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Radon-Nikodymの定理

ナンブキトラ
HTML変換日:2026年7月26日

この文章ではRadon-Nikodymの定理を証明する.

定義 1.

(X,𝔐) を測度空間とし,μ をその上の測度とする. このとき Lp⁢(μ) でμに関するLp関数全体を表す. つまりf∈Lp⁢(μ)であるとは f:X→ℝであって可測であり,

∫X|f|p⁢𝑑μ<∞

を満たすもの全体である.

空間L2⁢(μ)はヒルベルト空間になることに注意しよう.

補題 2.

(X,𝔐) を測度空間とし,α をその上のσ有限な測度とする. このとき可測関数u:X→(0,1)で y∈L1⁢(α) を満たすものが存在する.

証明.

{Ai}i∈ℤ≥0 を

  1. (1)

    各Aiは可測

  2. (2)

    ⋃i∈ℤ≥0Ai=X

  3. (3)

    i≠jならばAi∩Aj=∅

  4. (4)

    と任意のiについてα⁢(Ai)<∞

を満たすものとする. そしてu:X→(0,1)を

u⁢(x)=∑n=1∞χAn⁢(x)2n⁢(1+α⁢(An))

と定義すれば求める条件は満たされる. ∎

定義 3.

(X,𝔐) を可測空間とし,α, β をその上の測度とする. このときαがβに関して絶対連続であるとは, β⁢(A)=0となるA∈𝔐 についてα⁢(A)=0となることである.このとき α≪βと表し, α≪βかつβ≪αになるときα≡βと表す.この≡は同値関係になる. また,あるA∈𝔐が存在して α⁢(A)=0とβ⁢(X∖A)=0 を満たすときにαはβについて特異的であるといい,α⟂βと書く. この⟂は同値関係になる.

補題 4.

(X,𝔐) を測度空間とし,α,β,γ をその上の測度とする. もしもα≡β が成り立つならば以下が成り立つ.

  1. (1)

    β≪γならば α≪γが成り立つ.

  2. (2)

    γ≪β ならば γ≪αが成り立つ.

  3. (3)

    β⟂γ ならば α⟂γ が成り立つ.

証明.

証明は省略する. ∎

補題 5.

(X,𝔐) を測度空間とし,α をその上の測度とし, ϕ∈L1⁢(α)とする. そして測度βを

(1) β⁢(E)=∫Eϕ⁢𝑑α

と定義すると, β≪αであり, 任意のf∈L1⁢(β)について

∫Xf⁢𝑑β=∫Xf⁢ϕ⁢𝑑α

が成り立つ. また測度βについてあるϕが存在して(1) のように表されるのならばβ≪αとなる.

証明.

βの定義から任意のE∈𝔐について

∫XχE⁢𝑑β=∫XχE⁢ϕ⁢𝑑α

が成り立つ. つまり特性関数については補題の結論は成り立つ. このことから単関数についても成り立つし, 単関数近似から一般の可測関数についても成り立つ. 後半は明らかである. ∎

補題 6 (リースの表現定理).

(H,⟨⋅,⋅⟩H)をヒルベルト空間とする. このとき任意の連続な線形写像 f:H→ℝに対してa∈Hご存在して 任意のx∈Hについて f⁢(x)=⟨x,a⟩Hが成り立つ.

以下の定理がラドン・ニコディムの定理である.

定理 7.

(X,𝔐) を測度空間とし,μ,ν をその上のσ有限な測度とする. このとき(X,𝔐) 上の測度νaと νsが存在して以下を満たす.

  1. (1)

    νs⟂μ とνa≪μを満たす.

  2. (2)

    (1)のような分解は一意的である.

  3. (3)

    可測関数 D:X→ℝ が存在して 任意のA∈𝔐について νa⁢(A)=∫AD⁢𝑑μ が成り立つ.

証明.

(2)はすぐにわかる.

(1)を示そう. 補題 2から s,t:X→(0,1)を s∈L1⁢(μ) でt∈L1⁢(ν) を満たすものとする. そして(X,𝔐)上の 測度λ, θを

λ⁢(A)=∫As⁢𝑑μ
θ⁢(A)=∫At⁢𝑑ν

と定義する. λ, θ は有限測度であることに注意しよう. また

(2) μ⁢(A)=∫A1s⁢𝑑λ
(3) ν⁢(A)=∫A1t⁢𝑑θ

なので λ≡μとθ≡νに注意しよう. ϕ=λ+θと定義する. すると,コーシーシュワルツの不等式から f∈L2⁢(ϕ) に対して

|∫Xf⁢𝑑θ|≤∫X|f|⁢𝑑θ≤∫X|f|⁢𝑑ϕ≤ϕ⁢(X)⋅∫X|f|2⁢𝑑ϕ<∞

を得る.ここでs∈L1⁢(μ), t∈L1⁢(ν)なので ϕ⁢(X)=λ⁢(X)+θ⁢(X)<∞ であることを用いている. よって f∈L2⁢(ϕ) に対して ∫Xf⁢𝑑θ と定義される線形形式は L2⁢(ϕ)上の有界作用素となる. よって L2⁢(ϕ) がヒルベルト空間であることから 補題 6を使うと 任意のf∈L2⁢(ϕ) に対して

(4) ∫Xf⁢𝑑θ=∫Xf⁢g⁢𝑑ϕ

となるg∈L2⁢(ϕ) が存在する. さてϕ⁢(E)>0となる可測集合 Eについて,f=χEとすると

∫Eg⁢𝑑ϕ=θ⁢(E)

となる. よって特に

(5) 0≤1ϕ⁢(E)⁢∫Eg⁢𝑑ϕ≤1

となる. ここで,背理法のためにS={x∈X∣1<g⁢(x)} がϕに関して正の測度を持つと仮定しよう. ϵに対して Tϵ={x∈X∣1+ϵ<g⁢(x)} と仮定すると

S=⋃ϵ∈ℚ>0Tϵ

が成り立つ.よって あるϵ∈ℚ>0 が存在し, Tϵ={x∈X∣1+ϵ<g⁢(x)} がϕに関して正の測度をもつ. よって式 (5)から

1<1+ϵ≤1ϕ⁢(Tϵ)⁢∫Tϵg⁢𝑑ϕ≤1

となり矛盾する. よってほとんど至る所g≤1である. 同様にほとんど至る所0≤gであることがわかる. つまりほとんど至る所0≤g⁢(x)≤1である. さて式 (4)を変形して

(6) ∫Xf⁢(1−g)⁢𝑑θ=∫Xf⁢g⁢𝑑λ

を得る. ここで A={x∈X∣0≤g⁢(x)<1}, S={x∈X∣g⁢(x)=1} と定義して θa⁢(E)=θ⁢(E∩A), θs⁢(E)=θ⁢(E∩S) と定義する. 式 (6)において f=χSとすれば,λ⁢(S)=0を得るので θs⟂λ がわかる. さて, hを

h⁢(x)={g⁢(x)1−g⁢(x)if ⁢x∈A0その他 

と定義する. 各n∈ℤ≥0, E∈𝔐について 式 (6)において f=(1+g+⋯+gn)⁢χE∩A とおくと

∫E∩A1−gn+1⁢d⁢θ=∫E∩Ag⁢(1+g+⋯+gn)⁢𝑑λ

を得る.この式で n→∞とすれば

θa⁢(E)=θ⁢(E∩A)=∫Eh⁢𝑑λ

を得る.よってθa≪λである. ここで

νa⁢(A)=∫A1t⁢𝑑θa
νs⁢(A)=∫A1t⁢𝑑θs

とすればνa≡θaと νs≡θsであり 式 (3)からνa+νs=ν となり,λ≡μ からνa≪μとνs⟂μ が成り立つ.

(3)を示そう. 今

ν⁢(E)=∫E1t⁢𝑑θ

なので

νa⁢(E)=∫E1t⁢𝑑θa=∫Eht⁢𝑑λ=∫Es⁢ht⁢𝑑μ

となるから

D=s⁢ht

とすれば良い. ∎

References

  • [1] W. Rudin, Real and complex analysis, 3rd ed., McGRAW–Hill.