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L^1の畳込みに関する単位元が存在しないことのLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

L1⁢(ℝN)が畳込みの単位元を持たないこと

電波通信
HTML変換日:2026年7月26日

L1⁢(ℝN)は畳込みを積として環をなしている。しかし、単位元を持たない。この文書ではそのことを簡単に説明する。

命題 1.

f∈L1⁢(ℝN)とg∈L∞⁢(ℝN)についてf∗g⁢(x)はすべてのx∈ℝNで有限確定であり、f∗g∈L∞⁢(ℝN)である。

証明.
f∗g⁢(x)=∫ℝNf⁢(x−y)⁢g⁢(y)⁢𝑑y

であることを思い出そう。さてすべてのx∈ℝNについて

|f⁢(x−y)⁢g⁢(y)|≤|f⁢(x−y)|⁢‖g‖∞

であるので両辺を積分すると

|f∗g⁢(x)|≤∫|f⁢(x−y)⁢g⁢(y)|⁢𝑑y≤‖g‖∞⁢∫ℝN|f⁢(x−y)|⁢𝑑y=‖g‖∞⁢∫ℝN|f⁢(y)|⁢𝑑y=‖g‖∞⁢‖f‖1<∞

となる。ここでルベーグ測度が平行移動(x↦x+a)と反転(x↦−x)で不変であることを用いた。 よってすべてのx∈ℝNでf∗g⁢(x)は有限確定であり、f∗g∈L∞⁢(ℝN)である。 ∎

注意.

一般にf∈L1⁢(ℝN)とg∈Lp⁢(ℝN)の畳込みが定義できてf∗g∈Lp⁢(ℝ⁢N)であるが、殆ど至る所のx∈ℝNでしかf∗g⁢(x)が確定しないことに注意しよう。どうせ殆ど至る所等しいという同値関係で同値類を作るので殆ど至る所のxでf∗g⁢(x)が定義できればよいのである。

注意.

一般に1p+1q=1を充たすp,q∈(1,∞)についてf∈Lp⁢(ℝN),g∈Lq⁢(ℝN)ならばf∗gがすべてのx∈ℝNで有限確定しf∗g∈L∞⁢(ℝN)であることが言える。これにはヤングの不等式と呼ばれる次の不等式を用いれば上の命題と同様の証明ができる。(ヤングの不等式と呼ばれる不等式は他にもある)

0≤a,bと1p+1q=1を充たすp,qについて

a⁢b≤app+bqq
注意.

もっと一般のp,qに対してf∈Lp⁢(ℝN),g∈Lq⁢(ℝN)の畳込みが定義できる。詳しくは畳込みに対するヤングの不等式などを調べられたし。

命題 2 (平行移動のLp連続性).

任意のf∈Lp⁢(ℝN)と任意のa∈ℝNについて

limx→a∫ℝN|f⁢(x−y)−f⁢(a−y)|p⁢𝑑y=0

が成り立つ。

証明.

まずCc⁢(ℝN)の元についてはこの命題が成り立っていることは一様連続性から簡単に言える。あとはCc⁢(ℝN)がLp⁢(ℝN)の中で稠密であることを用いればよい。 ∎

さて次の命題のために命題1を示したのである。

命題 3.

f∈L1⁢(ℝN)とg∈L∞⁢(ℝN)について、f∗gは連続関数

証明.

任意のa∈ℝNに対して

|f∗g⁢(x)−f∗g⁢(a)|=|∫ℝNf⁢(x−y)⁢g⁢(y)⁢𝑑y−∫ℝNf⁢(a−y)⁢g⁢(y)⁢𝑑y|≤‖g‖∞⁢∫ℝN|f⁢(x−y)−f⁢(a−y)|⁢𝑑y

なので命題2からf∗gの連続性がわかる。 ∎

注意.

一般に1p+1q=1を充たすp,qについてf∈Lp⁢(ℝN),g∈Lq⁢(ℝN)ならばf∗gが連続関数であることが言える。

さて本題に入ろう。

定理 4.

L1⁢(ℝN)には畳込みの単位元は存在しない。

証明.

畳込みの単位元が存在すると仮定すると、L1⁢(ℝN)∩L∞⁢(ℝN)の元は(この空間の元は殆ど至る所等しいという同値関係による同値類である。)連続関数を同値類の代表元として持つことになるが、これはありえないので(例えば単位球の特性関数を考えてみよ)L1⁢(ℝN)に単位元は存在しない。 ∎

References

  • [1] 黒田成俊,関数解析,共立出版,共立数学講座(15),1980