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ルベーグの微分定理と積分の変数変換公式のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

ルベーグの微分定理と積分の変数変換定理

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

1 ルベーグの微分定理

以下ではnにはノルム が備わっているとするが,特に断りのかぎり,具体的に指定しない.

定義 1.

B(a,r)={xnxar} と定義する.

補題 2 (「5r被覆補題」).

X×(0,)とし,空集合ではないとする. そして

supπ2()=sup{rxX(x,r)}<.

が成り立つと仮定する. このとき,部分集合 𝒢 が存在して以下を満たす.

  1. (1)

    もしも (x,r),(x,r)𝒢(x,r)(x,r)を満たすならば, 以下が成り立つ.

    B(x,r)B(x,r)=.
  2. (2)

    以下が成り立つ.

    (x,r)B(x,r)(x,r)𝒢B(x,5r).
証明.

Zornの補題を用いる. 集合𝔖の部分集合𝒮で以下の条件を満たすものとする.

  1. (a)

    もしも (x,r),(x,r)𝒮(x,r)(x,r)を満たすならば, 以下が成り立つ.

    B(x,r)B(x,r)=.
  2. (b)

    もしも(x,r)

    B(x,r)((y,l)𝒮B(y,l)).

    を満たすならば (x,r)𝒮が存在して B(x,r)B(x,r)r2rが成り立つ.

このとき𝔖はZornian set(いわゆる帰納的集合)になることを示そう. まず𝔖が空集合ではないことを示そう. R=sup{rxX(x,r)}< とおく. するとある (y,l)𝒮が存在して R/2<rが成り立つ. このとき{(y,l)}𝔖に属することを示そう. (b)の条件を確かめれば良いが,R<2rなのでこの条件を満たすことは明らかである.

また,𝔖が鎖である時に 𝔖は簡単に確かめられる. 以上から𝔖がZornian setになることがわかり, Zornの補題から極大元𝒢が存在する. 𝒢が補題の条件を満たすことを示そう. 補題の(1)の条件を満たすことは𝔊の条件からわかる. (2)の条件を示そう. まず背理法のためにある(x,r) が存在してB(x,r)((y,l)𝒮B(y,l))=を満たすとしよう. そして𝒜={(x,r)B(x,r)((y,l)𝒮B(y,l))=} とおき, L=sup{rxX,(x,r)𝒜} として(a,w)𝒜L/2<w を満たすものとする. このとき𝒢{(a,w)}𝔊の(a)の条件を満たす. ついで(b)の条件も満たす.というのも もしもB(x,r)(B(a,w)(y,l)𝒮B(y,l))を満たすならば, B(x,r)B(a,w)(x,r)𝒜が同時に成り立つ場合以外は(b)の結論が成り立つことは𝒮が(b)を満たすことから従うが, このB(x,r)B(a,w)(x,r)𝒜が同時に成り立つ場合にはL2wからやはり 𝒢{(a,w)}も(b)の条件を満たすことがわかる.これは𝒢が極大であることに反するので, 𝒜=である. つまり,任意の(x,r)について

B(x,r)((y,l)𝒮B(y,l)).

となる. すると(b)の条件から(x,r)𝒢 が存在して B(x,r)B(x,r)r2rを満たす. このときB(x,r)B(x,5r)を満たすので (2)の条件が満たされる. ∎

定義 3.

n0 とする. nn次元ルベーグ測度を表すとする.

補題 4.

Addの球体の族に被覆されており、

sup{diam(B)B}<

とする。 このとき𝒜 が存在して以下を満たす。 𝒜={Bi}iの元は互いに交わらず、

d(A)5din(Bi)
証明.

補題 2からわかる. ∎

定義 5.

n1とし, Unを 開集合とする. このときLloc1(U) を次の条件を満たす可測関数f:U 全体の集合とする: 任意のコンパクト集合KUについて

K|f|𝑑n<

を満たす.

定義 6.

n1とする. fLloc1(n)とする。このときxdについて

Mf(x)=supr>01n(B(x,r))B(x,r)|f(t)|𝑑t

と定義する。 可測関数のsupは可測関数なのでMfは可測関数である。

命題 7 (weak estimation).

n0とする. fL1(n)ならば任意のa>0に対して

n({xnMf(x)>a})Aaf1

が成り立つ。ここでAは次元にのみ依存する関数である。

証明.

S={xnMf(x)>a} とする。 xSに対して、 rx>0が存在して

B(x,rx)|f(t)|𝑑t>an(B(a,rx))

を満たす。

{B(x,rx)}xS

に先の被覆定理を用いて

n(S) 5ni=1m(B(xi,ri))a5ni=1B(xi,ri)|f(t)|𝑑t5naiB(xi,ri)|f(t)|𝑑t
5nan|f(t)|𝑑t=5naf1

を得るので,A=5nとすればよい. ∎

命題 8.

n1とする. fLloc1について ほとんど至るところのxについて

limr01n(B(x,r))B(x,r)f(t)𝑑t=f(x)
証明.

命題の主張は局所的なものなので適当にコンパクト集合に制限して最初からfL1(n)としてもよい. まず、連続関数については定理が成り立つことに注意しよう。(積分の平均値の定理) a>0について

Ea={xnlim supr0|1n(B(x,r))B(x,r)(f(t)f(x))𝑑t|>2a}

と定義する. コンパクト台を持つ連続関数はL1(n)のなかで稠密なので, コンパクト台の連続関数g

fg1<ε

となるものをとる。 そして

1n(B(x,r))B(x,r)(f(t)f(x))𝑑t
=1n(B(x,r))B(a,r)(f(t)g(t))𝑑t+1n(B(x,r))B(a,r)(g(t)g(x))𝑑t
+(g(x)f(x))

から

lim supr0|1n(B(x,r))B(x,r)(f(t)f(x))𝑑t|M(fg)(x)+|f(x)g(x)|

が成り立つ. マルコフの不等式から

n({xn|f(x)g(x)|>ε})1afg1<1aε

を得る. そして

1n(B(x,r))B(x,r)|f(t)g(t)|𝑑tM(fg)(x)

が成り立つことに注意しよう. そして被覆補題から

n({xna<M(fg)(x)})5nafg1<5naε

が成り立つ.さて

Ea{xn|f(x)g(x)|>a}{xna<M(fg)(x)}

が成り立つので上での議論から

n(Ea)5n+1aε

が成り立つ.εは任意なので 任意のa>0についてEaは零集合である. ここで

S={xnlim supr0|1n(B(x,r))B(x,r)(f(t)f(x))𝑑t|=0}

とすると(nS)nE1/n なので,ほとんど至る所で

limr01n(B(x,r))B(x,r)f(t)𝑑t=f(x)

が成り立つ. ∎

命題 9.

n1とする. fLloc1(n)と ほとんどいたるところのxnについて

limr01n(B(x,r))B(x,r)|f(t)f(x)|𝑑t=0
証明.

任意のqについて、

Eq={xnlimr01n(B(x,r))B(x,r)|f(t)q|𝑑t=|f(x)q|}

と置く。Sq=nEq とするとn(Sq)=0となる. S=qSq とするとn(S)=0である. 任意のxnSについて 命題8を用いて

lim supr01n(B(x,r))B(x,r)|f(x)f(t)|𝑑t
lim supr01n(B(x,r))B(x,r)(|f(t)q|+|f(x)q|)𝑑t
2|f(x)q|

を得る. qは任意なので|f(x)q|は任意に小さくできる.つまり

limr01n(B(x,r))B(x,r)|f(t)f(x)|𝑑t=0

となるから命題が成り立つ. ∎

2 積分の変数変換公式

定理 10.

n1とする. U,Vnを開集合とする. f:UVを同相写像とし、aで全微分可能であるとする。 このとき

limr0n(f(B(a,r)))n(B(a,r))=|det𝐃f(a)|

でが成り立つ.

証明.

fが平行移動の場合か, fが基本行列Aを用いて f(x)=Axであるときに定理が成り立つことは nn個の1 の直積測度であることとFubiniの定理からわかる (逐次積分). 可逆行列は基本行列のいくつかの積としてかけるので, 以下では 必要ならばUVを可逆行列をかけて変数変換する操作を行って一般の場合を証明するし, そうしても一般性を失わない. また,C=n(B(0,r)) とするとB(x,r)=(rEn)B(0,r)+x なので 上の議論から n(B(x,r))=Crnとなる.

必要ならば適当にUVの座標を平行移動といくつかの基本行列をかけることによって変数変換して a=f(a)=0が成り立ち, Jf(a)は対角行列でその成分が01であるとしても良い(掃き出し法).

Case 1: まず最初に𝐃f(a)が単位行列の時を考える。

fa=0で全微分可能なので 任意のε>0に対して 十分小さいrと任意のxB(0,r)について

(1) f(x)x<εx

が成り立つ. r>0r<δとする. ここで f(x)(1+ε)x であるので

f(B(x,r))B(0,(1+ε)r)

が成り立つから

(2) n(f(B(0,r)))C(1+ε)nrn

である.

またxB(0,r)について (1)から

(1ε)x<f(x)

である. ここでxB(0,r)={xnx=r}とすると

(3) (1ε)r<f(x)

である.ここでfが同相写像であることから f(B(0,r))=f(B(0,r))なので

(4) f(B(0,r))B(0,(1ε)r)=

が成り立つ. また, f(0)=0B(0,(1ε)r) なのでB(0,(1ε)r)の連結性と (4)から

B(0,(1ε)r)f(B(0,r))

が成り立つ.よって

(5) C(1ε)nrnn(f(B(0,r)))

が成り立つ. (2)と(5)とn(B(0,r))=Crnから

(1ε)nn(f(B(0,r)))n(B(0,r))(1+ε)n

を得る.ゆえに

limr0n(f(B(0,r)))n(B(0,r))=1

が成り立つ.

Case 2: 次にJf(0)が単位行列でない時に証明する.

D=Jf(0)とおく.行列D(1,1)成分が0としても良い。

この時fa=0で全微分可能であることから 十分小さいrと任意のxB(0,r)について

(6) f(x)Dx<εx

が成り立つ. i{1,,n}についてDの第(i,i)成分が 0である場合には

|fi(x)|<εxεr

が成り立つ. 仮定から少なくともi=1についてはこれが成り立つ.

他の場合について

|fi(x)xi|εxεr

を得る. ゆえに

|fi(x)|(1+ε)r

となる.

以上の議論とεr<(1+ε)r から

n(f(B(0,r)))C(1+ε)n1εrn

である.よって

n(f(B(0,r)))n(B(0,r))(1+ε)n1ε

を得て,εは任意であるから

n(f(B(0,r)))n(B(0,r))=0=|det𝐃f(0)|

となる.以上で証明が終わる. ∎

定理 11.

X,Yn開集合とし, v, mをそれぞれルベーグ測度をX,Yに制限したものとする. f:XYC1級同相写像とし, fはいたるところ全微分可能で, Xのゼロ集合をYのゼロ集合に移すとする. このときX上の測度μμ(S)=m(f(S))とすると(つまり μ=((f1)m)である)

μ(S)=S|det(𝐃f(x))|𝑑v(x)

がなりたつ

証明.

まずfはゼロ集合をゼロ集合に写すので μvである.よってラドン・ニコディムの定理から

μ(S)=SD(x)𝑑v(x)

となる可測関数D:Xが存在する. ここでルベーグの微分定理(命題 8)と 定理 10から ほとんど至る所のx

D(x) =limr01n(B(x,r))B(x,r)D(t)𝑑t=limr0μ(B(x,r))n(B(x,r))
=limr0n(f(B(x,r)))n(B(x,r))=|det(𝐃f(x))|

となる. よって

μ(S)=S|det(𝐃f(x))|𝑑v(x)

が成り立つ. ∎

定理 12 (変数変換公式).

X,Yn開集合とし, v, mをそれぞれルベーグ測度をX,Yに制限したものとする. f:XYを同相写像とし, fはいたるところ全微分可能で, Xのゼロ集合をYのゼロ集合に移す. この時,hL1(m)について

X(hf)(x)|det𝐃f(x)|𝑑v(x)=Yh(y)𝑑m(y)
証明.

まず, AYの可測集合として h=χAと書かれる場合に証明する. つまり

X(χAf)(x)|det𝐃f(x)|𝑑v(x)=n(A)

を示そう. B=f1(A)とおく. すると定理 11から

n(A)=n(f(B))=B|det(𝐃f(x))|𝑑v(x)=XχB(x)|det(𝐃f(x))|𝑑v(x)

である. そしてχAf=χf1(A)=χBなので,

X(χAf)(x)|det𝐃f(x)|𝑑v(x)=n(A)

が成り立つ.

以上の場合を用いると,hが単関数の場合も導かれる. そして,単関数近似近似を用いればhが一般の場合も証明できる. ∎

References

  • [1] ユルゲン・ヨスト著, 小谷元子訳, ポストモダン解析学, シュプリンガー・フェアラーク東京, 2000.
  • [2] 水谷義弘, 実解析入門, 培風館, 1999.