Radon-Nikodymの定理
この文章ではRadon-Nikodymの定理を証明する.
定義 1.
を測度空間とし, をその上の測度とする. このとき でに関する関数全体を表す. つまりであるとは であって可測であり,
を満たすもの全体である.
空間はヒルベルト空間になることに注意しよう.
補題 2.
を測度空間とし, をその上の有限な測度とする. このとき可測関数で を満たすものが存在する.
証明.
を
-
(1)
各は可測
-
(2)
-
(3)
ならば
-
(4)
と任意のについて
を満たすものとする. そしてを
と定義すれば求める条件は満たされる. ∎
定義 3.
を可測空間とし,, をその上の測度とする. このときがに関して絶対連続であるとは, となる についてとなることである.このとき と表し, かつになるときと表す.このは同値関係になる. また,あるが存在して と を満たすときにはについて特異的であるといい,と書く. このは同値関係になる.
補題 4.
を測度空間とし, をその上の測度とする. もしも が成り立つならば以下が成り立つ.
-
(1)
ならば が成り立つ.
-
(2)
ならば が成り立つ.
-
(3)
ならば が成り立つ.
証明.
証明は省略する. ∎
補題 5.
証明.
の定義から任意のについて
が成り立つ. つまり特性関数については補題の結論は成り立つ. このことから単関数についても成り立つし, 単関数近似から一般の可測関数についても成り立つ. 後半は明らかである. ∎
補題 6 (リースの表現定理).
をヒルベルト空間とする. このとき任意の連続な線形写像 に対してご存在して 任意のについて が成り立つ.
以下の定理がラドン・ニコディムの定理である.
定理 7.
を測度空間とし,, をその上の有限な測度とする. このとき 上の測度と が存在して以下を満たす.
-
(1)
とを満たす.
-
(2)
のような分解は一意的である.
-
(3)
可測関数 が存在して 任意のについて が成り立つ.
証明.
はすぐにわかる.
を示そう. 補題 2から を で を満たすものとする. そして上の 測度, を
と定義する. , は有限測度であることに注意しよう. また
| (2) | |||
| (3) |
なので とに注意しよう. と定義する. すると,コーシーシュワルツの不等式から に対して
を得る.ここで, なので であることを用いている. よって に対して と定義される線形形式は 上の有界作用素となる. よって がヒルベルト空間であることから 補題 6を使うと 任意の に対して
| (4) |
となる が存在する. さてとなる可測集合 について,とすると
となる. よって特に
| (5) |
となる. ここで,背理法のために がに関して正の測度を持つと仮定しよう. に対して と仮定すると
が成り立つ.よって ある が存在し, がに関して正の測度をもつ. よって式 (5)から
となり矛盾する. よってほとんど至る所である. 同様にほとんど至る所であることがわかる. つまりほとんど至る所である. さて式 (4)を変形して
| (6) |
を得る. ここで , と定義して , と定義する. 式 (6)において とすれば,を得るので がわかる. さて, を
と定義する. 各, について 式 (6)において とおくと
を得る.この式で とすれば
を得る.よってである. ここで
とすればと であり 式 (3)から となり, からと が成り立つ.
を示そう. 今
なので
となるから
とすれば良い. ∎
References
- [1] W. Rudin, Real and complex analysis, 3rd ed., McGRAW–Hill.