van der Waerden Theorem and Ramsey Theorem
この文章ではvan der waerdenの定理とRamseyの定理を証明し,コンパクト性原理とも呼ばれるRadoの選択定理を紹介する.
1 van der Waerden’s Theorem
このセクションでは特に断らない限りは,自然数についてとする.
二つの対 が-同値であるとは,値がであるような最後の番号までこの二つが一致していることとする.つまり,
この同値類による代表元はという形のものを選べる.
任意のに対して,次の主張をとかこう: 任意のに対してが存在して, 任意の写像 に対してが存在し, 任意のに対して であり,かつ は-同値類上で定数となる.
補題 1.
とが成立するならば,が成立する.
証明.
を固定する.とし,とする. そして,写像が与えられているとする. さてこのとき,写像 を以下のように定義する.についてとは 任意のについて
が成り立つこととする. の定義から,あるが存在して 任意のについて であり, が定数となる. さて,を区間 に対して適応する.すると,ある が存在して, であり, は-同値類上で定数になる. の定義から 任意の について
が成り立ち,このこととの定義から任意のについて
が成り立つ. 次に として,が求める条件を満たすことを確めよう.任意にとすると,
である. 任意にをとる.
Case1 のとき, と 先に示したことから,
となるので,-同値類の上で定数となる.
Case2 のとき.このときはの-同値類は一個しかないから証明することは何もない.
以上で補題が示された. ∎
以下では一般にであることに注意せよ.
補題 2.
任意のについてが成立するならば, が成立する.
証明.
を固定する. 簡単のためにとする. さて,任意にをとる. すると,が存在して 任意のについて であり, は-同値類上で定数となる.
について
を考えよう.彩色は個で,は個あるので,ある が存在してと
である. を任意に与える,のときには はと -同値なので
また, のときは なので, , として,の成立がわかる. ∎
以上の補題から次のことがわかる.
定理 3.
任意のについて,が成り立つ.
van der Waerdenの定理とは次の主張のことである.
定理 4 (van der Waerden theorem).
任意のに対してが存在して, 任意の に対してあるが存在して,は 長さの等差数列を含む.
このvan der Waerdenの定理はが成り立つというのと同値であるから,上の定理から成立がすぐにわかる. という補助パラメーターを用いて,証明を簡略化しているのである.
系 5 (infinite van der Waerden theorem).
任意のと任意の彩色 についてあるが存在して は任意の長さの等差数列を含む.ここで,等差は一定でなくて良い.
証明.
彩色に対して次のように集合を定義する.
van der Weardenの定理より,任意のについて が存在してである.特には無限集合である. また写像は全射である. そして写像 を考えると,が無限集合であることと,が全射であることから あるについては無限集合である. また,ならばとなる についてなので, が無限集合となるについて, は任意の長さの等差数列を含む. ∎
2 Ramsey’s Theorem
集合と基数についてでの濃度の部分集合全体を表すことにする.
基数, , , について, 任意の彩色について,濃度のの部分 集合が存在して,が定数となるという命題を で表すことにする. この文章では特に, が高々可算基数の場合を取り扱う. つまり古典的なラムゼーの定理である.
2.1 Infinite Ramsey Theorem
明らかに次がわかる.
補題 6.
まず最初にについて帰納法を回せることを示す.
補題 7.
について ならば
証明.
今 が正しいとする.
を加算集合とする.を色付けとする. 任意のについて,を以下のように定義する.について
帰納的に集合列と列 と 関数列を構成していく. まず とし,はの適当な元とする. は空写像である.
一般にまでととが定義されたときに はの部分集合で について同色なものとする. はの適当な元とし と定義し, はの色とする.
さて,を と定義する.このときはの値のうちどちらを無限回とる.(これはということでもある.) 一般性を失うことなくがそうであるとしてもよい.
と定義する.は加算集合である. ここで,を任意にとる. の定義から, であり,から
は任意であったから つまり,ははの値しか取らない. ∎
以上から次の定理がわかる.
定理 8 (Ramsey’s Theorem).
とすると が成り立つ.
2.2 Finite Ramsey Theorem
任意のについて 次の言明をで表す. あるが存在して,となる任意のと, 任意の彩色に対して あるとが存在してかつ を満たす.
任意のについて 次の言明をで表す. あるが存在して,となる任意のと, 任意の彩色に対して が存在してかつ は定数である.
定義から直ちに次のことがわかる.
補題 9.
我々が示すべき命題は次である.
定理 10 (Finite Ramsey Theorem).
証明.
の成立と 背理法で示す.
を仮定する.
ここで,とは次の言明のことである. 任意のに対して,あると彩色 が存在して, どんなを満たすも は定数にならない.
よって,次のような短調増加列と 彩色が存在する. 任意のについて, どんなを満たすも は定数にならない.
今全単射 を考える. たちのコドメインは有限集合なので 次のような の無限部分集合が存在する. 任意のについてであり, は同じ値.
帰納的にが構成されたときに その可算部分集合 を以下を満たすものとして定義する. 任意のについてであり, は単色.
さて, を以下のように定義する. について と定義する. このときが成立するので, ある無限集合が存在して は単色となる. 有限集合をとなるように適当に取る. そして,をとなるように取る. の定義から, である.さて,はその定義の仕方から が定数になり,となる. これはの定義に反するので,背理法により定理が証明された. ∎
3 Compactness Principle
上の方法と同じだが, このセクションではRadoの選択原理を用いて 無限ラムゼーの定理から有限ラムゼーの定理を証明する. また,無限van der Waerdenの定理から有限版を導く.
定理 11 (Rado’s selection principle).
族を有限集合の族とする. また, は任意の に対してある が存在してを満たすとする. 各について が与えられているとする. このとき,が存在して, 任意のに対して が存在して と を満たす.
証明.
チコノフの定理から は離散空間の直積空間としてコンパクトである. 各について
と定義する. は非空である. これが閉集合であることを示そう. とする.このとき任意のについて である. さて, とすると,は有限集合なので開集合である. 定義からなので,が閉集合であることがわかる. また,となるの元 の三つ組に対して なので,は有限交叉性を持ち,よってコンパクト性から となる. を取れば,これは求める性質を持つ.
∎
Proof finite Ramsey theorems from infinite Ramsey theorem.
背理法で示す.
を仮定する.
ここで,とは次の言明のことである. 任意のに対して,あると彩色 が存在して, どんなを満たすも は定数にならない.
よって,次のような短調増加列と 彩色が存在する. 任意のについて, どんなを満たすも は定数にならない.
とし, と定義し, とする.このとき を と定義する. するとRado’s selection principle から が存在し, 任意のについて, が存在し が成り立つ. さて,が成り立つので, あるが存在しては定数になる. の部分集合をとなるようにとる. 次にとなるをとる. すると, なので,の部分集合で, が定数で,となるものは存在しないはずなので,これは矛盾である.よって有限Ramseyの定理が成り立つ. ∎
Proof finite van der Waerden theorems from infinite one.
無限van der Waerdenの定理を仮定して有限のそれを証明する. 有限van der waerdenの定理が成り立たないとする.つまり, あるが存在して任意のに対してある彩色が存在してどんなについてもが長さの等差数列を含まないとする. とし とおく. また,に対してとする. 各について を と定義する. このときRado’s selection principleより,あるつまり, 写像が存在して 任意のに対してが存在して と が成り立つ.はの彩色なので,infinite van der Waerdenの定理から,ある が存在しては任意の長さの等差数列を含む. 特に長さの等差数列を含む. をとなるように大きくとると, の取り方からとなるが存在して となる.これはが長さの等差数列を含むということだから矛盾する.よって有限van der Waerdenの定理が成り立つ.
∎
4 おまけ:帰納法による有限ラムゼーの定理の証明
定義 12.
任意のについて,で, を成り立たせる最小の正の自然数とする. もちろんまだ存在するかどうかは知らないとする. もし,ならば,は存在するし, である.
鳩の巣原理から次がわかる.
定理 13.
任意のについて つまり.
補題 14.
当たり前だが,である.
定理 15.
任意のについて次がわかる. もしが存在し, かつが存在するなら も存在し, を満たす.
証明.
とし, を彩色とする. そしてを適当にとり,新たに彩色を
と定義する. なので, あるの部分集合で が定数であって, となる.もしの値がならば,で, なので,証明は終わる. もしならば とみなせるので, からさらにの部分集合でであり,が定数であるものが存在する.これで証明が終わる. ∎
定理 16.
もしを任意に与える. もし任意のについてが存在するならば, も存在し, を満たす.
証明.
とする. 帰納的に でかつ, と を構成しいていく. まずとし,は の適当な元とする. そして,は空写像である. , , が構成された時に , , を構成する. なので, をについて同色な部分集合で, となるが存在する.これをとし,は の色とする.
さて,はについて,で,が等色になるものが存在する(が成り立つということでもある).その値はとしても一般性を失わない. とする. もちろんである. 任意にをとると, である. また,なので
である.は任意であったから, であり,等色である. ∎
定理 17.
任意のについてが存在する.つまり, 任意のについて十分大きいが存在して
を満たす.
証明.
上の命題を帰納法で回すとわかる. ∎
References
- [1] W. H. Gottschalk, Choice functions and Tychonoff’s theorem, Proc. Amer. Math. Soc. 2 (1951), 172.
- [2] R. L. Graham and B. L. Rothchild, A short proof of van der Waerden’s theorem on arithmetic progressions, Proc. Amer. Math. Soc. 42 (1974), 385–386.
- [3] R. Rado, Aximatic treatment of rank in infinite sets, Canad. J. Math. 1 (1949), 337–343.