AUTOMATIC HTML VERSION

距離化可能定理part2:近傍のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

距離化可能定理:近傍

一色三良(concious77)
HTML変換日:2026年7月26日

この文章ではある種の条件を満たす近傍の存在から分かる距離化可能定理を紹介していく。

1 本文

この文章では以下の定理を元に距離化可能定理の証明を進めていく。

事実 1 (Alexandroff-Urysohn-Tukey).

T0空間Xが距離化可能性であるためには、 Xの正規列{𝒰n}n∈ℕが存在し、各x∈Xについて {S⁢(x,𝒰n)}n∈ℕがxの基本近傍系になる事が必要十分である。

1.1 Frink’s Metrization Theorem

定理 2 (Frink).

T0空間Xが距離化可能であるための必要十分条件は各x∈Xに基本近傍系を成すxの近傍からなる列{Vn⁢(x)}n∈ℕが存在し、次の条件を充たすことである。

任意のx∈Xと任意のn∈ℕに対してm∈ℕが存在して

Vm⁢(y)∩Vm⁢(x)≠Ø⟹Vm⁢(y)⊂Vn⁢(x)

が成り立つ。

証明.

与えられた条件が距離化可能性の必要条件となることは2−n近傍などを考えれば明らかである。十分条件であることを示そう。

まず、条件に現れる{Vn⁢(x)}n∈ℕはすべて開近傍であり、

Vn+1⁢(x)⊂Vn⁢(x)

を充たすと仮定しても良く、x∈Xとn∈ℕに対して存在するmはm>nとしてもよい。(なぜか?)

また、条件に現れるx∈Xとn∈ℕに対して存在するmをひとつ選択し、それをq⁢(x,n)と書こう。このときq⁢(x,n)≥nに注意いしよう。そしてϕ:X×ℕ→ℕを

ϕ⁢(x,1)=1,ϕ⁢(x,k+1)=q⁢(x,ϕ⁢(x,k))

と帰納的に定義し、各n∈ℕについて𝒰nを

𝒰n={Vϕ⁢(x,n)⁢(x)}x∈X

と定義する。このとき{𝒰n}n∈ℕが事実1の条件を充たすことを見よう。

{𝒰n}n∈ℕが正規列であること:a∈Xを任意に与え、N∈ℕを

N=min⁡{ϕ⁢(x,n)|a∈Vϕ⁢(x,n)⁢(x)∈𝒰n}

とし、b∈XをN=ϕ⁢(b,n)を充たすものとする。するとa∈Vϕ⁢(x,n)⁢(x)のVϕ⁢(x,n)⁢(x)⊂VN⁢(x)から

VN⁢(b)∩VN⁢(x)≠Ø

であり、N=ϕ⁢(b,n)=q⁢(b,ϕ⁢(b,n−1))なので

Vϕ⁢(x,n)⁢(x)⊂VN⁢(x)⊂Vϕ⁢(b,n−1)⁢(b)

となるからして

S⁢(a,𝒰n)⊂Vϕ⁢(b,n−1)⁢(b)∈𝒰n−1

であるから{𝒰n}n∈ℕは正規列となる。

次に{S⁢(x,𝒰n)}n∈ℕがxの基本近傍系となること:{Vn⁢(x)}n∈ℕがxの基本近傍系を成していることを利用しよう。

任意にx∈Xとn∈ℕを与えk=q⁢(x,n)とすると上と同様の議論により、b∈Xが存在して

s⁢(x,𝒰k+1)⊂Vϕ⁢(b,k)

となる。そしてϕの定義からϕ⁢(x,k)≥kなので単調性から x∈Vϕ⁢(b,k)⊂Vk⁢(b)なので

Vk⁢(x)∩Vk⁢(b)≠Ø

であり、k=q⁢(x,n)なので

Vϕ⁢(b,k)⊂Vk⁢(b)⊂Vn⁢(x)

つまり

s⁢(x,𝒰k+1)⊂Vn⁢(x)

であり、{Vn}n∈ℕはxの基本近傍系になるから{S⁢(x,𝒰n)}n∈ℕはxの基本近傍系となる

以上から事実1によりXは距離化可能となる。 ∎

1.2 Nagata’s  “Contribution” Theorems of Metrizablity

位相空間Xについて以下の4つの条件を与えよう。

条件(T)[Triple Sequences Condition]

各x∈Xにxの近傍からなる3つの列{An⁢(x)}n∈ℕ,{Bn⁢(x)}n∈ℕ,{Cn⁢(x)}n∈ℕが存在して

(1) {An⁢(x)}n∈ℕはxにおける基本近傍系を成す。
(2) y∉An⁢(x)⟹Cn⁢(y)∩Bn⁢(x)=Ø
(3) y∈Bn⁢(x)⟹Cn⁢(y)⊂An⁢(x)

を充たす。

条件(D)[Double Sequences Condition]

各x∈Xにxの近傍からなる2つの列{Sn⁢(x)}n∈ℕ,{Tn⁢(x)}n∈ℕが存在して

(1) {Sn⁢(x)}n∈ℕはxにおける基本近傍系を成す。
(2) y∉Sn⁢(x)⟹Tn⁢(y)∩Tn⁢(x)=Ø
(3) y∈Tn⁢(x)⟹Tn⁢(y)⊂Sn⁢(x)

を充たす。

条件(S)[Single Sequence Condition]

各x∈Xにxの近傍からなる列{Un⁢(x)}n∈ℕが存在して

(1) {Un⁢(x)}n∈ℕはxにおける基本近傍系を成す。
(2) y∉Un⁢(x)⟹Un+1⁢(y)∩Un+1⁢(x)=Ø
(3) y∈Un+1⁢(x)⟹Un+1⁢(y)⊂Un⁢(x)

を充たす。

条件(Z)[Zero Sequences Condition]

各x∈Xにxの近傍からなる列{Nn⁢(x)}n∈ℕが存在して、 任意のx∈Xとxの任意の近傍Uについてxの近傍Vとm∈ℕが存在して

(1) y∉U⟹Nm⁢(y)∩V=Ø
(2) y∈V⟹Nm⁢(y)⊂U

を充たす。

J.Nagataによる次の定理が成り立つ

定理 3 (Nagata).

T0空間Xについて以下は同値。

(0) Xは距離化可能
(1) Xは条件(T)を充たす
(2) Xは条件(D)を充たす
(3) Xは条件(S)を充たす
(4) Xは条件(Z)を充たす
証明.

(0)から他の条件が従うのは2−n近傍などを考えればわかる。

以下(3)⟹(4)⟹(1)⟹(2)⟹(0)の順に証明する。

[(3)⟹(4)の証明]

Nn⁢(x)=Un⁢(x)とし、任意のxとxの任意の近傍UについてUk⁢(x)⊂Uとなるkを選びm=k+1とし、V=Um⁢(x)とすれば条件(Z)が成り立つことは分かる。

[(3)⟹(4)の証明終わり]

[(4)⟹(1)の証明]

まず、条件(Z)の(2)から{Nn⁢(x)}n∈ℕがxの基本近傍系になることが分かる。あとは簡単である。

[(4)⟹(1)の証明終わり]

[(1)⟹(2)の証明]

Sn⁢(x)=An⁢(x),Tn⁢(x)=Bn⁢(x)∩Cn⁢(x)とすれば簡単にわかる。

[(1)⟹(2)の証明終わり]

[(2)⟹(0)の証明]

定理2を援用しよう。まず、Sn+1⊂Sn⁢(x),Tn+1⁢(x)⊂Tn⁢(x)を仮定してもよい(なぜか?)

最初に{Ti⁢(x)}i∈ℕがxの基本近傍系であることを示そう。しかしこれは条件(D)の(1)と(3)からすぐに分かる。

{Ti⁢(x)}i∈ℕが定理2の仮定をみたすことを言おう。

任意のx∈Xと任意のn∈ℕについて{Si⁢(x)}i∈ℕが基本近傍系であることを用いるとk>nでかつ

Sk⁢(x)⊂Tn⁢(x)

となるk∈ℕが存在する。さらにm>kでかつ

Sm⁢(x)⊂Tk⁢(x)

となるm∈ℕが存在する。そして今、

Tm⁢(y)∩Tm⁢(x)≠Ø

を仮定すると条件(D)の(2)からy∈Sm⁢(x)となる。そしてSm⁢(x)⊂Tk⁢(x)からy∈Tk⁢(x)であるので条件(D)の(3)からTk⁢(y)⊂Sk⁢(x)であり、Sk⁢(x)⊂Tn⁢(x)でかつTm⁢(y)⊂Tk⁢(y)なので

Tm⁢(y)⊂Tn⁢(x)

となり定理2の仮定が充たされるのでXが距離化可能であることが分かる。

[(2)⟹(0)の証明終わり]

∎

2 おまけ

一様空間の距離化可能性

定理 4.

可算な基本近縁系を持つT0一様空間は距離化可能である。

証明.

定理の仮定を充たす一様空間をXとする。このとき、基本近縁系{Un}n∈ℕを

(1) Un−1=Un
(2) Un+1∘Un+1⊂Un

を充たすように取ることが出来る。このとき、{Un⁢(x)}n∈ℕが条件(S)を充たす事を見よう。 まずこれが基本近傍系であることはわかる。さて、Un+1⁢(y)∩Un+1⁢(x)≠Øと仮定し、 z∈Un+1⁢(y)∩Un+1⁢(x)としよう。すると(z,y),(z,x)∈Un+1なのでUnの取り方から(y,x)∈Unとなるのでy∈Unが分かる。これで条件(S)の(2)の対偶が示された。

次にy∈Un+1⁢(x)と仮定し、z∈Un+1⁢(y)を任意に与えると(y,x),(z,y)∈Un+1なので (z,x)∈Unとなる。よってz∈Un⁢(x)つまりUn+1⁢(y)⊂Un⁢(x)となるので条件(S)の(3)が充たされる。よって以上からXが距離化可能空間であることが分かる。 ∎

References

  • [1] A.H.Frink Distance functions and the metrization problem, Bull. Amer. Math. Soc. Vol. 43, No. 2 (1937), pp133-142.
  • [2] H.W.Martin, A note on the Frink metrization theorem, Rocky Mountain J. Math. Vol. 6, No. 1 (1976), pp155-158.
  • [3] J.Nagata, A contribution to the theory of metrization, J. Inst. Polytech. Osaka City Univ. Ser. A Vol. 8, No. 2 (1957), pp185-192.
  • [4] V.Pambuccian, A Simple Proof of Metrization Theorem, Mathematical Chronicle Vol.13 (1984) pp71-72
  • [5] S.Willard,General Topology,Dover Publications,2004,pp174,Problem 23G