可算パラコンパクト空間
1 準備
この章では基本的な概念を紹介する。
この文章では,で最初の可算順序数を表す.また,はの有限部分集合全体から成る集合を表す.
定義 1 (細分).
集合の部分集合の族とする。このときがの細分であるとは
となることである。
定義 2 (点有限族).
集合の部分集合の族が点有限であるとはの任意の点に対してとなるが有限個しかないことである。
定義 3 (局所有限族).
位相空間に於いての部分集合の族が局所有限であるとはの各点についての近傍が存在して
を充たすことである。
命題 4.
を位相空間の局所有限な族とする。このとき
が成立する。111CLは閉包作用素である。
証明.
明らかに
が成り立つ。逆向きの包含関係を示そう。 とする。は局所有限なのでの近傍が存在して
を充たす。と交わるの元をとするとから
が成立する。しかし有限個の和集合については
が成り立つので結局
つまり
∎
定義 5 (星形有限).
位相空間に於いての部分集合の族が星形有限であるとは任意のに対してとなるが有限個しかないときにいう。
注意.
星形有限な開被覆は局所有限である。
定義 6 (ハイポコンパクト).
位相空間がハイポコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して星形有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。 強パラコンパクトともいう。
定義 7 (パラコンパクト).
位相空間がパラコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して局所有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。
定義 8 (メタコンパクト).
位相空間がメタコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して点有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。
定義 9.
位相空間に於いての部分集合族が疎であるとはの各点に対しての近傍が存在して
| となるが存在しないか、もしくは1個しか無い |
を充たす時は疎であると言う。もちろんが疎であるときならばである。
定義 10 (族正規).
位相空間が族正規であるとはの閉集合からなる任意の疎な族に対してとなる開集合の族が存在して
が成り立つことである。222は要請しないことにする明らかに族正規空間は正規である。
事実 11.
空間において、 メタコンパクトでかつ族正規であることと、パラコンパクトであることは同値である。
事実 12.
を無限基数とする。 空間において、 メタコンパクトでかつ族正規であることと、パラコンパクトであることは同値である。
注意.
一般に、正規性と族正規が同値である。 のちに述べる、空間における可算メタコンパクトと可算パラコンパクト性の同値性はこのことと、上の事実の系と見ることもできる。
2 正規性
この章では、被覆を用いた正規空間の特徴付けを紹介する。
定義 13.
位相空間が正規であるとはの互いに素な二つの閉集合,に対して、互いに素なの開集合が存在して, を満たすときにいう。 がとはが正規でかつのときにいう。
定義 14 (開収縮).
位相空間の開被覆に対してが開収縮であるとはがの開被覆であって、任意のについて
を充たすこと。
定義 15 (閉収縮).
位相空間の開被覆に対してが閉収縮であるとはがの閉被覆であって、任意のについて
を充たすこと。
定理 16.
位相空間について以下は同値である。
| (1) | 正規性 | ||
| (2) | 点有限開被覆に開収縮が存在する | ||
| (3) | 局所有限開被覆に開収縮が存在する | ||
| (4) | 有限開被覆に開収縮が存在する | ||
| (5) | 点有限開被覆に閉収縮が存在する | ||
| (6) | 局所有限開被覆に閉収縮が存在する | ||
| (7) | 有限開被覆に閉収縮が存在する |
証明.
以下の論理包含図式は明らかであろう。
これらを踏まえて以下では
を証明する。
[の証明]
をの任意の点有限開被覆とし、は整列しているとする。超限帰納法で
となるを構成する。をの最小元として、まずを構成する。と置くとこれは閉集合でが被覆を成すことから
となる。ここでの正規性を用いると
となる開集合が存在する。このようなの一つをとおくと
を明らかに充たし 更にがの被覆を成している。
次にとなる任意のについてはを充たすが構成できているとしよう。このとき
と定義する。さて
となることを見よう。もしが存在したとしよう。は点有限なのでとなるは有限個であり、このようなもの全体をとしよう。そしてと置くとの定義ととよりであり、となるについてであるのでに対するからであるが、との定義からになり、矛盾する。よって
さてさてここでの正規性から
となる開集合が存在するが、このようなのひとつをとしよう。このとき、が充たされることは見やすい。
最後にこのように作られたがの被覆になることを見よう。を任意に与える は点有限なのでとなるは有限個であり、このようなもの全体をとしよう。そしてと置くとならばなのでからとなるが存在する。よっては被覆となる。
[の証明終わり]
[の証明]
を交わらない2つのの閉集合としよう。このときはの有限開被覆なのでから閉収縮が存在する。つまりは
となる2つの閉集合である。このときと置くと、これらは開集合であり、更にである。またから
なので結局は正規である。
[の証明終わり]
∎
事実 17 (ウリゾーンの補題).
を正規空間とし、をその互いに素な2つの閉集合とすると連続関数が存在し
を充す。 つまり互いに素な2つの閉集合は関数で分離できる。
定義 18.
の部分集合が集合であるとは、が可算個のの開集合の共通部分で表せるときにいう。 また、が集合であるとは、が可算個のの閉集合の和集合で表せる時にいう。
次の命題は、ウリゾーンの補題の応用の一つであり、断りなく頻繁に使われる。
命題 19.
を正規とする。の閉集合と開集合は
を満たすとする。このときの閉集合と開集合が存在して
となる。
命題 20.
ウリゾーンの補題から、連続関数が存在して、
を満たす。ここで、, とすると、それぞれ開集合と閉集合であり、 を満たす。 また、なので、はである。同様にしてなので、はである。
3 正規性が遺伝する部分集合
改めて集合を定義する。
定義 21.
位相空間の部分集合が、の集合であるとは、がの可算個の閉集合の和集合でかける時にいう。 また、の部分集合が、の集合であるとはがの可算個の開集合の共通部分で書ける時に言う。
定義 22.
位相空間のふたつの部分集合が分離的であるとは、
を満たす時にいう。
正規空間において、ふたつの閉集合は分離できるが、一般に分離的なふたつの集合を開集合で分離することができる。この性質は見かけ上は正規性よりも強いことを主張しているが、正規性と同値である。
命題 23.
を正規空間とし、, をのふたつの集合で、分離的なものとする。このときの開集合, が存在しておよび、, を充す。
証明.
の閉集合からなるふたつの可算族, は, および
を充すとする。 開集合の可算族, を以下を充すものとする。
このような族の存在は、, の分離性と空間の正規性、そして帰納法によりわかる。 任意のについて、
に注意しよう。 そして、
とすると, でなので、これで命題が証明された。 ∎
補題 24.
の集合の閉部分集合は、の集合である。
系 25.
正規空間の集合は正規である。
定義 26.
位相空間の部分集合が一般化集合であるとは、任意のの開集合でとなるものに対して、集合が存在して、を満たす時にいう。
補題 27.
の一般化集合の閉集合はの一般化集合である。
証明.
の閉集合をとする。そして、の開集合はを満たしているとする。ここではの閉集合なので、の閉集合が存在して を満たす。 はの開集合でありを満たす。 は一般化集合であるから、となる の集合が存在する。はなので , はの閉集合、と表すことができる。 そこでとし、とおく。これはもちろん集合である。 まず である。次になので、である。以上からが一般化集合であることがわかる。 ∎
命題 28.
のふたつの分離された一般化集合とに対して、の開集合, が存在して、と を満たす。
証明.
なので、が一般化集合であることを用いてとなる 集合が存在する。は集合である。 また、同様にとに対して集合 が存在してを満たす。 そしてと定義する。 ここでなのでとなる。同様にとなる。よって先の命題からとを分離する開集合が存在する。これはとも分離するので、これで証明が終わる。 ∎
系 29.
正規空間の一般化集合は正規である。
定理 30.
以下は同値である。
-
(1)
は正規である。
-
(2)
の分離されたふたつの集合は開集合で分離可能である。
-
(3)
の分離されたふたつの一般化集合は開集合で分離可能である。
注意.
距離空間の任意の部分集合や、の定常集合などが、一般化集合となる。
4 可算パラコンパクト性とDowkerの定理
この章ではDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴付けを紹介する。 以下に三つのコンパクト性の概念を導入する。
定義 31 (可算ハイポコンパクト).
任意の可算開被覆が星形有限な開細分被覆を持つ時に可算ハイポコンパクトという。今日ではこの概念は可算強パラコンパクトと呼ばれることがとても多い。
定義 32 (可算パラコンパクト).
任意の可算開被覆が局所有限な開細分被覆を持つ時に可算パラコンパクトという。
定義 33 (可算メタコンパクト).
任意の可算開被覆が点有限な開細分被覆を持つ時に可算メタコンパクトという。
Dowkerの定理のために次の概念が必要である。
定義 34.
の可算単調被覆とは、可算被覆で、
を満たすもののことをいう。 また、閉集合の族が単調減少とは
を満たす時にいう。
Dowkerの定理の前半部分を証明しよう。これはDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴付けの中で、被覆による特徴付けに関する部分である。
定理 35.
を空間とする。このとき以下は同値である。
-
(1)
は可算ハイポコンパクト
-
(2)
は可算パラコンパクト
-
(3)
は可算メタコンパクト
-
(4)
の可算開被覆は開収縮を持つ。
-
(5)
の可算単調開被覆は開収縮を持つ。
-
(6)
の可算単調開被覆は閉収縮を持つ。
-
(7)
の任意の単調減少な閉集合族で、その共通部分が空なものに対して、開集合族が存在して、とを満たす。
-
(8)
の任意の単調減少な閉集合族で、その共通部分が空なものに対して、な閉集合の族が存在して、とを満たす。
証明.
, はわかる。 , , とを示す。
[の証明]
定理16から直ちに従う。
[の証明]
[の証明]
命題19から直ちに従う。
[の証明終わり。]
[の証明]
を単調減少な閉集合族でを満たすものとする。
そしてとすると、は可算単調開被覆である。よって条件からを満たす閉被覆が存在する。とすると、これはを満たす開集合であり、が被覆であることからを満たす。
[の証明終わり]
[の証明]
を可算開被覆とする。 このときは閉集合であり、は単調減少である。が被覆をなすことからである。 このときからな閉集合の可算族 が存在してとを満たす。 はな開集合である。よって閉集合族を用いて
とかけるが、がであることから、
と仮定しても良い。
とする。 もちろん
| (a) |
であり、この式から がわかる。 また、と, の定義から
| (b) |
がわかる。 さて、
と定義する。定義式の右側の和集合は有限個の開集合の和になっていることに注意しよう。 すると、の定義と式とから
| (c) |
がわかる。 がの被覆であることと、 から、がの被覆をなしていることがわかる。よっての定義から
が成り立つ。
そして、, と定義し、に対しては
と定義する。 式から が成り立つので これに注意して集合族を
と定義する。
は開集合の族である。これがの細分になっていることは定義から明らかである。
まず が被覆であることを示そう。 となる最小のを取る。するとである。さらに、 であるので、となるをとれば、である。よっては被覆である。
最後にが星形有限であることを示そう。 の定義から、ならばに注意しよう。 すると、が交わりを持つの元はの元のみであることがわかる。そしてこの集合は有限集合であるから は星形有限であることがわかる。
[の証明終わり] ∎
次にDowkerの定理の後半を証明する。これは、コンパクト距離空間との直積に関する部分である。
定理 36.
位相空間をとする。このとき 次の三つは同値である。
-
(1)
は可算パラコンパクトである。
-
(2)
任意のコンパクト距離空間については
-
(3)
は
証明.
は自明である。
[の証明]
, をの交わらない二つの閉集合とする。今からかつとなるの開集合を構成する。 まずをの可算開基とする。 についてと定義する。
とについて、をのに関するスライスとする。つまり、
である。
各 に対して とした時、 が開集合であることを示そう。 まず が開集合であることを示そう。 を任意に固定する。 を任意に取る。このとき なので、 , の開近傍, が存在して となる はの開被覆なので、有限個のが存在して, で を被覆できる。ここで とするとこれはの開近傍である。 さらに、 である。 を任意に取り、 とする。 つまりである。 であり、 なので、 からである。 つまりなので、である。 よっては開集合である。 も同様に開集合であることが示せる。 結果としては開集合であることがわかる。
次にがの被覆であることを示そう。 を任意に取る。このときが開基であることと、がコンパクトであることからが存在して、 となるので、である。つまりはの被覆となる。
さて、は可算パラコンパクトであり、先の定理から可算ハイポコンパクトであることがわかるので、 の星形有限な開被覆でを満たすものが存在する。 これを用いてと定義する。 まずを示そう。とする。 はの被覆なのでとなるが存在する。特にである。 よってはを満たす。からなので、がわかる。つまりとなる。従ってを得る。 次にがの局所有限な開集合族であることを証明しよう。を任意に取る。はの被覆なので、 となるが存在する。は星形有限なので、と交わるの元は、有限個であるから、それらをと表すことにしよう。この時はの近傍であり、のうちとしか交わらない。よっては局所有限である。
の局所有限性から
が成り立つ。 さらに
を満たし、 の定義からなので、 である。よってはである。
[の証明終わり]
[の証明]
をの単調減少な閉集合族でとなるものとする。この集合族に対し、で、となるものを構成する。
の部分集合を
と定義する。この集合が閉集合であることを示そう。 としよう。 の時は、がと交わりを持たない開集合となる。
の時、十分大きい番号をとればのとき となるので、 がと交わりを持たない開集合となる。よっては閉集合である。
さて、とすると、とは交わりを持たないの閉集合であるから、の正規性から、交わりを持たない二つのの開集合で
となるものが存在する。
ここでと定義する。 すると、は開集合であり、からを満たす。 また、を任意に取ると、 なので、 の近傍とが存在して、となる。なので、特にである。つまり、である。よってがわかる。 このことと先の定理からが可算パラコンパクトであることがわかる。
[の証明終わり] ∎
セクション3において正規空間の一般化集合は正規であることを示した。同様にして、可算パラコンパクトかつも一般化集合に遺伝する。このことをコンパクト距離空間との直積を用いたDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴づけ、つまり定理36を用いて証明しよう。その証明の中ではいわゆるTube lemmaと呼ばれる議論を用いる。 まずはそのTube lemmaを紹介しよう。
補題 37 (tube lemma).
を位相空間、をコンパクト位相空間とする。更にとの開集合が
を充たしているとする。このときにおけるの開近傍が存在して
を充たす。
証明.
と置く
と置くと、は開集合族で直積の開集合の定め方から
が成り立つのではの開被覆である。はと同相であるからコンパクトなので
となるの有限部分族が存在する。そして明らかに
であり
と置けばで
が成り立つので証明が終わる。 ∎
ちなみにTube lemmaが成り立つことと、がコンパクトであることは同値である。
命題 38.
可算パラコンパクト空間の一般化集合は可算パラコンパクトである。
証明.
を空間とし、をその一般化集合とする。 まず最初に系29からがであることがわかる。 よって定理36から、任意のコンパクト距離空間との直積が正規になることが証明できればこの命題は証明される。 そのために、がの一般化集合である ことを証明しよう。そうすれば、の可算パラコンパクト性からは正規なのでが正規であることもわかる。
をの開集合でとなるものとする。 さて、補題37から任意のに対してのにおける開近傍が存在してを満たす。ここでと定義するとこれはの開集合であって、を満たし、さらにとなる。ゆえにがの一般化集合であるから、の集合が存在してを満たす。すると、がわかり、は明らかにの集合なのではの一般化集合であることがわかる。 ∎
系 39.
可算パラコンパクト空間の集合は可算パラコンパクトである。
この系を用いて、Dowkerの定理をほんのちょっとさらに拡張することができる。
定理 40.
を空間とする。このとき以下は同値である。
-
(1)
は可算パラコンパクト
-
(2)
は
-
(3)
任意のコンパクトな局所コンパクト距離空間に対して、は正規
証明.
を可算パラコンパクトとするとが正規なので、その集合に同相であるの正規である。また、逆にが正規ならその閉部分空間も正規である。 これでとの同値性がわかる。コンパクト距離空間は、コンパクトな局所距離空間なので、の条件からの可算パラコンパクト性がわかる。逆にをコンパクトな局所コンパクト距離空間とするとの一点コンパクト化をとすると、これはコンパクト距離化可能空間になるので、の可算パラコンパクト性からは正規空間になる。 はの集合なのでは正規である。 ∎
定理 41 (Dowker).
を空間とする。このとき以下は同値である。
-
(1)
は可算ハイポコンパクト
-
(2)
は可算パラコンパクト
-
(3)
は可算メタコンパクト
-
(4)
の可算開被覆は開収縮を持つ。
-
(5)
の可算単調開被覆は開収縮を持つ。
-
(6)
の可算単調開被覆は閉収縮を持つ。
-
(7)
の任意の単調減少な閉集合族で、その共通部分が空なものに対して、開集合族が存在して、とを満たす。
-
(8)
の任意の単調減少な閉集合族で、その共通部分が空なものに対して、な閉集合の族が存在して、とを満たす。
-
(9)
任意のコンパクト距離空間については
-
(10)
は
-
(11)
は
-
(12)
は
-
(13)
は
-
(14)
離散空間ではないコンパクト距離空間が存在しては
-
(15)
任意のコンパクトな局所コンパクト距離空間に対して、は正規
-
(16)
離散空間ではないコンパクトな局所コンパクト距離空間が存在して、は
-
(17)
は
注意.
コンパクトな局所コンパクト距離空間の一点コンパクト化は、 コンパクト性から無限遠点が可算な基本近傍形を持つので、距離化可能である。ブルバキの位相空間論ではコンパクトが「無限遠で可算」と呼ばれている。
命題 42.
を可算パラコンパクト空間とし、をコンパクト空間とする。 このときは可算パラコンパクトである。
証明.
をの可算な開被覆とする。 このとき、に対してとする。 そしての部分集合を
と定義する。このとき補題37によって、はの開集合である。ここで、は空集合になることもあることに注意しよう。 次にはの被覆になることを示そう。 任意にをとってくると、はコンパクトなので、 もコンパクトであることとがの被覆をなしていることからあるが存在してとなる。 よってとなる。 よってはの開被覆なのでの可算パラコンパクト性より 局所有限な開細分被覆が存在する。ここでとしても一般性を失わない。 今 とすると、これはの細分であり、局所有限な開被覆である。よっては可算パラコンパクトである。 ∎
注意.
一般に可算ハイポコンパクト(可算メタコンパクト)空間とコンパクト空間の直積は可算ハイポコンパクト(可算メタコンパクト)となる。
5 可算パラコンパクト性の十分条件
定義 43 (monotonical normality).
を位相空間とし、
と定義する。また、この上に次のように順序を定義する。 かつ
この準備の下、単調正規性を定義する。 の開集合全体をと書くことにする。 が単調正規であるとは、がであって、写像が存在して次を満たすことである。
-
(1)
-
(2)
定義 44 (条件).
を位相空間とし、
と定義する。また、この上に次のように順序を定義する。 かつ
が条件を満たすとは、がであって、 写像が存在して次を満たすことである。
-
(1)
-
(2)
このを単調正規作用素という。
定義 45 (条件).
を位相空間とし、
と定義する。また、この上に次のように順序を定義する。 かつ
が条件を満たすとは、がであって、 写像が存在して次を満たすことである。
-
(1)
-
(2)
-
(3)
ならば
命題 46.
位相空間に対して以下は同値である。
-
(1)
は単調正規
-
(2)
は条件を満たす。
-
(3)
は条件を満たす。
証明.
まず最初に単調正規性に関して、写像に用いてに対してと定義することによりは単調正規作用素になり、さらにに対してを満たす。よって最初からはを満たすと仮定しても良い。
さて、からは自明である。 そしても、に対して となることからと定義すればよい。
最後にを示そう。とする。このとき と定義する。これが条件のを満たしていることを確認しよう。 は定義から明らかである。任意の、に対して およびを満たす。なので である。では開集合なのでである。条件のは確かめられた。 に対してであることは、条件のから従う。 ∎
注意.
以下では単調正規作用素はに対してを満たすと仮定する。
命題 47.
単調正規空間は遺伝的である。特に単調正規空間はである。
証明.
を仮定するとき単調正規性が条件と同値であることから直ちに従う。 ∎
命題 48.
単調正規空間は族正規である。
証明.
を単調正規空間とし を疎な閉集合族とする。この時に対して
と定義する。このときに対してであり、ならば なので、が族正規であることがわかる。 ∎
補題 49.
LOTSは単調正規
証明.
をLOTSとしてをその順序とする。また、この順序とは別にに整列順序を導入する。 今からが条件を満たすことを証明する。
一般にLOTSの部分集合が凸集合であるとはの時となるときにいう。
とし、をの閉集合で となるものとする。 このときをの部分集合であってを含む極大な凸集合とする。、と定義する。また、(それが存在する場合には)
と定義する。ここでは整列順序による最小値である。
さて
と定義するとこれは条件を満たすことがわかる。
まず条件のを満たすことは定義の仕方からわかる。
次に条件のを満たすことを見よう。 でとしよう。 定義からがわかる。よって、 とがわかる。さらに、 とについてとなることがわかる。 同様にとについてがわかる。 これらのことからとが従う。よって条件のが成り立つ。
最後に条件のを示そう。互いに異なるをとる。 このときと仮定しても良い。 すると, , がわかるので条件のは成り立つ。 ∎
定義 50.
GO-spaceとはLOTSの部分空間と同相な空間のことである。 Generalized Ordered spaceの略である。
系 51.
GO-spaceは単調正規
命題 52.
単調正規空間は(遺伝的)可算パラコンパクトである。
証明.
を単調正規空間とする。 条件を使う。 と定義しする。この時 を
と定義する。 この時は次を満たすことに注意しよう。
-
(1)
,
-
(2)
さて、の単調減少な閉集合の族で となるものを考える。 このとき開集合族が存在してとを満たすものを構成していく。これは空間においては可算パラコンパクト性と同値である。
に対して、と定義する。 そして、と定義し、 に対しては帰納的に と定義する。
を次の条件を満たす集合の全体とする。
-
(1)
はの無限部分集合
-
(2)
-
(3)
任意のととなる任意のに対して が成り立つ。
また、に対してを
と定義する。定義から、であることに注意しよう。
さらにを整列集合で単射的に添字づけして、 とする。ここでは順序数である。 の部分集合を次のように定義する。 に対して、 はすでに定義されているとする。このとき、 とは 任意のとなるについて と定義する。
これを用いて各に対してを次のように定義する。
まずのとき。 このときは と定義する。このときに注意しよう。
次にのときには となる最小のを使って次のように定義する。として、 と定義する。とに注意するとがわかる。
このを用いてと定義する。 そしてと定義する。 このときもちろんが成り立つ。 今からを示す。
となるが存在すると仮定する。 このときの定義から任意のについてとなる が存在する。このことと、 から、 の無限部分集合と列が存在して、 任意のについてと、を満たす。 と書くことにしよう。
まず最初にについて、ならばを証明しよう。 このときから、がわかる。 そして、
がわかる。 また、である。 ここでもしもだったならば、 となり、
となるが、なのでこれはありえない。 よってである。
次にを示そう。 について、とする。このとき先ほど示したことから
となる。これはと同値である。 また、これはであることも示している。
あるについてであることを示そう。 と添字づけられているとする。 となるについて、 となっているが存在するならば証明すべきことはない。 もしとなる任意のについて、 となるならば、 の定義からとなり、から、が求めるものになる。
以上を踏まえて、となる最小のをとる。 そしてとなるをとる。 今から、となるについてはとなることを示す。 とする。に対してとなるをとる。 このときが成り立つ。このことと、の定義から
が成り立つ。 また、なので
が成り立つ。もしここで、と仮定すると、
となるが、これはに反する。(に注意しよう) よってなのでである。 また、 の取り方から、となるの最小値はとなる。
先ほどとったについて考える。 となるをとる。さらにとなるをとる。 すでにであることは証明している。 また、 なので、 となるので、である。 しかし、の定義を思い返してみると、となるはこのような順序数のうち最小であり、なので、となる。これは矛盾である。よって であり、は可算パラコンパクトである。
∎
系 53.
LOTSは可算パラコンパクト
系 54.
GO-spaceは可算パラコンパクト
定義 55.
位相空間がであるとは、がであり、かつその空間の任意の閉集合がになる時にいう。
系 56.
空間は可算パラコンパクトである。
定理 57.
以下の空間は全て可算パラコンパクトである。
-
(1)
コンパクトハウスドルフ空間
-
(2)
パラコンパクトハウスドルフ空間
-
(3)
距離空間
-
(4)
LOTS
-
(5)
GO-space
-
(6)
単調正規空間
-
(7)
空間
注意.
族正規だが単調正規ではない空間の例としてRudinのDowker spaceがある。
6 可算パラコンパクト性にまつわる例
ここでは可算パラコンパクト性に関する反例を紹介していく。
Greeverの論文[6]にはいろんなコンパクト性の概念と、 いろんな反例がたくさん載っている。
例 58 ().
空間は可算コンパクトであるが、パラコンパクトではない空間である。またこの空間は ではない。加算コンパクトでパラコンパクトな空間はコンパクト空間になる.はコンパクト空間ではないので,パラコンパクトではない.
例 59 ().
空間の可算個の位相的直和は、可算コンパクトでなはなく、可算パラコンパクトな空間である。もちろんではない。一般に加算パラコンパクト空間の可算個の直和は可算パラコンパクトになる.
例 60 ().
は正規ではない空間であり、可算ハイポコンパクト、可算パラコンパクト、可算メタコンパクトを満たす。証明略。これは命題42に関係した例である。
例 61 (Arens’ simplified plane).
([14]) ではないハウスドルフなメタコンパクト非パラコンパクト空間。 と置き、 と定義する。
について
と定義してにはを、にはを基本近傍系として、そしての元には普通の平面の部分集合としての近傍系を導入するとキチンと位相を導入出来る。この空間をと書こう。
命題 62.
はハウスドルフ空間である。
証明.
明らか ∎
命題 63.
は正則空間ではない。
証明.
から分かる。 ∎
命題 64.
はパラコンパクトではない。
証明.
パラコンパクトハウスドルフ空間は正則空間でなければならないからである。 ∎
命題 65.
はメタコンパクトである。
証明.
まずの部分空間としては普通の平面の部分空間としての位相と一致することを鑑みると、がパラコンパクトである事が分かる。さらにはの開集合である。
の任意の開被覆についてこれをに制限する。つまり
を考える。はパラコンパクトなのでの 局所有限開細分被覆が存在する。そしてを含むの元をひとつづつ選びとすると
はの点有限開細分被覆である。 ∎
命題 66.
はコンパクトである。従ってリンデレフ空間である。
証明.
の部分空間がコンパクトであり、もコンパクトだからである。 ∎
命題 67.
は可算パラコンパクトではない。
証明.
リンデレフかつ可算パラコンパクトならばパラコンパクトでなければならないからである。 ∎
命題 68.
は第二可算公理を充たす。
証明.
の部分空間が開部分空間であり、かつ第二可算で、はそれぞれ可算な基本近傍系を持つからである。 ∎
以上からは可算パラコンパクトではないメタコンパクトコンパクトハウスドルフ空間である事が分かる。
例 69 (Heath’s half plane: Vの字近傍の空間).
([7]) で非可算パラコンパクト、メタコンパクト空間。 とし、に対して、
とする。この時、
と定義するとこれはの開基になっている。つまり、この空間の点の基本近傍は、の時はになり、の時はという形になっている。
補題 70.
空間は空間である。
証明.
次元なハウスドルフ空間なので、を満たす。 ∎
補題 71.
空間はメタコンパクトである。
証明.
となるに対して、となるようなはふたつしかないからである。 ∎
補題 72.
空間は可算パラコンパクトではない。
証明.
が局所有限な開細分被覆を持たない可算な開被覆であることを示そう。 の局所有限な開細分被覆が存在するとしよう。この時、
という形だとしても一般性を失わない。
任意のと有限部分集合に対して
と定義する。は局所有限なので、である。は可算な族なので、ベールの範疇定理から、と有限部分集合とを満たすふたつの実数が存在して、次を満たす:はの中で稠密である。 の中からとなるをとると、の定義との稠密性そしてという近傍の形からが存在してとなる。しかし、はの元としか交わらないはずなのでこれは矛盾である。よっては可算パラコンパクトではない。 ∎
補題 73.
空間はではない.
証明.
空間上では可算パラコンパクトと可算メタコンパクトは同値であるからである. ∎
この空間は、がないと、可算メタコンパクトと可算パラコンパクトが同値でないことを示している。
例 74 (Bing’s example G).
([4]) メタコンパクトではなく,族正規でもないな可算パラコンパクト空間が存在する.これはまたではない。
を非可算集合として,とする.すなわちはの冪集合である.また, はからへの写像全体の集合とみなせる. そして,とし,各に対してを, ならばで,そうでないならばと定義する. これは,に関する上定義された評価関数とみなすことができる. そして と定義する. をの積位相として, に を開基とする位相を導入する. この空間をBing’s example Gと呼ぶ. ここで,の中でが離散空間であることに注意しよう. 実際,に対して,成分への射影を考える. そして,を考えるとこれは開集合で,以外の の元を含まない.
補題 75.
空間はである.
証明.
がであることは定義から簡単にわかる. 次に正規であることを示そう. , をの互いに離れた集合とする. つまりかつを満たすとする. このとき, とのどちらか一方が に含まれるときには,それは開集合になるので,正規性の条件は満たされる. そうでないとき,つまりかつ のときを考える. そして
と定義する. これを使って, , と定義する.定義からとはの開集合である. このときであり, でである. さて, , とすると,これらはの開集合であり, ,で,を満たす. よっては正規である. ∎
補題 76.
は族ハウスドルフではない.
証明.
がの中で閉集合であり,相対位相は離散位相であることを踏まえると, は疎な点の族である. ここで,各について,となる 互いに素な開集合の族が存在したとしよう. ここで,各はの開集合としてもよい. はcccを満たすので,が非可算であるとき, 上で述べたは存在し得ない. よっては族ハウスドルフではない. ∎
補題 77.
は空間ではない.
証明.
の位相の定め方から,におけるの近傍系は と一致する.またはなのでは閉集合である. そして,は第一可算公理を満たさないので,はではない. ∎
また,がメタコンパクトであることも証明できる.
例 78 (Micahel line ).
([10]) パラコンパクトハウスドルフ空間だが、との直積が正規にならない例 。また、は非リンデレフである。遺伝的パラコンパクトであり、になる。しかしではない。
台集合はとする。 の通常の位相をとして、の開基を次のように定める。
ここでである。
まずはハウスドルフであることが定義から直ちにしたがう。
命題 79.
は遺伝的パラコンパクトである。よってである。
証明.
とする。はとする。またとしても一般性を失わない。の定義はの定義をみよ。 そしてとする。は距離空間なので遺伝的パラコンパクトである。よってに対して、 細分が存在して、に対しては局所有限を担保する近傍が存在し、また、となる。 の元は全て一点集合なので、 はの 細分であって、であり、 については局所有限性を担保する開近傍が存在する。 よってはパラコンパクトである。結果としては遺伝的パラコンパクトである。パラコンパクトハウスドルフ空間は正規なので、遺伝的パラコンパクトハウスドルフ空間はである。 ∎
命題 80.
のなかではではない閉集合である。よってはではない。
証明.
位相の定め方からが閉集合であることは直ちにわかる。
今が可算個のの開集合の共通部分になっているとしよう。 さて各とについてをに含まれるのユークリッド開近傍の中で最大のものとする。 このとき位相の定め方からはの開集合でもある。 そしてとするとこれはの開集合でもあるし、の開集合でもある。 またなのでである。 つまり、はの集合であることが導かれるが、よく知られた事実333は完備距離づけ可能ではないからである。このことはベールの範疇定理からわかる。として、はの集合ではないのでこれは矛盾である。 ∎
命題 81.
は連続体濃度を持つ閉離散部分空間を持つ。よってはリンデレフではない。
証明.
と添字づけをする。このときを中心がで半径がの実数直線の開球とする。定義から各はの開集合である。 ここで測度を考慮に入れると、はを被覆せず、 の測度は正(無限大)であって、 である。はのなかで閉集合であり、の開集合の定め方からは離散部分空間となる。ルベーグ測度正の集合は連続体濃度を持つので命題は示された。 ∎
命題 82.
は正規ではない。 ここでにはから誘導される通常の位相が入っているとする。
証明.
の部分集合とを以下のように定義する。
が閉集合であることは直ちにわかる。が閉集合であることも直ちにわかる。これはがの位相より細かく、の中でが閉集合だからである。 もちろんとは交わらない。このふたつの閉集合が開集合で分離できないことを示そう。 ととなるふたつの開集合を与えよう。 とに対してをを中心とする半径のユークリッド開球との共通部分とする。 はの基本近傍系をなす。
各に対して
と定義する。はの基本近傍系をなすので、 となる。 よってベールの範疇定理からあるとが存在して、と はの中で稠密になる。 を考えると、 これはを満たしているが、 とに十分近いをとると、の近傍はと交わってしまうので、である。よっては正規ではない。 ∎
の存在から、を集合として含むコンパクト空間は存在しないことがわかる。 はに同相であることに注意せよ。
注意.
森田紀一は任意の距離空間との直積がになる空間を、の被覆に関する条件で内在的に特徴づけた。このような空間を(Morita’s) P-spaceと呼ぶ。 実は空間は-spaceになる。このことからもはではないことがわかる。
例 83 (Sorgenfrey line ).
ゾルゲンフライ直線は正則かつ(遺伝的)リンデレフなので、パラコンパクトである。また、であることもわかる。しかしながらは可算パラコンパクトではない。これは直積で可算パラコンパクト性が保たれないことを示している。
7 Dowker space
定義 84 (Dowker space).
可算パラコンパクトでない空間をDowker spaceという。
定義 85.
基数について、が-Dowker spaceとは、がであり、さらに 単調減少な閉集合の族が存在してを満たし、 さらに次のことを満たす。となる開集合の族は
を満たす時にいう。
命題 86.
-Dowker spaceはDowker spaceである。
証明.
わかる。 ∎
このことから、-Dowker spaceはDowker spaceの一般化になっていることがわかる。
以下では与えられた無限基数に対して、-Dowker spaceを構成していく。
命題 87.
を無限基数とする。このとき 基数の増大列が存在して以下を満たす。
-
(1)
任意のについて
-
(2)
任意のについて
-
(3)
の時
証明.
とし、 とすると命題の条件を満たす。
∎
定義 88.
について (resp. )を任意のについて(resp. )であることと定義する。
そして となるについて
と定義する。 この形の集合全体は、の開基となる。
この開基によって生成される位相でに位相を定義する。はハウスドルフ空間であることが簡単にわかる。
以下ではが-Dowker spaceであることを示そう。
命題 89.
について
と定義する。 このとき各は閉集合であり、は単調減少で
を満たす。
証明.
まず、共通部分が空であることはの定義からわかる。またならばもわかる。
最後にが閉集合であることを示そう。とする。 すると、あるが存在してがわかる。 このときを取ると、やはり なので、である。つまりはと交わりを持たないの開近傍で、は任意であったので、は閉集合である。
∎
以下ではを満たす開集合族は常にとなることを証明する。
補題 90.
はを満たす開集合族とする。このとき各に対してが存在して、
証明.
を固定する。
は単調であり、 を満たす。 よっての濃度もであるから、 族を以下の条件を満たすように定義できる。
さて補題の条件を満たすが存在しないと仮定しよう。 帰納法によって各に対してを定義する。 各についてが定義されたとしよう。 このとき上の族を用いて
と定義する。命題87より の時はなので、がわかる。はと を満たすものとする。
定義からであり従ってなので、が存在して、とを満たす。 を満たすについて、は狭義単調であるから、からとなるが存在する。 なのでである。 よってとなるについて
となる。さて、の作り方からとなるが存在して について
を満たす。 の定義からについてなので、結局 がわかる。またなので、
だが、これはに反する。 ∎
命題 91.
はとなる開集合族とする。 このとき
証明.
補題90で保証されるをごとに取る。 各に対して
で となるをとる。これは、命題87から、ならば であるから可能である。 そしてと定義する。もちろんである。 そして
なので、である。また、
なので、 である。 よって
∎
以下では位相空間が族正規であることを証明する。 改めて族正規の定義をする。
定義 92.
位相空間に於いての部分集合族が疎であるとはの各点に対しての近傍が存在して
| となるが存在しないか、もしくは1個しか無い |
を充たす時は疎であると言う。もちろんが疎であるときならばである。
定義 93 (族正規).
位相空間が族正規であるとはの閉集合からなる任意の疎な族に対してとなる開集合の族が存在して
が成り立つことである。444は要請しないことにする明らかに族正規空間は正規である。
をの疎な閉集合の族とし、以降は固定する。
補題 94.
とする。 は任意のについてを満たすものとする。
とする。
このときが存在してであり、はの元と高々一個としか交わらない。
証明.
を固定する。
まず最初に
と定義する。 でありである。
であるから、族 が存在して次を満たす。 任意のとについてが存在してと
を満たす。
さて、いま補題の条件を満たすようなが存在しないと仮定しよう。 このとき帰納法によって, , を以下のように構成する。 についてとなるについて三つの列は定義されているとする。 このときを
と定義する。もちろんである。さてこのとき、背理法の仮定をに適応して、, となるをの異なる元に属しているものとする。 以上により, , が定義された。
これらを用いてを以下のように定義する。
まず最初にを示そう。についてはわかる。 とより の時なので、が成り立ち、 内の列はの中に上限を持つ。よってである。 以上からがわかる。
次にを示そう。 の時 はについて単調増加なので の時である。 の時は に関する仮定から、がわかるので、 結局任意のについて
である。よってである。
は疎なので、上で定義したに対して、あるが存在して、は の高々一つの元としか交わりを持たない。
さて、あるが存在して、の時となる。 さらにから、あるが存在してとがわかる。つまり、 がわかる。またなので、となる。するととの定義との定義から, となることがわかり、 となるが、 これはがの高々一つの元としか交わらないということに反する。 ∎
補題 95.
はを満たすものとする。 このときが存在してであり、は高々一個のの元としか交わらない。
証明.
各に対して上の補題94を用いてを得る。 そしてと定義する。が補題の条件を満たすことを示そう。まずなので、がわかる。 とする。 するとが存在して, となる。 とすると、であり、
となる。よっての定義から, は同じの元に属する。 ∎
定義 96.
について
とする。もちろんであり、ならばとなる。
命題 97.
のふたつ以上の元と交わりを持つ の開集合に対して、開集合族が存在して以下を満たす。
-
(1)
は互いに素である。
-
(2)
はの部分集合でを被覆する。
-
(3)
もしがのふたつ以上の元と交わりを持つならば、
証明.
この証明の中ではと書くことにする。
[Case1 あるについてが成り立つ時。]
このようなをひとつ固定しよう。 この時が後続順序数でないことを示そう。とかけるとしよう。 定義から任意のについては後続順序数ではない。 よってについてはとなるはずだが、これはということであり、に矛盾する。
以上のことからは無限基数である。 を単調増大列で となるものとする。 この時と定義し、に対しては
と定義する。 任意のに対して、を次のように定義する。
この時
と書けるので、は の集合である。 また、明らかに互いに素である。 さて今 もし、は任意のについてとなっていたとすると、 の形の基数の集合はの中で共終的なのでとなるが、これはに矛盾する。 よって、各に対してあるが存在して
を満たす。つまり、となるのでの条件も満たされる。また、なので、 (がのふたつ以上の元と交わるか否かに関わらず)の条件は満たされる。
[Case2. 任意のについての時]
補題95のをとる。
任意のごとに
と定義する。そして ごとにを次のように定義する。
この時とかけるので、は開集合である。 また定義から明らかに互いに素であり、でもあるから, が満たされる。 もしとなるならば、でしかありえないが、この時のとりかたからはの高々一個の元としか交わりを持たない。 よってが満たされる。
∎
命題97でに対して存在が保証される被覆をと書くことにしよう。
命題 98.
の個の開集合の共通部分は開集合である。
証明.
を開集合の列とする。そしてとする。 各について
となるが存在する。 各についてであることと、であることから、である。 よって、と定義すれば、任意のについてであるから、は開集合である。 ∎
命題 99.
の被覆であるような互いに素な開集合族の列が存在して以下を満たす。 とする。任意のについてが存在して以下を満たす。
-
(1)
-
(2)
がのふたつ以上の元と交わるならばである。
-
(3)
がの高々一つの元と交わるならば
証明.
とする。
となるについてはは定義されているとする。
[Case1 が後続順序数の時]
と仮定する。この時
と定義すると条件を満たす。
[Case2 が極限順序数の時]
と について をを含むの唯一の元とする。 この添字づけは一般に単射ではないことに注意しよう。 そして、
とする。 よりなので、この集合は開集合である。 条件を満たすことは簡単にわかる。
∎
補題 100.
を無限基数とする。 の中の列は、任意のと任意のについて とを満たしているとする。 この時、である。
証明.
順序数の降下列は有限列であることからわかる。 ∎
命題 101.
の疎な閉集合の族に対して、 互いに素な開集合の族が存在して
を満たす。 つまりは族正規である。
証明.
を任意に与える。をとり、はがの高々一個の元としか交わらないものとする。 の元の単調減少な下降列は高々個しかないからこのようなは常に存在する。 そして
と 定義する。 はわかる。 互いに素であることを示そう。 はの別の元に属しているとしよう。 すると、とすると、の性質から、 、でありこの二つは交わらない。 よっては互いに素である。
これでが族正規であることがわかった。
∎
定理 102.
任意のについて、-Dowker spaceが存在する。特にDowker spaceは存在する。
注意.
の時はとしてを構成できる。
7.1 応用
-Dowker spaceの存在から次のことがわかる。
定理 103 (森田の第一予想の肯定的解決).
位相空間はとする。 任意の空間との直積がならば、は離散空間である。
以下ではこの予想を-Dowker spaceの存在から証明していこう。
まず次の補題が必要になる。これはDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴づけの類似である。
補題 104.
位相空間には濃度がの非閉な部分空間が存在し、さらにの部分空間で濃度がのものは全て閉集合であるとする。 この時、もし空間ととの直積が正規ならば、は -Dowker spaceではない。 つまり、を満たす任意のの単調減少な閉集合の族に対して となる開集合の族が存在して
を満たす。
証明.
をの単調減少な閉集合族でとなるものとする。この集合族に対し、で、となるものを構成する。 の部分集合を
と定義する。この集合がの閉集合であることを示そう。 としよう。
[Case 1]
のとき このときとなる最小のをとる。 するととなるについてはなので、任意のについて、 である。 の濃度以下の離散部分空間は閉集合だと仮定しているので、 は閉集合である。よって は開集合であり、 がと交わりを持たないの開近傍となる。
[Case 2]
の時 このときにはがと交わらないの開近傍になる。
以上のことからは閉集合である。
の導集合のことをと書くことにする。 を適当に取る。
さて、とすると、とは交わりを持たない の閉集合であるから、の正規性から、交わりを持たない二つのの開集合で
となるものが存在する。
ここでと定義する。 すると、は開集合であり、からを満たす。 また、を任意に取ると、 なので、 の近傍との近傍が存在して、 となる。 なのでが存在してとなる。 なので、特にである。 つまり、である。よってがわかる。 これで証明が終わる。 ∎
証明すべきことをもう一度のべる。
定理 105 (森田の第一予想の肯定的解決).
位相空間はとする。 任意の空間との直積がならば、は離散空間である。
証明.
位相空間に対して基数関数を次のように定義する。
の中身が空集合の場合にはと書くことにする。 がの時にはは有限の値を取らない。つまりは無限基数かもしくはの値をとる。また、とが離散空間であることは同値である。
本題に入ろう。もし空間が離散でないとすると、は無限基数となり、 先の補題の対偶からと-Dowker space との積はではない。しかし、はであるから、これはの仮定に反する。よっては離散空間である。 ∎
森田の三つの予想はすでにZFC公理系の下で全て肯定的に解決されている。
8 補記:森田予想について
一般に以下のことが成り立つ。
定理 106.
を空間とする。 任意の離散空間に対してがであるための必要十分条件は、がであることである。
定理 107.
を空間とする。 任意の距離化可能空間に対してが正規であるための必要十分条件は、がな-spaceであることである。
定理 108.
を距離化可能空間とする。 任意の可算パラコンパクト空間に対してがであるための必要十分条件は、が-局所コンパクトな距離距離化可能空間であることである。
これら三つの定理の「双対」が森田の三つの予想である。これは1976年に森田紀一によって提案された。
予想 1.
を空間とする。 任意の空間に対してがであるための必要十分条件は、が離散空間であることである。
予想 2.
を空間とする。 任意のな-space に対してがであるための必要十分条件は、が距離化可能空間であることである。
予想 3.
を空間とする。 任意の-局所コンパクトな距離化可能空間に対してがであるための必要十分条件は、が可算パラコンパクトなであることである。
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