距離化可能定理:近傍
この文章ではある種の条件を満たす近傍の存在から分かる距離化可能定理を紹介していく。
1 本文
この文章では以下の定理を元に距離化可能定理の証明を進めていく。
事実 1 (Alexandroff-Urysohn-Tukey).
空間が距離化可能性であるためには、 の正規列が存在し、各について がの基本近傍系になる事が必要十分である。
1.1 Frink’s Metrization Theorem
定理 2 (Frink).
空間が距離化可能であるための必要十分条件は各に基本近傍系を成すの近傍からなる列が存在し、次の条件を充たすことである。
任意のと任意のに対してが存在して
が成り立つ。
証明.
与えられた条件が距離化可能性の必要条件となることは近傍などを考えれば明らかである。十分条件であることを示そう。
まず、条件に現れるはすべて開近傍であり、
を充たすと仮定しても良く、とに対して存在するはとしてもよい。(なぜか?)
が正規列であること:を任意に与え、を
とし、をを充たすものとする。するとのから
であり、なので
となるからして
であるからは正規列となる。
次にがの基本近傍系となること:がの基本近傍系を成していることを利用しよう。
任意にとを与えとすると上と同様の議論により、が存在して
となる。そしての定義からなので単調性から なので
であり、なので
つまり
であり、はの基本近傍系になるからはの基本近傍系となる
以上から事実1によりは距離化可能となる。 ∎
1.2 Nagata’s “Contribution” Theorems of Metrizablity
位相空間について以下の4つの条件を与えよう。
条件(T)[Triple Sequences Condition]
各にの近傍からなる3つの列が存在して
| (1) | はにおける基本近傍系を成す。 | ||
| (2) | |||
| (3) |
を充たす。
条件(D)[Double Sequences Condition]
各にの近傍からなる2つの列が存在して
| (1) | はにおける基本近傍系を成す。 | ||
| (2) | |||
| (3) |
を充たす。
条件(S)[Single Sequence Condition]
各にの近傍からなる列が存在して
| (1) | はにおける基本近傍系を成す。 | ||
| (2) | |||
| (3) |
を充たす。
条件(Z)[Zero Sequences Condition]
各にの近傍からなる列が存在して、 任意のとの任意の近傍についての近傍とが存在して
| (1) | |||
| (2) |
を充たす。
J.Nagataによる次の定理が成り立つ
定理 3 (Nagata).
空間について以下は同値。
| (0) | は距離化可能 | ||
| (1) | は条件(T)を充たす | ||
| (2) | は条件(D)を充たす | ||
| (3) | は条件(S)を充たす | ||
| (4) | は条件(Z)を充たす |
証明.
から他の条件が従うのは近傍などを考えればわかる。
以下の順に証明する。
[の証明]
とし、任意のとの任意の近傍についてとなるを選びとし、とすれば条件(Z)が成り立つことは分かる。
[の証明終わり]
[の証明]
まず、条件(Z)の(2)からがの基本近傍系になることが分かる。あとは簡単である。
[の証明終わり]
[の証明]
とすれば簡単にわかる。
[の証明終わり]
[の証明]
定理2を援用しよう。まず、を仮定してもよい(なぜか?)
最初にがの基本近傍系であることを示そう。しかしこれは条件(D)の(1)と(3)からすぐに分かる。
が定理2の仮定をみたすことを言おう。
任意のと任意のについてが基本近傍系であることを用いるとでかつ
となるが存在する。さらにでかつ
となるが存在する。そして今、
を仮定すると条件(D)の(2)からとなる。そしてからであるので条件(D)の(3)からであり、でかつなので
となり定理2の仮定が充たされるのでが距離化可能であることが分かる。
[の証明終わり]
∎
2 おまけ
一様空間の距離化可能性
定理 4.
可算な基本近縁系を持つ一様空間は距離化可能である。
証明.
定理の仮定を充たす一様空間をとする。このとき、基本近縁系を
| (1) | |||
| (2) |
を充たすように取ることが出来る。このとき、が条件(S)を充たす事を見よう。 まずこれが基本近傍系であることはわかる。さて、と仮定し、 としよう。するとなのでの取り方からとなるのでが分かる。これで条件(S)の(2)の対偶が示された。
次にと仮定し、を任意に与えるとなので となる。よってつまりとなるので条件(S)の(3)が充たされる。よって以上からが距離化可能空間であることが分かる。 ∎
References
- [1] A.H.Frink Distance functions and the metrization problem, Bull. Amer. Math. Soc. Vol. 43, No. 2 (1937), pp133-142.
- [2] H.W.Martin, A note on the Frink metrization theorem, Rocky Mountain J. Math. Vol. 6, No. 1 (1976), pp155-158.
- [3] J.Nagata, A contribution to the theory of metrization, J. Inst. Polytech. Osaka City Univ. Ser. A Vol. 8, No. 2 (1957), pp185-192.
- [4] V.Pambuccian, A Simple Proof of Metrization Theorem, Mathematical Chronicle Vol.13 (1984) pp71-72
- [5] S.Willard,General Topology,Dover Publications,2004,pp174,Problem 23G