ルベーグ測度正の集合の話
この文書ではルベーグ測度が正のルベーグ可測集合の性質を紹介する。
1 準備
この文章では測度やルベーグ測度の厳密な定義は行わない。 ただ測度が与えられたときに可測な集合と非可測な集合の二つがあることと基本的に可測集合しか扱わないこと、そしてただ実直線の上にはこのセクションで紹介する性質をもつルベーグ測度と呼ばれる測度があると思っても不都合はないように思える。
位相空間のボレル集合体とはその空間の開集合全体から生成される完全加法族のことであり、ボレル加法族に属する集合をボレル集合と呼ぶ。
実直線の開集合はすべてルベーグ可測であるからのボレル集合はすべて可測である。
また、ルベーグ可測集合全体はのボレル集合体をルベーグ測度で完備化した集合体と一致することに注意しよう。
この文章ではルベーグ測度をで表す。
事実 1.
の非空な開集合についてであり、 のコンパクト集合についてである。 これらを合わせると内点をもつコンパクト集合についてである。
事実 2 (平行移動不変性).
任意のルベーグ可測集合と任意のについて
となる。ここでである。
注意.
実はこの平行移動不変性で「凡そ」ルベーグ測度は特徴づけできる。即ちハール測度の一意性である。
事実 3 (内部正則性).
を充たす任意のルベーグ可測集合と任意のについてコンパクト集合が存在して
が成り立つ。
注意.
でも同様のことは成り立つが、今回は使わない。
事実 4 (外部正則性).
となる任意のルベーグ可測集合と任意のについて開集合が存在して
が成立する。
注意.
一般には 任意のルベーグ可測集合と任意のについて開集合が存在して
が成立するが、ここでは上の外部正則性しか使わない。
2 本題
定理 5.
正のルベーグ測度を持つルベーグ可測集合についてはを内点に持つ。 ここでである。
証明.
の-コンパクト性からと仮定してもよく、内部正則性からはコンパクトと最初から仮定しても一般性を失わない。外部正則性から開集合が存在して及び
を充たす。 ここで
とするとであり、任意のについて
即ち
| (1) |
である。 ここでもちろん
いまからを示そう。となるを任意に取ると(1)から
である。ここでである。さて、ここでもしもならば、平行移動不変性と単調性及びの定義から
となり矛盾する。 よってである。即ちとが存在してということであり、つまり である。よって
となる。これはがの内点であることを言っている。 ∎
系 6.
正のルベーグ測度を持つルベーグ可測集合は連続体濃度をもつ。
証明.
を正のルベーグ測度を持つルベーグ可測集合とする。 高々可算な集合は零集合であるからは非可算集合である。特に無限集合である。ここで
をで定めると先の定理によりは内点を持つ。の部分集合で内点を持つ集合は連続体濃度をもつ(開区間を含むから)。ゆえに集合は連続体濃度を持つ。さては無限集合であるから であるよって
であり、もちろんなので
∎
注意.
系6の逆は成り立たない。例えば通常のカントール集合は零集合だが連続体濃度をもつ。
注意.
注意.
定理5は一般にハール測度を備えた-コンパクト局所コンパクトハウスドルフ位相群に対して成り立つ。
注意.
通常のカントール集合と位相同型だがルベーグ測度が正のの部分集合が存在する。 太ったカントール集合(A fat Cantor set)というやつである。
同相写像でが太ったカントール集合になるものが存在する。 このことが指し示すのは同相写像は零集合を常には零集合に移してはくれないということである。