カントールの区間縮小法と直径と反例
実直線上のカントールの区間縮小法は実数論において欠かせない役割を演じている。この手法は直線の有界閉区間の可算コンパクト性の現れとみることもできるが、完備距離空間に対して次の事実のような一般化が出来る。
事実 1 (Cantorの区間縮小法).
を完備距離空間とし、を非空閉集合の族で、
及び
を充たすとする。このとき、は一点集合となる。
この事実の主張の中にコンパクト性は現れていないことに注意せよ。また、diamは、距離の選び方にも依存することに注意せよ。
上の事実の証明はさほど難しくはないのでここでは省略する。ここでの主題は、という仮定を落とした時にどういうことが起きるのかということである。
の仮定を落とすと、定理の結論は必ずしも成り立たないことを例を挙げて観察してゆく。
例 2 (ヒルベルト空間).
を可分な無限次元ヒルベルト空間とする。この空間の距離は内積から誘導される自然な距離が入っているとする。もちろんこのとき距離空間は完備である。さて をこのヒルベルト空間のCONSとして
とする。すると、
なので、
がわかる。そして各が閉集合であることは簡単にわかる。さらに明らかに
が成り立つ。
例 3 (距離化可能なハリネズミ).
上の例と同じことが出来る。
例 4 (修正された実直線).
を通常のユークリッド距離が入った距離空間とし、さらに
とすればこれは距離になり、との定める位相は同じになり、も完備距離になる。さて
とすれば明らかに各は閉集合で
であり、さらに
となる。
例 5 (シエルピンスキー距離空間).
上に次のように距離を定義する。
この距離空間において、
から、完備性及び、この距離空間が離散位相を定めることがわかる。 さていま、
と置けば
となる。そしてもちろん
となる。
以上では
となる例ばかり取り上げたが、という仮定を落とした時に、が二点以上になるような例は実直線とかで簡単に作れるので割愛する。
References
- [1] L.A.Steen and J.A.Seebch, Counterexamples in Topology, Dover Publications, Inc.,New York, 1995