固有写像と完全写像の反例
定義 1 (固有写像).
連続写像が固有、または固有写像であるとはの任意のコンパクト集合について がのコンパクト集合となること。
定義 2.
連続関数が次の条件を充たすときを完全写像と呼ぶ111完全写像に全射性を仮定する流儀もある。
任意のについてはのコンパクト集合かつは閉写像
次の事実がある。
事実 3.
完全写像は固有写像
この事実の逆が成り立たない例をこの文章では紹介する。
実数上にの近傍としてを与え、についてはを含む補可算な集合つまりでかつが高々可算となるような集合を全体を基本近傍系として与えると、きちんと位相を生成する。この位相空間を
と書くことにする。
のコンパクト集合を同定しよう。つまりこの空間のコンパクト集合は必ず有限集合になることを示そう。そんなに難しくはない。
コンパクト集合が無限集合であるとしよう。すると の時はという開被覆を考えれば矛盾が導かれる。の時はの近傍と内の可算集合を適当に選んで
とできるので結局矛盾する。よってのコンパクト集合は有限集合でなければならない。また、有限集合は必ずコンパクトなのでのコンパクト集合全体は有限集合全体に一致する。
そしてに離散位相を定義した位相をとする。もちろんこの空間のコンパクト空間全体は有限集合全体と一致する。
写像を
として定義する。このときこの写像は定義域が離散空間であるから明らかに連続である。この写像が固有であるが完全でないことを示そう。
まずのコンパクト集合は有限集合なのでも有限集合であり、が固有であることがわかる。
次にが完全でないことを示そう。そのためにが閉写像でない事を示すのである。はの閉集合だが、の閉集合ではないことからが閉写像でない事は明らかである。
注意.
のの近傍の定め方から、の非可算集合は必ずを触点に持つ。 わざわざに位相を入れたが、非加算集合なら別にでなくともは定義できる。
の位相の定め方は離散空間の1点コンパクト化の無限遠点の近傍を補可算にした構成である。