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論文メモ:連結ハウスドルフ可算空間のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

連結ハウスドルフ可算空間
— 月の裏側 —

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年7月26日

月の裏側にはサンタクロースがいるらしい. 見たことはないんだが信じたことはある.

ウリゾーンの補題の神話: ウリゾーンの補題というものは位相空間が正規ならば 連続関数が豊富に存在するという定理であり,さらには特徴づけにもなっているので 正規空間の性質を十分に反映している. ウリゾーンはこの補題を連続体 —この連続体という用語は古語であり,現代風にいうとコンパクト連結距離空間である— に対して始めて証明しその後正規空間に対して証明した. それではこの補題はなんの定理のための補題であったのだろうか.補題は何かの定理のための準備であり,それはまるで太陽の光を反射して輝く月である. 太陽とは,連続体,すなわち連結コンパクト距離空間の濃度の決定であった.ウリゾーンは 退化していない(2点以上含む)連続体の濃度が 20となることを証明するために ウリゾーンの補題を証明したのであった. そのような連続体をXとすると2点以上含むのでウリソーンの補題から X上の連続関数f:X[0,1]が存在して {0,1}f(X)となるものが存在することに注意しよう.するとf(X)[0,1]の連結部分集合で然るべきなので f(X)=[0,1]となり, t[0,1]に対して f(pt)=tとなるptをとってくると Xの濃度が下から20 で抑えられることがわかる. 上からの評価はまあ初等的であるから Xの濃度が決定されるというわけである. ここでコンパクト性はXが正規であることを導出することのみに使われているので,上の証明においてコンパクト性を 正規性に変えても下からの濃度の評価は変わらない. さて,正規空間の上の関数の豊富さと,それを利用しての 連続体の濃度の決定をしたウリゾーンは この定理の「裏側」はどうなっているのか疑問に持ったのだろう. 連結コンパクトな距離空間は必ず連続体濃度をもってしまう,それでは可算な連結ハスドルフ空間は存在するのか? という疑問にウリゾーンはたどり着いた. ここで補足をしておくと連結可算な 正則空間は存在しないことに注意しよう.なぜならそのような空間は正規空間になり(一般にリンデレフかつ正則なら正規である), 上で述べた議論から その空間は連続体濃度以上の濃度持つからである.

月の裏側: そして実際にウリゾーンはそのような連結で可算な空間を構成したのである. ここで連結ハウスドルフ可算空間Xはウリゾーンの補題の正反対の性質を満たすことに注意しよう.つまり連続関数 f:Xは常に定数である.このことは f(X)の中で連結でありさらに可算集合であることからわかる.の部分集合でそのようなものは一点集合しかない.よって連結ハウスドルフ空間は 実連続関数が全然豊富ではない空間になっている.

この文章では連結ハウスドルフで可算な空間の構成に関する論文を紹介していく.

1 本文

全部を読んだわけでもないし, 読んだとしても詳細に読んだわけではないが,ささやかながら 連結ハウスドルフ可算空間に関する論文を紹介していく.

1.1 概要

連結ハウスドルフ可算空間は,ドイツ語が読めなくて, この文章の筆者は読んでいないが [35] によって初めて構成されたらしい.

参考文献の中にある論文の中で一番簡単な構成は [5]だと思う. 手短に連結ハウスドルフ可算空間の存在を実感したいのであれば, これを読むと良い. これはまた, いわゆる1ページ論文でもある. Bingは上半平面の可算稠密集合におおよそ x軸上にあるへんな近傍系を定義して 連結ハウスドルフ可算空間を構成した.

位相空間がUrysohn空間であるとは,異なる二点に対し各々の交わらないような閉近傍が存在することを言う. 論文 [14]ではウリゾーンが構成したものより条件を強めて連結なUrysohn空間でかつその上の実連続関数が常に定数となるような可算空間を構成している.

1.2 整数上の位相

次に整数の上に連結ハウスドルフ可算空間を構成した論文を紹介したい. その前にFurstenberg の素数の無限性の証明というものに言及せざるを得ない. Furstenberg [10] は整数の上に等差数列を使った位相を導入し, その位相空間Fの性質を使って素数の無限性を証明した. このFurstenbergの空間F0次元なので全然連結ではないことに注意しよう.またFは距離化可能空間であることにも注意しよう.有理数の集合の位相的特徴づけを用いるとFと同相であることがわかる.全然連結ではない.論文 [22]ではこの空間Fの上の具体的な距離を導入している.その距離は言うなれば“n!-進距離”のようなものでちょっと面白い (多分[21] はこの論文のプレプリント). さてそれを踏まえた上で, Furstenbergにより等差数列を使うと 常に変な位相が導入できることがわかったのだが,その方向性で研究をした人たちがいた. Brown [8]と Golomb, [12]による構成も鮮やかで, 整数の上に件の条件を満たす位相を構成している. 論文 [11][9]も参照のこと. 連立合同方程式に関する知識があればその構成はよく理解できると思う. Kirch [19]は彼らの構成をもう一歩推し進めて局所連結性をも充たす連結ハウスドルフ位相を整数の上に構成している. おそらくこの整数の上の奇妙な諸位相に関する話題は もはや一大分野を築けるくらいに膨れ上がっているのかも 知れない.

1.3 コホモロジー論

一般にパラコンパクトハウスドルフ空間に関しては H1(X;)[X,S1] が成り立つことが知られている. ここでH1(X;)Xの一次コホモロジーで, [X,S1]Xから円周S1 への連続写像のホモトピー同値類からなる群である. 論文 [7] では,上で述べた同型にはパラコンパクトという条件が外せないことを示している. 論文[7]の本文ではないけれども, リマークにおいて連結ハウスドルフ可算空間Yから輪っかを作るような構成でY という別の連結ハウスドルフ可算空間を構成してそれが H1(Y;)[Y,S1] を満たすことを述べている. また論文[25] では上で構成されたY の詳細な分析を行なっているらしいが, どうやらスペイン語で書かれているらしく, しかも 掲載 雑誌も手に入りづらい感じなので, この文章の筆者は未確認である.

1.4 追記

他の論文については詳細に読んでないので省略する. この参考文献以外にもなぜだか知らないが 連結ハウスドルフ可算空間に関する 論文はたくさんあることに留意されたい.

References