1とし、qa⁢b=pb⁢a−1と定義すれば 𝔄⋈𝔅がわかる。 ∎

被覆の細分と束同値。

定義 12 (細分).

Xの添え字付き被覆V:B→𝔒⁢(X)が同じくXの添え字付き被覆U:A→𝔒⁢(X)の細分であるとは任意のb∈Bについてあるa∈Aが存在してVb⊂Uaが成り立つことである。

細分について

命題 13.

𝔄,𝔅∈𝒞⁢(X,G)とし、

𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,B,V,h)

とし、VはUの細分になっているとする。 もしϕ:B→Aが存在して

Vb⊂Uϕ⁢(b)

及び

hb⁢a=gϕ⁢(b)⁢ϕ⁢(a)|Vb∩Va

が成り立つとき555gϕ⁢(b)⁢ϕ⁢(a)|Vb∩VaはUϕ⁢(b)∩Uϕ⁢(a)上の関数gϕ⁢(b)⁢ϕ⁢(a)をVb∩Vaに制限した関数という意味である。、𝔄⋈𝔅が成り立つ。

証明.

pb⁢a:Vb∩Ua→Gをpb⁢a=gϕ⁢(b)⁢a|Vb∩Uaと定義し、 pb⁢a:Ub∩Va→Gをqb⁢a=gb⁢ϕ⁢(a)|Ub∩Va と定義する。すると𝔄⋈𝔅がわかる。 ∎

この命題からXがパラコンパクトな時にその上の抽象束は局所有限な座標被覆を持つとしても一般性を失わないことがわかる。さらにXがコンパクトな場合にはその上の抽象束は有限個の座標被覆から構成されていると仮定してもよい。 また、Xの開基ℬを一つ固定して、X上の束の座標被覆はℬの元からなりったているとしてもよい。

以下の定義などはちょっとしたおまけである。 X上の二つの添え字付き開被覆U:A→𝔒⁢(X)とV:B→𝔒⁢(X)について U∗V:A⊔B→𝔒⁢(X)をa∈AのときにU∗V⁢(a)=U⁢(a)、b∈BのときにU∗V⁢(b)=V⁢(b)とていぎすればこれもX上の添え字付き開被覆である。

以下の定義は束同値がどういうものかということかを教えてくれる。

命題 14.

𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,B,V,h)とする。このとき𝔄⋈𝔅は以下のことと同値である。 X上のG-抽象束ℭが存在して、

ℭ=(X,G,A⊔B,U∗V,k)

でありk:A⊔B→O⁢M⁢P⁢(X)はk|A2=gかつk|B2=hを充たす。

証明.

定義から明らか。 ∎

3 抽象束のF-切断

3.1 切断片

定義 15 (切断片).

{sα}α∈A sα:Uα→Fが𝔄の切断片であるとは

sb⁢(x)=gb⁢a⁢sa⁢(x)

を充たすときに言う。

3.2 準同型から誘導される写像

二つの位相群H,G間の 連続準同型ρ:G→Hがあるときに

ρ∗:ℬ⁢(X,G)→ℬ⁢(X,H)

が以下のように誘導される。

𝔄=(X,G,A,U,g)

としたとき

ρ∗⁢(𝔄)=(X,G,A,U,h)

である。ここでhは(a,b)∈A2に対して

hb⁢a⁢(x)=ρ⁢(gb⁢a⁢(x))

という写像hb⁢a:Ub∩Ua→Hを対応させる変換関数である。 ρの準同型性とgがコサイクル条件を充たすことからhもコサイクル条件を充たすことがわかる。

3.3 構造群の縮約

Hを位相群Gの部分群とする。もちろん自然にHも位相群になる。 ι:H→Gを包含写像とする。 このとき写像

ι:ℬ⁢(X,H)→ℬ⁢(X,G)

が誘導される。

G-抽象束𝔄∈ℬ⁢(X,G)の構造群がHに縮約されるとは ある𝔅∈ℬ⁢(G,H)が存在して

𝔄⋈ι∗⁢(𝔅)

となることである。

抽象束の構造群が自明群{∗}に縮約されることと、その抽象束が自明束と束同値になることは同値である。

3.4 自明束になるための条件

抽象束が自明束と束同値なとき、その抽象束は自明であるという。 束が自明かどうかの判定が大事である。

系 16.

𝔄=(X,G,A,U,g)∈𝒞⁢(X,G)が自明であることと次のことは同値である。

各a∈Aについてλa:Ua→Gが存在して

gb⁢a=λb⁢λa−1

が成り立つ。

系 17.

𝔄=(X,G,A,U,g)∈𝒞⁢(X,G)が自明であることと、𝔄が𝔅=(X,G,{∗},{X},g)となる束と同値になることは同値である。

4 抽象束の引き戻し

連続写像f:X→YからG-抽象束の引き戻し

f∗:ℬ⁢(Y,G)→ℬ⁢(X,G)

が以下のように誘導される。666これは連続写像からコホモロジーに誘導される準同型と同じもののはずである。

𝔄=(Y,G,A,U,g)

としたとき

f∗⁢(𝔄)=(X,G,A,f∗⁢U,f∗⁢g)

を以下のように定義する。 f∗:A→O⁢M⁢P⁢(X)は各a∈Aについてf∗⁢U⁢(a)=f−1⁢(Ua)で定義されるX上の添え字付き開被覆である。 変換関数f∗⁢gは(a,b)∈A2に対して

(f∗⁢g)b⁢a=gb⁢a∘f

つまりx∈f−1⁢(Ub)∩f−1⁢(Ua)について

(f∗⁢g)b⁢a⁢(x)=gb⁢a⁢(f⁢(x))

で定義される(f∗⁢g)b⁢a:f−1⁢(Ub)∩f−1⁢(Ua)→Gを対応させる変換関数である。 引き戻しの反変函手性

命題 18.

4.1 抽象束同士の積

𝒞⁢(X,G)×𝒞⁢(X,H)→𝒞⁢(X,G×H)
𝔄=(X,G,A,U,g),𝔅=(X,G,B,V,h)

から新しい束𝔄×𝔅を

𝔄×𝔅=(X,G,A×B,U×V,k)

を以下のように定義する。 U×V:A×B→𝔒⁢(X)は各(a,b)∈A×Bに対してU×V⁢((a,b))=Ua∩Vb で定義される添え字付き被覆である。 k:(A×B)2→O⁢M⁢P⁢(X)は

k(c,d)⁢(a,b):(Uc∩Vd)∩(Ua∩Vb)→G;p(c,d)⁢(a,b)⁢(x)=(gc⁢a⁢(x),hd⁢b⁢(x))

で定義される変換関数である。 この束を𝔄×𝔅と書くことにする。

4.2 抽象束の例

このセクションでは具体的な空間と構造群に対して抽象束の同値類がどのくらいあるかというのをいくつか決定する。 即ち𝒞⁢(X,G)/⁣⋈の大きさを調べるということである。

補題 19.

区間のあれ

命題 20.

単位閉区間I=[0,1]と任意の位相群Gについて、

card⁡(𝒞⁢(I,G)/⁣⋈)=1

つまりI上の抽象束はすべて自明束である。

証明.

𝔄をI上の抽象束とする。 この束の被覆は[a0,b0),(a1,b1),…,(an−1,bn−1),(an,bn]という形で、

a0=0,bn=1,ai−1<ai<bi−1<bi

を充たすとしてよい。さてc1,c2,…⁢cn、d0,d2⁢…⁢dn−1を

[ci,di−1]⊂(ai,bi−1)

となるようにとる。

𝔄⋈𝔅である。

s0:[a0,b0)→Gをs0≡1

x∈(ai,bi)のとき(i=nのときはx∈(an,bn]) si⁢(x)=gi,i−1⁢(t⁢(x))⁢si−1|(ai,bi−1)⁢(t⁢(x))と定義する。(ci,di−1)上ではs⁢(x)=gi,i−1⁢(x)⁢si−1⁢(x) なので(ci,di−1)の上でsi⁢si−1−1=gi,i−1なので𝔅は自明である。よって𝔄も自明である。 ∎

命題 21.

任意の𝔄∈𝒞⁢(X,G)は添え字集合が二元である抽象束と束同値である。

命題 22.

card⁡(𝒞⁢(S1,ℤ/2⁢ℤ)/⁣⋈)=2

この命題はH1⁢(S1,ℤ/2⁢ℤ)≅ℤ/2⁢ℤと同じことである。

命題 23.

準同型π:ℝ×→ℤ/2⁢ℤから誘導される写像

[π∗]:𝒞⁢(X,ℝ×)/⁣⋈→𝒞⁢(X,ℤ/2⁢ℤ)/⁣⋈

は全単射である。

命題 24.

card⁡(𝒞⁢(S1,ℝ×)/⁣⋈)=2

注意.

𝒞⁢(S1,ℝ×)/⁣⋈の二元のうち一つは自明束である。もう一つの元はいわゆるメビウスバンドルに対応する抽象束である。

注意.

恐らく定義から手計算で抽象束が分類できるのはS1とIの二つが限界のように思う。

5 (G,F)-抽象ファイバー束、または、F-ファイバーとGコサイクル付き開被覆

連続作用G↷Fがあるとき𝔄∈ℬ⁢(X,G)とFの組

(𝔄,F)

を(G,F)-抽象ファイバー束、もしくはF-ファイバーとGコサイクル付き開被覆と呼ぶ。 X上の(G,F)-抽象束全体をℱ⁢(X,G,F)で表す。

X上のファイバー束の間の写像 Φ={ϕa→b⁢(Ua∩Vb)×F→F}(a,b)∈A×B が𝔄から𝔅への束写像であるとは 任意の(a,b,α,β)∈A×B×A×Bについて

ϕα→β⁢(x,u)=hβ⁢b⁢(x)⁢ϕa→b⁢(x,gα,a⁢(x)⁢u)

を充たすときに言う。

連続写像f:X→Yについて、 Φ={ϕa→b⁢(Ua∩f−1⁢(Vb))×F→F}(a,b)∈A×B がfの上の𝔄から𝔅束写像であるとは 任意の(a,b,α,β)∈A×B×A×Bについて

ϕα→β⁢(x,u)=hβ⁢b⁢(f⁢(x))⁢ϕa→b⁢(x,gα,a⁢(x)⁢u)
(x,u)→(f⁢(x),ϕa→b⁢(x,u))

AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAa

fα:Uα×F→Uα×F;(x,u)↦(x,ϕα⁢(x,u))

AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA

ファイバー束の間の写像(H⁢o⁢m⁢e⁢o⁢(F)にいい感じの位相が入っている場合。)

ϕα:Uα×F→F;(x,u)↦ϕα⁢(x).u

aaaaAaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaa

定義 25.

G束のバンドル写像としては、

ϕa→b⁢(x,u)=Pa⁢b⁢(x).u

Pa⁢b∈G.

6 束のホモトピー不変性

次の補題は基本的である。

補題 26.

𝔄=(X×[a,b),G,A,{X×[a,b)},g), 𝔄=(X×(c,d],G,B,{X×(c,d]},h), は自明束で a<c<b<dとする。このとき ℭ=(X×[a,d],G,A∪B,{X×[a,b),X×(c,d],u})も自明である。

証明.

∎

定義 27 (numerable cover).

単位の分割が存在する被覆のこと。

事実 28.

XをT4空間とする。このとき以下は同値である。

  1. (1)

    Xはパラコンパクト

  2. (2)

    Xの任意の開被覆にはσ疎な局所有限開細分が存在する。

命題 29.

Xをパラコンパクトハウスドルフ空間とする。 X×I上の束は{Ui×I}i∈ℕという形の添え字付き被覆を持つ抽象束と束同値である。

証明.

∎

以下の定理は束のホモトピー同値性と呼ばれる定理である。

定理 30.

P,Q:X→YはP≃Qであるとする。このときY上の任意の抽象束𝔄に対して

P∗⁢(𝔄)⋈Q∗⁢(𝔄)

が成り立つ。

証明.

(a,b).g=a⁢g⁢b−1と作用しているG2↷Gで、X×[0,1]上のG2-抽象束のG-切断であって、

s⁢(x,t)=s⁢(x,0)

を充たすものの存在が言えればよい。←ちょっと違う ∎

系 31.

可縮なパラコンパクトハウスドルフ空間の上の抽象束は(Gに依らず)すべて自明束である。

7 G⁢L⁢(n,𝕂)-抽象束─“ベクトル束”─

この章では体𝕂上の線群の上の抽象束に関する構成を紹介する。 G⁢L⁢(n,𝕂)には係数体𝕂に応じて適切に位相が入っているとする。 特に𝕂=ℝ,ℂの場合が身近で分かりやすいと思う。 以下では抽象束はすべて同じ添え字付き開被覆U:A→𝔒⁢(X)でサポートされているとする。

定義 32 (双対束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))とし、

𝔈=(X,G,A,U,g)

とする。このとき

(X,G,A,U,g−1t)

を(X,G,A,U,g)の双対束といい、𝔈∗で表す。

定義 33 (直和束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))と𝔉∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(m,𝕂))に対し ρ:G⁢L⁢(n,𝕂)×G⁢L⁢(m,𝕂)→G⁢L⁢(n+m,𝕂)

ρ∗⁢(𝔈×𝔉)

を𝔈と𝔉の直和束といい、

𝔈⊕𝔉

と書く。

⨁i=1n𝔈i
定義 34 (テンソル束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))と𝔉∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(m,𝕂))に対し

(X,G⁢L⁢(n⁢m,𝕂),A,U,g⊗h)

で定義される束を𝔈と𝔉のテンソル束といい

𝔈⊗𝔉

と書く。

⨂i=1n𝔈i
定義 35 (外積束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))と𝔉∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(m,𝕂))に対し

(X,G⁢L⁢(n⁢m,𝕂),A,U,g∧h)

で定義される束を𝔈と𝔉の外積束といい

𝔈∧𝔉

と書く。

⋀i=1n𝔈i
定義 36 (向き束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))とし、

𝔈=(X,G,A,U,g)

とする。このとき

(X,G,A,U,s⁢g⁢n⁢det(g))

を𝔈の向き束という。向き束はℤ/2⁢ℤ-束である。向き束が自明でであるとき、𝔈は向き付け可能であるという。

O⁢r⁢(𝔈)

G⁢L⁢(n,𝕂)-抽象束はG⁢L+⁢(n,𝕂)-束に縮約できるとき、向き付け可能であるという。

定義 37 (行列式束).

𝔈∈𝒞⁢(X,G⁢L⁢(n,𝕂))とし、

𝔈=(X,G,A,U,g)

とする。このとき

(X,G,A,U,det(g))
⋀i=1n𝔈=⋀n𝔈=𝔈∧n

を(X,G,A,U,g)の行列式束という。det(𝔈)で表す。 ちなみに

det(𝔈)⋈det(𝔈∗)⋈⋀n𝔈

8 (G,F)-抽象ファイバー束、または、F-ファイバーとGコサイクル付き開被覆

連続作用G↷Fがあるとき𝔄∈ℬ⁢(X,G)とFの組

(𝔄,F)

を(G,F)-抽象ファイバー束、もしくはF-ファイバーとGコサイクル付き開被覆と呼ぶ。 X上の(G,F)-抽象束全体をℱ⁢(X,G,F)で表す。

X上のファイバー束の間の写像 Φ={ϕa→b⁢(Ua∩Vb)×F→F}(a,b)∈A×B が𝔄から𝔅への束写像であるとは 任意の(a,b,α,β)∈A×B×A×Bについて

ϕα→β⁢(x,u)=hβ⁢b⁢(x)⁢ϕa→b⁢(x,gα,a⁢(x)⁢u)

を充たすときに言う。

連続写像f:X→Yについて、 Φ={ϕa→b⁢(Ua∩f−1⁢(Vb))×F→F}(a,b)∈A×B がfの上の𝔄から𝔅束写像であるとは 任意の(a,b,α,β)∈A×B×A×Bについて

ϕα→β⁢(x,u)=hβ⁢b⁢(f⁢(x))⁢ϕa→b⁢(x,gα,a⁢(x)⁢u)
fα:Uα×F→Uα×F;(x,u)↦(x,ϕα⁢(x,u))

ファイバー束の間の写像(H⁢o⁢m⁢e⁢o⁢(F)にいい感じの位相が入っている場合。)

ϕα:Uα×F→F;(x,u)↦ϕα⁢(x).u

9 抽象束の空間的実現、ファイバー束

9.1 空間的ファイバー束

抽象的ファイバー束と空間的ファイバー束の同値性

ファイバー束が商空間という話。

9.2 ファイバー束の具体例

主に可微分多様体上の束について紹介する。

定義 38.

位相多様体MのCr-級可微分構造とはほげ

例 39 (接束).
T⁢M
Jb⁢a⁢(x)=J⁢(ϕb∘ϕa−1)⁢(ϕa⁢(x))
例 40 (余接束).
(T⁢M)∗

は

T∗⁢M

と書く慣習がある。

例 41 (高次の余接束).
⋀kT∗⁢M
例 42 (向き束).

Mの向き束O⁢r⁢(M)とは

O⁢r⁢(T⁢M)

で定義する。

例 43 (ℤ/2⁢ℤ-束、即ち二重被覆).

Mが向き付け不可能な多様体の時に連結な向き付け可能多様体Nと写像p:N→Mが存在してこれらがℤ/2⁢ℤ-束であることを証明しよう。

例 44 (密度束).

Mの密度束とは

(⋀nT∗⁢M)⊗O⁢r⁢(M)

のことである。

例 45 (ジェット束).

10 細分束・細分関係

11 おまけ─0-コサイクル付き被覆─

可微分多様体の微分構造は0-コサイクル付き開被覆、つまり0-チェックコサイクルと考えることができる。 しかしながらその「係数」が何であるか、そして何であるべきかはよくわからない。一説にはそれは擬群(pseudo-group)であると云う。 そしておそらく抽象束の係数も位相群GではなくGを含むようなより大きいものが「本来の束構造」の係数である気がする。実際ここまで述べてきた抽象束は(一般には非可換な)層を係数として考えたほうが自然に思える。 実際Gに値を取る関数の層と、Gに値に取る局所定数層とでは、そこから誘導される束がだいぶ違ったりするのでそいう違いが計れるので便利。しかしそうした(一般には非可換な)層が一番良い係数なのかは判断しかねる。 また2-コサイクルに対応する位相空間上の構造物もあるらしいがよくわからない。 高次のコサイクルはなんかもうよく知らん。非可換コホモロジーとかいうものが関係しているらしい。

References

  • [1] フーズモラー
  • [2] スティーンロッド
  • [3] Dold, Partition of unity in the theory of fibrations