パラコンパクト等々3
定義 1 (閉包保存).
位相空間の部分集合族が閉包保存であるとは任意のについて
を充たすこと。明らかに局所有限な族は閉包保存である。
定義 2.
位相空間の族についてその細分がのクッション細分であるとは、写像が存在してを充たし任意のについて
を充たすこと。
命題 3 (indexed refinement).
位相空間の族にクッション細分が存在するとき添字がと両立するクッション細分が存在する。すなわちのクッション細分でを充たし、任意のについて
証明.
にはクッション細分とそのクッション性を表す写像が存在するが、このときについて
と置けば求めるクッション細分になっている。111となる場合も十分にありえることに注意せよ。以下ではクッション細分という時には必ずこの命題で保証される添字と両立するクッション細分を考えることにする。 ∎
定義 4.
位相空間の部分集合族が閉包保存であるとは高々可算個の閉包保存な族が存在して
となることである。222文脈的に明らかであろうが、の元の和集合を表す記号とは違うので注意せよ。紛らわしいが、文脈的にわかるはずなので今後もこういう書き方をする。も使う。
同様にクッション細分も定義する。
定理 5.
空間に於いて以下は同値である。
| (1) | はパラコンパクト | ||
| (2) | の任意の開被覆には被覆である閉包保存な開細分が存在する | ||
| (3) | の任意の開被覆には被覆である閉包保存な閉細分が存在する | ||
| (4) | の任意の開被覆には被覆である閉包保存な(開とも閉とも限らない)細分が存在する | ||
| (5) | の任意の開被覆には被覆である開集合からなるクッション細分が存在する | ||
| (6) | の任意の開被覆には被覆である閉集合からなるクッション細分が存在する | ||
| (7) | の任意の開被覆には被覆である(開とも開とも限らない集合からなる)クッション細分が存在する |
証明.
を用いればが簡単にわかるので、 以下の論理包含関係は明らかであろう。
よってをだけを示せばこの定理の証明は終わる。以下を仮定してを示す。開被覆を任意に与えこれの局所有限な開細分被覆を構成すればよい。また、添字集合は整列されているとする。
step0:はである。
を素なの2つの閉集合とする。このときはの開被覆になっているのでそのクッション細分である被覆が存在する。そのクッション性から
を充たす。さてこのときとおけばこの2つは開集合ででありなので結局は正規である。
step1:以下を充たすのクッション細分の列が存在する。
| (a) | |||
| (b) |
帰納的にを構成しよう。
のとき:は特に条件を付けず、から存在が保証されるのクッション細分とする。 までが構成されているとしてのとき:
として開集合の族を定義する。を任意に与えをととなる最小のの元とすると
からなのではの開被覆となる。からのクッション細分である被覆が存在する。これが上に挙げた条件を充たすことを見よう。
からが成り立つのはよく分かる。
ならの定義からでありかつ、のクッション性から
なので確かにが成立する。
step2:以下の条件を充たす開被覆が存在する。
| (c) | |||
| (d) |
任意のとについて
と定義するとこれは開集合である。毎にはの被覆なので
が成立する。この事からが成立することは見やすい。最後にが被覆であることを証明しよう。を任意に与えよう。そしてが整列集合であることを使って
と定義しよう。そして自然数を
を充たすようなものとしよう。このとき
を証明しよう。まず定義からとなることがわかる。このときから
| (hoge) |
である。再びの定義からあるについてが成り立つ。そしてから
このときからが被覆を成していると言うことからでなければならない。よって
であり、確かにである。
step3:には局所有限な開被覆となる細分が存在する。 step2で得られたに対してを用いてこの被覆のクッション細分被覆を得る。このときの正規性から各について
となるを得る。この時と置けばは開集合からなる疎な族となり、
は開被覆で疎での細分となっている。
結局任意の開被覆に局所有限な開被覆となる細分が存在する空間はパラコンパクトなので結局はパラコンパクトである。 ∎
系 6.
パラコンパクトハウスドルフ空間の閉像はパラコンパクトハウスドルフ
証明.
全射閉写像についてがパラコンパクトハウスドルフのときがパラコンパクトハウスドルフである事を示そう。パラコンパクトハウスドルフ空間はなのでその閉像であるもであり、特にである。の任意の開被覆についてクッション細分被覆が存在することを言おう。の任意の開被覆を与える。この時はの開被覆であるので先の定理からこの被覆のクッション細分被覆が存在するさて任意のについて
が成り立つ。333閉写像についてとなることに注意しよう。よってで写すと
が成り立つ。故にはのクッション細分被覆になる。よって先の定理からはパラコンパクトである。 ∎
定理 7.
空間に於いて以下は同値
| (1) | はパラコンパクト | ||
| (2) | の任意の開被覆には閉包保存な開細分被覆が存在する | ||
| (3) | の任意の開被覆にはクッション細分開被覆が存在する |
証明.
を用いればがわかるので
は明らかであろう。よってを示せば良い。任意の開被覆にクッション細分開被覆が存在する事を示す。
を任意の被覆としそのクッション細分開被覆を
と書こう。そしてとし、を帰納的に
と置くとが開集合であることからは局所有限であり、の被覆である。そして
とする。がクッション細分被覆であることを見よう。まずを被覆することについては各についてとなる最小のを選べば、であり、更にあるについてであるからとなるので確かに被覆であることがわかる。
がクッション細分であることを見よう。と置けば
| (hogehoge) |
であり、任意のについて、分解に応じてと分解すると
であり、の局所有限生に由来しては局所有限であるから
なので結局
となりがクッション細分であることがわかる。 ∎
事実 8 (shrinkage lemma).
正規空間の任意の局所有限開被覆についての閉被覆が存在して
を充たす。もちろんこのときは局所有限である。
定義 9 (星型集合).
集合とその部分集合族、及びについて
をによるを中心とする星型集合という。
定義 10 (星型細分、細分).
集合の部分集合族についてがの星型細分であるとは集合族
がの細分となることである。
また、集合の部分集合族についてがの細分であるとは集合族がの細分となることである。
定理 11 (本来のStoneの定理).
444Stoneの定理と言うと距離空間のパラコンパクト性のことであるが、それが証明されたA.H.Stoneの論文[5]ではfull normalityとパラコンパクト性が同値であると言う形でそれが示されていた。おまけで示すように距離空間はfully normalなのである。以下は同値である。555今までであるという仮定を置いていたが、この命題の場合それは必要ない。勝手にになってくれる。
| (1) | はパラコンパクトハウスドルフ | ||
| (2) | はでの任意の開被覆には開被覆である細分が存在する(この条件をFully normalという) | ||
| (3) | はでの任意の開被覆には開被覆である星型細分が存在する |
証明.
地道に示す。
[の証明]
がなのは明白である。Full normalityを示そう。局所有限開被覆に開細分被覆が存在することを言えば良い。を任意の局所有限開被覆としよう。事実8から存在が保証される閉被覆をとし、各点についての局所有限性を担保する近傍をと、選択しておく。次に各点について
と置くと、からである。さて
と定義すると、局所有限性から開集合であり、なのでは開被覆となっている。がの細分となることを見よう。まず任意にを与えるとが被覆なのでとなるが存在する。このときなので
である。さてがの細分であることを示すには、うえのについて
がわかれば良い。実際ならばなのでであるが、でもあるのでとなるからである。よって定義から明らかになので証明が完結した。
[の証明終わり]
[の証明]
の開被覆である細分をとして、更にの開被覆である細分をとする。このときがの星型細分であることを示そう。
についてを適当に選ぶ。ところででかつならばがの細分であることから、あるが存在してとなる。このときであるので結局
である。この事とはの細分である事からはの星型細分である。
[の証明終わり]
[の証明]
step0:は正規である。
をの交わらない2つの閉集合とする。このときはの開被覆であるのでからこの被覆の、星型細分開被覆が存在する。さて
と置くとこの2つは開集合でである。ここでもしとするとあるが存在してでとなるが、同時にとなってしまい、がの星型細分であることに反する。よって
であり、が正規だとわかる。
step1:の任意の開被覆にはクッション細分が存在する。
をの任意の開被覆としをその星型細分開被覆とする。星型細分なので、写像が存在してに対して
を充たす。666こういう選択関数が存在するということである。ここでと書いた。さて、このとき次が成立する。任意のについて
| (brabra) |
つまりはクッション細分である。
理由を説明しよう。を任意に与えるととなるについて777は被覆なのでこういうはちゃんと存在する
となるつまりあるが存在してとなる。さてこの時
なので確かには成り立つ。
以上からは空間であり、任意の開被覆にクッション細分が存在するのではパラコンパクトハウスドルフである。
[の証明終わり]
∎
§おまけ:本来ではないStoneの定理の別証明
前回までで距離空間のパラコンパクト性は証明されているが、定理11を用いた別証明が出来る。距離空間のFull normalityを証明すれば良いのである。
定理 12 (Tukey).
距離空間はFully normal
証明.
をの距離とし、 でを中心とした開球を表す。 まずは次の簡単な事実を思い出そう。
さてを任意の開被覆とする。各点に対して関数とも元を
を充たすように定める。このようなとは確かに存在する。さてこのとき
がの細分であることを示そう。まず各点に対して
と置こう。次にを
を充たすように取る。このときを用いて任意のについて
がわかり、なので
がわかり結局
がわかる。なのでであるからであり、特になので再びを用いて
であるから結局任意のについて
である。よって
なのではの細分開被覆となるので距離空間はFully normalである。
∎
References
- [1] 森田紀一,位相空間論,岩波全書331,岩波書店1981
- [2] E.Michael,Another note on paracompact spaces ,Proc.Amer.J,Math. ,8(1957) 822-828
- [3] E.Michael,Yet another note on paracompact spaces ,Proc.Amer.Math.Soc.,10(1959) 309-314
- [4] A.R.Pears,DIMENSION THEORY OF GENERAL SPACES,Cambridge Univ.Press,1975
- [5] A.H.Stone,Paracompactness and product spaces,Bull,Amer.Math Soc. 54(1948),977-982
- [6] J.W.Tukey,Convergence and uniformity in topology,Annals of Mathematics Studies, no.2,Princeton,1940