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滑らかな関数の鏡像拡張と,境界付き多様体の座標変換のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

C∞関数の鏡像拡張

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年7月26日

1 準備

定義 1.

k,l∈ℤ≥1 とし,U⊂ℝkを開集合とする. そしてf:U→ℝlとする. このときfがa∈Uで 全微分可能 であるとは 線型写像111本来は接空間の間の線型写像A:Ta⁢U→Tf⁢(a)⁢ℝlと書くべきかもしれないが,解析学だとユークリッド空間とその接空間を同一視する.また線型写像ではなく,行列と言ってもよい.なぜなら有限次元空間の間の線型写像は行列と同一視されるからである. A:ℝk→ℝl が存在し

limx→a,x≠a|f⁢(x)−f⁢(a)−A⁢(x−a)||x−a|

が成り立つときにいう. このときfは点aにおいて 任意の方向に偏微分可能であり,さらに Aは行列として

A=(∂fj∂xi⁢(a))i=1,…,k,j=1,…,l

と表される. このAのことをfの導関数であるとか ヤコビ行列だとか呼ぶ. ここで f=(f1,…,fl)と定義する. そしてこのAをこの文章では A=(𝐃⁢f)⁢(a)と表す.

定義 2.

k,l∈ℤg⁢e⁢1 とし,U⊂ℝkを開集合とする. そしてf:U→ℝlはC1級とする. このとき関数ef:U×U→ℝl を

ef⁢(x,y)=f⁢(x)−f⁢(y)−(𝐃⁢f)⁢(y)⁢(x−y)

と定義する. この関数は連続関数であることに注意しよう. そして U×U上の 関数E:U×U→ℝlを

Ef⁢(x,y)={ef⁢(x,y)|x−y|x≠y⁢;0x=y

と定義する.

この定義のもと次が成り立つ.

補題 3.

k,l∈ℤ≥1 とし,U⊂ℝkを開集合とする. そしてf:U→ℝlをC1級とする. このとき任意のa∈Uについて

limx→a,x≠ae⁢(x,a)|x−a|=limx→aE⁢(x,a)=0.

が成り立つ.

証明.

全微分可能性の定義から明らか. ∎

初等的な事実として以下が成り立つ.

定理 4.

k,l∈ℤg⁢e⁢1 とし,U⊂ℝkを開集合とする. そしてf:U→ℝlとする. このとき fをC1級ならば fはU内の任意の点で全微分可能である. またこのとき𝐃⁢f:U→ℝk×l; x→(𝐃⁢f)⁢(x) は連続写像である.

以下は多変数関数に関する平均値の定理である.

補題 5.

k∈ℤ≥1 とし,U⊂ℝkを開集合とする. そしてf:U→ℝをC1級とする. 2点x,y∈Uに関して xとyを結ぶ直線がUに含まれていると仮定する. すなわち任意のt∈[0,1] についてt⁢x+(1−t)⁢y∈Uということである. このとき, xとyを結ぶ直線上の点zが存在して

f⁢(x)−f⁢(y)=∑q=0k∂qf⁢(z)⁢(xq−yq)

が成り立つ.

証明.

関数F:[0,1]→ℝ を F⁢(t)=f⁢(t⁢x+(1−t)⁢y) と定義する. このときFは[0,1]上連続で (0,1)上では微分可能である. よって一変数の平均値の定理により F⁢(1)−F⁢(0)=F′⁢(s) となるs∈(0,1)が存在する. z=s⁢x+(1−s)⁢yとおく. ここで合成関数の微分の公式から F′⁢(s)=∑q=1k∂qf⁢(z)⁢(xq−yq) となるので,結局

f⁢(x)−f⁢(y)=∑q=1k∂qf⁢(z)⁢(xq−yq)

となる. ∎

補題 6.

m∈ℤ≥0 とする.ℝm 上の連続関数からなる族 {fn}n∈ℤ≥0 は関数g:ℝm→ℝ に広義一様収束しているとする. このとき ℝmの任意のコンパクト集合K と正の数ϵ∈(0,∞) に対してδ=δ⁢(K,ϵ)∈(0,∞) が存在して以下を満たす. もしx,y∈Kが∥x−y∥≤δ を満たすならば任意のnについて |fn⁢(x)−fn⁢(y)|≤ϵ と |g⁢(x)−g⁢(y)|≤ϵ が成り立つ.

証明.

まず, 各fnは連続であり,gに広義一様収束しているので gは連続である. ゆえに gはK上で一様連続である. よって あるδ1∈(0,∞)が存在して x,y∈Kが ∥x−y∥≤δ1を満たすならば|g⁢(x)−g⁢(y)|≤ϵ/3 が成り立つ. さて{fn} はgに広義一様収束しているので特にK上では gに一様収束している. つまり十分大きいN∈ℤ≥0 についてn>Nを満たすnについて 任意のx∈K について|g⁢(x)−fn⁢(x)|≤ϵ/3 が成り立つ. さて,{0,…,N} は有限集合であり, f0,…,fNはK上で一様連続になるので,十分小さいδ2∈(0,∞) をとれば,もしx,y∈K が|x−y|≤δ2 を満たすならば任意のi∈{0,…,N}について |fi⁢(x)−fi⁢(x)|≤ϵ が成り立つ. ここでδ=min⁡{δ1,δ2}とする. そして x,y∈Kが|x−y|≤δ を満たすとする. このときδ≤δ2 なのでi∈{0,…,N} について |fi⁢(x)−fi⁢(y)|≤ϵ となる. n>Nとなるnについては δ≤δ1なので

|fn⁢(x)−fn⁢(y)|=|fn⁢(x)−g⁢(x)|+|g⁢(x)−g⁢(y)|+|g⁢(y)−fn⁢(y)|≤3⋅ϵ3=ϵ

が成り立つ. これで補題が示された. ∎

注意.

おそらく,コンパクト開位相におけるコンパクトな族は 定義域内のコンパクト集合を与えるとその上で 同程度一様連続になるという定理があるのだと思われる.

命題 7.

m∈ℤ≥1 とする. 任意のn∈ℤ≥0 に対してfn:ℝm→ℝ を関数とする. 以下を仮定する.

  1. 1.

    各点x∈ℝmについて limn→∞fn⁢(x)が存在する. 以下ではf⁢(x)=limn→∞fn⁢(x)とおく.

  2. 2.

    各fnは各q∈{1,…,m}について xq方向に偏微分可能であり,さらに ∂qfnはℝm上で連続である.

  3. 3.

    各点xについて limn→∞∂fn⁢(x) は収束し, さらにℝm 上で広義一様収束する.

このときf全微分可能である. 特に 各xq方向に偏微分可能であり, さらに任意のqとx∈ℝmについて ∂qf⁢(x)=limn→∞∂qfn⁢(x)が成り立つ.

証明.

まずfnがfに広義一様収束していることをみよう. ℝmの閉球体上で一様収束すること証明すれば十分である. δ∈(0,∞)を任意に取る. B⁢(0,δ)上で一様収束することをこれから示す. 仮定の1, 2から, 十分大きいN∈ℤ≥0を取ると 任意のi,j>Nについてと 任意のq∈{1,…,m}について

supx∈ℝm|∂qfj⁢(x)−∂qfi⁢(x)|≤ϵ2⁢m⁢δ

と

|fi⁢(0)−fj⁢(0)|≤ϵ/2

が成り立つ. (収束するので特にコーシー列になる).

k,l∈ℤ≥0をk,l>Nとなるようにとる. このとき 補題5より x∈B⁢(a,δ)を任意に取ると aとxを結ぶ直線上の点zとwが存在して

(1) fk⁢(x)−fk⁢(a)=∑q=1m∂qfk⁢(z)⁢xq
(2) fl⁢(x)−fl⁢(a)=∑q=1m∂qfl⁢(w)⁢xq

が成り立つ. このとき|xi|≤∥x∥≤δなので

|(fk⁢(x)−fk⁢(a))−(fl⁢(x)−fl⁢(a))|≤∥x∥⋅∑q=0m|∂qfk⁢(z)−∂qfl⁢(w)|≤ϵ/2

が成り立つ. よって|fk⁢(0)−fl⁢(0)|≤ϵ/2なので

|fk⁢(x)−fl⁢(x)|≤ϵ.

が成り立つ. l→∞とすると

|f⁢(x)−fl⁢(x)|≤ϵ

なのでfnがfにB⁢(a,δ)上 一様収束している ことがわかる. よってℝm上で fnはfに広義一様収束する.

さて任意のq∈{1,…,m} について limn→∞∂qfn⁢(x) をGq⁢(x)と書くことにする. 各∂qfnが連続なので Gqも連続である.

さて

R⁢(x,y)=f⁢(x)−f⁢(y)−∑q=1mGq⁢(y)⁢(xq−yq)

とする.今から 任意に固定したa∈ℝmについて

limx→a,x≠aR⁢(x,a)∥x−a∥=0

となることを証明しよう.

まずK=B⁢(a,1) とおく. x∈K∖{a}を任意に取る. 各n∈ℤ≥0について 補題 5より xとaの間の点zn が存在して

fn⁢(x)−fn⁢(a)=∑q=1m∂qfn⁢(zn)⁢(xq−aq)

が成り立つ. ここで必要ならば部分列をとり, znはzに収束するとしてもよい. このzはaとxを結ぶ直線の上の点である.

補題6より, ϵ∈(0,∞) を与えたとき, δ=δ⁢(ϵ)∈(0,∞) が存在して x,y∈B⁢(a,1)が|x−y|≤δ を満たすならば任意のn∈ℤ≥0 とq∈{1,…,m}について |∂qfn⁢(x)−∂qfn⁢(y)|≤ϵ である.特に|Gq⁢(x)−Gq⁢(y)|≤ϵ もわかる.

ここでB⁢(a,1)上で ∂qfn⁢(z)は Gq に一様収束しているの十分大きいnについて |Ga⁢(z)−∂qfn⁢(z)|≤ϵ である. そしてnを十分大きく取れば∥zn−z∥≤δ となるので, |∂qfn⁢(z)−∂qfn⁢(zn)|≤ϵ となる. よって

|Gq⁢(z)−∂qfn⁢(zn)|≤|Ga⁢(z)−∂qfn⁢(z)|+|∂qfn⁢(z)−∂qfn⁢(zn)|≤2⁢ϵ

なので特にlimn→∞∂qfn⁢(zn)=Gq⁢(z)である. よって

f⁢(x)−f⁢(a)=∑q=1mGq⁢(z)⁢(xq−aq)

である. 従って,x∈B⁢(a,1) が∥x−a∥≤δ を満たすならば

|R⁢(x,a)| =|∑q=1mGq⁢(z)⁢(xq−aq)−∑q=1mGq⁢(a)⁢(xq−aq)|≤∥x−a∥⁢∑q=1m|Gq⁢(z)−Gq⁢(a)|
≤m⁢ϵ⁢∥x−a∥

が成り立つので,

limx→aR⁢(x,y)∥x−a∥=0

である. これはfが全微分可能であり, さらに ∂qf=Gq=limn→∞∂qfn ということを意味する. ∎

命題 8.

m∈ℤ≥1 とする. 任意のn∈ℤ≥0 に対してfn:ℝm→ℝ を関数とする. 以下を仮定する.

  1. 1.

    各点x∈ℝmについて ∑n=0∞fn⁢(x)が存在する. 以下ではf⁢(x)=∑n=0∞fn⁢(x)とおく.

  2. 2.

    各fnは各q∈{1,…,m}について xq方向に偏微分可能であり,さらに ∂qfnはℝm上で連続である.

  3. 3.

    各点xについて ∑n=0∞∂fn⁢(x) は収束し, さらにℝm 上で広義一様収束する.

このときf全微分可能である. 特に 各xq方向に偏微分可能であり, さらに任意のqとx∈ℝmについて ∂qf⁢(x)=limn→∞∂qfn⁢(x)が成り立つ.

証明.

各n∈ℤ≥0に対し Fn:ℝm→ℝ を Fn⁢(x)=∑k=0nfn⁢(x) と定義すると, {Fn}n∈ℤ≥0 は命題 7 の仮定を満たすので, 定理が成り立つ. ∎

2 本文

定理 9 (ファンデルモンドの行列式).

n∈ℤ≥1とする. このとき任意のx1⁢…,xn∈ℝ に対して

|1x1x12…x1n−11x2x22…x2n−1⋮⋮⋮⋱⋮1xnxn2…xnn−1|=|11…1x1x2…xnx12x22…xn2⋮⋮⋱⋮x1n−1x2n−1…xnn−1|=∏i<j(xj−xi)

が成り立つ.

補題 10 (クラメルの公式).

n∈ℤ≥0 とする.Aをn次の可逆な正方行列として

A=(a11a12…a1⁢na21a22…a2⁢n⋮⋮⋱⋮an⁢1an⁢2…an⁢n)

とする. bをn次元の縦ベクトルとして

b=(b1b2⋮bn)

とする. このとき 線形方程式 A⁢x=bの解は xの第i成分をxiとして

xi=det(Ai)det(A)

で表される. ここでAi はAの第i列目の成分をbに置き換えた行列である.

補題 11.

以下の条件を満たす二つの実数列{ai}i∈ℤ≥0 と{bi}i∈ℤ≥0が存在して以下を満たす.

  1. 1.

    任意のiについてbi<0を満たす.

  2. 2.

    任意のn∈ℤ≥0について ∑i=0∞|ai|⁢|bi|n<∞を満たす.

  3. 3.

    任意のn∈ℤ≥0について ∑i=0∞ai⁢(bi)n=1を満たす.

  4. 4.

    limi→∞bi=−∞が成り立つ.

証明.

各k∈ℤ≥0に対して bk=−2k と定義する. そしてak,N を ∑k=0NXk⁢(bk)n=1 の解とする. つまりN+1次の行列

A=(11…1b0b1…bNb02b12…bN2⋮⋮⋱⋮b0Nb1N…bNN)

と全ての成分が1であるN+1次元の縦ベクトル

u=(1⋮1)

についての線形方程式 A⁢x=u の第k成分をak,N とする. するとクラメルの公式からak,N は

ak,N=det(Ak)det(A)

と表される. ここでAkはAの第k列をuに変えた行列である. 今からこの量を具体的に表示しよう. まずAk を

Ak=(11…1c0c1…cNc02c12…cN2⋮⋮⋱⋮c0Nc1N…cNN)

と表示する. このときi≠kならばci=bi であり,i=kの時はck=1である.

さて,まずdet(A) はファンデルモンドの行列式の公式が使えて

det(A)=∏i<j(bj−bi)=∏i<j(2i−2j)

となる. また det(Ak) もファンデルモンドの行列式が適応できる行列の形になっている.よって第k列の成分がuになっていることに気をつけると

det(Ak)=∏i<j(cj−ci)=∏i<j,i≠k,j≠k(bj−bi)⁢∏j<k(1−bj)⁢∏k<j(bj−1)

すると

ak,N =det(Ak)det(A)
=∏i<j,i≠k,j≠k(bj−bi)⁢∏j<k(1−bj)⁢∏k<j(bj−1)∏i<j,i≠k,j≠k(bj−bi)⁢∏j<k(bk−bj)⁢∏k<j(bj−bk)
=∏j<k(1+2j)⁢∏k<j(−2j−1)∏j<k(−2k+2j)⁢∏k<j(−2j+2k)
=∏j=0k−1(1+2j)2j−2k⁢∏i=k+1N1+2j2j−2k

となる. 今ここで βkを

βk=∏j=0k−11+2j2j−2k

とし, γk,Nを

γk,N=∏j=k+1N1+2j2j−2k

とすると

ak,N=βk⋅γk,N

である. さて,ak をak=limN→∞ak,N と定義したいのだが,この極限が存在することを確かめよう. 今からβkと γk,N を上から評価する. まずj∈{0,…,k−1}のとき, 2j≤2kなので

|2j−2k|=2k−2j≥2k−1

なので

|βk| ≤∏j=0k−1(1+2j)⁢2−(k−1)≤∏j=0k−12j+1−(k−1)=∏j=0k−12j+2−k=2∑j=0k−1(j+2−k)
=2k⁢(k−1)2+(2−k)⁢k=2−k2+3⁢k2

次にγk,Nを評価する. γk,Nの各因子について

1+2j2j−2k=1+2k+2j−2k2j−2k=1+1+2k2j−2k

となるj≥k+1のとき 2j−2k≥0に注意しよう. x≥0のとき log⁡(1+x)≤xに注意すると

log⁡(γk,N) =∑j=k+1Nlog⁡(1+1+2k2j−2k)≤∑j=k+1N1+2k2j−2k≤(1+2k)⁢∑j=k+1N2−(j−1)
≤(1+2k)⁢∑j=k+1∞2−(j−1)=(1+2k)⁢2−k+1≤4

となる. つまりkを固定したときγk,N は有界でその絶対値は上からe4で抑えられる. そしてNが増加するごとに1より大きい因子がかけられていくのでγk,NはNが増加するとき単調増加する.つまりγk,NはN→∞のとき収束する.βkはNに依存しないので limN→∞ak,Nは存在する. さらに上での評価から

(3) |ak|≤e4⁢2−k2+3⁢k2

という不等式を得る. ここでbk=−2kなので 各n∈ℤ≥0について

∑k=0∞|ak|⁢|bk|n

は有限の値に収束する. N≤kのときにはak,N=0と暫定的に置いてやると ak,Nの定義から各n∈ℤ≥0について

∑k=0ak,N⁢bkn=1

が成り立つ. |ak,N|≤|ak| なので優収束定理が使えて

∑k=0ak⁢bkn=1

となる. よって 数列{ak}k∈ℤ≥0 と{bk}k∈ℤ≥0は条件を満たす. ∎

定義 12.

n∈ℤ≥1とする. 集合S+n を

S+n=ℝn×(0,∞)

と定義し, D+nを f∈C∞⁢(S+n) であって,その任意階数の導関数 はℝn×[0,∞) 上に連続関数として拡張できるもの全体とする.

定理 13.

n∈ℤ≥1とする. 数列{ai}i∈ℤ≥0 と{bi}i∈ℤ≥0 を補題11で存在が保証される数列とする. そして ϕ:ℝ→ℝ をC∞関数であって t≤1のときϕ⁢(t)=1で 2≤tのときϕ⁢(t)=0となるものとする. このとき f∈D+nに対してfはℝn×[0,∞) 上に連続関数として拡張できるのでその拡張を同じ記号fで表すことにして

E⁢(f)⁢(x,t)={f⁢(x,t)t≥0∑i=0∞ai⁢ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t)0<t

と定義するとE⁢(f)はℝn+1上でC∞関数で E⁢(f)|S+n=fである.

証明.

各α∈ℤ≥0n+1 についてlimt→+0∂αf⁢(x,t) をGα⁢(x)とする.また, ∂αf⁢(x,0)=Gα と考える.そして 各α∈ℤ≥0n+1 についてEα⁢(f):ℝn+1→ℝを

Eα⁢(f)⁢(x,t)={∂αf⁢(x,t)t≥0∑i=0∞ai⁢∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t))0<t

と定義する. E0=Eに注意しよう.

r∈(0,∞)とし, B⁢(r)={(x,t)∣∥x∥≤r⁢ and ⁢|t|≤r} とする. α∈ℤ≥0n+1を固定する.このとき

∂αϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t) =∑β+γ=α,β≤α,γ≤αbi|β|⁢(∂βϕ)⁢(bi⁢t)⋅bi|γ|⁢(∂γf)⁢(x,bi⁢t)
=bi|α|⁢∑β+γ=α,β≤α,γ≤α(∂βϕ)⁢(bi⁢t)⁢(∂γf)⁢(x,bi⁢t)

である. さて(x,t)∈B⁢(r) とすると2≤bi⁢tならば ϕの定義から∂βϕ⁢(bi⁢t)=0 となる. よってbi→−∞なので (x,t)∈B⁢(r) ならば, iに依存しない定数Mα,r∈(0,∞) が存在して |∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t))|≤Mα,r となる. よって(x,t)∈B⁢(r)ならば |∑iai⁢∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t))|≤Mα,r⁢∑iai⁢bi|α|<∞ なので, ∑iai⁢∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t)) は広義一様収束する.

上の議論から優収束定理が使えて,∑i=0∞ai⁢bim=1なので

limt→−0∑i=0∞ai⁢∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t))=∑i=0∞limt→−0ai⁢∂α(ϕ⁢(bi⁢t)⁢f⁢(x,bi⁢t))
=∑i=0ai⁢bi|α|⁢limt→−0∂αf⁢(x,bi⁢t)=∑i=0ai⁢bi|α|⁢Gα⁢(x)=Gα⁢(x)

を得る. ここでℝn+1×[0,∞)上の関数Uα を

Uα⁢(x,t)={∂αf⁢(x,t)t>0Gα⁢(x)t=0

と定義する. D+nの定義からUα は連続関数である. またℝn×(−∞,0]上の関数Lα を

Lα⁢(x,t)={Eα⁢(f)⁢(x,t)t<0Gα⁢(x)t=0

と定義する.優収束定理よりLα は定義域の上で連続となる. すると定義域の共通点では同じ値を取るので, t≥0ではU⁢(x,t), t≤0では L⁢(x,t)と定義するとこれはℝn+1上の関数として連続になる. そして命題 8を帰納的に適応すると ∂α(E⁢(f))=Eα⁢(f) であることがわかり,これで定理の証明が終わる. ∎

定義 14.

n∈ℤ≥1とする. Mをハウスドルフ空間であって, 各点においてMはℝn×[0,∞) の開集合と同相な開近傍をもつとする. このとき 以下の条件を「条件(B1)」と呼ぶことにする: 開被覆{Ui}i∈I と同相写像 ϕi:Ui→Ui♯⊂ℝn+1×[0,∞) が存在して 任意のi,i′∈Iについて Fi,i′=ϕi′∘ϕi−1はℝn×[0,∞) の開集合ϕi⁢(Ui∩Ui′)で定義された関数であり,尚且つFi,i′は Ui,i′∘=ϕi⁢(Ui∩Ui′)∖ℝn×{0} 上ではC∞であり, Fi,i′|Ui,i′∘ とその任意階数の微分は ϕi⁢(Ui∩Ui′) 上へ連続な拡張を持つ.

また以下の条件を「条件(B2)」と呼ぶことにする: 開被覆{Ui}i∈I と同相写像 ϕi:Ui→Ui♯⊂ℝn+1×[0,∞) が存在して任意のi,i′∈Iについて Fi,i′=ϕi′∘ϕi−1はℝn×[0,∞) の開集合ϕi⁢(Ui∩Ui′)で定義された関数であり,尚且つ ϕi⁢(Ui∩Ui′) を含むℝn+1上の開集合Vi,i′ とその上のC∞級写像Gi,i′:Vi,i′→ℝn+1が存在して Gi,i′ をϕi⁢(Ui∩Ui′)に制限するとFi,i′になり Gi,i′ は滑らかな埋め込みになる.

系 15.

n∈ℤ≥1とする. Mをハウスドルフ空間であって, 各点においてMはℝn×[0,∞) の開集合と同相な開近傍をもつとする. このとき 条件(B1)と条件(B2)は同値である.

References

  • [1] E. Bierstone, Differentiable functions, Bull. Braz. Math. Soc., 11 (2) (1980), 139–189.
  • [2] R. T. Seeley, Extension of C∞ functions defined in a half space, Proc. Amer. Math. Soc., 15 (1964), 625–626.