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ルベーグスティルチェス積分についてのLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

Lebesgue–Stieltjes Measure

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文章ではLebesgue–Stieltjes測度を構成してゆく. つまり以下の定理を証明する.

定理 1.

ϕ:を右連続な非減少関数とする.このとき, 上の測度μϕで, 任意のa,b[,]a<bを満たすものに対して

μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

となるものが存在する.

1 Riesz–Markov–Kakutaniによる方法

以下の内容については[2][3]を読んでも良い.

定義 2.

Xを局所コンパクトハウスドルフ空間とする. このときX上の測度μがRMK測度であるとは以下の条件を満たすときにいう

  1. (1)

    μ[0,]に値をとるボレル測度である.

  2. (2)

    Xの任意のコンパクト集合Kについてμ(K)<

  3. (3)

    Xの任意のボレル集合は外部正則である.つまり μ(E)=inf{μ(V)|V𝔒XEV}が成り立つ.ここで𝔒XXの開集合系である.

  4. (4)

    Eが開集合もしくはμ(E)<ならばEは コンパクト正則である.つまり, μ(E)=sup{μ(K)|KCpt(X)KE} が成り立つ.ここでCpt(X)Xのコンパクト集合全体である.

X上のRMK測度全体をM(X)と書くことにする X上の符号付き測度で二つのRMK測度の差で表されるもの全体をS(X)と書くことにする.

定義 3.

Xを位相空間とする. このとき C(X)X上の実連続関数全体の集合を表す・ Cb(X)X上の有界実連続関数全体の集合を表す. また,Xが距離空間で距離関数dを備えているとき, Cu(X)X上の(dに関して)一様連続な実関数全体を表す.dを明示的に書いていないが,以下では紛れがないので心配は無用である. また,以下ではCb(X)にはsupノルムが備わっているとする.

以下の定理はRiesz–Markov–Kakutaniの表現定理の一つの形態である.

定理 4.

Xをコンパクトハウスドルフ空間とする. このとき

Cb(X)=C(X)=S(X).

である. より詳しく述べると,μCb(X)に対して 二つのRMK測度αβが(差を除いて)一意的に対応して, 任意のfCb(X)に対して

μ(f)=Xf𝑑αXf𝑑β

が成り立つ. 特に非負なμCb(X)つまり f0ならばμ(f)0を満たすようなμ は通常の意味での測度(非負の値しか取らない測度) に対応する.

定義 5.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. このとき, 任意のnに対して Lϕ,n:Cc() を以下のように定義する.

Lϕ,n(f)=i=f(i2n)(ϕ(i2n)ϕ(i12n))

と定義する.fの台がコンパクトなので,これは有限和である.

補題 6.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. 任意のfCc()に対して limnLϕ,n(f)が存在する.

証明.

M>0supp(f)[M,M]を満たすものとし, C=ϕ(2M)ϕ(2M)とする. 任意にε>0を与える. このときfは一様連続なので,あるδ が存在して, |xy|<δならば|f(x)f(y)|<ε/Cを満たす. N2N<δとすると, N<m<nをみたすn,mについて, {ai}0k<2nmならば ai+k=ai とし,ak(2nm)=k と定義すると,

Lϕ,m(f)i=f(ai2n)(ϕ(i2n)ϕ(i12n))

となるから,

|Lϕ,n(f)Lϕ,m(f)| =i=|f(i2n)f(ai2n)|(ϕ(i2n)ϕ(i12n))
<εCi=(ϕ(i2n)ϕ(i12n))ε

を得る. つまり,{Lϕ,n(f)}n はコーシー列なので, limnLϕ,n(f)が存在する. ∎

定義 7.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. このとき, Lϕ:Cc()

Lϕ(f)=limnLϕ,n(f)

と定義する.

補題 8.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. このときLϕ は正値線形形式である.

証明.

Lϕ,nが正値線形形式だからその極限で定義される Lϕもそうである.

定義 9.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. 上の補題 8 とRMKから, Lϕに対応する RMK測度が存在する. これをμϕと書くことにする. もちろん

Lϕ(f)=f𝑑μϕ

が成り立つ.

命題 10.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. このとき 任意のa,b[,]a<bを満たすものに対して

μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

が成り立つ.

証明.

まず最初に, a,bs,tN0 を使って a=s/2N, b=t/2N と表される場合に等式を証明する. n0N<nとして, cn=(s2nN+1)/2N, dn=(t2nN+1)/2N とおく. このときfnCc()を以下のように定義する.

fn(x)={1cna(xa)if x[a,cn]1if x[cn,b]1dnb(xdn)if x[b,dn]0o. w.

すると,nのときfnχ(a,b] なので,

μϕ((a,b])=limnfn𝑑μϕ=limnLϕ(fn)

である. m>nとして, Lϕ,m(fn)を計算する.

|Lϕ,m(fn)(ϕ(b)ϕ(a))|(ϕ(dn)ϕ(b))+(ϕ(cn)ϕ(a))

となるので特に

|Lϕ(fn)(ϕ(b)ϕ(a))|(ϕ(dn)ϕ(b))+(ϕ(cn)ϕ(a))

である. ϕは右連続なので,nのとき右辺は0に近づくから,

limnLϕ(fn)=ϕ(b)ϕ(a)

よって

μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

がわかる.a,bが一般の場合には,測度論を使えばわかる. つまり, anbns/2N (s,N0)の形で表される数で a<anb<bnを満たし limnan=alimnbn=b を満たすものとする. すると n0m0(an,bm]=(a,b] なので,有限測度に関する極限公式とϕの右連続性を使えば μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a) がわかる. ∎

2 分位関数を使う方法

この節では, Lebesgue–Stieltjes測度の存在を Quantile function(分位関数)を使って証明する. ただし,通常のLebesgue測度の存在は前提とする点には注意しよう.

定義 11.

ϕ上の右連続な単調増加関数とする. このとき, Iϕ=[infϕ,supϕ]と定義する (ここでわざわざとの共通部分をとっているのは, supinfの値を取る場合を見越してのことであり,そうでない場合には余計なものである). ϕ分位関数Qϕ:Iϕを以下のように定義する.

Qϕ(w)=inf{xwϕ(x)}

分位関数のことを一般化した逆関数と呼んだりもする.

補題 12.

任意のwIϕxについて wϕ(x)Qϕ(w)x は同値である.

証明.

まずwϕ(x)を仮定する. このときQϕの定義から Qϕ(w)xである.

逆にQϕ(w)xを仮定する. このときϕの右連続性から {zwϕ(z)} は閉集合であるから この集合のinfであるQϕ(w)も この集合に属する.よって wϕ(Qϕ(w))である. 今,Qϕ(w)xと仮定しているので, ϕの単調性からwϕ(x)である. ∎

系 13.

xを固定すると

{wIϕQϕ(w)x}={wIϕwϕ(x)}

が成り立つ.

補題 14.

ϕ上の右連続な単調増加関数とする. このとき任意のyIϕについて yϕ(Qϕ(y))が成り立つ. また,任意のxについて Qϕ(ϕ(x))xが成り立つ.

証明.

まず当然Qϕ(y)Qϕ(y)なので 先の補題からyϕ(Qϕ(y))が成り立つ. また,当然ϕ(x)ϕ(x)なので,当然 Qϕ(ϕ(x))xが成り立つ. ∎

補題 15.

ϕ上の右連続な単調増加関数とする. このとき Qϕは右連続な単調増加関数 である.

証明.

記述を簡単にするためにQ=Qϕと書くことにする. Qの単調性は定義から従う.

wを任意に固定する. supy<wQ(w)=xとおく. すると xQ(w)である. y<wとなるyを任意にとる. 今x<Q(w)と仮定して ϵ=(Q(w)x)/2とする. ここで,もしもwϕ(xϵ) とするとQ(w)xϵ<xとなるがこれは仮定に反するのでϕ(xϵ)<wである. さらに,Q(y)Q(w)より, Q(y)+ϵxϵが成り立つ. よって yϕ(Q(y))ϕ(Q(y)+ϵ)ϕ(xϵ)<wである. ゆえにwϕ(xϵ)<wとなって矛盾する. つまりQ(w)=xであり,Qの左連続性が示された. ∎

まず最初にϕが有界な場合にLebesgue–Stieltjes測度を構成する.

定理 16.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. さらにϕは有界であると仮定する. このとき, 上の測度μϕで, 任意のa,b[,]a<bを満たすものに対して

μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

となるものが存在する.

証明.

Iϕ上の通常のルベーグ測度を νと書くことにする. そしてμ=(Qϕ)νと書くことにしよう. ここでQϕは左連続だから特にボレル可測であることに注意しよう. このμが求めている測度であることを以下で証明しよう. まず任意のxについて μ((,x])=ν(Qϕ1((,x])) であるが,

Qϕ1((,x])={wIϕQϕ(w)x}={wIϕwϕ(x)}

であるから, μ((,x])=ϕ(x)infϕである. ϕが有界なので,この値は有限の値であることに注意しよう. よって

μ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

となる. ∎

次にϕが一般の場合にLebesgue–Stieltjes測度を構成しよう.

定理 17.

ϕ:を右連続な非減少関数とする. このとき, 上の測度μϕで, 任意のa,b[,]a<bを満たすものに対して

μϕ((a,b])=ϕ(b)ϕ(a)

となるものが存在する.

証明.

nについてϕni:ϕn(s)=min{max{ϕ(s),n},n}と定義する. これは

ϕn(s)={nnϕ(s)のときϕ(s)nϕ(s)<nのときnϕ(s)<nのとき

と書いても同じことである. この関数ϕnは有界で右連続な単調関数になっている. よって先の定理から 各nについて

μn((a,b])=ϕn(b)ϕn(a)

となる測度μnが存在する. ϕnは右連続なので二つの集合 {snϕ(s)}{snϕ(s)} には最小元が存在する. ϕは単調増加なので mnMnである. それをそれぞれ Mn, mnと書くことにする. まず 任意のnA𝔅()について μn(A)=μn(A[mn,Mn])が成り立つことを示そう. この式が成り立つA全体を𝔖とおく. すると𝔖(a,b]の形の集合を全て含んでいる. 𝔖λ系であることを示そう. X𝔖 (λ1)𝔖が単調な族について閉じている(λ2) ことは簡単にわかる. μn(BA)=μn(B)μn(A)=μn(B[mn,Mn])μn(A[mn,Mn])=μn((BA)[mn,Mn]) なので(λ3)も成り立つ. よってπ-λ定理によって, 𝔖=𝔅()となることがわかる.

同様にして, 任意のnA𝔅()について

μn(AIn)=μn+1(AIn)

となることがわかる.

次に任意のnA()について μn(A)μn+1(A) となることを示す. まずIn=[mn,Mn]と置くと,定義から InIn+1となることがわかる. よって μn(A)=μn(AIn)=μn+1(AIn)μn+1(AIn)+μn+1(A(In+1In))=μn+1(AIn+1) なので成り立つ.

関数 μ:𝔅()[0,]μ(A)=limnμn(A)と定義する. μnの単調性からこの極限は存在する. このμがあの式を満たすことはϕnϕに各点収束することからわかる. μが測度であることを示そう.完全加法性を示せば良い. に関する単調収束定理,つまり数え上げ測度に関する 単調収束定理から

μ(i0Ai) =limnμn(i0Ai)=limni=0μn(Ai)=i=0limnμn(Ai)
=i=0μ(Ai)

よってμは完全加法的である. 以上で一般のϕに対しても Lebesgue–Stieltjes測度が存在することがわかった. ∎

3 おまけ:についてのProkhorovの定理

に対するProkhovの定理はHellyの選出定理を使えば比較的簡単に示せるので,おまけとして紹介する.

以下の定理の証明は[1]などを参考にしても良い.

定理 18 (Hellyの選出定理).

{Fn}n[0,1]に値をとる右連続な非減少関数の列とする.このとき部分列{Fϕ(n)}とある右連続な非減少関数Fが存在してFの連続点x毎に

limnFϕ(n)(x)=F(x)

を満たす.

定理 19 (についてのProkhorovの定理).

𝒮𝒫()とする. このとき以下は同値である.

  1. (1)

    𝒮は相対コンパクトである.

  2. (2)

    𝒮は緊密である.

証明.

相対コンパクト性から緊密性を示す.

ϵ(0,1)mμ𝒮μ((m,m))1ϵ

を示そう. 背理法による.

ϵ(0,1)mμ𝒮μ((m,m))<1ϵ

を仮定する. 各mについて対応する測度をμm とかく. このとき,𝒮のコンパクト性から, 部分列{mi}{μi} が存在してxmiならば

μi((x,x))<1ϵ

μiμ

が成り立つ. そして弱収束していることとmiから 任意のxについて

μ((x,x))lim infiμi((x,x))1ϵ

が成り立つが,xとすると, 11ϵとなるので矛盾する.

今度は逆を示そう. 𝒮 は緊密であるとする.このとき

NMNμ𝒮μ([MN,MN])12NMNN

が成り立つ. 𝒮内の部分列{μn}nをとる. μnの分布関数をFnと書くことにする. このとき, Hellyの選出定理から Fnの部分列と単調非減少関数Fで, Fの連続点について 各点収束する. 緊密性から,MNxを満たすxについて

1Fn(x)Fn(x)12N

であり,Fの不連続点は高々可算個しかないので, xを連続点としてnとすると,

1F(x)F(x)12N

が成り立つ.x とすると,

limx(F(x)F(x))=1

が成り立つ. また,limxF(x)=0Fnの収束先であることからすぐわかるので, この文章の前半で頑張って示した内容から Fはある確率測度μの分布関数になる. つまり,μnμとなるので,𝒮が相対コンパクトであることがわかる. ∎

References

  • [1] はてなブログ電波通信の記事 「Helly空間とHellyの選出定理」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2021/03/25/100947
  • [2] はてなブログ電波通信の記事 「リース・マルコフ・角谷の表現定理の証明(入射角16.225°の測度論入門2)」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2015/10/28/213025
  • [3] はてなブログ電波通信の記事 「Riesz-Markov-Kakutaniの表現定理II」, https://concious4410.hatenablog.com/entry/2020/02/02/213341
  • [4] 伊藤清三,「ルベーグ積分入門」, 1963年, 裳華房.
  • [5] 船木直久, 「確率論」, 講座・数学の考え方 20,2004, 朝倉書店.