ユークリッド空間の可算稠密推移性
この文章ではユークリッド空間の 可算稠密推移性を紹介する. つまり,次元ユークリッド空間 の可算稠密集合, が与えられたときに同相写像 が存在して が成り立つことを証明する.
1 準備:の場合
以下の定理の証明は [1]を参照のこと.
定理 1.
最大値及び最小値を持たない可算で自己稠密な線形順序集合は互いに順序同型である。特に有理数と順序同型である。
補題 2.
, を の可算稠密集合とする. このときそして全単射 は順序を保つ写像とする. このときは連続写像になる.
証明.
との番号付けを , として さらに が成り立つようにする.(の番号付けを先に与えて, によっての番号付けを定義すれば良い) 任意にをとり, 任意にを与える. このときであり, の稠密性から が存在して
| (1) |
が成り立つ. このときが順序を保つことから 集合はの開近傍 になる. そして について式 (1)と が順序を保つことから となるので,はで連続である. よっては上連続である. ∎
補題 3.
をの稠密可算集合とし, は最大元を持たず, が とを満たす ならばを満たすときある が存在して を満たす. このとき である.
証明.
とすれば良い. ∎
定理 4.
とをの可算稠密部分集合とする. このとき 順序を保つ写像 は 同相写像で を満たすものに拡張される.
証明.
をの稠密可算集合とすると、 これらはと同型である. よって特にとは順序同型なので その順序同型写像をとする. 適当に, を番号付けして を と定義したときに順序同型になるようにする. 今からこの写像を全体に拡張することを考えよう. について , とする.このときは順序を保つなので , とおくと はがかつを満たすならば を満たし,には最大元が存在しないのであるが存在し となる. 同様に となる.そこでこのを用いてと定義する. ここでもしならばになることに注意しよう. このが連続であることを証明しよう. まず,が順序を保つことを証明しよう.つまり ならばである.これを証明するためにまず という がの稠密性から存在することに注意しよう. すると とが成り立つことからわかる. 特になので なのでが順序を保つことがわかる. このことから特には単射である. 任意にとを取る. するとの稠密性からと が存在して
| (2) |
が成り立つ. 写像が順序を保つことから がわかる.つまり はの開近傍となる.任意の を取るとが順序を保つことと式 (2)から がわかるのでが連続であることがわかる. さて,も同じように拡張を施して 連続写像を得る. このとき任意の について と がわかるのでとの連続性から 任意のについて と がわかるので, は互いに逆写像であるから が同相写像であることがわかる. の定義からなので定理が示された. ∎
2 本文:一般の場合
補題 5.
として とする. そして と およびに対して をとから生成される の線形部分空間とする. このとき集合
はのなかで稠密開集合である.
証明.
に対して を行列 の第列をに変えた行列の行列式を表すことにする. するとは次多項式であり,恒等的にではない. よってとなるは稠密に存在し (多項式に関する一致の定理, [2]を参照のこと), またこのような全体は開集合をなす. そしてと は同値なのでこれで証明が終わる. ∎
と に対してで 基底に関するの第成分を表すとする. つまりである.
定理 6.
とする. をの可算な部分集合でとする. このとき 基底 が存在して, 任意のについて となるものが存在する.
証明.
は の稠密開集合であることに注意しよう. そして
と定義する. すると各は稠密開集合なので ベールの範疇定理からはの稠密集合となる. よってをとれば求める基底になる.なぜならばもしもそうでないとするとあるとについて となるが,これは が張る線型空間にが属していることを意味し, それはを導く.これは に反するので定理が従う. ∎
以下では を単にやなどと書いたりする.
定義 7.
が 一般の位置にあるとは、任意のについて
を満たすことである。集合が一般の位置にあるとは、任意の組が一般の位置にある時に言う。
定義 8.
一般の位置にある二つの組 が 共鳴的に場所取りしているとは、 任意のについて、 とが同じ符号を持つ時に言う。
定義 9.
番号付された二つの高々可算な、有限の場合には同じ濃度を持つ集合が 共鳴的に位置取り しているとは、 任意の組について、とが共鳴的に位置取りしている時に言う。
補題 10.
をの可算部分集合とする。この時、の基底で、これによる座標系においてが一般の位置になるものが存在する。
証明.
に対して 定理6を適応すれば 定理は従う. ∎
命題 11.
,をの可算な稠密集合で、それぞれ一般の位置にあるとする。 この時が共鳴的に位置取りするように番号付けできる。
証明.
帰納的に, という列を以下のように作っていく. まず、, , と定義する。 次にをとが共鳴的に位置取りするような最小の自然数とする。そして、と定義する。が稠密であることから、このようなは存在する。 一般に偶数番までとが構成されたとしよう。つまり、 とが構成されたとしよう。 この時とを以下のように構成する。 自然数を、に属さないの番号の一番小さいものとする。この時と定義する。 次に自然数をとが共鳴的に位置取りする番号の一番小さいものとする。そしてと定義する。
さらにとを以下のように構成する。 自然数はに含まれないの一番小さい番号とする。そしてと定義する。 次に、自然数をとが共鳴的に位置取りしているようになるのうち最小の番号とする。そしてと定義する。
以上の帰納的構成は、が共に稠密であることから可能である。 ∎
定理 12.
をの可算稠密集合とする。 この時、同相写像が存在して、
を充たす。
証明.
適当に基底と番号を取り替えて、, は共鳴的に位置取りしており,とは共に一般の位置にあるとしても良い. 一般に, 一般に と表すことにする.とが一般の一になるように座標をとっているので ならば任意の について かつ となる. 今 に対して , とする.ここでは番目の座標の射影である. するとと はの可算稠密部分集合でさらに共鳴的に番号付けされていることから で定義するとは順序を保つ同型写像になる.(もしとが一般の位置になければ潰れる番号もあるので,このようにを定義しても順序同型にならないし,そもそもが定義できなかったりする.) ここで定理 4より, は同相写像で になるものに拡張できる. いま を と定義しよう. このとき について なのでである. とすればはの逆写像になる. よっては同相写像である. ∎
References
-
[1]
はてなブログ「電波通信」の記事「有理数の順序集合としての特徴付け」
https://concious4410.hatenablog.com/entry/2017/05/07/013312
-
[2]
はてなブログ「電波通信」の
記事「多項式に関する一致の定理」
https://concious4410.hatenablog.com/entry/2022/03/12/160928
- [3] W. Hurewicz and H. Wallman, Dimension theory, Princeton University Press. 1948.