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可算パラコンパクト空間の特徴付けおよびDowker空間の存在性のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

可算パラコンパクト空間

ナンブ キトラ
HTML変換日:2026年7月26日

1 準備

この章では基本的な概念を紹介する。

この文章では,ωで最初の可算順序数を表す.また,[ω]ωωの有限部分集合全体から成る集合を表す.

定義 1 (細分).

𝔄,𝔅集合Xの部分集合の族とする。このとき𝔄𝔅の細分であるとは

A𝔄B𝔅AB

となることである。

定義 2 (点有限族).

集合Xの部分集合の族𝔄が点有限であるとはXの任意の点xに対してxAとなるA𝔄が有限個しかないことである。

定義 3 (局所有限族).

位相空間Xに於いてXの部分集合の族𝔄が局所有限であるとはXの各点xについてxの近傍Nが存在して

NAA𝔄

を充たすことである。

命題 4.

𝔄を位相空間Xの局所有限な族とする。このとき

CL(A𝔄A)=A𝔄CL(A)

が成立する。111CLは閉包作用素である。

証明.

明らかに

CL(A𝔄A)A𝔄CL(A)

が成り立つ。逆向きの包含関係を示そう。xCL(A𝔄A) とする。𝔄は局所有限なのでxの近傍Nが存在して

NAA𝔄

を充たす。Nと交わる𝔄の元をA1,A2,AnとするとxCL(A𝔄A)から

xCL(i=1nAi)

が成立する。しかし有限個の和集合については

CL(i=1nAi)=i=1mCL(Ai)

が成り立つので結局

xA𝔄CL(A)

つまり

CL(A𝔄A)=A𝔄CL(A)

定義 5 (星形有限).

位相空間Xに於いてXの部分集合の族𝔄が星形有限であるとは任意のA𝔄に対してAB=ØとなるB𝔄が有限個しかないときにいう。

注意.

星形有限な開被覆は局所有限である。

定義 6 (ハイポコンパクト).

位相空間がハイポコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して星形有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。 強パラコンパクトともいう。

定義 7 (パラコンパクト).

位相空間がパラコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して局所有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。

定義 8 (メタコンパクト).

位相空間がメタコンパクトであるとは空間の任意の開被覆に対して点有限でかつ開被覆であるような細分が存在することである。

定義 9.

位相空間Xに於いてXの部分集合族𝒜が疎であるとはXの各点xに対してxの近傍Nが存在して

NAØとなるA𝒜が存在しないか、もしくは1個しか無い

を充たす時𝒜は疎であると言う。もちろん𝒜が疎であるときA,B𝒜,ABならばAB=Øである。

定義 10 (族正規).

位相空間Xが族正規であるとはXの閉集合からなる任意の疎な族𝒜に対してAUAとなる開集合の族{UA|A𝒜}が存在して

ABUAUB=Ø

が成り立つことである。222T1は要請しないことにする明らかに族正規空間は正規である。

事実 11.

T1空間において、 メタコンパクトでかつ族正規であることと、パラコンパクトであることは同値である。

事実 12.

κを無限基数とする。 T4空間において、 κメタコンパクトでかつκ族正規であることと、κパラコンパクトであることは同値である。

注意.

一般に、正規性と0族正規が同値である。 のちに述べる、T4空間における可算メタコンパクトと可算パラコンパクト性の同値性はこのことと、上の事実の系と見ることもできる。

2 正規性

この章では、被覆を用いた正規空間の特徴付けを紹介する。

定義 13.

位相空間Xが正規であるとはXの互いに素な二つの閉集合A,Bに対して、互いに素なXの開集合U,Vが存在してAU, BVを満たすときにいう。 XT4とはXが正規でかつT1のときにいう。

定義 14 (開収縮).

位相空間Xの開被覆𝒰に対して{VU|U𝒰}が開収縮であるとは{VU|U𝒰}Xの開被覆であって、任意のU𝒰について

CL(VU)U

を充たすこと。

定義 15 (閉収縮).

位相空間Xの開被覆𝒰に対して{FU|U𝒰}が閉収縮であるとは{FU|U𝒰}Xの閉被覆であって、任意のU𝒰について

FUU

を充たすこと。

定理 16.

位相空間Xについて以下は同値である。

(1) 正規性
(2) 点有限開被覆に開収縮が存在する
(3) 局所有限開被覆に開収縮が存在する
(4) 有限開被覆に開収縮が存在する
(5) 点有限開被覆に閉収縮が存在する
(6) 局所有限開被覆に閉収縮が存在する
(7) 有限開被覆に閉収縮が存在する
証明.

以下の論理包含図式は明らかであろう。

(2)(3)(4)(5)(6)(7)

これらを踏まえて以下では

(1)(2),(7)(1)

を証明する。

[(1)(2)の証明]

{Ui}iIXの任意の点有限開被覆とし、Iは整列しているとする。超限帰納法で

(hoge1)CL(Vi)Ui
(hoge2)kI{Vi}ik{Ui}k<iXの被覆を成している

となるViを構成する。0Iの最小元として、まずV0を構成する。F0=Xk0Ukと置くとこれは閉集合で{Ui}iIが被覆を成すことから

F0U0

となる。ここでXの正規性を用いると

F0VCL(V)U0

となる開集合Vが存在する。このようなVの一つをV0とおくと

CL(V0)U0

を明らかに充たし 更に{V0}{Ui}i>0Xの被覆を成している。

次にi<kとなる任意のiについては(a),(b)を充たすViが構成できているとしよう。このとき

Fk=X(i<kVik<iUi)

と定義する。さて

FkUk

となることを見よう。もしxFk(XUk)が存在したとしよう。{Ui}iIは点有限なのでxUaとなるaIは有限個であり、このようなもの全体を{a1,a2,,an}としよう。そしてb=max{a1,a2,an}と置くとFkの定義とxFkxUkよりb<kであり、b<iとなるiについてxUiであるのでbに対する(hoge2)からxibVbであるが、ibVbi<kViFkの定義からxFkになり、矛盾する。よってFkUk

さてさてここでXの正規性から

FkVCL(V)Uk

となる開集合Vが存在するが、このようなVのひとつをVkとしよう。このとき、(hoge1),(hoge2)が充たされることは見やすい。

最後にこのように作られた{Vi}iIXの被覆になることを見よう。xXを任意に与える {Ui}iIは点有限なのでxUaとなるaIは有限個であり、このようなもの全体を{a1,a2,,an}としよう。そしてb=max{a1,a2,an}と置くとb<iならばxUiなので(hoge2)からxVjとなるVjが存在する。よって{Vi}Iは被覆となる。

[(1)(2)の証明終わり]

[(7)(1)の証明]

E,Fを交わらない2つのXの閉集合としよう。このとき{XE,XF}Xの有限開被覆なので(9)から閉収縮{A,B}が存在する。つまり{A,B}

AXE,BXF

となる2つの閉集合である。このときU=XA,V=XBと置くと、これらは開集合であり、更にEU,FVである。またAB=Xから

UV=X(AB)=XX=Ø

なので結局Xは正規である。

[(7)(1)の証明終わり]

事実 17 (ウリゾーンの補題).

(X,𝔒)を正規空間とし、F,Gをその互いに素な2つの閉集合とすると連続関数f:X[0,1]が存在し

f|F=1,f|G=0

を充す。 つまり互いに素な2つの閉集合は関数で分離できる。

定義 18.

Xの部分集合SGδ集合であるとは、Sが可算個のXの開集合の共通部分で表せるときにいう。 また、SFσ集合であるとは、Sが可算個のXの閉集合の和集合で表せる時にいう。

次の命題は、ウリゾーンの補題の応用の一つであり、断りなく頻繁に使われる。

命題 19.

Xを正規とする。Xの閉集合Aと開集合U

AU

を満たすとする。このときXGδ閉集合TFσ開集合Sが存在して

ASTU

となる。

命題 20.

ウリゾーンの補題から、連続関数f:X[0,1]が存在して、

f|A=0,f|XU=1

を満たす。ここで、S=f1([0,1/2)), T=f1([0,1/2])とすると、それぞれ開集合と閉集合であり、 ASTUを満たす。 また、S=iωf1([0,1/21/2i])なので、SFσである。同様にしてT=if1([0,1/2+1/2i))なので、TGδである。

3 正規性が遺伝する部分集合

改めてFσ集合を定義する。

定義 21.

位相空間の部分集合Sが、XFσ集合であるとは、SXの可算個の閉集合の和集合でかける時にいう。 また、Xの部分集合Sが、XGδ集合であるとはSXの可算個の開集合の共通部分で書ける時に言う。

定義 22.

位相空間Xのふたつの部分集合A,Bが分離的であるとは、

CL(A)B=ACL(B)=0

を満たす時にいう。

正規空間において、ふたつの閉集合は分離できるが、一般に分離的なふたつのFσ集合を開集合で分離することができる。この性質は見かけ上は正規性よりも強いことを主張しているが、正規性と同値である。

命題 23.

Xを正規空間とし、A, BXのふたつのFσ集合で、分離的なものとする。このときXの開集合U, Vが存在してUV=Øおよび、AU, BVを充す。

証明.

Xの閉集合からなるふたつの可算族{Si}, {Ti}SiSi+1, TiTi+1および

A=iSi,B=iTi

を充すとする。 開集合の可算族{Ui}, {Vi}を以下を充すものとする。

SiUiCL(Ui)X(CL(B)k<iCL(Vk)),
TiViCL(Vi)X(CL(A)k<iCL(Uk)),
CL(Ui)CL(Vi)=Ø

このような族の存在は、A, Bの分離性と空間の正規性、そして帰納法によりわかる。 任意のi,jについて、

UiVj=Ø

に注意しよう。 そして、

U=iUi,V=iVi

とするとAU, BVUV=Øなので、これで命題が証明された。 ∎

補題 24.

XFσ集合Sの閉部分集合は、XFσ集合である。

系 25.

正規空間のFσ集合は正規である。

定義 26.

位相空間Xの部分集合Sが一般化Fσ集合であるとは、任意のXの開集合USUとなるものに対して、Fσ集合Aが存在して、SAUを満たす時にいう。

補題 27.

Xの一般化Fσ集合Sの閉集合はXの一般化Fσ集合である。

証明.

Sの閉集合をAとする。そして、Xの開集合UAUを満たしているとする。ここでASの閉集合なので、Xの閉集合Fが存在して SF=Aを満たす。 V=U(XF)Xの開集合でありSVを満たす。 Sは一般化Fσ集合であるから、SBVとなる XFσ集合Bが存在する。BFσなので B=iCi, CiXの閉集合、と表すことができる。 そこでDi=CiFとし、E=iDiとおく。これはもちろんFσ集合である。 まずAE である。次にDiVFF(U(XF))=UFUなので、EUである。以上からAが一般化Fσ集合であることがわかる。 ∎

命題 28.

Xのふたつの分離された一般化Fσ集合ABに対して、Xの開集合U, Vが存在してAUBVUV=Ø を満たす。

証明.

AXCL(B)なので、Aが一般化Fσ集合であることを用いてASXCL(B)となるFσ 集合Sが存在する。R=CL(A)SFσ集合である。 また、同様にBXCL(A)に対してFσ集合T が存在してBTXCL(A)を満たす。 そしてL=TCL(B)と定義する。 ここでCL(R)CL(A)なのでCL(R)LCL(A)T=Øとなる。同様にCL(L)R=Øとなる。よって先の命題からRLを分離する開集合が存在する。これはABも分離するので、これで証明が終わる。 ∎

系 29.

正規空間Xの一般化Fσ集合は正規である。

定理 30.

以下は同値である。

  1. (1)

    Xは正規である。

  2. (2)

    Xの分離されたふたつのFσ集合は開集合で分離可能である。

  3. (3)

    Xの分離されたふたつの一般化Fσ集合は開集合で分離可能である。

注意.

距離空間の任意の部分集合や、ω1の定常集合などが、一般化Fσ集合となる。

4 可算パラコンパクト性とDowkerの定理

この章ではDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴付けを紹介する。 以下に三つのコンパクト性の概念を導入する。

定義 31 (可算ハイポコンパクト).

任意の可算開被覆が星形有限な開細分被覆を持つ時に可算ハイポコンパクトという。今日ではこの概念は可算強パラコンパクトと呼ばれることがとても多い。

定義 32 (可算パラコンパクト).

任意の可算開被覆が局所有限な開細分被覆を持つ時に可算パラコンパクトという。

定義 33 (可算メタコンパクト).

任意の可算開被覆が点有限な開細分被覆を持つ時に可算メタコンパクトという。

Dowkerの定理のために次の概念が必要である。

定義 34.

Xの可算単調被覆とは、可算被覆{Ui}i<ωで、

UiUi+1

を満たすもののことをいう。 また、閉集合の族{Fi}i<ωが単調減少とは

Fi+1Fi

を満たす時にいう。

Dowkerの定理の前半部分を証明しよう。これはDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴付けの中で、被覆による特徴付けに関する部分である。

定理 35.

XT4空間とする。このとき以下は同値である。

  1. (1)

    Xは可算ハイポコンパクト

  2. (2)

    Xは可算パラコンパクト

  3. (3)

    Xは可算メタコンパクト

  4. (4)

    Xの可算開被覆は開収縮を持つ。

  5. (5)

    Xの可算単調開被覆は開収縮を持つ。

  6. (6)

    Xの可算単調開被覆は閉収縮を持つ。

  7. (7)

    Xの任意の単調減少な閉集合族{Fi}iで、その共通部分が空なものに対して、開集合族{Gi}が存在して、FiGiiGi=0を満たす。

  8. (8)

    Xの任意の単調減少な閉集合族{Fi}iで、その共通部分が空なものに対して、Gδな閉集合の族{Ai}が存在して、FiAiiAi=0を満たす。

証明.

(1)(2)(3), (4)(5)(6)はわかる。 (3)(4), (7)(8), (6)(7)(8)(1)を示す。

[(3)(4)の証明]

定理16から直ちに従う。

[(3)(4)の証明]

[(7)(8)の証明]

命題19から直ちに従う。

[(7)(8)の証明終わり。]

[(6)(7)の証明]

{Fi}i<ωを単調減少な閉集合族でiFi=0を満たすものとする。

そしてUi=XFiとすると、{Gi}i<ωは可算単調開被覆である。よって条件(6)からAiUiを満たす閉被覆{Ai}i<ωが存在する。Gi=XAiとすると、これはFiGiを満たす開集合であり、{Ai}が被覆であることからiGi=0を満たす。

[(6)(7)の証明終わり]

[(8)(1)の証明]

{Ui}i<ωを可算開被覆とする。 このときFi=XkiUkは閉集合であり、{Fi}は単調減少である。{Ui}が被覆をなすことからiFi=0である。 このとき(8)からGδな閉集合の可算族 {Ai}が存在してFiAiiAi=0を満たす。 XAiFσな開集合である。よって閉集合族{Bi,j}j<ωを用いて

XAi=jBi,j

とかけるが、XT4であることから、

Bi,jInt(Bi,j+1)

と仮定しても良い。

Hi,j=Int(Bi,j)とする。 もちろん

(a) Hi,jBi,jHi,j+1

であり、この式(a)からXAi=jHi,j がわかる。 また、FiAi, Bi,jの定義から

(b) Bi,jXAiXFi=kiUk

がわかる。 さて、

Gn=i+j=nHi,j

と定義する。定義式の右側の和集合は有限個の開集合の和になっていることに注意しよう。 すると、Gnの定義と式(a)(b)から

(c) CL(Gn)Gn+1kn+1Uk

がわかる。 {XAi}iXの被覆であることと、 XAi=jHi,jから、{Hi,j}i,jXの被覆をなしていることがわかる。よってGnの定義から

nGn=X

が成り立つ。

そして、O1=G1, O2=G2 と定義し、n3に対しては

On=GnCL(Gn2)

と定義する。 式(c)から OnknUkが成り立つので これに注意して集合族𝒰

𝒰={OnUin<ω,i=1,2,,n}

と定義する。

𝒰は開集合の族である。これが{Ui}の細分になっていることは定義から明らかである。

まず𝒰 が被覆であることを示そう。 xGnとなる最小のnを取る。するとxOnである。さらに、 OnknUkであるので、xUkとなるknをとれば、xOnUkである。よって𝒰は被覆である。

最後に𝒰が星形有限であることを示そう。 Onの定義から、j>n+2ならばOjOn=0に注意しよう。 すると、OnUiが交わりを持つ𝒰の元は{OkUmk=1,2,,n+2,m=1,2,,n}の元のみであることがわかる。そしてこの集合は有限集合であるから 𝒰は星形有限であることがわかる。

[(8)(1)の証明終わり] ∎

次にDowkerの定理の後半を証明する。これは、コンパクト距離空間との直積に関する部分である。

定理 36.

位相空間XT4とする。このとき 次の三つは同値である。

  1. (1)

    Xは可算パラコンパクトである。

  2. (2)

    任意のコンパクト距離空間YについてX×YT4

  3. (3)

    X×(ω0+1)T4

証明.

(2)(3)は自明である。

[(1)(2)の証明]

A, BX×Yの交わらない二つの閉集合とする。今からAUかつCLX×Y(U)B=0となるX×Yの開集合Uを構成する。 まず{Gi}Yの可算開基とする。 s[ω]<ωについてHs=isGiと定義する。

xXSX×Yについて、S[x]Sxに関するスライスとする。つまり、

S[x]={yY(x,y)S}

である。

s[ω]<ω に対して Us={xXA[x]HsCLY(Hs)YB[x]}とした時、 Usが開集合であることを示そう。 まず P={xXA[x]Hs} が開集合であることを示そう。 aPを任意に固定する。 yYHsを任意に取る。このとき (x,y)Aなので、 a, yの開近傍Ny, Myが存在して (x,y)Ny×My(X×Y)A となる {Ny}YHsの開被覆なので、有限個のy1,,ykが存在して, {Nyi}i=1kYHsを被覆できる。ここでN=iNyi とするとこれはaの開近傍である。 さらに、 (N×(YHs))A=0である。 bNを任意に取り、 yA[b]とする。 つまり(b,y)Aである。 bNであり、 (x,y)Aなので、 (N×(YHs))A=0からyHsである。 つまりA[b]Hsなので、bPである。 よってPは開集合である。 Q={xXCLY(Hs)YB[x]}も同様に開集合であることが示せる。 結果としてUsは開集合であることがわかる。

次に{Us}s[ω]<ωXの被覆であることを示そう。 xXを任意に取る。このとき{Gi}が開基であることと、A[x]がコンパクトであることからs[ω]<ωが存在して、 A[x]HsCL(Hs)B[x] となるので、xUsである。つまり{Us}s[ω]<ωXの被覆となる。

さて、Xは可算パラコンパクトであり、先の定理から可算ハイポコンパクトであることがわかるので、 {Us}の星形有限な開被覆でCLX(Vs)Usを満たすものが存在する。 これを用いてU=sVs×Hsと定義する。 まずAUを示そう。(x,y)Aとする。 {Vs}Xの被覆なのでxVsとなるsが存在する。特にxUsである。 よってxA[x]HsCL(Hs)YB[x]を満たす。(x,y)からyA[x]なので、yHsがわかる。つまり(x,y)Vs×Hsとなる。従ってAUを得る。 次に{Vs×Hs}s[ω]<ωX×Yの局所有限な開集合族であることを証明しよう。(x,y)X×Yを任意に取る。{Vs}Xの被覆なので、 xVsとなるsが存在する。{Vs}は星形有限なので、Vsと交わる{Vs}の元は、有限個であるから、それらをVs(1),Vs(2),,Vs(n)と表すことにしよう。この時Vs×Y(x,y)の近傍であり、{Vs×Hs}のうちVs(1)×Hs(1),,Vs(n)×Hs(n)としか交わらない。よって{Vs×Hs}は局所有限である。

{Vs×Hs}の局所有限性から

CL(U)=sCL(Vs×Hs)

が成り立つ。 さらに

CL(U)=sCL(Vs×Hs)=sCL(Vs)×CL(Hs)sUs×CL(Hs)

を満たし、 Usの定義から(Us×Hs)B=0なので、 CL(U)B=0である。よってX×YT4である。

[(1)(2)の証明終わり]

[(3)(1)の証明]

{Fi}Xの単調減少な閉集合族でiFi=0となるものとする。この集合族に対し、FiGiで、Gi=0となるものを構成する。

X×(ω0+1)の部分集合A

A=iω0Fi×{i}

と定義する。この集合が閉集合であることを示そう。 (x,y)Aとしよう。 yω0の時は、(XFy)×{y}Aと交わりを持たない開集合となる。

y=ω0の時、十分大きい番号NをとればNnのとき xFnとなるので、(XFN)×[N,ω0]Aと交わりを持たない開集合となる。よってAは閉集合である。

さて、B=X×{ω0}とすると、ABは交わりを持たないX×(ω0+1)の閉集合であるから、X×(ω+1)の正規性から、交わりを持たない二つのX×(ω+1)の開集合U,V

AU,BV

となるものが存在する。

ここでGi={xX(x,i)U}=U[i]と定義する。 すると、Giは開集合であり、AUからFiGiを満たす。 また、xXを任意に取ると、 (x,ω0)BVなので、 xの近傍SNω0が存在して、S×[N,ω0]Vとなる。UV=0なので、特に(x,N)Uである。つまり、xGNである。よってiGi=0がわかる。 このことと先の定理からXが可算パラコンパクトであることがわかる。

[(3)(1)の証明終わり] ∎

セクション3において正規空間の一般化Fσ集合は正規であることを示した。同様にして、可算パラコンパクトかつT4も一般化Fσ集合に遺伝する。このことをコンパクト距離空間との直積を用いたDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴づけ、つまり定理36を用いて証明しよう。その証明の中ではいわゆるTube lemmaと呼ばれる議論を用いる。 まずはそのTube lemmaを紹介しよう。

補題 37 (tube lemma).

Xを位相空間、Yをコンパクト位相空間とする。更にxXX×Yの開集合O

{x}×YO

を充たしているとする。このときXにおけるxの開近傍Nが存在して

{x}×YN×YO

を充たす。

証明.

A={x}×Yと置く

𝒪={U×V|A(U×V)Ø,U×VO,U,VX,Y}

と置くと、𝒪は開集合族で直積の開集合の定め方から

A𝒪

が成り立つので𝒪Aの開被覆である。AYと同相であるからコンパクトなので

Ai=1n(Pi×Qi)O

となる𝒪の有限部分族{Pi×Qi}i=1nが存在する。そして明らかに

Yi=1nQi

であり

N=i=1nPi

と置けばxN

A={x}×YN×YN×inQi=i=1n(N×Qi)i=1n(Pi×Qi)O

が成り立つので証明が終わる。 ∎

ちなみにTube lemmaが成り立つことと、Yがコンパクトであることは同値である。

命題 38.

可算パラコンパクトT4空間の一般化Fσ集合は可算パラコンパクトである。

証明.

XT4空間とし、Sをその一般化Fσ集合とする。 まず最初に系29からST4であることがわかる。 よって定理36から、任意のコンパクト距離空間Yとの直積S×Yが正規になることが証明できればこの命題は証明される。 そのために、S×YX×Yの一般化Fσ集合である ことを証明しよう。そうすれば、Xの可算パラコンパクト性からX×Yは正規なのでS×Yが正規であることもわかる。

UX×Yの開集合でS×YUとなるものとする。 さて、補題37から任意のxSに対してxXにおける開近傍Nxが存在してNx×YUを満たす。ここでV=xSNxと定義するとこれはXの開集合であって、V×YUを満たし、さらにSVとなる。ゆえにSXの一般化Fσ集合であるから、XFσ集合Aが存在してSAVを満たす。すると、S×YA×YV×YUがわかり、A×Yは明らかにX×YFσ集合なのでS×YX×Yの一般化Fσ集合であることがわかる。 ∎

系 39.

可算パラコンパクトT4空間のFσ集合は可算パラコンパクトである。

証明.

命題38からもわかるが、AXFσ集合のとき、任意の位相空間YについてA×YX×YFσ集合になるため、このことからもわかる。この論法自体命題38の証明の中で使われている。 ∎

この系を用いて、Dowkerの定理をほんのちょっとさらに拡張することができる。

定理 40.

XT4空間とする。このとき以下は同値である。

  1. (1)

    Xは可算パラコンパクト

  2. (2)

    X×T4

  3. (3)

    任意のσコンパクトな局所コンパクト距離空間Yに対して、X×Yは正規

証明.

Xを可算パラコンパクトとするとX×[0,1]が正規なので、そのFσ集合に同相であるX×の正規である。また、逆にX×が正規ならその閉部分空間X×[0,1]も正規である。 これで(1)(2)の同値性がわかる。コンパクト距離空間は、σコンパクトな局所距離空間なので、(3)の条件からXの可算パラコンパクト性がわかる。逆にYσコンパクトな局所コンパクト距離空間とするとYの一点コンパクト化をMとすると、これはコンパクト距離化可能空間になるので、Xの可算パラコンパクト性からX×Mは正規空間になる。 YMFσ集合なのでX×Yは正規である。 ∎

定理35, 36, 40をまとめると 次の定理が得られる。

定理 41 (Dowker).

XT4空間とする。このとき以下は同値である。

  1. (1)

    Xは可算ハイポコンパクト

  2. (2)

    Xは可算パラコンパクト

  3. (3)

    Xは可算メタコンパクト

  4. (4)

    Xの可算開被覆は開収縮を持つ。

  5. (5)

    Xの可算単調開被覆は開収縮を持つ。

  6. (6)

    Xの可算単調開被覆は閉収縮を持つ。

  7. (7)

    Xの任意の単調減少な閉集合族{Fi}iで、その共通部分が空なものに対して、開集合族{Gi}が存在して、FiGiiGi=0を満たす。

  8. (8)

    Xの任意の単調減少な閉集合族{Fi}iで、その共通部分が空なものに対して、Gδな閉集合の族{Ai}が存在して、FiAiiAi=0を満たす。

  9. (9)

    任意のコンパクト距離空間YについてX×YT4

  10. (10)

    X×(ω0+1)T4

  11. (11)

    X×[0,1]T4

  12. (12)

    X×2ω0T4

  13. (13)

    X×[0,1]ω0T4

  14. (14)

    離散空間ではないコンパクト距離空間Yが存在してX×YT4

  15. (15)

    任意のσコンパクトな局所コンパクト距離空間Yに対して、X×Yは正規

  16. (16)

    離散空間ではないσコンパクトな局所コンパクト距離空間Yが存在して、X×YT4

  17. (17)

    X×T4

注意.

σコンパクトな局所コンパクト距離空間の一点コンパクト化は、 σコンパクト性から無限遠点が可算な基本近傍形を持つので、距離化可能である。ブルバキの位相空間論ではσコンパクトが「無限遠で可算」と呼ばれている。

命題 42.

Xを可算パラコンパクト空間とし、Kをコンパクト空間とする。 このときX×Kは可算パラコンパクトである。

証明.

{Ui}i<ωX×Kの可算な開被覆とする。 このとき、s[ω]<ωに対してOs=isUiとする。 そしてXの部分集合Hs

Hs={xX{x}×KOs}

と定義する。このとき補題37によって、HsXの開集合である。ここで、Hsは空集合になることもあることに注意しよう。 次に{Hs}Xの被覆になることを示そう。 任意にxをとってくると、Kはコンパクトなので、 {x}×Kもコンパクトであることと{Ui}X×Kの被覆をなしていることからあるs[ω]<ωが存在して{x}×KOsとなる。 よってxHsとなる。 よって{Hs}Xの開被覆なのでXの可算パラコンパクト性より 局所有限な開細分被覆{Gs}が存在する。ここでGsHsとしても一般性を失わない。 今𝒰={(Gs×K)Uiis} とすると、これは{Ui}の細分であり、局所有限な開被覆である。よってX×Kは可算パラコンパクトである。 ∎

注意.

一般に可算ハイポコンパクト(可算メタコンパクト)空間とコンパクト空間の直積は可算ハイポコンパクト(可算メタコンパクト)となる。

5 可算パラコンパクト性の十分条件

定義 43 (monotonical normality).

Xを位相空間とし、

={(A,B)ABXの閉集合で、AB=0を満たす。}

と定義する。また、この上に次のように順序を定義する。 (A,B)(C,D) ACかつ(DB)

この準備の下、単調正規性を定義する。 Xの開集合全体を𝔒(X)と書くことにする。 Xが単調正規であるとは、XT1であって、写像G:𝔒(X)が存在して次を満たすことである。

  1. (1)

    AG(A,B)CL(G(A,B))XB

  2. (2)

    (A,B)(C,D)G(A,B)G(C,D)

定義 44 (条件(H)).

Xを位相空間とし、

={(A,B)ABXの部分集合で、CL(A)B=0CL(B)A=0を満たす。}

と定義する。また、この上に次のように順序を定義する。 (A,B)(C,D) ACかつ(DB)

Xが条件(H)を満たすとは、XT1であって、 写像H:𝔒(X)が存在して次を満たすことである。

  1. (1)

    AH(A,B)CL(H(A,B))XB

  2. (2)

    (A,B)(C,D)H(A,B)H(C,D)

このGを単調正規作用素という。

定義 45 (条件(P)).

Xを位相空間とし、

𝒫={(p,B)pXの点で、BXの部分集合で、 pBを満たす。}

と定義する。また、この𝒫上に次のように順序を定義する。 (p,B)(q,D) p=qかつ(DB)

Xが条件(H)を満たすとは、XT1であって、 写像P:𝔒(X)が存在して次を満たすことである。

  1. (1)

    pP(p,B)CL(P(p,B))XB

  2. (2)

    (p,B)(p,D)P(p,B)P(p,D)

  3. (3)

    pqならばP(p,{q})P(q,{p})

命題 46.

T1位相空間Xに対して以下は同値である。

  1. (1)

    Xは単調正規

  2. (2)

    Xは条件(H)を満たす。

  3. (3)

    Xは条件(P)を満たす。

証明.

まず最初に単調正規性に関して、写像Gに用いて(A,B)に対してG(A,B)=G(A,B)CL(G(B,A))と定義することによりGは単調正規作用素になり、さらに(A,B)に対してG(A,B)G(B,A)=0を満たす。よって最初からGG(A,B)G(B,A)=0を満たすと仮定しても良い。

さて、から(2)(1)は自明である。 そして(1)(3)も、(A,B)に対してG(A,B)G(B,A)=0 となることからP(p,C)=G({p},C)と定義すればよい。

最後に(3)(2)を示そう。(A,B)とする。このとき H(A,B)=pAP(p,CL(B))と定義する。これが条件(H)(1),(2)を満たしていることを確認しよう。 AH(A,B)は定義から明らかである。任意のpAqBに対して P(p,CL(B))P(q,{p})およびP(q,CL(A))P(q,{p})を満たす。H(p,{q})H(q,{p})=0なので H(A,B)H(B,A)=0である。BH(B,A)H(B,A)は開集合なのでCL(H(A,B))XBである。条件(H)(1)は確かめられた。 (A,B)(C,D)に対してH(A,B)H(C,D)であることは、条件(P)(2)から従う。 ∎

注意.

以下では単調正規作用素G(A,B)に対してG(A,B)G(B,A)=0を満たすと仮定する。

命題 47.

単調正規空間は遺伝的である。特に単調正規T1空間はT5である。

証明.

T1を仮定するとき単調正規性が条件(H)と同値であることから直ちに従う。 ∎

命題 48.

単調正規空間は族正規である。

証明.

Xを単調正規空間とし 𝒞を疎な閉集合族とする。この時A𝒞に対して

UA=G(A,B𝒞,BAB)

と定義する。このときA𝒞に対してAUAであり、ABならばUAUBG(A,B)G(B,A)=0 なので、Xが族正規であることがわかる。 ∎

補題 49.

LOTSは単調正規

証明.

XをLOTSとしてをその順序とする。また、この順序とは別にXに整列順序Wを導入する。 今からXが条件(P)を満たすことを証明する。

一般にLOTSの部分集合Sが凸集合であるとはa,bSの時[a,b]Sとなるときにいう。

pXとし、CXの閉集合で pCとなるものとする。 このときCon(p,C)XCの部分集合であってpを含む極大な凸集合とする。L(p,C)=Con(p,C)(,p)R(p,C)=Con(p,C)(p,)と定義する。また、(それが存在する場合には)

l(p,C)=minWL(p,C),r(p,C)=minWR(p,C)

と定義する。ここでminWは整列順序Wによる最小値である。

さて

P(p,C)={(l(p,C),r(p,C))L(p,C)0かつR(p,C)0のとき[p,r(p,C))L(p,C)=0かつR(p,C)0のとき(l(p,C),p]L(p,C)0かつR(p,C)=0のとき{p}L(p,C)=R(p,C)=0のとき

と定義するとこれは条件(P)を満たすことがわかる。

まず条件(P)(1)を満たすことは定義の仕方からわかる。

次に条件(P)(2)を満たすことを見よう。 pCDCとしよう。 定義からCon(p,C)Con(p,D)がわかる。よって、 L(p,C)L(p,D)R(p,C)R(p,D)がわかる。さらに、 xL(p,D)L(p,C)yL(p,C)についてx<yとなることがわかる。 同様にxR(p,D)R(p,C)yR(p,C)についてy<xがわかる。 これらのことからl(p,D)l(p,C)r(p,C)l(p,D)が従う。よって条件(P)(2)が成り立つ。

最後に条件(P)(3)を示そう。互いに異なるp,qXをとる。 このときp<qと仮定しても良い。 するとL(p,{q})=(,p), R(p,{q})=L(q,{p})=(p,q), R(q,{p})=(q,)がわかるので条件(P)(3)は成り立つ。 ∎

定義 50.

GO-spaceとはLOTSの部分空間と同相な空間のことである。 Generalized Ordered spaceの略である。

系 51.

GO-spaceは単調正規

命題 52.

T1単調正規空間は(遺伝的)可算パラコンパクトである。

証明.

Xを単調正規空間とする。 条件(P)を使う。 ={(p,U)pUU𝔒(X)} と定義しする。この時 E:𝔒(X)

E(p,U)=P(p,XU)

と定義する。 この時Eは次を満たすことに注意しよう。

  1. (1)

    xy E(x,X{y})E(y,X{x})=0,

  2. (2)

    xUV E(x,U)E(x,V)

さて、Xの単調減少な閉集合の族{Di}i<ωiDi=0となるものを考える。 このとき開集合族{Ui}i<ωが存在してDiUiiUi=0を満たすものを構成していく。これはT4空間においては可算パラコンパクト性と同値である。

xXに対して、i(x)=min{ixDi}と定義する。 そして、V0(x)=E(x,XDi(x))と定義し、 i>0に対しては帰納的に Vi(x)=E(x,Vi1(x))と定義する。

𝒮を次の条件を満たす集合{xnXnM}の全体とする。

  1. (1)

    Mωの無限部分集合

  2. (2)

    i(xn)=n

  3. (3)

    任意のnMm>nとなる任意のmMに対して xnVmn(xm)が成り立つ。

また、S𝒮に対してQ(S)

Q(S)={xXnMn>i(x)xVni(x)(xn)}

と定義する。定義から、SQ(S)であることに注意しよう。

さらに𝒮を整列集合で単射的に添字づけして、 𝒮={Sαα<δ}とする。ここでδは順序数である。 δの部分集合Lを次のように定義する。 β<δに対して、 Lβはすでに定義されているとする。このとき、 βLとは 任意のα<βとなるαLについてSβQ(Sα)=0 と定義する。

これを用いて各xXに対してW(x)を次のように定義する。

まずxXαLQ(Sα)のとき。 このときは W(x)=Vi(x)(x)と定義する。このときxW(x)に注意しよう。

次にxαLQ(Sα)のときにはxQ(Sα) となる最小のαを使って次のように定義する。Sα={xnnM}として、W(x)=Vi(x)(x)n<i(x)CL(V0(xn)) と定義する。n<i(x)xDnに注意するとxW(x)がわかる。

このW(x)を用いてU(x)=E(x,W(x))と定義する。 そしてUi={U(x)xDi}と定義する。 このときもちろんDiUiが成り立つ。 今からiUi=0を示す。

xiUiとなるxXが存在すると仮定する。 このときUiの定義から任意のn<ωについてxU(p)となる pDnが存在する。このことと、 iDi=0から、 ωの無限部分集合Kと列{pkXpkK}が存在して、 任意のkKについてi(pk)=kと、xU(pk)を満たす。 C={pkXpkK}と書くことにしよう。

まず最初にk,jKについて、k<jならばpkW(pj)を証明しよう。 このときi(pl)=lから、pjDkがわかる。 そして、

U(pk)W(pk)Vk(pk)E(pk,XDk)E(pk,X{pj})

がわかる。 また、U(pj)E(pj,W(pj))である。 ここでもしもpkW(pj)だったならば、 U(pj)E(pk,X{pk})となり、

U(pk)U(pj)E(pk,X{pk})E(pk,X{pj})=0

となるが、xU(pk)U(pj)なのでこれはありえない。 よってpkW(pj)である。

次にC𝒮を示そう。 k,jKについて、k<jとする。このとき先ほど示したことから

pkW(pj)Vj(pj)Vjk(pj)

となる。これはC𝒮と同値である。 また、これはCQ(C)であることも示している。

あるαLについてQ(Sα)C0であることを示そう。 C=Sγと添字づけられているとする。 α<γとなるαについて、 Q(Sα)Sγ0となっているαが存在するならば証明すべきことはない。 もしα<γとなる任意のαについて、 Q(Sα)Sγ=0となるならば、 Lの定義からγLとなり、CQ(C)から、γが求めるものになる。

以上を踏まえて、Q(Sα)C0となる最小のαLをとる。 そしてpkQ(Sα)となるkKをとる。 今から、k<jとなるjKについてはpjQ(Sα)となることを示す。 Sα={xnnM}とする。jに対してj<nとなるnMをとる。 このときxnDjが成り立つ。このことと、V()の定義から

Vjk(pj)E(pj,XDj)E(pj,X{xn})

が成り立つ。 また、nj<nkなので

Vnk(xn)E(xn,Vnj(xn))

が成り立つ。もしここで、pjVnj(xn)と仮定すると、

Vjk(pj)Vnk(xn)E(pj,X{xn})E(xn,X{pj})=0

となるが、これはpkVjk(pj)Vnk(xn)に反する。(pkQ(Sα)に注意しよう) よってpjVnj(xn)なのでpjQ(Sα)である。 また、 αの取り方から、pjQ(Sβ)となるβの最小値はαとなる。

先ほどとったkKについて考える。 k<mとなるmMをとる。さらにm<jとなるjKをとる。 すでにpkW(pj)であることは証明している。 また、 pkQ(Sα)なので、pkVmk(xm)V0(xm) となるので、pkW(pj)V0(xm)である。 しかし、W(pj)の定義を思い返してみると、pjQ(Sα)となるαはこのような順序数のうち最小であり、m<i(pj)=jなので、W(pj)V0(xm)=0となる。これは矛盾である。よって iUi=0であり、Xは可算パラコンパクトである。

系 53.

LOTSは可算パラコンパクト

系 54.

GO-spaceは可算パラコンパクト

定義 55.

位相空間XT6であるとは、XT4であり、かつその空間の任意の閉集合がGδになる時にいう。

系 56.

T6空間は可算パラコンパクトである。

定理 57.

以下の空間は全て可算パラコンパクトである。

  1. (1)

    コンパクトハウスドルフ空間

  2. (2)

    パラコンパクトハウスドルフ空間

  3. (3)

    距離空間

  4. (4)

    LOTS

  5. (5)

    GO-space

  6. (6)

    単調正規空間

  7. (7)

    T6空間

注意.

族正規だが単調正規ではない空間の例としてRudinのDowker spaceがある。

6 可算パラコンパクト性にまつわる例

ここでは可算パラコンパクト性に関する反例を紹介していく。

Greeverの論文[6]にはいろんなコンパクト性の概念と、 いろんな反例がたくさん載っている。

例 58 (ω1).

空間ω1は可算コンパクトであるが、パラコンパクトではないT5空間である。またこの空間は T6ではない。加算コンパクトでパラコンパクトな空間はコンパクト空間になる.ω1はコンパクト空間ではないので,パラコンパクトではない.

例 59 (i<ωω1).

空間ω1の可算個の位相的直和は、可算コンパクトでなはなく、可算パラコンパクトなT5空間である。もちろんT6ではない。一般に加算パラコンパクト空間の可算個の直和は可算パラコンパクトになる.

例 60 (ω1×(ω1+1)).

ω1×(ω1+1)は正規ではないT3.5空間であり、可算ハイポコンパクト、可算パラコンパクト、可算メタコンパクトを満たす。証明略。これは命題42に関係した例である。

例 61 (Arens’ simplified plane).

([14]) T3ではないハウスドルフなメタコンパクト非パラコンパクト空間。 J={x| 0<x<1}と置き、 X=J×J{(0,0),(1,0)}と定義する。

nについて

Ln={(x,y)J×J| 0<x<1/2, 0<y<1/n}{(0,0)}
Rn={(x,y)J×J| 1/2<x<1, 0<y<1/n}{(1,0)}

と定義して(0,0)には{Ln}nを、(1,0)には{Rn}nを基本近傍系として、そしてJ×Jの元には普通の平面の部分集合としての近傍系を導入するとキチンと位相を導入出来る。この空間を(X,𝔒)と書こう。

命題 62.

(X,𝔒)はハウスドルフ空間である。

証明.

明らか ∎

命題 63.

(X,𝔒)は正則空間ではない。

証明.
CL(Ln)={(x,y)J×J| 0<x1/2, 0<y1/n}{(0,0)}
CL(Rn)={(x,y)J×J| 1/2x<1, 0<y1/n}{(1,0)}

から分かる。 ∎

命題 64.

(X,𝔒)はパラコンパクトではない。

証明.

パラコンパクトハウスドルフ空間は正則空間でなければならないからである。 ∎

命題 65.

(X,𝔒)はメタコンパクトである。

証明.

まずXの部分空間としてJ×Jは普通の平面の部分空間としての位相と一致することを鑑みると、J×Jがパラコンパクトである事が分かる。さらにJ×JXの開集合である。

Xの任意の開被覆𝒰についてこれをJ×Jに制限する。つまり

𝒱={U(J×J)|U𝒰}

を考える。J×Jはパラコンパクトなので𝒱の 局所有限開細分被覆𝒫が存在する。そして(0,0),(1,0)を含む𝒰の元をひとつづつ選びA,Bとすると

𝒬=𝒫{A,B}

𝒰の点有限開細分被覆である。 ∎

命題 66.

(X,𝔒)σコンパクトである。従ってリンデレフ空間である。

証明.

Xの部分空間J×Jσコンパクトであり、{(0,0),(1,0)}もコンパクトだからである。 ∎

命題 67.

(X,𝔒)は可算パラコンパクトではない。

証明.

リンデレフかつ可算パラコンパクトならばパラコンパクトでなければならないからである。 ∎

命題 68.

(X,𝔒)は第二可算公理を充たす。

証明.

Xの部分空間J×Jが開部分空間であり、かつ第二可算で、(0,0),(1,0)はそれぞれ可算な基本近傍系を持つからである。 ∎

以上から(X,𝔒)は可算パラコンパクトではないメタコンパクトσコンパクトハウスドルフ空間である事が分かる。

例 69 (Heath’s half plane: Vの字近傍の空間).

([7]) T3.5で非可算パラコンパクト、メタコンパクト空間。 X=×[0,)とし、pに対して、

N(p,n)={(x,y)Xy=xp0y1/n}{(x,y)Xy=x+p0y1/n}

とする。この時、

={{(x,y)}y>0}{N(p,n)p,n}

と定義するとこれはXの開基になっている。つまり、この空間の点(x,y)の基本近傍は、y>0の時は{(x,y)}になり、y=0の時はN(x,n)という形になっている。

補題 70.

空間XT3.5空間である。

証明.

0次元なハウスドルフ空間なので、T3.5を満たす。 ∎

補題 71.

空間Xはメタコンパクトである。

証明.

y>0となる(x,y)に対して、(x,y)N(z,n)となるようなzはふたつしかないからである。 ∎

補題 72.

空間Xは可算パラコンパクトではない。

証明.
𝒰={N(p,1)p}{X(×{0})}

が局所有限な開細分被覆を持たない可算な開被覆であることを示そう。 𝒰の局所有限な開細分被覆𝒱が存在するとしよう。この時、

𝒱={N(p,n(p))p}{X(×{0})}

という形だとしても一般性を失わない。

任意のnと有限部分集合Mに対して

Sn,M={xN(x,n){N(p,n(p))pM}の元としか交わらない}

と定義する。𝒱は局所有限なので、=n,MSn,Mである。{Sn,M}は可算な族なので、ベールの範疇定理から、nと有限部分集合Ma<bを満たすふたつの実数a,bが存在して、次を満たす:(a,b)Sn,M(a,b)の中で稠密である。 (a,b)の中からqMとなるqをとると、Sn,Mの定義と(a,b)Sn,Mの稠密性そしてN(x,n)という近傍の形からxSn,Mが存在してN(q,n(q))N(x,n)0となる。しかし、N(x,n){N(p,n(p))pM}の元としか交わらないはずなのでこれは矛盾である。よってXは可算パラコンパクトではない。 ∎

補題 73.

空間XT4ではない.

証明.

T4空間上では可算パラコンパクトと可算メタコンパクトは同値であるからである. ∎

この空間は、T4がないと、可算メタコンパクトと可算パラコンパクトが同値でないことを示している。

例 74 (Bing’s example G).

([4]) メタコンパクトではなく,族正規でもないT5な可算パラコンパクト空間が存在する.これはまたT6ではない。

Pを非可算集合として,Q=2Pとする.すなわちQPの冪集合である.また, QPから2={0,1}への写像全体の集合とみなせる. そして,F=2Qとし,各pPに対してfpFを, pqならばfp(q)=1で,そうでないならばfp(q)=0と定義する. これは,pPに関するQ上定義された評価関数とみなすことができる. そしてFP={fp2QpP} と定義する. τ2Qの積位相として, Fτ{{x}xFFP} を開基とする位相を導入する. この空間FをBing’s example Gと呼ぶ. ここで,Fの中でFpが離散空間であることに注意しよう. 実際,pPに対して,{p}成分への射影π{p}:2Q2を考える. そして,π{p}1({1})を考えるとこれは開集合で,fp以外のFP の元を含まない.

補題 75.

空間FT5である.

証明.

FT1であることは定義から簡単にわかる. 次に正規であることを示そう. A, BFの互いに離れた集合とする. つまりCL(A)B=0かつACL(B)=0を満たすとする. このとき, ABのどちらか一方がFFP に含まれるときには,それは開集合になるので,正規性の条件は満たされる. そうでないとき,つまりAFP0かつBFP0 のときを考える. そして

q1={pPfpA}
q2={pPfpB}

と定義する. これを使って, UA=πq11({1})πq21({0}), UB=πq21({1})πq11({0}) と定義する.定義からUAUBFの開集合である. このときUAUB=0であり, AFPUABFPUBである. さて, OA=(UA(A(FFP)))CL(B), OB=(UB(B(FFP)))CL(A) とすると,これらはFの開集合であり,AOABOBで,OAOB=0を満たす. よってFは正規である. ∎

補題 76.

Fは族ハウスドルフではない.

証明.

FPFの中で閉集合であり,相対位相は離散位相であることを踏まえると, FPは疎な点の族である. ここで,各pPについて,fpOpとなる 互いに素な開集合の族{Op}pPが存在したとしよう. ここで,各Op2Qの開集合としてもよい. 2Qはcccを満たすので,Pが非可算であるとき, 上で述べた{Op}pPは存在し得ない. よってFは族ハウスドルフではない. ∎

補題 77.

FT5空間ではない.

証明.

Fの位相の定め方から,FにおけるpFPの近傍系は 2Qと一致する.またFT1なので{p}は閉集合である. そして,2Qは第一可算公理を満たさないので,FT6ではない. ∎

また,Fがメタコンパクトであることも証明できる.

例 78 (Micahel line 𝕄).

([10]) パラコンパクトハウスドルフ空間だが、ωωとの直積が正規にならない例 。また、𝕄は非リンデレフである。遺伝的パラコンパクトであり、T5になる。しかしT6ではない。

台集合は𝕄=とする。 の通常の位相をτとして、𝕄の開基を次のように定める。

=τ{{x}x}

ここで=である。

まず𝕄はハウスドルフであることが定義から直ちにしたがう。

命題 79.

𝕄は遺伝的パラコンパクトである。よってT5である。

証明.

S𝕄とする。𝒰S𝒰とする。また𝒰としても一般性を失わない。の定義は𝕄の定義をみよ。 そして𝒱=τとする。は距離空間なので遺伝的パラコンパクトである。よって𝒱に対して、 細分𝒫が存在して、x𝒱に対しては局所有限を担保する近傍が存在し、また、𝒫=𝒱となる。 𝒰𝒱の元は全て一点集合なので、 𝒬=𝒫(𝒰𝒱)𝒰の 細分であって、𝒬=𝒰であり、 x𝒬については局所有限性を担保する開近傍が存在する。 よってSはパラコンパクトである。結果として𝕄は遺伝的パラコンパクトである。パラコンパクトハウスドルフ空間は正規なので、遺伝的パラコンパクトハウスドルフ空間はT5である。 ∎

命題 80.

𝕄のなかでGδではない閉集合である。よって𝕄T6ではない。

証明.

位相の定め方からが閉集合であることは直ちにわかる。

が可算個の𝕄の開集合{Ui}の共通部分になっているとしよう。 さて各UipについてO(p,i)Uiに含まれるpのユークリッド開近傍の中で最大のものとする。 このとき位相の定め方からO(p,i)𝕄の開集合でもある。 そしてVi=pO(p,i)とするとこれはの開集合でもあるし、𝕄の開集合でもある。 またViUiなので=iViである。 つまり、Gδ集合であることが導かれるが、よく知られた事実333は完備距離づけ可能ではないからである。このことはベールの範疇定理からわかる。として、Gδ集合ではないのでこれは矛盾である。 ∎

命題 81.

𝕄は連続体濃度を持つ閉離散部分空間を持つ。よって𝕄はリンデレフではない。

証明.

={pi}i<ωと添字づけをする。このときUiを中心がpiで半径が2iの実数直線の開球とする。定義から各Ui𝕄の開集合である。 ここで測度を考慮に入れると、U=iUiを被覆せず、 Uの測度は正(無限大)であって、 Uである。U𝕄のなかで閉集合であり、𝕄の開集合の定め方からUは離散部分空間となる。ルベーグ測度正の集合は連続体濃度を持つので命題は示された。 ∎

命題 82.

𝕄×は正規ではない。 ここでにはから誘導される通常の位相が入っているとする。

証明.

𝕄×の部分集合DEを以下のように定義する。

D={(x,x)x},H=×

Hが閉集合であることは直ちにわかる。Dが閉集合であることも直ちにわかる。これは𝕄の位相より細かく、×の中でDが閉集合だからである。 もちろんDHは交わらない。このふたつの閉集合が開集合で分離できないことを示そう。 DUHVとなるふたつの開集合を与えよう。 pn<ωに対してB(p,n)pを中心とする半径2nのユークリッド開球との共通部分とする。 {x}×B(x,n)(x,x)Dの基本近傍系をなす。

n<ωに対して

Sn={x𝒫{x}×B(x,n)U}

と定義する。{x}×B(x,n)(x,x)Dの基本近傍系をなすので、 =n<ωSnとなる。 よってベールの範疇定理からあるn<ωa,b𝒫が存在して、a<b(a,b)Sn(a,b)の中で稠密になる。 E=x(a,b)Sn{x}×B(x,n)を考えると、 これはEUを満たしているが、 x(a,b)xに十分近いp(a,b)をとると、(x,p)の近傍はEと交わってしまうので、UV0である。よって𝕄×は正規ではない。 ∎

𝕄の存在から、ωωFσ集合として含むコンパクト空間は存在しないことがわかる。 ωωに同相であることに注意せよ。

注意.

森田紀一は任意の距離空間との直積がT4になる空間Xを、Xの被覆に関する条件で内在的に特徴づけた。このような空間を(Morita’s) P-spaceと呼ぶ。 実はT6空間はP-spaceになる。このことからも𝕄T6ではないことがわかる。

例 83 (Sorgenfrey line 𝕊).

ゾルゲンフライ直線𝕊は正則かつ(遺伝的)リンデレフなので、パラコンパクトである。また、T5であることもわかる。しかしながら𝕊×𝕊は可算パラコンパクトではない。これは直積で可算パラコンパクト性が保たれないことを示している。

7 Dowker space

定義 84 (Dowker space).

可算パラコンパクトでないT4空間をDowker spaceという。

定義 85.

基数κについて、Xκ-Dowker spaceとは、XT4であり、さらに 単調減少な閉集合の族{Di}i<κが存在してi<κDi=0を満たし、 さらに次のことを満たす。DiGiとなる開集合の族{Gi}

i<κGi0

を満たす時にいう。

命題 86.

0-Dowker spaceはDowker spaceである。

証明.

わかる。 ∎

このことから、κ-Dowker spaceはDowker spaceの一般化になっていることがわかる。

以下では与えられた無限基数κに対して、κ-Dowker spaceを構成していく。

命題 87.

κを無限基数とする。このとき 基数の増大列{λi}i<κが存在して以下を満たす。

  1. (1)

    任意のiについてκ+<cf(λi)

  2. (2)

    任意のiについてλi=λiκ

  3. (3)

    a<bの時λa<cf(λb)

証明.

λ0=2κ+とし、 λi=2supβ<i(λβ) とすると命題の条件を満たす。

定義 88.

κを無限基数とする。 {λi}i<κを命題87で存在が保証される列とする。 そしてλ=supiλiとする。 そして

F={f:κλα<κf(α)λα}
G={f:κλα<κf(α)<λα}

と定義し、これを用いて

X={fFβ<κα<κκ+cf(f(α))cf(λβ)}

と定義する。

f,gF についてf<g (resp. fg)を任意のiについてf(i)<g(i)(resp. f(i)g(i))であることと定義する。

そして f<gとなるf,gFについて

U(f,g)={hXf<hg}

と定義する。 この形の集合全体は、Xの開基となる。

この開基によって生成される位相でXに位相を定義する。Xはハウスドルフ空間であることが簡単にわかる。

以下ではXκ-Dowker spaceであることを示そう。

命題 89.

i<κについて

Di={fFβif(β)=λβ}

と定義する。 このとき各Diは閉集合であり、Diは単調減少で

i<κDi=0

を満たす。

証明.

まず、共通部分が空であることはXの定義からわかる。またi<jならばDjDiもわかる。

最後にDiが閉集合であることを示そう。xDiとする。 すると、あるβiが存在してx(β)<λβがわかる。 このときyU(0,x)を取ると、やはりy(β)x(β)<λβ なので、yDiである。つまりU(0,x)Diと交わりを持たないxの開近傍で、xは任意であったので、Diは閉集合である。

以下ではDiUiを満たす開集合族は常にiUi0となることを証明する。

補題 90.

{Ui}DiUiを満たす開集合族とする。このとき各α<κに対してfGが存在して、

{gGXf<g}Uα
証明.

α<κを固定する。

{λi}は単調であり、 λα=λακを満たす。 よってβαλβの濃度もλαであるから、 族{hδ}δ<λαβαλβを以下の条件を満たすように定義できる。

δ<λαhβαλβ を任意に与えたときにjλαが存在してδ<jh=hjを満たす。

さて補題の条件を満たすfが存在しないと仮定しよう。 帰納法によって各i<λαに対してfi,giGを定義する。 各j<iについてfjが定義されたとしよう。 このとき上の族{hδ}δ<λαを用いて

gi(k)={hi(k)kαsup{fj(k)j<i}α<k

と定義する。命題87よりα<k の時はλα<cf(λk)なので、giGがわかる。fifi(XG)Uαgi<fiを満たすものとする。

さてここでxF

x(k)={λkkαsup{fi<λα(k)}α<k

と定義する。命題87よりα<k の時はλα<cf(λk)なので、xXがわかる。

定義からfDαであり従ってfUαなので、gFが存在して、g<xU(g,x)Uαを満たす。 k>αを満たすkκについて、{fi(k)}iλαは狭義単調であるから、g<xからg(k)<fm(k)(k)となるm(k)<λαが存在する。 κ<cf(λα)なのでm=supk>αm(k)λαである。 よってα<kとなるkκについて

g(k)<fm(k)

となる。さて、{hδ}の作り方からm<lとなるlが存在して kαについて

hl(k)=g(k)

を満たす。 flの定義からkαについてg(k)=hl(k)<fl(k)なので、結局 g<flがわかる。またfxなので、

flU(g,x)Uα

だが、これはflUαに反する。 ∎

命題 91.

{Ui}DiUiとなる開集合族とする。 このときiUi0

証明.

補題90で保証されるfiUiごとに取る。 各i<κに対して

supk<κfk(i)<αi<λi

cf(αi)=κ+となるαiをとる。これは、命題87から、i<κならば κ+<cf(λi)であるから可能である。 そしてx(i)=αiと定義する。もちろんxGである。 そして

κ+cf(x(i))=cf(αi)cf(λ0)

なので、xXである。また、

x{gGXfi<g}Ui

なので、 xiUi である。 よってiUi0

以下では位相空間Xが族正規であることを証明する。 改めて族正規の定義をする。

定義 92.

位相空間Xに於いてXの部分集合族𝒜が疎であるとはXの各点xに対してxの近傍Nが存在して

NAØとなるA𝒜が存在しないか、もしくは1個しか無い

を充たす時𝒜は疎であると言う。もちろん𝒜が疎であるときA,B𝒜,ABならばAB=Øである。

定義 93 (族正規).

位相空間Xが族正規であるとはXの閉集合からなる任意の疎な族𝒜に対してAUAとなる開集合の族{UA|A𝒜}が存在して

ABUAUB=Ø

が成り立つことである。444T1は要請しないことにする明らかに族正規空間は正規である。

Xの疎な閉集合の族とし、以降は固定する。

補題 94.

α<κとする。 tFは任意のα<κについてκ+cf(t(α))を満たすものとする。

Uα={hXhti<κcf(h(i))cf(λα)}

とする。

このときfFが存在してf<tであり、{hUαf<h}の元と高々一個としか交わらない。

証明.

α<κを固定する。

まず最初に

N={i<κcf(t(i))cf(λα)},M={i<κcf(λα)<cf(t(i))}

と定義する。 NM=0でありNM=κである。

命題87から a<bの時λa<cf(λb)なので、 l<αpλlについて、

cf(p)λl<cf(λα)

が成り立つ。よって任意のl<αについて t(l)λlなので結局 [0,α]Nがわかる。

λακ=λαであるから、族 {gδ}δ<λαiNt(i)が存在して次を満たす。 gδiNt(i) 任意のδ<λαgiNt(i)についてj<λαが存在してδ<j

g<gj

を満たす。

さて、いま補題の条件を満たすようなfFが存在しないと仮定しよう。 このとき帰納法によって{hi}Uα, {ki}Uα, {fi}F (i<λα) を以下のように構成する。 iについてj<iとなるjについて三つの列は定義されているとする。 このときfi

fi(n)={gi(n)nNsup({hj(n)}j<i{kj(n)}j<i)nM

と定義する。もちろんfiFである。さてこのとき、背理法の仮定をfiに適応して、fi<hi, fi<kiとなるhi,kiUαの異なる元に属しているものとする。 以上により{hi}, {ki}, {fi}が定義された。

これらを用いてx:κλを以下のように定義する。

x(n)={t(n)nNsupi<λαfi(n)nM

まず最初にxFを示そう。nNについてx(n)λnはわかる。 [0,α]NNM=0より nMの時α<nなので、λα<λnが成り立ち、 λn内のλα列はλnの中に上限を持つ。よってx(n)λnである。 以上からxFがわかる。

次にxXを示そう。 nMの時 fi(n)i<λαについて単調増加なので nMの時cf(x(n))=cf(λα)である。 nNの時は tに関する仮定から、κ+cf(x(n))cf(λα)がわかるので、 結局任意のn<κについて

κ+cf(x(n))cf(λα)

である。よってxXである。

は疎なので、上で定義したxに対して、あるpFが存在して、U(p,x) の高々一つの元としか交わりを持たない。

さて、あるmλαが存在して、nMの時p(n)<fm(n)となる。 さらにp|NiNt(i)から、あるjが存在してm<jp|N<gjがわかる。つまり、 p<fjがわかる。またfxなので、fjU(p,x)となる。するとhjkjの定義とxの定義からhjx, kjxとなることがわかり、 hj,kjU(p,x)となるが、 これはU(p,x)の高々一つの元としか交わらないということに反する。 ∎

補題 95.

tFκ+cf(t(α))を満たすものとする。 このときfFが存在してf<tであり、U(f,t)は高々一個のの元としか交わらない。

証明.

α<κに対して上の補題94を用いてgαFを得る。 そしてf=supi<κgiFと定義する。fが補題の条件を満たすことを示そう。まずκ+cf(t(i))なので、f<tがわかる。 h,kU(f,t)()とする。 するとi,j<κが存在してhUi, kUjとなる。 l=max{i,j}とすると、h,kUlであり、

gl<h,gl<k

となる。よってglの定義からh, kは同じの元に属する。 ∎

定義 96.

SFについて

tS(i)=sup{f(i)fS}

とする。もちろんtSFであり、STならばtStTとなる。

命題 97.

のふたつ以上の元と交わりを持つ Xの開集合Uに対して、開集合族{Oi}iIが存在して以下を満たす。

  1. (1)

    {Oi}は互いに素である。

  2. (2)

    {Oi}Uの部分集合でUを被覆する。

  3. (3)

    もしOiのふたつ以上の元と交わりを持つならば、 tOitU

証明.

この証明の中ではt=tUと書くことにする。

[Case1 あるi<κについてcf(t(i))κが成り立つ時。]

このようなiをひとつ固定しよう。 この時t(i)が後続順序数でないことを示そう。t(i)=A+1とかけるとしよう。 定義から任意のxUXについてx(i)は後続順序数ではない。 よってxUについてはx(i)<A+1となるはずだが、これはx(i)Aということであり、A+1=t(i)=supxUx(i)に矛盾する。

以上のことからcf(t(i))は無限基数である。 {αa}a<cf(t(i))t(i)を単調増大列で supaαa=cf(t(i))となるものとする。 この時O0={xXx(i)α0}と定義し、a>0に対しては

Oa={xXαa<x(i)αa+1}

と定義する。 任意のa<cf(t(i))に対して、la,uaFを次のように定義する。

la(b)={0biαab=i
ua(b)={λbbiαa+1b=i

この時

Oa=U(la,ua)

と書けるので、OaXの集合である。 また、明らかに互いに素である。 さて今 もし、xUは任意のaについてαa+1<x(i)となっていたとすると、 αa+1の形の基数の集合はt(i)の中で共終的なのでx(i)=cf(t(i))κとなるが、これはκ+cf(x(i))に矛盾する。 よって、各xUに対してあるaが存在して

x(i)αa+1

を満たす。つまり、U=aOaとなるので(2)の条件も満たされる。また、tOa(i)αa+1<t(i)なので、 (Oaのふたつ以上の元と交わるか否かに関わらず)(3)の条件は満たされる。

[Case2. 任意のi<κについてκ+cf(t(i))の時]

補題95fをとる。

任意のMκごとに

OM={xXiMx(i)f(i)iκMf(i)<x(i)}U

と定義する。そして MκごとにlM,uMFを次のように定義する。

lM(i)={0iMf(i)iM
uM(i)={f(i)iMλiiM

この時OM=U(lM,uM)とかけるので、OMは開集合である。 また定義から明らかに互いに素であり、U=MOMでもあるから(1), (2)が満たされる。 もしtOM=tとなるならば、M=0でしかありえないが、この時fのとりかたからO0の高々一個の元としか交わりを持たない。 よって(3)が満たされる。

命題97Uに対して存在が保証される被覆を𝒪(U)と書くことにしよう。

命題 98.

Xκ個の開集合の共通部分は開集合である。

証明.

{Ui}i<κを開集合の列とする。そしてxiUiとする。 各iについて

U(fi,x)Ui

となるfiFが存在する。 各α<κについてfi(α)<x(α)λαであることと、κ<κ+<cf(λα)であることから、supifi(α)<λαである。 よって、f=supifiと定義すれば、任意のiについてU(f,x)Uiであるから、iUiは開集合である。 ∎

命題 99.

の被覆であるような互いに素な開集合族の列{𝒥i}i<κ+が存在して以下を満たす。 i<j<κとする。任意のP𝒥jについてQ𝒥iが存在して以下を満たす。

  1. (1)

    PQ

  2. (2)

    Pのふたつ以上の元と交わるならばtPtQである。

  3. (3)

    Qの高々一つの元と交わるならばP=Q

証明.

𝒥0={X}とする。

β<αとなるβについては𝒥βは定義されているとする。

[Case1 αが後続順序数の時]

α=β+1と仮定する。この時

𝒥α=U𝒥β𝒪(U)

と定義すると条件を満たす。

[Case2 αが極限順序数の時]

β<αfについて V(f,β)fを含む𝒥βの唯一の元とする。 この添字づけは一般に単射ではないことに注意しよう。 そして、

V(f)=βαV(f,β)

とする。 card(α)<κ+よりcard(α)κなので、この集合は開集合である。 条件を満たすことは簡単にわかる。

補題 100.

Iを無限基数とする。 Fの中の列{si}i<Iは、任意のi<j<Iと任意のακについて sj(α)si(α)sjsiを満たしているとする。 この時、Iκである。

証明.

順序数の降下列は有限列であることからわかる。 ∎

命題 101.

Xの疎な閉集合の族に対して、 互いに素な開集合の族{GA}Aが存在して

AGA

を満たす。 つまりXは族正規である。

証明.

Aを任意に与える。fAをとり、af<κ+V(f,af)の高々一個の元としか交わらないものとする。 Fの元の単調減少な下降列は高々κ個しかないからこのようなafは常に存在する。 そして

GA=fAV(f,af)

と 定義する。 AGAはわかる。 互いに素であることを示そう。 f,gの別の元に属しているとしよう。 すると、n=max{af,ag}とすると、𝒥の性質から、 V(f,af)=V(f,n)V(g,ag)=V(g,n)でありこの二つは交わらない。 よって{GA}は互いに素である。

これでXが族正規であることがわかった。

定理 102.

任意のκについて、κ-Dowker spaceが存在する。特にDowker spaceは存在する。

注意.

κ=ω0の時はλn=ωnとしてXを構成できる。

7.1 応用

κ-Dowker spaceの存在から次のことがわかる。

定理 103 (森田の第一予想の肯定的解決).

位相空間XT4とする。 任意のT4空間Yとの直積X×YT4ならば、Xは離散空間である。

以下ではこの予想をκ-Dowker spaceの存在から証明していこう。

まず次の補題が必要になる。これはDowkerによる可算パラコンパクト性の特徴づけの類似である。

補題 104.

位相空間Yには濃度がκの非閉な部分空間Z={pi}i<κが存在し、さらにYの部分空間で濃度が<κのものは全て閉集合であるとする。 この時、もしT4空間XYとの直積X×Yが正規ならば、Xκ-Dowker spaceではない。 つまり、i<κDi=0を満たす任意のXの単調減少な閉集合の族{Di}i<κに対して DiGiとなる開集合の族{Gi}i<κが存在して

i<κGi=0

を満たす。

証明.

{Di}i<κXの単調減少な閉集合族でiDi=0となるものとする。この集合族に対し、FiGiで、Gi=0となるものを構成する。 X×Yの部分集合A

A=iκDi×{pi}

と定義する。この集合がX×Yの閉集合であることを示そう。 (x,y)Aとしよう。

[Case 1]

xD0のとき このときxDNとなる最小のN<κをとる。 するとj<NとなるjについてはxDjなので、任意のj<Nについて、 ypjである。 Yの濃度κ以下の離散部分空間は閉集合だと仮定しているので、 {pjj<N}は閉集合である。よって MN=X{pjj<N}は開集合であり、 (XFN)×MNAと交わりを持たない(x,y)の開近傍となる。

[Case 2]

xD0の時 このときには(XD0)×YAと交わらない(x,y)の開近傍になる。

以上のことからAは閉集合である。

Zの導集合のことをD(Z)と書くことにする。 qD(Z)を適当に取る。

さて、B=X×{q}とすると、ABは交わりを持たない X×Yの閉集合であるから、X×Yの正規性から、交わりを持たない二つのX×Yの開集合U,V

AU,BV

となるものが存在する。

ここでGi={xX(x,pi)U}=U[pi]と定義する。 すると、Giは開集合であり、AUからFiGiを満たす。 また、xXを任意に取ると、 (x,q)BVなので、 xの近傍Sqの近傍Mが存在して、 S×MVとなる。 qD(Z)なのでN<κが存在してpNMとなる。 UV=0なので、特に(x,pN)Uである。 つまり、xGNである。よってiGi=0がわかる。 これで証明が終わる。 ∎

証明すべきことをもう一度のべる。

定理 105 (森田の第一予想の肯定的解決).

位相空間XT4とする。 任意のT4空間Yとの直積X×YT4ならば、Xは離散空間である。

証明.

位相空間Xに対して基数関数を次のように定義する。

nc(X)=min{κκcard(X)であり,Xには濃度κの非閉部分空間が存在する。}

minの中身が空集合の場合にはnc(X)=と書くことにする。 XT1の時にはnc(X)は有限の値を取らない。つまりnc(X)は無限基数かもしくはの値をとる。また、nc(X)=Xが離散空間であることは同値である。

本題に入ろう。もしT4空間Xが離散でないとすると、nc(X)は無限基数となり、 先の補題の対偶からXnc(X)-Dowker space Dとの積はT4ではない。しかし、DT4であるから、これはXの仮定に反する。よってXは離散空間である。 ∎

森田の三つの予想はすでにZFC公理系の下で全て肯定的に解決されている。

8 補記:森田予想について

一般に以下のことが成り立つ。

定理 106.

XT1空間とする。 任意の離散空間Yに対してX×YT4であるための必要十分条件は、XT4であることである。

定理 107.

XT1空間とする。 任意の距離化可能空間Yに対してX×Yが正規であるための必要十分条件は、XT4P-spaceであることである。

定理 108.

Xを距離化可能空間とする。 任意の可算パラコンパクトT4空間Yに対してX×YT4であるための必要十分条件は、Xσ-局所コンパクトな距離距離化可能空間であることである。

これら三つの定理の「双対」が森田の三つの予想である。これは1976年に森田紀一によって提案された。

予想 1.

XT1空間とする。 任意のT4空間Yに対してX×YT4であるための必要十分条件は、Xが離散空間であることである。

予想 2.

XT1空間とする。 任意のT4P-space Yに対してX×YT4であるための必要十分条件は、Xが距離化可能空間であることである。

予想 3.

XT1空間とする。 任意のσ-局所コンパクトな距離化可能空間Yに対してX×YT4であるための必要十分条件は、Xが可算パラコンパクトなT4であることである。

予想1はM. Atsujiによってκ-Dowker spaceの存在が予想1を解くことが指摘され、1978年にM. E. Rudinがκ-Dowker spaceを構成することによって(ZFCで)肯定的に解決された([13])。 Atsujiが前セクションであげたκ-Dowker spaceが存在すれば、森田の第一予想が解けると指摘して、Rudinがそれを構成したと[13]に書いてある。Atsujiは直積空間が正規になるための必要十分条件の研究をしており、その研究結果からDowker spaceを一般化したκ-Dowker spaceの条件が予想1を解くことがわかったのだと思われる。

1985年にA. Bes̆lagićとM. E. RudinはV=Lの仮定の下で予想2, 3を証明した。([3]) 予想3は1998年にBaloghによって(ZFCで)肯定的に解決された。([1]) 予想2は2001年にBaloghによって(ZFCで)肯定的に解決された。([2]) 実は予想2の成立から予想13の成立が従うことが知られている。([15])

References

  • [1] Z. Balogh, Normality of product spaces and K. Morita’s third conjecture, Topology Appl., Vol. 84(1998), 185-198.
  • [2] Z. Balogh, Nonshrinking open covers and K. Morita’s duality conjectures, Topology Appl., Vol. 115(2001), 333-341.
  • [3] A. Bes̆lagić and M. E. Rudin, Set-theoric construction of non-shrinking open covers, Topology Appl., Vol. 20(1985), 167-177.
  • [4] R. H. Bing, Metrization of topological spaces, Cana. J. Math., vol. 3 (1951), 175–186.
  • [5] C. H. Dowker On countably paracompact spaces, Canad. J. Math. 3 (1951), 219-224.
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  • [7] R. W. Heath, Screenability, pointwise paracompactness and metrization of Moore spaces, Canad. J. Math., vol. 16 (1964), 763–770.
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  • [11] M. E. Rudin, A Normal Space X for which X×I is not Normal, Fund. Math., 73 (1971), 179-486.
  • [12] M.E. Rudin, Dowker spaces, in: K. Kunen and J.E. Vaughan, eds., Handbook of Set-Theoretic Topology (North-Holland, Amsterdam, 1984), 761-780.
  • [13] M. E. Rudin, -Dowker Spaces, Czechoslovak Mathematical Journal, 28, No.2 (1978), 324-326.
  • [14] L.A.Steen and J.A.Seebch,Counterexamples in Topology,Dover Publications,Inc.,New York,1995, pp100, Simplified Arens Square
  • [15] Three conjecture of K Morita, in Dan Ma topology blog, Access in 2019/06/16, URL [https://dantopology.wordpress.com/2018/08/28/three-conjectures-of-k-morita/]