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一様空間・完全正則空間・ゲージ空間

一色三良(concious77)
HTML変換日:2026年7月26日

Part I 準備

準備の部では証明は全て省く。

1 フィルター

定義 1.

フィルター
集合Xの部分集合族𝔉がX上のフィルターであるとは

X∈𝔉
A∈𝔉⁢か⁢つ⁢A⊂B⇒B∈𝔉
A,B∈𝔉⇒A∩B∈𝔉
Ø∉𝔉

を充たすことを言う。(4)の条件はフィルターがXの部分集合全体にはならないための条件である。その場合を省くのは、つまらないからである。またこの(4)と(3)の条件からフィルターの元は有限交叉性、つまりフィルターの有限個の交わりは空にならないのである。
このフィルターと言う命名はカメラのレンズの”絞り”から来ているらしい。だんだんと小さくなりゆくものを定式化したような概念である。

条件(2)よりフィルターの何かしらの元を含むような集合はそのフィルターの元になってしまうのである。フィルターの元は包含関係に関して小さいモノの方が本質的なのである。その本質的な部分を抜き出したのがフィルター基の概念である。

定義 2 (フィルター基).

集合Xの部分集合族𝔅がX上のフィルター基であるとは

𝔅≠Ø
Ø∉𝔅
∀B1,B2∈𝔅⁢∃B3∈𝔅⁢B3⊂B1∩B2

が成立する事を言う。フィルター基 𝔅を用いて

𝔉={F|∃B∈𝔅⁢B⊂F}

とすると𝔉はフィルターとなる。これを𝔅から生成されたフィルターという。

さてフィルターの本質などと抜かしたが、フィルター基以外にもフィルターを生成する方法はある。つまりそれは只の集合族から生成されるフィルターである。しかしフィルターは有限交叉性を持つので最低限その集合族の有限交叉性は仮定しなければならぬ。つまり次の定理が成り立つ。

定理 3.

X⁢の⁢空⁢で⁢な⁢い⁢部⁢分⁢集⁢合⁢族⁢𝔐⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢こ⁢れ⁢が

∀A,B∈𝔐⁢A∩B≠Ø

を充たすとする。このような族を有限交叉族という。このとき𝔐⁢を⁢含⁢む⁢フ⁢ィ⁢ル⁢タ⁢ー⁢で⁢最⁢小⁢の⁢も⁢の⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。⁢つ⁢ま⁢り⁢そ⁢れ⁢は⁢𝔐⁢の⁢元⁢を⁢有⁢限⁢回⁢共⁢通⁢部⁢分⁢を⁢と⁢っ⁢た⁢よ⁢う⁢な⁢集⁢合⁢を⁢含⁢むような集合全体である。要するに

𝔅={⋂f⁢i⁢n⁢i⁢t⁢eBi|Bi∈𝔐}

がフィルター基となることを行っているのである。

証明略.

∎

有限交叉族という言葉は今後断りなく自在に用いる。
以フィルターの例を挙げる。

例 4 (近傍フィルター).

位相空間Xの点a∈Xの近傍形全体𝔑⁢(a)は真フィルターとなっている。これは近傍系の性質より明らかである。

2 位相空間

定義 5 (位相空間).

集合X上の開集合系とはXの部分集合族𝔒であって

Ø,X∈𝔒
U,V∈𝔒⇒U∩V∈𝔒
𝔙⊂𝔒⇒⋃𝔙∈𝔒

を持たすもののことをいうこの時、𝔒の元を開集合、対(X,𝔒)を位相空間と言う

定義 6 (閉集合).

位相空間(X,𝔒)において補集合が開集合になる集合を閉集合という位相空間(X,𝔒)の閉集合全体をℭで表すことにする。つまり、

F∈ℭ⇔X\F∈𝔒

そして更に次が成り立つ。

Ø,X∈ℭ
F,G∈ℭ⇒F∪G∈ℭ
𝔊⊂ℭ⇒⋂𝔊∈ℭ
定義 7 (近傍系).

Xの空でない部分集合Aについて 集合族

𝔚⁢(A)={O|A⊂O⁢O∈𝔒}

はフィルター基を成す。このフィルター基から生成されるフィルターをAの近傍フィルター、もしくは近傍系といい𝔑⁢(A)などと表す。 具体的に𝔑⁢(A)を書けば

𝔑⁢(A)={N|∃O∈𝔒⁢A⊂O⁢O⊂N}

となる。また、このフィルター𝔑⁢(A)のフィルター基をAの基本近傍系などという。 特にA={x}⁢の⁢時⁢近⁢傍⁢フ⁢ィ⁢ル⁢タ⁢ー⁢を⁢𝔑⁢(x)⁢と⁢か⁢く

定理 8.

位相空間の点xの近傍フィルターについて次が成立する。

X∈𝔑⁢(x)
∀V∈𝔑⁢(x)⁢x∈V
∀V,U∈𝔑⁢(x)⁢V∩U∈𝔑⁢(x)
U∈𝔑⁢(x)⁢U⊂W⇒W∈𝔑⁢(x)
∀V∈𝔑⁢(x)⁢∃W∈𝔑⁢(x)⁢∀y∈W⁢V∈𝔑⁢(y)

これは近傍系の重要な性質である。

開集合と近傍を結ぶ性質として次が成り立つ。

定理 9.
O∈𝔒⇔∀x∈O⁢O∈𝔑⁢(x)

知っての通り位相とは開集合系の事を指す言葉ではなく、”近さ”の情報の総体の事を指す言葉である。周知の通り開集合系ではなく、それ以外の”近さ”の情報を指定すれば位相は定まるのである。”近さ”の情報の指定の仕方はいろいろあるが、今回は開集合以外には近傍のみを紹介する。すなわち次の定理が成り立つ

定理 10.

集合Xの各点x毎にXの部分集合族𝔑⁢(x)が定まり、

X∈𝔑⁢(x)
∀V∈𝔑⁢(x)⁢x∈V
∀V,U∈𝔑⁢(x)⁢V∩U∈𝔑⁢(x)
U∈𝔑⁢(x)⁢U⊂W⇒W∈𝔑⁢(x)
∀V∈𝔑⁢(x)⁢∃W∈𝔑⁢(x)⁢∀y∈W⁢V∈𝔑⁢(y)

を充たす時、これを近傍フィルターとする位相が唯一つ定まる。これらを近傍系の公理という。

定義 11 (関数による分離).

位相空間Xの互いに素な2つの部分集合A,Bが関数で分離されるとは連続関数

f:X→[0,1]

が存在して

∀a∈A⁢f⁢(a)=1,∀b∈B⁢f⁢(b)=0

が成立することである。

3 分離公理

(T1)⁢異⁢な⁢る⁢2⁢点⁢x,y⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢x⁢の⁢近⁢傍⁢で⁢y⁢を⁢含⁢ま⁢な⁢い⁢よ⁢う⁢な⁢も⁢の⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。⁢(T2)⁢異⁢な⁢る⁢2⁢点⁢x,y⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢x⁢の⁢近⁢傍⁢U,y⁢の⁢近⁢傍⁢V⁢で⁢U∩V=Ø⁢と⁢な⁢る⁢も⁢の⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。⁢(正⁢則)⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢る⁢一⁢点⁢x⁢と⁢閉⁢集⁢合⁢F⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢x⁢を⁢含⁢む⁢開⁢集⁢合⁢U,F⊂V⁢と⁢な⁢る⁢開⁢集⁢合⁢V⁢で⁢U∩V=Ø⁢と⁢な⁢る⁢も⁢の⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。⁢(完⁢全⁢正⁢則)⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢る⁢1⁢点⁢と⁢閉⁢集⁢合⁢が⁢関⁢数⁢で⁢分⁢離⁢さ⁢れ⁢る⁢。⁢(正⁢規)⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢2⁢つ⁢の⁢閉⁢集⁢合⁢が⁢開⁢集⁢合⁢で⁢分⁢離⁢さ⁢れ⁢る⁢(T3)⁢正⁢則⁢か⁢つ⁢T1⁢(T3⁤12)⁢完⁢全⁢正⁢則⁢か⁢つ⁢T1⁢(T4)⁢正⁢規⁢か⁢つ⁢T1

定理 12.
T4⇒T3⇒T2⇒T1
定理 13.

ウリゾーンの補題

正⁢規⇔互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢閉⁢集⁢合⁢が⁢関⁢数⁢で⁢分⁢離⁢さ⁢れ⁢る⁢。
例 14.

コンパクトハウスドルフ空間はT4⁢空⁢間

4 位相群

定義 15 (位相群).

群Gが位相空間であり、かつ、その二項演算と単項演算が連続、すなわち、

binary:G×G→G,(x,y)↦x⁢yinverse:G→G,x↦x−1

が連続である時、群Gを位相群と呼ぶ。

定理 16.

写像

a∗:G→G,x↦a⁢x,∗b:G→G,x↦x⁢b

は同相写像である。よってO⁢が⁢開⁢集⁢合⁢な⁢ら⁢a⁢O,O⁢b⁢も⁢開⁢集⁢合⁢で⁢あ⁢り⁢、⁢閉⁢集⁢合⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢も⁢同⁢様⁢で⁢あ⁢る⁢。 さらに各⁢点⁢x⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢そ⁢近⁢傍⁢は⁢単⁢位⁢元⁢e⁢の⁢近⁢傍⁢の⁢み⁢で⁢完⁢全⁢に⁢決⁢定⁢さ⁢れ⁢て⁢し⁢ま⁢う⁢と⁢い⁢う⁢著⁢し⁢い⁢性⁢質⁢が⁢あ⁢る⁢。⁢す⁢な⁢わ⁢ち

𝔑⁢(x)={x⁢U|U∈𝔑⁢(e)}={W⁢x|W∈𝔑⁢(e)}

が成立する。

5 始位相

定義 17 (始位相(Initial topology)).

X⁢を⁢集⁢合⁢{(Yλ,𝔒λ)}λ∈Λ⁢を⁢位⁢相⁢空⁢間⁢の⁢族⁢と⁢し⁢、⁢各⁢λ⁢毎⁢に⁢写⁢像

fλ:X→Yλ

が与えられているとするこの時X⁢に⁢写⁢像⁢族⁢F={fλ}λ∈Λをすべて連続にするような最弱の位相が存在する。それをF={fλ}λ∈Λ⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢た⁢始⁢位⁢相⁢と⁢呼⁢ぶ⁢。⁢此⁢処⁢で⁢は⁢記⁢号⁢ℑ⁢(F)で表すことにする。

よく知られているようにℑ⁢(F)はXの部分集合族 𝔐={fλ−1⁢(U)|U∈𝔒λ,λ∈Λ} を準開基とする開集合系である。

6 集合算

一様空間の定義のために、X×X上の集合の演算を紹介する。

定義 18 (X×Xの部分集合の合成と逆).

逆:UをX×Xの部分集合とするとき、Uの逆、U−1を

U−1={(x,y)|(y,x)∈U}

と定義する。
合成:U,VをX×Xの部分集合とする時その合成U∘Vを

U∘V={(x,y)|∃z⁢(x,z)∈U,(z,y)∈V}

と定義する。

定義 19.

切端(slice)
X×Xの部分集合Vについてそのx⁢に⁢よ⁢る切端を

V⁢(y)={x|(x,y)∈V}
(x)⁢V={y|(x,y)∈V}

と定義する。(x)⁢Vはおそらく使うことは無いだろう。 またより一般にA⊂X⁢に⁢よ⁢る⁢切⁢端⁢を

V⁢(A)=⋃a∈AV⁢(a)
(A)⁢V=⋃a∈A(a)⁢V

と定義する。 やはり⁢(A)⁢V⁢は使うことは無いだろう。

定義 20.

対角集合

ΔX={(x,x)|x∈X}

Part II 一様空間

7 一様空間の導入

定義 21 (一様空間).

集合X上の一様構造(uniform structure,unifomity)とはX×Xの部分集合族𝔘で

∀U∈𝔘⁢ΔX⊂U
U,V∈𝔘⇒U∩V∈𝔘
U∈𝔘,U⊂W⇒W∈𝔘
∀U∈𝔘⁢U−1∈𝔘
∀U∈𝔘⁢∃W∈𝔘⁢W∘W⊂U

を充たすものである。この時、𝔘はX×X 上のフィルターとなる事がわかる。𝔘の元を近縁といい、Xと一様構造を合わせて考えた(X,𝔘)を一様空間という。また𝔘を近縁フィルターとも言う

近縁Vについて(x,y)∈Vとなる時xとyはV程度に近いという。さながら距離が入っているかのような言い草である。

(2)におけるWとはVの「半分」の大きさの近縁である。この意味は後にわかるだろう。

定義 22 (対称近縁).
U=U−1

を充たす近縁を対称近縁という。近縁V⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢V∩V−1⁢及⁢び⁢V∪V−1⁢は⁢対⁢称⁢近⁢縁⁢と⁢な⁢る⁢。⁢よ⁢っ⁢て⁢任⁢意⁢の⁢近⁢縁⁢V⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢U⊂V⁢と⁢な⁢る⁢対⁢称⁢近⁢縁⁢U⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。

定義 23.

基本近縁系
一様空間(X,𝔘)⁢に⁢お⁢い⁢て⁢一⁢様⁢構⁢造⁢𝔘⁢の⁢部⁢分⁢集⁢合⁢𝔙⁢が⁢𝔘⁢の⁢基⁢本⁢近⁢縁⁢系⁢で⁢あ⁢る⁢と⁢は

𝔙≠Ø
∀U∈𝔙⁢ΔX⊂U
∀U,V∈𝔘⁢∃W∈𝔚⁢W⊂U∩V
∀U∈𝔙⁢∃V∈𝔙⁢V⊂U−1∈𝔙
∀U∈𝔙⁢∃W∈𝔙⁢W∘W⊂U

を充たすこと、逆に只の集合X⁢に⁢対⁢し⁢て⁢こ⁢の⁢よ⁢う⁢な⁢𝔙が存在したなら、

𝔘={U|∃V∈𝔙⁢V⊂U}

によって一様構造が誘導される。

例 24.

一様空間(X,𝔘)⁢上⁢の⁢対⁢称⁢近⁢縁⁢全⁢体⁢𝔖⁢は⁢基⁢本⁢近⁢縁⁢系⁢を⁢成⁢す⁢。

一様空間には次のようにして自然な位相が定義される。

定理 25.

一様空間の位相
一様空間(X,𝔘)⁢の⁢各⁢点⁢x⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢𝔑⁢(x)⁢を

𝔑⁢(x)={V⁢(x)|V∈𝔘}

と定義するとこれは近傍の公理を充たし、位相が導入される。

一般に異なる一様構造から同じ位相が得られることがある。一様構造はある意味で位相構造よりも細かい空間の分類を与えているのである。一様構造が異なるが同じ位相が入る例としてS1⁢か⁢ら⁢北⁢極⁢を⁢除⁢い⁢た⁢も⁢の⁢に⁢平⁢面⁢の⁢普⁢通⁢の⁢距⁢離⁢か⁢ら⁢定⁢ま⁢る⁢一⁢様⁢構⁢造⁢と⁢ℝ⁢に⁢普⁢通⁢の⁢1⁢次⁢元⁢の⁢距⁢離⁢を⁢入⁢れ⁢た⁢も⁢の⁢と⁢が⁢あ⁢る⁢。

例 26.

距離空間
いま、距離空間(X,d)⁢と⁢正⁢の⁢数⁢ϵ⁢ ⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢、

Uϵ={(x,y)|d⁢(x,y)<ϵ}

と定め、

𝔇={Uϵ|ϵ>0}

とすると𝔇⁢は⁢基⁢本⁢近⁢縁⁢系⁢の⁢公⁢理⁢を⁢充⁢た⁢す⁢。⁢よ⁢っ⁢て⁢距⁢離⁢空⁢間⁢に⁢は⁢一⁢様⁢構⁢造⁢が⁢付⁢く⁢。

例 27.

位相群
G⁢を⁢位⁢相⁢群⁢と⁢す⁢る⁢と⁢き⁢、⁢各⁢V∈𝔑⁢(e)⁢に⁢つ⁢い⁢て

L⁢(V)={(x,y)|x−1⁢y∈V}⁢R⁢(V)={(x,y)|x⁢y−1∈V}

と定義し

𝔏={L⁢(V)|V∈𝔑⁢(e)}⁢ℜ={R⁢(V)|V∈𝔑⁢(e)}

とするとこれは一様構造となる。しかし、この2つの一様構造が同じものとは限らない。もちろんこの2つの一様構造から誘導される位相構造は同一のものとなる。もちろん可換群ならばこの2つの一様構造は一致する。

8 諸定理

この節では一様空間に関する基本的な定理を紹介する。

定理 28.

一様空間の正則性:一様空間は正則空間になる。

証明.

一様空間(X,𝔘)の互いに交わらない点xと閉集合FについてX\Fは点xを含む開集合となる。よって一様空間の位相の定め方から

U⁢(x)⊂X\F

となる近縁Uが存在する。更に一様構造の公理からこのUについて

W∘W⊂U

となる対称近縁Wが存在する。ことの時、

W⁢(x)∩W⁢(F)=Ø

が成立する。なぜならもしW⁢(x)∩W⁢(F)≠Øならばz∈W⁢(x)∩W⁢(F)⁢を⁢取⁢る⁢と⁢、

(z,x)∈W,∃a∈F⁢(z,a)∈W

が成り立ちWが対称近縁であることから(a,z)∈Wなので(a,x)∈W∘W⊂Uすなわち(a,x)∈Uつまりa∈U⁢(x)となる。これはU⁢(x)⊂X\Fに反する。

以上から一様空間が正則であることがわかる。 ∎

証明の感慨を述べよう。最初に互いに素な一点xと閉集合Fを任意に取ってきて机に置いたわけだが、この2つを分離する開集合、ないしは近傍を構成すればいいのである。もちろんxは開集合X\Fに属しているわけだが位相の定め方から近縁UでU⁢(x)⊂X\Fとなるものが存在するわけだが、このUという近縁がある意味xとFとの距離を測っているのである。砕けた言い方をするのであればxとFは”Uだけ離れている”のである。ともすれば、例えば距離空間のハウスドルフ性を証明した時と同じように”Uだけ離れている”のであれば”Uの半分”だけxとFを膨らませればx,Fの近傍で交わらないものが存在すると我々の直観は教えてくれるのである。そして、ここが普通の位相空間との違いなのだが、Uの”半分”の近縁Wが存在するのである。つまり、W∘W⊂UとなるWである。これがこの証明である。
この証明の他にも、閉近縁全体が基本近縁系を成すことを示す証明もある。事実として述べておこう。

命題 29.

閉近縁全体は基本近縁系をなす。

定理 30.

一様空間(X,𝔘)に置いて次が成り立つ

T1⇔T2⇔T3⇔⋂U∈𝔘U=ΔX

(のちにわかるがT1⇔T3⁤12)

証明.
T3⇒T2⇒T1

はわかる。次にまず

T1⇔⋂U∈𝔘U=ΔX

をしめそう。しかし明らかである。そしてそもそも一様空間は正則だから定理が成り立つ。 ∎

定理 31.

一⁢様⁢空⁢間⁢(X,𝔘)⁢と⁢A⊂X⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢U∈𝔖⁢及⁢び⁢V∈𝔘⁢に⁢つ⁢い⁢て

A¯⊂U⁢(A),A¯⊂V⁢(A)

が成立する

証明.

後半は前半から明らかであるから後半のみ証明する a∈A¯とすると閉包の定義からaの任意の近傍NについてA∩N≠Ø が成立する NとしてU⁢(a)を取ると

U⁢(a)∩A≠Ø

となり、b∈U⁢(a)∩Aとすると(b,a)∈UでUは対称なので(a,b)∈Uで結局a∈U⁢(b)そして

U⁢(b)⊂⋃x∈AU⁢(x)=U⁢(A)

より

A¯⊂U⁢(A)

∎

定理 32.

一様空間(X,𝔘)について次が成立する

A¯=⋂U∈𝔖U⁢(A)=⋂V∈𝔘V⁢(A)
証明.

𝔖は𝔘の基本系を成すので

⋂U∈𝔖U⁢(A)=⋂V∈𝔘V⁢(A)

は成立する。A¯=⋂U∈𝔖U⁢(A)を示そう。前定理より

A¯⊂⋂U∈𝔖U⁢(A)

はわかる。逆向きの包含関係を示そう。x∈⋂U∈𝔖U⁢(A)をとると右辺の定義より

∀U∈𝔖⁢∃a∈A⁢x∈U⁢(a)

Uの対称性よりa∈U⁢(x)なので

∀U∈𝔖⁢U⁢(x)∩A≠Ø

{U⁢(X)}U∈𝔖はxの基本近傍系を成すのでx∈A¯つまり

⋂U∈𝔖U⁢(A)⊂A¯

これで証明が終わる ∎

定理 33.

一様空間(X,𝔘)において𝔘の元はその一様構造から誘導される位相の直積空間X×Xの対角線ΔXの近傍になる。(逆は一般には言えない。)

証明.

任意のV∈𝔘についてW∘W⊂Vとなる対称近縁W∈𝔘が存在する。このWについてW⁢(x)×W⁢(x)は(x,x)の近傍になっているそして(a,b)∈W⁢(x)×W⁢(x)とすると対称性から(a,x),(x,b)∈Wよって(a,b)∈W∘W⊂Vより

W⁢(x)×W⁢(x)⊂V

でxは任意だったから結局VはΔXの近傍となる。 ∎

9 一様連続関数

定義 34 (一様連続関数).

今、2つの一様空間(X,𝔘),(Y,𝔙)と写像

f:X→Y

が与えられたとする。この時写像fが一様連続であるとは、

∀U∈𝔘⁢∃V∈𝔙⁢(f×f)⁢(V)⊂U

となること

つまり任意に近縁V∈𝔙⁢を⁢与⁢え⁢た⁢時⁢適⁢切⁢な⁢U∈𝔘⁢を⁢取⁢れ⁢ば⁢U⁢程⁢度⁢に⁢近⁢い⁢任⁢意⁢の⁢2⁢点⁢x,y⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢、⁢f⁢(x)⁢と⁢f⁢(y)⁢が⁢V⁢程⁢度⁢に⁢近⁢く⁢な⁢る⁢と⁢い⁢う⁢う⁢こ⁢と⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢x⁢と⁢y⁢は⁢U⁢程⁢度⁢に⁢近⁢け⁢れ⁢ば⁢任⁢意⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢普⁢通⁢の⁢連⁢続⁢性⁢と⁢の⁢違⁢い⁢に⁢注⁢意⁢し⁢て⁢、実関数が一様連続であることの定義を想起せよ。

10 始一様構造(Initial uniform structure)

定理 35.

X⁢を⁢集⁢合⁢{(Yλ,𝔒λ)}λ∈Λ⁢を⁢一⁢様⁢空⁢間⁢の⁢族⁢と⁢し⁢、⁢各⁢λ⁢毎⁢に⁢写⁢像

fλ:X→Yλ

が与えられているとするこの時X⁢に⁢写⁢像⁢族⁢F={fλ}λ∈Λをすべて一様連続にするようなX上の最弱の一様構造が存在する。

証明.

𝔐={(fλ×fλ)−1⁢(Uλ)|Uλ∈𝔘λ⁢λ∈Λ}は有限交叉性を持つからフィルターが生成できる。そのフィルターが求める近縁系である。 ∎

定義 36.

始一様構造
上の定理で存在が保証された一様構造をF={fλ}λ∈Λ⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢た⁢始⁢一⁢様⁢構⁢造⁢と⁢呼⁢ぶ⁢。

Part III 完全正則空間

11 定義

完全正則空間の定義は準備で述べたが定義を再び載せる。

定義 37.

完全正則空間
位相空間の互いに素な点と閉集合が関数で分離できるときその位相空間を完全正則空間という。

簡単にわかることだが完全正則空間は正則空間となる。

12 始位相との関係

定理 38.

完全正則空間(X,𝔒)について

C⁢(X,[0,1])={f|f:X→[0,1],f:連⁢続}

とする。この時、写像の族C=C⁢(X,[0,1])から誘導されるXの始位相ℑ⁢(C)について

ℑ⁢(C)=𝔒

が成立する。逆にこれが成り立つような位相空間は完全正則空間になる。

証明.

完⁢全⁢正⁢則⁢空⁢間⁢が⁢ℑ⁢(C)=𝔒⁢を⁢充⁢た⁢す⁢こ⁢と⁢の⁢証⁢明:C⁢(X,[0,1])⁢は⁢(X,𝔒)⁢の⁢連⁢続⁢写⁢像⁢全⁢体⁢で⁢あ⁢る⁢か⁢ら

ℑ⁢(C)⊂𝔒

は明らかに成り立つ。逆向きの包含関係を示そう。今、任意のU∈𝔒⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢と⁢任⁢意⁢の⁢x∈U⁢に⁢対⁢し⁢て⁢x⁢と⁢X\U⁢は互いに素である点と閉集合であるから完全正則性より

f:X→[0,1]

が存在して

f⁢(x)=1,∀y∈X\U⁢f⁢(y)=0

を充たす。そして

x∈f−1⁢((0,1])⊂U

となり、x⁢は⁢任⁢意⁢で⁢あ⁢っ⁢た⁢か⁢ら⁢U∈ℑ⁢(C)⁢と⁢な⁢る⁢。⁢更⁢に⁢U⁢は⁢任⁢意⁢で⁢あ⁢っ⁢た⁢か⁢ら

ℑ⁢(C)⊃𝔒

すなわち

ℑ⁢(C)=𝔒

が成立する。
ℑ⁢(C)=𝔒⁢を⁢充⁢た⁢す⁢位⁢相⁢空⁢間⁢(X,𝔒)⁢が⁢完⁢全⁢正⁢則⁢と⁢な⁢る⁢こ⁢と:この証明はやや煩雑である。ℑ⁢(C)⁢は⁢X⁢の⁢部⁢分⁢集⁢合⁢族

𝔐={f−1⁢(V)|f∈C⁢(X,[0,1])⁢V:[0,1]⁢の⁢開⁢集⁢合}

を⁢準⁢開⁢基⁢と⁢す⁢る⁢開⁢集⁢合⁢族⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢[0,1]⁢の⁢位⁢相⁢を⁢よ⁢く⁢よ⁢く⁢考⁢え⁢れば

𝔐={f−1⁢(V)|f∈C⁢(X,[0,1])⁢V⁢は⁢[0,a),(b,c),(d,1]⁢の⁢何⁢れ⁢か⁢の⁢形⁢の⁢集⁢合⁢a,b,c,d∈(0,1)}

となる。今から次のことを示す。

(i)⁢𝔅={f−1⁢((t,1])|f∈C⁢(X,[0,1])⁢t∈(0,1)}⁢は⁢ℑ⁢(C)=𝔒⁢の⁢開⁢基⁢を⁢成⁢す⁢。

𝔐⁢の⁢元⁢に⁢ち⁢ょ⁢っ⁢と⁢づ⁢つ⁢修⁢正⁢を⁢加⁢え⁢て⁢最⁢終⁢的⁢に⁢𝔅⁢が⁢開⁢基⁢と⁢な⁢る⁢こ⁢と⁢を⁢い⁢う⁢。 𝔐の元のうち、f−1⁢((d,1])の形のものはそのままでよくて、f−1⁢([0,a))の形の集合は連続写像

g=1−f:X→[0,1]

を考えれば、g−1⁢((1−a,1])=f−1⁢([0,a))となると表される。f−1⁢((b,c))の集合の修正は面倒くさい。まず任意のs∈f−1⁢((b,c))をとり、そしてf⁢(s)=rとおくとr∈(b,c)である。そして連続写像

h;X→[0,1]

をh=1−f+r⁢と⁢定⁢義⁢し⁢、⁢ϵ=m⁢i⁢n⁢{r−b,c−r}⁢と⁢す⁢る

s∈h−1⁢((1−ϵ,1])⊂f−1⁢((b,c))

となるs⁢は⁢任⁢意⁢だ⁢っ⁢た⁢の⁢で⁢結⁢局⁢f−1⁢((b,c))⁢は⁢h−1⁢((1−ϵ,1])⁢の⁢形⁢の⁢和⁢集⁢合⁢で⁢表⁢さ⁢れ⁢る⁢か⁢ら

𝔅={f−1⁢((a,1])|f∈C⁢(X,[0,1]),a∈(0,1)}

は𝔒⁢の⁢準⁢開⁢基⁢と⁢な⁢る⁢。次にこの𝔅⁢が⁢開⁢基⁢と⁢な⁢る⁢こ⁢と⁢を⁢示⁢す⁢。⁢す⁢な⁢わ⁢ち⁢次⁢を⁢示⁢す⁢。

∀B1,B2∈𝔅⁢∀x∈B1∩B2⁢∃B3∈𝔅⁢x∈B3⊂B1∩B2

が成立する事を証明すればイイ。今、f−1⁢((a,1]),g−1⁢((b,1])∈𝔅⁢を⁢と⁢る⁢。⁢a≤b⁢と⁢仮⁢定⁢し⁢て⁢も⁢一⁢般⁢性⁢を⁢失⁢わ⁢な⁢い⁢。h=ab⁢g⁢と⁢す⁢る⁢と⁢h∈C⁢(X,[0,1])⁢で⁢あ⁢り⁢、

h−1⁢((a,1])=g⁢((b,1])

となる。そして

F=min⁡{f,h}

と定義すると

a<F⁢(x)⇔a<f⁢(x)⁢か⁢つ⁢a<h⁢(x)

となるから

F−1⁢((a,1])=f−1⁢((a,1])∩h−1⁢((a,1])

となる。つまり

∀B1,B2∈𝔅⁢∀x∈B1∩B2⁢∃B3∈𝔅⁢x∈B3⊂B1∩B2

が成立する(これよりも強いことを証明している)よって

(i)⁢𝔅={f−1⁢((t,1])|f∈C⁢(X,[0,1])⁢t∈(0,1)}⁢は⁢ℑ⁢(C)=𝔒⁢の⁢開⁢基⁢を⁢成⁢す⁢。

が成立する。そしていよいよこの空間の完全正則性を示す。
い⁢ま⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢一⁢点⁢x⁢と⁢閉⁢集⁢合⁢F⁢を⁢と⁢る⁢。⁢そ⁢し⁢て⁢x∈X\F⁢で⁢X\F⁢は⁢開⁢集⁢合⁢で⁢あ⁢る⁢か⁢ら⁢上⁢に⁢定⁢義⁢し⁢た⁢𝔅⁢が⁢開⁢基⁢に⁢な⁢る⁢こ⁢と⁢か⁢ら

∃f∈C⁢(X,[0,1])⁢∃a∈(0,1)⁢x∈f−1⁢((a,1])⊂X\F

が成立する。そして

g=min⁡{a,f}

とするとこれは連続で

∀y∈F⁢g⁢(y)=aa≠g⁢(x)=f⁢(x)

となるこれを適当に修正すればx⁢と⁢Fが関数で分離されることが示される。 ∎

Part IV ゲージ空間

13 定義

定義 39.

擬距離
写像d:X×X→ℝ⁢が⁢X⁢上⁢の⁢擬⁢距⁢離⁢で⁢あ⁢る⁢と⁢は

d⁢(x,y)≥0
d⁢(x,x)=0
d⁢(x,y)=d⁢(y,x)
d⁢(x,y)≤d⁢(x,z)+d⁢(z,y)

を充たすことを言う。距離との違いは非退化性

d⁢(x,y)=0⇒x=y

を充たす必要が無いことである。つまりx≠y⁢で⁢あ⁢っ⁢て⁢も⁢d⁢(x,y)=0⁢と⁢な⁢る⁢場⁢合⁢も⁢あ⁢る⁢。

定義 40.

ゲージ空間
X⁢上⁢の⁢擬⁢距⁢離⁢の⁢族

𝔊={dα}α∈A

を⁢X⁢上⁢の⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢と⁢い⁢う⁢。⁢そ⁢し⁢て⁢集⁢合⁢X⁢に⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢𝔊⁢が⁢定⁢め⁢ら⁢れ⁢た⁢時⁢、⁢対⁢(X,𝔊)⁢を⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢空⁢間⁢と⁢い⁢う⁢。

14 位相

ゲージ空間(X,𝔊)には次のように自然な位相が定義される。
𝔊={dα}α∈A⁢と⁢し⁢て⁢p∈X⁢正⁢の⁢数⁢ϵ⁢と⁢A⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合⁢I⁢に⁢つ⁢い⁢て

Nϵ,I⁢(p)={x|∀α∈I⁢dα⁢(p,x)<ϵ}

と定義し,

𝔑0⁢(p)={Nϵ,I⁢(p)|ϵ>0,I:A⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合}

とするとこれは基本近傍系の公理を満たすから位相が定まる。
これは距離空間の位相の定め方と全く同様である。

15 基本ゲージ

ものさしは少ないほうがいいというのが基本ゲージの基本的な発想である。

定義 41 (基本ゲージ).

ゲージ空間(X,𝔊)⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢𝔊={dα}α∈A⁢と⁢し⁢て⁢𝔊⁢部⁢分⁢集⁢合⁢ℌ={dβ}β∈B⁢が⁢こ⁢の⁢空⁢間⁢の⁢基⁢本⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢で⁢あ⁢る⁢と⁢は

∀ϵ>0⁢∀I:A⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合⁢∃δ>0⁢∃J:B⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合⁢∀β∈J⁢dβ⁢(x,y)<δ⇒∀α∈I⁢dα⁢(x,y)<ϵ

を充たすこと。要するにℌ⁢だ⁢け⁢を⁢用⁢い⁢て⁢つ⁢く⁢っ⁢た⁢𝔑0⁢(p)⁢が⁢元⁢々⁢の⁢𝔊⁢全⁢体⁢を⁢用⁢い⁢て⁢作⁢っ⁢た⁢𝔑0⁢(p)⁢の⁢基⁢本⁢近⁢傍⁢系⁢に⁢な⁢っ⁢て⁢る⁢と⁢い⁢う⁢こ⁢と⁢で⁢あ⁢る⁢。

16 例

例 42.

距離空間
明らかに距離空間はゲージ空間である。

Part V 3つの概念の一致

17 一様空間、完全正則空間、擬距離族空間は”同じ”概念

定理 43.

次が成立する。
(1)一様空間は完全正則となる
(2)一様空間にはその一様構造から誘導される位相構造と両立するゲージが存在する。
(3)完全正則空間にはその位相と両立する一様構造が存在する。
(4)完全正則空間にはその位相と両立するゲージが存在する。
(5)ゲージ空間にはその位相と両立する一様構造が存在する。
(6)ゲージ空間は完全正則

この部で言いたいことは(1),(4),(5)だけ示せばよいが敢えて全部を直接的に示す。(1)と(2)がとても難儀であり、その他は簡単である。

証明.

(1)一様空間は完全正則となること
一様空間(X,𝔘)⁢の⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢一⁢点⁢x⁢と⁢閉⁢集⁢合⁢F⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢あ⁢る⁢近⁢縁⁢U⁢で

x∈U⁢(x)⊂X\F

となるものが存在する。 そして近縁の⁢列⁢{Un}n∈ℕで

U0=U,Un+1∘Un+1⊂Un

を充たすものが存在する。ところで、有限桁の2進数全体をDとする。r∈Dは有限個の自然数n1<n2⁢⋯<nkを用いて

r=∑i=1k12ni=12n1+12n2+⋯+12nk

と表される。そこでこ⁢の⁢r⁢に⁢つ⁢い⁢て

Vr=Unk∘Unk−1∘⋯∘Un1

と定義する。({ni}⁢の向きに注意)このとき

r,s∈D,r<s⇒Vr⊂Vs

これよりすこし強く

Vr¯⁢(x)⊂Vs⁢(x)

が成立する。(ここまで来ればあとはウリゾーンの補題と同様である。)

∎

証明.

(2)一様空間にはその一様構造から誘導される位相構造と両立するゲージが存在すること
我々は今から一様構造に可算性を仮定して擬距離を構成する。一般の場合はこれのちょっとした応用である。この一様空間(X,𝔘)⁢に⁢可⁢算⁢な⁢基⁢本⁢近⁢縁⁢系⁢が⁢あ⁢る⁢と⁢す⁢る⁢。⁢こ⁢の⁢時⁢、⁢一⁢様⁢構⁢造⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢る⁢位⁢相⁢と⁢両⁢立⁢す⁢る⁢一⁢つ⁢の⁢擬⁢距⁢離⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢こ⁢と⁢を⁢示⁢そ⁢う⁢。⁢(⁢擬⁢距⁢離⁢一⁢つ⁢で⁢位⁢相⁢構⁢造⁢が⁢両⁢立⁢で⁢き⁢る⁢と⁢い⁢う⁢意⁢味⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢も⁢ち⁢ろ⁢ん⁢唯⁢一⁢性⁢な⁢ど⁢無⁢い⁢。⁢そ⁢し⁢て⁢つ⁢ま⁢り⁢可⁢算⁢な⁢基⁢本⁢系⁢を⁢持⁢つ⁢一⁢様⁢構⁢造⁢は⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢空⁢間⁢な⁢ん⁢て⁢大⁢層⁢な⁢も⁢の⁢で⁢は⁢な⁢く⁢て⁢只⁢の⁢擬⁢距⁢離⁢空⁢間⁢で⁢あ⁢る⁢)⁢上⁢の状況の時 ⁢対⁢称⁢近⁢縁⁢の⁢列⁢{Un}n∈ℕで

Un+1∘Un+1∘Un+1⊂Un

を充たし、この一様空間の基本形を成すものが一様空間の定義からたしかに存在する。(なぜか?)このU⁢か⁢ら⁢定⁢ま⁢る⁢{Un}n∈ℕ⁢か⁢ら⁢擬⁢距⁢離⁢を⁢構⁢成⁢し⁢よ⁢う⁢。⁢ま⁢ず関数g⁢を

g⁢(x,y)={1if (x,y)∉U012nif (x,y)∈Un\Un+10if (x,y)∈⋂n∈ℕUn

と定義する。{Un}n∈ℕ⁢の⁢元⁢は⁢全⁢て⁢対⁢称⁢近⁢縁⁢な⁢の⁢で

g⁢(x,y)=g⁢(y,x),g⁢(x,x)=0

を充たす。この関数は一⁢様⁢空⁢間⁢の⁢位⁢相⁢と⁢は⁢あ⁢ま⁢り⁢関⁢係⁢が⁢な⁢い⁢。⁢た⁢だ⁢(x,y)⁢に⁢ち⁢ょ⁢っ⁢と⁢し⁢た⁢指⁢標⁢を⁢与⁢え⁢て⁢い⁢る⁢だ⁢け⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢し⁢か⁢し⁢こ⁢こ⁢で

d⁢(x,y)=inf∑k=0ng⁢(zk,zk+1)

と定義する。右辺の{zi}⁢はx=z0⁢zn=yとなる空間内の有限列にで下限はこのような有限列全体で取る。これは擬距離となる。なぜなら

d⁢(x,y)=d⁢(y,x),d⁢(x,x)=0

は

g⁢(x,y)=g⁢(y,x),g⁢(x,x)=0

からわかり、三角不等式は有⁢限⁢列⁢を⁢賢⁢く⁢と⁢っ⁢て⁢infの⁢性⁢質⁢か⁢ら⁢か⁢ら⁢わ⁢か⁢る⁢。擬距離となることは分かったが一様空間の位相とどのような関係があるのだろうか。
ここまで来たところで次の不等式を示す。この不等式がこの擬距離と位相との関係を示すものである。

12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)≤g⁢(x,y)

この不等式を証明するために次の補題

補題 44.
g⁢(x,y)≤2⁢max⁡{g⁢(x,z),g⁢(z,w),g⁢(w,y)}

(ただしz,wは任意の点)

を証明する。
右辺の3つの項のいずれかが値⁢1/2,な⁢い⁢し⁢は⁢1⁢を⁢取⁢る⁢時⁢は⁢不⁢等⁢式⁢は⁢明⁢ら⁢か⁢に⁢成⁢立⁢し⁢て⁢い⁢る⁢。⁢そ⁢う⁢で⁢な⁢い⁢時⁢は⁢(x,z),(z,w),(w,y)⁢を⁢含⁢む⁢{Un}n∈ℕ⁢の⁢内⁢最⁢小⁢の⁢番⁢号⁢を⁢持⁢つ⁢も⁢の⁢を⁢も⁢の⁢を⁢Uk⁢と⁢すると

k≥1,max⁡{g⁢(x,z),g⁢(z,w),g⁢(w,y)}≥12k

となり、そして

(x,y)∈Uk∘Uk∘Uk⊂Uk−1

より

g⁢(x,y)≤12k−1

となる。評価をよく見ればこれで証明は完了している。 さて

12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)≤g⁢(x,y)

を証明しよう。

d⁢(x,y)≤g⁢(x,y)

はd⁢の⁢定⁢義⁢式⁢中⁢に⁢出⁢て⁢く⁢る⁢infの⁢性⁢質⁢か⁢ら⁢明⁢ら⁢か⁢で⁢あ⁢る⁢。

12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)

を示そう。この不等式はつまり任意のn⁢と⁢x=z0,y=zn⁢を⁢充⁢た⁢す⁢任⁢意⁢の⁢{zi}⁢に⁢つ⁢い⁢て

12⁢g⁢(x,y)≤∑k=0ng⁢(zk,zk+1)

が成立することを示せばいい。n=1⁢の⁢時⁢は⁢明⁢ら⁢か⁢に⁢成⁢立⁢す⁢る⁢。⁢そ⁢し⁢て⁢n⁢よ⁢り⁢小⁢さ⁢い⁢数⁢で⁢は⁢不⁢等⁢式⁢が⁢成⁢立⁢し⁢て⁢い⁢る⁢と⁢し⁢て⁢n⁢の⁢と⁢き⁢を⁢示⁢す⁢。

a=∑k=0ng⁢(zk,zk+1)

とする。ここでa2<g⁢(x,z2)⁢か⁢つ⁢a2<g⁢(zn−1,y)⁢と⁢仮⁢定⁢す⁢る⁢と⁢g⁢(x,z2),g⁢(zn−1,y)⁢は⁢a=∑k=0ng⁢(zk,zk+1)⁢の⁢右⁢辺⁢の⁢項⁢の⁢一⁢つ⁢で⁢あ⁢る⁢か⁢ら⁢a2+a2=a<g⁢(x,z2)+g⁢(zn−1,y)≤a⁢だ⁢か⁢ら⁢矛⁢盾⁢す⁢る⁢。⁢よ⁢っ⁢て⁢g⁢(x,z2),g⁢(zn−1,y)⁢の⁢う⁢ち⁢ど⁢ち⁢ら⁢か⁢ひ⁢と⁢つ⁢は≤a2⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢g⁢(x,z2)≤a2⁢と⁢仮⁢定⁢し⁢て⁢も⁢一⁢般⁢性⁢を⁢失⁢わ⁢な⁢い⁢。こ⁢こ⁢で⁢自⁢然⁢数⁢h⁢を

∑k<ig⁢(zk,zk+1)≤a2

を充たす最大のi⁢と⁢す⁢る⁢。⁢先⁢の⁢議⁢論⁢は⁢こ⁢の⁢i⁢の⁢存⁢在⁢の⁢た⁢め⁢の⁢も⁢の⁢で⁢あ⁢る⁢。⁢h⁢の⁢定⁢義⁢か⁢ら⁢h+1⁢に⁢つ⁢い⁢て

∑k<h+1g⁢(zk,zk+1)>a2

となる。そして帰納法の仮定と∑k<hg⁢(zk,zk+1)≤a2から

12⁢g⁢(x,zh)≤∑k<hg⁢(zk,zk+1)≤a2

であるから

g⁢(x,zh)≤a

そして明らかに

g⁢(zh,zh+1)≤a

さらにさらに

a=∑k=0ng⁢(zk,zk+1)=∑k<h+1g⁢(zk,zk+1)+∑k≥h+1g⁢(zk,zk+1)>a2+∑k≥h+1g⁢(zk,zk+1)

が成立するから帰納法の仮定より

12⁢g⁢(zh+1,y)≤∑k≥h+1g⁢(zk,zk+1)<a2

より

g⁢(zh+1,y)≤a

が成立する。これと補題の不等式g⁢(x,y)≤2⁢max⁡{g⁢(x,z),g⁢(z,w),g⁢(w,y)}から

g⁢(x,y)≤2⁢max⁡{g⁢(x,zh),g⁢(zh,zh+1),g⁢(zh+1,y)}≤2⁢a=2⁢(∑k=0ng⁢(zk,zk+1))

結局

12⁢g⁢(x,y)≤∑k=0ng⁢(zk,zk+1)

が成立するので

12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)

がきちんと成立する。

N⁢(d;ϵ)={(x,y)|d⁢(x,y)≤ϵ}

と定義すると不等式

12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)≤g⁢(x,y)

から

Un+1⊂N⁢(d;12n+1)⊂Un

が成り立つ。不等式12⁢g⁢(x,y)≤d⁢(x,y)≤g⁢(x,y)はこれを証明するためのものである。この式からこのd⁢が⁢こ⁢の⁢一⁢様⁢空⁢間⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢る⁢位⁢相⁢と⁢両⁢立⁢し⁢て⁢い⁢る⁢こ⁢と⁢が⁢わ⁢か⁢る⁢。 ∎

証明.

(3)完全正則空間にはその位相と両立する一様構造が存在すること
[0,1]⁢は⁢一⁢様⁢空⁢間⁢で⁢あ⁢り⁢、⁢C=C⁢(X,[0,1])⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢る⁢始⁢一⁢様⁢構⁢造⁢が⁢存⁢在⁢す⁢る⁢。⁢完⁢全⁢正⁢則⁢空⁢間⁢の⁢位⁢相⁢𝔒⁢は⁢ℑ⁢(C)⁢と⁢一⁢致⁢す⁢る⁢。⁢こ⁢れ⁢で⁢証⁢明⁢が⁢終⁢わ⁢る⁢。 ∎

証明.

(4)完全正則空間にその位相と両立するゲージが存在すること
f∈C=C⁢(X⁢[0,1])⁢に⁢対⁢し⁢て

df⁢(x,y)=|f⁢(x)−f⁢(y)|

とするとこれは擬距離⁢で⁢{df}f∈C⁢は⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢と⁢な⁢る⁢。⁢こ⁢の⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢か⁢ら⁢誘⁢導⁢さ⁢れ⁢る⁢位⁢相⁢が⁢元⁢の⁢位⁢相⁢と⁢一⁢致⁢す⁢る⁢こ⁢と⁢は⁢た⁢や⁢す⁢く⁢証⁢明⁢さ⁢れ⁢る⁢。 ∎

証明.

(5)ゲージ空間にはその位相と両立する一様構造が存在すること

Nϵ,B={(x,y)|∀α∈B⁢dα⁢(x,y)<ϵ}

として

𝔑0={Nϵ,B|ϵ>0,B:A⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合}

と定義するとこれは基本近縁系の公理を充たす。よって証明が終わる。 ∎

証明.

(6)ゲージ空間は完全正則であること
ゲージ空(X,{dα}α∈A)⁢の⁢互⁢い⁢に⁢素⁢な⁢一⁢点⁢p⁢と⁢閉⁢集⁢合⁢F⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢p∈X\F⁢で⁢X\F⁢は⁢開⁢集⁢合⁢で⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢空⁢間⁢の⁢位⁢相⁢の⁢定⁢め⁢方⁢か⁢ら⁢正⁢の⁢数⁢ϵ,と⁢A⁢の⁢有⁢限⁢部⁢分⁢集⁢合⁢B⁢が⁢存⁢在⁢し

Nϵ,B⁢(x)⊂X\F

となる。

Nϵ,B⁢(x)={y|∀α∈B⁢dα⁢(y,p)<ϵ}

であるから

∀a∈F⁢∃α∈B⁢dα⁢(a,p)≥ϵ

よって

f⁢(x)=maxα∈B⁡{dα⁢(x,p)}

とするとf⁢は⁢連⁢続⁢で⁢g⁢(p)=0,F⁢上⁢で⁢f⁢(x)≥ϵが成立する。

g⁢(x)=min⁡{f⁢(x),ϵ}

と定義すればF⁢上⁢で⁢定⁢数⁢ϵ⁢の⁢値⁢を⁢と⁢り⁢、⁢g⁢(p)=0⁢で⁢こ⁢れ⁢を⁢適⁢当⁢に⁢修⁢正⁢す⁢れ⁢ば⁢証⁢明⁢が⁢終⁢わ⁢る⁢。 ∎

Part VI 応用

定理 45.

一様空間(X,𝔘)⁢が⁢距⁢離⁢付⁢け⁢可⁢能⁢で⁢あ⁢る⁢た⁢め⁢の⁢必⁢要⁢十⁢分⁢条⁢件⁢は⁢こ⁢の⁢空⁢間⁢が

⋂U∈𝔘U=ΔX

を充たし、かつ可算な基本近縁系をを持つこと。

空間の一点が可算な基本近傍系を持つと位相の定め方と一様性から必然的に第一可算公理を充たす。そして先の定理から一つの擬距離が存在し、位相構造と両立する。さらに⋂U∈𝔘U=ΔXよりこの擬距離は実は距離になる。(ハウスドルフだから)必要性は明らかなので定理は示された。

定理 46.

ゲージ空間(X,𝔊)⁢が⁢距⁢離⁢付⁢け⁢可⁢能⁢で⁢あ⁢る⁢必⁢要⁢十⁢分⁢条⁢件⁢は⁢、⁢こ⁢の⁢空⁢間⁢が⁢高⁢々⁢可⁢算⁢な⁢基⁢本⁢ゲ⁢ー⁢ジ⁢{dn}n∈ℕ⁢を⁢持⁢ち⁢か⁢つ

∀x,y∈X⁢∃n∈ℕ⁢x≠y⇒dn⁢(x,y)≠0

を充たすこと。

証明.

距離空間をひと通り勉強したものにとってこの証明は簡単である。今、

D⁢(x,y)=∑n=0∞12n⁢dn⁢(x,y)1+dn⁢(x,y)

とすればこれが求める距離である。必要性は明らかである。 ∎

定理 47.

コンパクトハウスドルフ空間にはその位相構造と両立する一様構造が付く

証明.

コンパクトハウスドルフ空間は完全正則だから当たり前である。 ∎

定理 48 (制限されたウリゾーンの定理).

第二可算公理を充たすコンパクトハウスドルフ空間は距離付け可能である。

証明.

先の定理群から自明 ∎

コンパクトハウスドルフ空間と一様空間の関係についてより強いことがわかる

定理 49.

コンパクトハウスドルフ空間に付く一様構造は一意的であり、それは直積空間X×X⁢に⁢お⁢け⁢る⁢対⁢角⁢線⁢ΔX⁢の⁢近⁢傍⁢全⁢体⁢と⁢一⁢致⁢す⁢る⁢。

証明.

コンパクトハウスドルフ空間につく一様構造の一つを𝔘とおいてこの一様構造対角線の近傍全体と一致することが言えれば一意性の証明は終わる。一様構造から誘導された位相について𝔘が直積空間X×XのΔXの近傍となることは先に述べた。つまり

𝔘⊂𝔑⁢(ΔX)

なので

𝔘⊃𝔑⁢(ΔX)

を示せば良い。ところで、一様空間の閉近縁全体𝔅は基本近縁系を成す。ゆえに

⋂F∈𝔅F=ΔX

を充たす。ここで任意にV∈𝔑⁢(ΔX)をとると

ΔX⊂V

である。そしてXがコンパクトであることからX×Xもコンパクトであり、さらに {(X×X)∖F}F∈𝔅∪{V}はX×Xの被覆だから有限個の𝔅の元とVでX×Xを被覆出来る。つまり

(X×X)∖F1∪(X×X)∖F2∪⋯∪(X×X)\Fn∪V=X×X

つまり

⋃i=1n((X×X)∖Fi)∪V=((X×X)∖⋂i=1nFi)∪V=X×X

よって

⋂i=1nFi⊂V

が成立する。⋂i=1nFi∈𝔘⁢な⁢の⁢で⁢V∈𝔘⁢こ⁢れ⁢で⁢定⁢理⁢が⁢示⁢さ⁢れ⁢た⁢。 ∎

References

  • [1] 森毅,位相のこころ,ちくま学芸書房,2006
  • [2] ジョン・L・ケリー著,児玉之宏訳,位相空間論,吉岡書店,1968
  • [3] ニコラ・ブルバキ,数学原論 位相1
  • [4] 柴田敏男,集合と位相空間,共立数学講座8,共立出版,1978