が畳込みの単位元を持たないこと
は畳込みを積として環をなしている。しかし、単位元を持たない。この文書ではそのことを簡単に説明する。
命題 1.
とについてはすべてので有限確定であり、である。
証明.
であることを思い出そう。さてすべてのについて
であるので両辺を積分すると
となる。ここでルベーグ測度が平行移動()と反転()で不変であることを用いた。 よってすべてのでは有限確定であり、である。 ∎
注意.
一般にとの畳込みが定義できてであるが、殆ど至る所のでしかが確定しないことに注意しよう。どうせ殆ど至る所等しいという同値関係で同値類を作るので殆ど至る所のでが定義できればよいのである。
注意.
一般にを充たすについてならばがすべてので有限確定しであることが言える。これにはヤングの不等式と呼ばれる次の不等式を用いれば上の命題と同様の証明ができる。(ヤングの不等式と呼ばれる不等式は他にもある)
とを充たすについて
注意.
もっと一般のに対しての畳込みが定義できる。詳しくは畳込みに対するヤングの不等式などを調べられたし。
命題 2 (平行移動の連続性).
任意のと任意のについて
が成り立つ。
証明.
まずの元についてはこの命題が成り立っていることは一様連続性から簡単に言える。あとはがの中で稠密であることを用いればよい。 ∎
さて次の命題のために命題1を示したのである。
命題 3.
とについて、は連続関数
証明.
注意.
一般にを充たすについてならばが連続関数であることが言える。
さて本題に入ろう。
定理 4.
には畳込みの単位元は存在しない。
証明.
畳込みの単位元が存在すると仮定すると、の元は(この空間の元は殆ど至る所等しいという同値関係による同値類である。)連続関数を同値類の代表元として持つことになるが、これはありえないので(例えば単位球の特性関数を考えてみよ)に単位元は存在しない。 ∎
References
- [1] 黒田成俊,関数解析,共立出版,共立数学講座(15),1980