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距離化可能定理part-1:BNSのLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

BNS

一色三良(concious77)
HTML変換日:2026年7月26日

0 ちょっとした準備

定義 1 (擬距離).

d:X×XX上の擬距離であるとは

(1) d(x,y)0
(2) d(x,x)=0
(3) d(x,y)=d(y,x)
(4) d(x,y)d(x,z)+d(z,y)

が成り立つことである。ここでx,y,zは任意である。非退化性

d(x,y)=0x=y

仮定しないことに注意せよ。擬距離は非退化性を仮定するとき、距離と呼ばれる。

擬距離空間(X,d)に於いて

B(a,r)={xX|d(a,x)<r}

と定義する。これをaを中心とする半径rの開球という。時にはdによる開球であることを強調して、

B(a,r;d)

と書くこともある。そして(X,d)上の位相を

{B(a,r)|aX,r(0,+)}

を開基として定義する。

命題 2.

擬距離空間(X,d)についてdと同じ位相を誘導する擬距離eで、

e(x,y)1

を充たすものが存在する。

証明.

e(x,y)=min{d(x,y),1}と置けば良い。これが擬距離の公理を充たすことの証明は、読者へ委ねる。0<ε<1のとき、xを中心としたdによるε開球とeによるε開球は同じ集合になるのでdeは同じ位相を誘導する。 ∎

定義 3 (ゲージ空間).

空間Xに擬距離の族𝒟={di|iI}が備わっている時、(X,𝒟)𝒟をゲージとするゲージ空間という。ゲージ空間(X,𝒟)には

{B(x,ε;di)|xX,ε(0,+),iI}

を準開基とした標準的な位相が定義される。ここでB(x,ε;di)xを中心としたはdiによるε開球である。また上の命題からゲージ空間(X,𝒟)に対して同じ位相を誘導するゲージeの大きさが1を超えないものが存在する。

次の簡単で大事な注意を刮目せよ

注意.

位相空間XX×X上の連続関数f:X×Xがあるとき、aXrを固定するとき

A(a,r)={xX|f(a,x)<r}

Xの開集合であることに注意しよう。なぜならga(x)=f(a,x)X上の連続関数で

A(a,r)=ga1((,r))

で連続関数による開集合の引き戻しは開集合だからである。 このことは以下度々強く用いられる。これを用いると、例えば位相空間(X,𝔒)上に距離関数dを定義して、さらにdX×X上で連続であることが分かると距離空間(X,d)の開集合は位相空間(X,𝔒)の開集合でもある事が分かる。

命題 4 (ゲージ空間の擬距離距離付け可能性).

ゲージ空間(X,{di|iI})に於いてIが高々可算のときXは擬距離付け可能であり、さらに任意のx,yX,xyについてあるiIが存在して

di(x,y)0

が成り立つならばXは距離付け可能である。

証明.

di1としても良く、Iが高々可算なのでIとしてもよい。このとき

D(x,y)=iI12idi(x,y)

とするとこれはどんなx,yについても有限の値になり、この級数は一様収束するのでX×X上の連続関数である。またこれが擬距離であることを見るのは容易い。

この擬距離Dがゲージ{di|iI}と同じ位相を誘導する事を見よう。DX×Xの連続関数なので擬距離空間(X,D)の開球B(a,r;D)(X,{di|iI})の開集合である。よって(X,D)の開集合は(X,{di|iI})の開集合である。逆の事を示そう。任意の点aXについてD(a,x)<2iεならば2idi(a,x)D(a,x)なのでd(a,x)<εつまり、

B(a,2iε;D)B(a,ε;di)

となる。よって(X,{di|iI})の開集合は(X,D)開集合となるので結局(X,{di|iI})は擬距離付け可能である。

最後にx,yX,xyについてあるiIが存在して

di(x,y)0

が成り立つときD(x,y)>0となるのでDは距離となる。 ∎

1 本題

BNSの証明に入る前に次の少々面倒な定理を証明しよう。

補題 5 (Stoneの定理).
111この方法は参考文献[2]にはA.H.Stoneの論文[5]によるものと書いているが実際にStoneの論文を読んでみると距離空間ではなく一般に全体正規空間のパラコンパクト性を証明している。その証明を距離を用いて手直しするとこのような証明になるのである。全体正規空間とは任意の開被覆に正規被覆列が存在する空間のことであるが、正規被覆列にはそれと「両立」する距離を誘導出来ることが[5]以前にTukeyによって知られていた。Stoneも最初は距離空間でやってみてその後抽象的に全体正規性から誘導される被覆の正規列でパラコンパクト性の証明を手直ししたのかもしれない。また、参考文献[1]に於いて、距離空間のパラコンパクト性を証明する前の口上として、A.H.Stoneの証明は難しく、数多の数学者の努力によってここまで簡単になった。いまから紹介する証明はM.E.Rudinによるものである。という旨のことを述べているが、紹介された証明はA.H.Stoneによる証明であった。M.E.Rudinによる簡明で直接的な証明は[4]を参照されたし。

距離空間の任意の開被覆はσ疎な開被覆で細分出来る。

証明.

B(x,r)xを中心とするr開球を表すことにする。

{Uα}αAを距離空間(X,d)の開被覆とし、その添字集合Aは整列されているとする。これのσ疎な細分で開被覆となるものを構成しよう。まず各nに対して

Vα,n={xUα|d(x,XUα)2n}

と定義する。すると

Vα,nVα,n+1,nVα,n=Uα

が成り立つ。また次のことがわかる。

(1) pVα,n,qVα,n+1d(p,q)2n

なぜならVα,n+1の定義からqVα,n+1ならば任意のxXUαに対してd(q,x)<2n1 であるから三角不等式を用いてxXUαに対して

2nd(p,x)d(p,q)+d(q,x)<d(p,q)+2n1

なのでd(p,q)2nとなる。さて

Hα,n=Vα,nβ<αUβ,n+1

と定義しよう。このとき次の事が成り立つ。

(2) αβ,pHα,n,qHβ,nd(p,q)2n1

理由を説明しよう。今α>βと仮定しても一般性を失わない。このときHα,nの定義からpHα,n,qHβ,nとするとpUβ,n+1なので(1)からd(p,q)2n1がわかる。

さてさて

Eα,n={xX|d(x,Hα,n)<2n3}=cHα,nB(c,2n3)

と定義すると明らかにEα,nは開集合であり、2n3<2nからEα,nUαがわかる。この開集合について次の事が成り立つ。

(3) αβ,pEα,n,qEβ,nd(p,q)2n2

理由を説明しよう。Eα,n,Eβ,nの定義からpEα,n,qEβ,nとすると sHα,n,tHβ,nが存在してpB(s,2n3),qB(t,2n3) となる。すると(2)と三角不等式から

2n1d(s,t)d(s,p)+d(p,q)+d(q,t)<2n3+d(p,q)+2n3=2n2+d(p,q)

よってd(p,q)2n2が成り立つ。

次の簡単な事実に注意しよう。

p,qB(c,r)d(p,q)<2r

この事実から各点xXについてB(x,2n4)は族n={Eα,n}αAの高々1個の元としか交わりを持たない。よってn={Eα,n}αAは疎である。よってnnσ疎な{Uα}αAの開細分である。最後にnnXの被覆になってることを言おう。

xXを任意に与え、αAxUαとなる最小のAの元とする。このとき nVα,n=UαからあるnについてxVα,nでありαの最小からxHα,nであり、Hα,nEα,nなのでxEα,nつまりnnXの被覆である。 ∎

いよいよBNSの証明に移る。

定理 6 (Bing-長田-Smirnovの距離化可能定理).

T3空間Xについて以下は同値

(1) Xは距離化可能
(2) Xσ疎な開基を持つ
(3) Xσ局所有限な開基を持つ
証明.

(2)(3)は明らかである。以下(1)(2),(3)(1)を示そう。

[(1)(2)の証明]

B(x,r)xを中心とするr開球を表すことにする。 すると各iに対して

𝒜i={B(x,2i)}xX

Xの開被覆でありかつ𝒜=i𝒜iXの開基を成している。先の補題5より各 𝒜iにはσ疎な開被覆である細分iが存在する。この時𝒲=iiσ疎である。

𝒲が開基になることを示そう。ところで次の簡単な事実がある。

():xB(y,2k1)ならばB(y,2k1)B(x,2k)

さてが開基なので𝒲が開基であることを示すには各点xと任意のnについてあるW𝒲が存在して

xWB(x,2n)

を示せば良いが、n+1は被覆であり𝒜n+1の細分であるから各点xに対して

xWB(y,2n1)

となるyXが存在する。そして()よりB(y,2n1)B(x,2n)が成り立つ。よって

xWB(x,2n)

が成り立つ。よって𝒲が開基であることが示されたので(2)が成り立つ。

[(1)(2)の証明終わり]

[(3)(1)の証明]

Xの開集合系を𝔒とする。 条件(3)から存在が保証されるXσ局所有な基底をとし、

=ii(各iは局所有限)

としよう。

まず最初にXが正規空間であることを示そう。A,Bを交わらない2つの閉集合とする。そして各iについて

𝒮i={Ui| CL(U)B=Ø,UAØ}
𝒯i={Vi| CL(V)A=Ø,VBØ}

と開集合族𝒮i,𝒯iを定義し、さらに

Mi=U𝒮iU,Ni=V𝒯iV

と定義する。すると各iが局所有限であることから

 CL(Mi)=U𝒮i CL(U),ł(Ni)=V𝒯i CL(V)

が成り立ち、𝒮i,𝒯iの定義から任意のiについて

(1)  CL(Mi)B=Ø, CL(Ni)A=Ø

となる。さらにXT3であることと、が開基であることから

(2) AiMi,BiNi

が成り立つ。そしてさらに{Mi}i,{Ni}iを用いて

Pi=Miki CL(Nk),Qi=Niki CL(Mk)

と定義するとこれらは開集合であり、簡単に分かるようにmnならば

(3) PmQn=Ø

となる。 また

P=iPi,Q=iQi

と置くとやはりこれも開集合であり、 (1),(2)から

AP,BQ

となるが、(3)から

PQ=Ø

となる。よってXは正規である。

次に(X,𝔒)の位相と同じ位相を誘導する高々可算個のゲージを構成しよう。を用いてμ=(m,n)につき擬距離を構成する。まずUnに対して

K(U)={CL(W)|Wm,CL(W)U}

と置くとmの局所有限性からK(U)は閉集合であり、K(U)Uを充たす。そこでXの正規性からウリゾーンの補題を用いて

fU|K(U)1,fU|XU0

となる連続関数fU:X[0,1]が存在する。これを用いて

dμ(x,y)=Un|fU(x)fU(y)|

と定義する。x,yそれぞれのnの局所有限性を表現する開近傍をNx,Nyとすると、Nx×Ny上ではdμは有限和になるのでdμNx×Ny上の連続関数である。故にdμX×X上の連続関数である。222一般に写像f;XYは任意のU𝒰f|U:UYが連続関数であるようなXの開被覆𝒰が存在すれば、fX上でも連続である。証明は容易だろうと思うが、一応おまけのセクションで証明する。よって(X,{dμ}μ×)の開集合は(X,𝔒)の開集合である。逆の事を示そう。

μ=(m,n)×,UnについてaK(U)とすればdμ(a,y)<1ならば

|fU(a)fU(y)|=|1fU(y)|dμ(a,y)<1

なので0<fU(y)であり、fU|XU0なので結局

B(a,1;dμ)U

となる。よって(X,𝔒)の基底なので(X,𝔒)の開集合は(X,{dμ}μ×)の開集合でもあり、Xは可算個のゲージで位相を付ける事ができる。よって命題4から (X,𝔒)は擬距離付け可能である。また、が開基であることと、元々(X,𝔒)がハウスドルフであることからxyについてμ×が存在して

dμ(x,y)0

となることを見るのは容易いので、最終的にXが距離付け可能であることがわかる。

[(3)(1)の証明終わり] ∎

以下このBNSを用いた系を述べる。

系 7 (ウリゾーンの距離化可能定理).

第二可算T3空間は距離化可能

証明.

元を一つしか持たない族は明らかに疎であるから可算な族はσ疎である。この事からウリゾーンの距離化可能定理は明らかである。 ∎

定義 8.

位相空間がc.c.c.を充たすとは、Xの互いに交わらない開集合の族の濃度が高々可算になるときに言う。

系 9.

距離空間に於いて次は同値333この命題はわざわざBNSを使わずとも証明できる。そのことからわかることは、距離空間には何かしら内在的な「可算性」があるということである。(もちろん第一可算公理を充たすのだが、そういう局所的なことではなく大域的な性質としての話である。)それを暴いたのがBNSである。

(1) 第二可算公理
(2) 可分
(3) リンデレフ
(4) c.c.c.
証明.

距離空間に限らず一般の位相空間で以下のよく知られた次の論理包含関係がある。

可分第二可算公理c.c.c.リンデレフ

よって距離空間において[リンデレフ可分]と[c.c.c.第二可算公理]を示せばよい。

[c.c.c.第二可算公理の証明] Bing-長田-Smrnovの距離化可能定理からXにはσ疎な開基が存在するが、c.c.c.なら疎な族の濃度は高々可算になる。よってσ疎な族の濃度も高々可算である。よってσ疎な開基は濃度が高々可算な開基になるので第二可算公理が成り立つ。

[c.c.c.第二可算公理の証明終わり]

[リンデレフ可分の証明]

n毎に2n開球全体の族Sn={B(x,2n)}xXXの開被覆になるが、リンデレフ性から高々可算個の2n開球でXを被覆出来る。その可算個の2n開球の中心を{xi,n}iと置く。この時

D={xi,n|i,n}

は高々可算な集合であるが、これがXで稠密であることを言おう。各xについてB(x,2k)を考える。この時{xi,k}iの各々を中心とする2k開球はXを被覆するのであるiが存在してxB(xi,n,2k)であるが、もちろんxi,nB(x,2k)である。よってこの事からXの任意の開集合はDと共通部分を持つことがわかるのでDXで稠密である。

[リンデレフ可分の証明終わり] ∎

定義 10 (可算コンパクト).

位相空間Xはその上の任意の可算開被覆に有限部分被覆が存在するとき可算コンパクトという。また、可算コンパクト性は空間X上の閉集合からなる任意の有限交叉的な可算族が共通部分をもつことと同値である。

補題 11.

可算コンパクト空間の疎な族は高々有限である。

証明.

対偶を示そう。 Xが無限個の集合からなる疎な族を持つとしよう。その疎な族から可算部分族を取れば、Xは疎な可算族をもつ事がわかる。それを{Ai}iとしよう。このとき{ CL(Ai)}iも疎な族である。そしてnについて

Fn=kn CL(Ak)

と定義すれば各Fnは非空な閉集合であり、Fn+1Fnを充たすので{Fn}nは有限交叉性をもつ閉集合の可算な族だが、明らかに

nFn=Ø

なのでXは可算コンパクトではない。 ∎

系 12.

距離空間に於いて可算コンパクト性とコンパクト性は同値な概念である。444この定理は普通は点列コンパクト性を経由して証明するのが普通であるが、BNSを用いると直接証明出来る。

証明.

コンパクト性から可算コンパクト性が出るのは明らかである。逆を示そう

BNSと補題11から可算コンパクト距離空間Xσ疎な開基は高々可算な族になるので、Xは第二可算公理を充たす。従ってとくにリンデレフなのでXはコンパクトである。 ∎

2 おまけ

命題 13.

位相空間X,Yと 写像f;XYについて、任意のU𝒰f|U:UYが連続関数であるようなXの開被覆𝒰が存在すれば、fX上でも連続である。

証明.

U𝒰上でf|Uが連続なので、任意のU𝒰と 任意のYの開集合Oについて、f1(O)UUの開集合である。また、UXの開集合なのでf1(O)UXの開集合でもある。そして𝒰が被覆を成すことから

f1(O)=U𝒰(f1(O)U)

が成り立ち、この式の右辺は開集合であるから、f1(O)Xの開集合である。OYの任意の開集合であったからf:XYX上連続である。 ∎

References

  • [1] 寺澤 順,トポロジーへの招待,日本評論社,2012
  • [2] R.H.Bing,Metrization of topological spaces ,Canadian J. Math.3(1951) 175-186
  • [3] A.R.Pears,DIMENSION THEORY OF GENERAL SPACES,Cambridge Univ.Press,1975
  • [4] M.E.Rudin,A New Proof that Metric Spaces are Paracompact,Proc.Amer.Math.Soc.vol20(1969),p603
  • [5] A.H.Stone,Paracompactness and product spaces,Bull,Amer.Math Soc. 54(1948),977-982
  • [6] S.Willard,General Topology,Dover Publications,2004