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いわゆる志賀多様体における多様体の埋め込み定理のための次元論的な補題の証明のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

次元論のひとつの「補題」

一色三良(concious77)
HTML変換日:2026年7月26日

この文章では参考文献に紹介されている多様体の埋め込み定理のための次元論的な補題、この文章で定理7とされている命題を証明することである。しかし、次元論を最初から紹介するのはとても面倒なことなので、詳しくは参考文献[1]、[3]を当たってほしい。以下の文章用いられる次元論的な命題は事実3、4、5に限られることを注意しておく。つまり、これだけの事実が分かっていればこの文章を読むには十分であるということである。

以下の文章ではすべての空間を可分距離空間とする。よって、この文章で単に「空間」と言ったら可分距離空間のことを指す。

第二可算な位相多様体は可分な距離付け可能空間であるという事実を知っておけば定理7が第二可算多様体に適用することができ、参考文献の多様体の埋め込み定理の大きな行間を埋めることができることであろう。

多様体は局所コンパクトハウスドルフ空間であり、特に正則空間なので、第二可算な多様体はウリゾーンの距離付け可能定理から距離付け可能である。ことが分かる。また第二加算な空間は可分なので第二可算な多様体が可分であることもよくわかる。

まず部分空間の開集合をもとの空間の開集合に持ち上げるための次の補題から始まる。

補題 1.

空間Xの部分空間Aの開集合Uについて

B⁢(U)={x∈X|d⁢(x,U)<d⁢(x,A∖U)}

と置くと、B⁢(U)はXの開集合であり、B⁢(U)∩A=Uを充たす。ここでdとはXの距離の一つである。

さらにAの二つの開集合U,VについてU∩V=ØならばB⁢(U)∩B⁢(V)=Øである。

証明.

やるとわかる。 ∎

定義 2 (小さい帰納次元).

空間Xの小さい帰納次元を帰納的ind⁢Xに次のように定義する。

ind⁢X=−1⇔X=Øとし、n−1まで定義されたとして

ind⁢X≤n⇔Xの任意の点xとxの任意の近傍Uに対してxの近傍Nが存在してind⁢(Bdry⁢N)≤n−1かつN⊂Uを充たす。

と定義する。ちなみにind⁢X=nとはind⁢X≤nかつn−1<ind⁢Xである。一般に次元を下から評価することは難しい。また、この次元は位相不変量になっていることはよくわかる。

次の事実3は定義からすぐにわかるが、面倒なので証明せずに事実として扱うことにする。

事実 3.

空間Xが0次元であるとは開かつ閉な集合からなる開基を持つことと同値である。また、Xは第二加算なのでこの開かつ閉な集合からなる開基は高々可算な族であるとして良い

次の事実も定義から帰納的に証明することができるはずである。

事実 4.
ind⁢(ℝn)≤n⁢ind⁢(Sn)≤n

ここでSnはn次元球面である。

注意.

実はind⁢(ℝn)=ind⁢(Sn)=nが成り立つのであるが、最終的な目標のためには次元がnより小さいことが分かっていれば十分である。

次の事実は可分距離空間の次元論における重要な定理である。

事実 5 (分解定理).

空間Xがind⁢X≤nとするとXのn+1個の部分空間A0,A1,…,Anが存在して

ind⁢Ai≤0

及び

X=⋃i=0nAi

を充たす。

命題 6.

第二可算なn次元位相多様体Mについて

ind⁢M≤n
証明.

局所ユークリッド性から境界が球面と同相になるような開集合が開基を成すことが分かる。この事と事実4からわかる。 ∎

定理 7.

空間Xはind⁢X≤nを充たすとする。そして𝒰を空間Xの開被覆とする。このとき𝒰の細分であるXの局所有限な開被覆𝒱と開集合からなる(被覆とは限らない)n+1個の族𝒲0,𝒲1,…,𝒲nが存在して

𝒱=𝒲0∪𝒲1∪⋯∪𝒲n

及び

各⁢i⁢について⁢𝒲i⁢は互いに素な族である。

を充たす。

証明.

空間Xは距離空間なので特にパラコンパクト111一般に距離空間はパラコンパクトであるが、可分距離空間のパラコンパクト性は一般的なそれよりも容易に証明できる。であるので𝒰の細分である局所有限な開被覆である𝒞が存在する。ところでXは可分距離空間なので特にリンデレフであるから𝒞は可算であるとしても一般性を失わない。𝒞={Uk}k∈ℕとしよう。

さて事実5からn+1個の高々0次元部分空間{Ai}i=0nが存在してX=⋃i=0nAiを充たす。

ここで各iについてAi上でAiの被覆{Ai∩Uk}k∈ℕを考えよう。Aiは0次元なので開かつ閉な開基を持つ。また可分でもあるので{Ai∩Uk}k∈ℕの細分で高々可算な開かつ閉な集合からなるAiの被覆{Ol(i)}l∈ℕが存在する。これを用いて

G1(i)=O1(i),Gj(i)=Oj(i)∖⋃l<jOl(i)⁢(j≥2)

と定義すると{Gj(i)}j∈ℕはAiの開集合からなる222Aiの閉集合でもあるが、そのことは使わない。Aiの被覆で{Ai∩Uk}k∈ℕの細分になる。また定義から明らかにa≠bならばGa(i)∩Gb(i)=Øであるので{Gj(i)}j∈ℕの元は互いに素である。そして{Ia(i)}a∈ℕを

I1(i)={j∈ℕ|Gj⊂U1}

とし、m−1までIa(i)が定義されてるとして

Im(i)={j∈ℕ|Gj⊂Um}∖⋃a=1m−1Ia(i)

と帰納的に定義しよう。そしてこれを用いて

Pa(i)=⋃s∈IaGs(i)

と定義しよう。するとこれはAiの開集合であり、{Pa(i)}a∈ℕはAiの被覆となり、定義から明らかに{Pa(i)}a∈ℕは互いに素な族である。

これを用いてQm(i)=B⁢(Pm(i))∩Umと定義しよう。(補題1参照)このとき補題1から{Qm(i)}m∈ℕは互いに素な族となり、Aiを被覆する。(ただしQm(i)は空である場合もある。)また、Qm(i)⊂Umから{Ui}i∈ℕの細分になっている。さて、任意の点x∈Xについて𝒞の局所有限性を担保するxの近傍をNとすると、一般に

N∩Qm(i)≠Ø⟹N∩Um≠Ø

が成り立つことから{Qm(i)}m∈ℕは局所有限な族であることが分かる。(ただしXの被覆であるとは限らない)

各i=0,1,…,nごとに存在する{Qm(i)}m∈ℕを𝒲iとすれば𝒲iは互いに素な族であり、かつ局所有限であり、かつ𝒞={Uk}k∈ℕの細分となっている。そして𝒱=𝒲0∪𝒲1∪⋯∪𝒲nと置けば各𝒲iが局所有限で𝒞={Uk}k∈ℕの細分であることから𝒱は局所有限であり、𝒞={Uk}k∈ℕの細分となる。またAi⊂⋃𝒲iでX=⋃i=0nAiなので𝒱はXの被覆となる。𝒞={Uk}k∈ℕが𝒰の細分であることから𝒱は𝒰の細分であることが分かる。

以上で証明は終わった。 ∎

References

  • [1] yamyamtopさんの次元論PDF,https://yamyamtopo.files.wordpress.com/2015/01/dimensiontheory1.pdf, 2016年6月閲覧
  • [2] 志賀浩二,多様体論,岩波書店,1976
  • [3] W.Hurewicz and H.Wallman,Dimension Theory,Princeton Univ. Press,1948