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閉写像云々とか固有写像とかのLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

閉写像云々

キトラナンブ電波通信
HTML変換日:2026年7月26日

この文章では正規と言う言葉はT1を仮定しない意味で用いてT1かつ正規をT4と呼称する。

1 閉写像

次の良さのある命題が成り立つ。

命題 1 (射影公式).

写像f:XYAX,BYについて

f(Af1(B))=f(A)B

が成り立つ。

証明.

簡単なので省略 ∎

系 2.

写像f:XYAX,BYについて

Af1(B)=Øf(A)B=Ø

が成り立つ。

証明.

f(Ø)=Ø,f1(Ø)=Øと射影公式からすぐにわかる。 ∎

定義 3 (小像(small image )).

AXの写像 f:XYによる小像とは

f!(A)=Yf(XA)

のことである。

小像は一見掴みどころが無いように見えるが、次の命題を見ればなにとなくわかると思う。

命題 4.

写像f:XYAXについて次が成立する。

yf!(A)f1(y)A

である。特にSYについて

Sf!(A)f1(S)A

が成り立つ。

証明.

先の系を用いて

yf!(A)yf(XA){y}f(XA)=Øf1(y)(XA)=Øf1(y)A

となり前半が成り立つ。後半も同様。 ∎

補題 5.

写像f:XYAXについて次が成立する。 f!(A)f(A)

証明.

当たり前 ∎

いよいよ閉写像を定義する。

定義 6 (閉写像).

位相空間X,Yの間の連続写像f:XYが閉写像であるとはXの閉集合のfによる像がYの閉集合に常になってることである。

閉写像は常に連続であることに注意しよう。 さて次の命題に移る前に位相空間(X,𝔒)についてAXの近傍とは AInt(V)となる集合Vのことであったことを思い出そう。A={x}のとき、A={x}の近傍は点xの近傍と同じ意味である。
次の便利な閉写像の特徴付けがある。

定理 7.

位相空間X,Yの間の連続写像f:XYについて以下は同値

  1. (1)

    fは閉写像

  2. (2)

    fによるXの開集合の小像はYの開集合

  3. (3)

    任意のSYf1(S)の任意の近傍UについてSの近傍Vが存在して

    f1(S)f1(V)U

    が成り立つ。

  4. (4)

    任意のyYf1(y)の任意の近傍Uについてyの近傍Vが存在して

    f1(y)f1(V)U

    が成り立つ。

証明.

(1)(2),(2)(3),(3)(4),(4)(1)の順番で証明する。
(1)(2):UXの開集合とする。このときXUは閉集合であるからfは閉集合なのでf(XU)Yの閉集合、よってf!(U)=Yf(XU)は開集合。
(2)(3):f1(S)の近傍Uは開近傍としてもよい。(2)からUの小像f!(U)は開集合でf1(S)UよりSf!(U)である。V=f!(U)とすれば

SV=f!(U)f(U)

なのでf1(S)f1(V)U
(3)(4):自明
(4)(1):AXの閉集合とする。そしてyf(A)を任意に取る。すると系2より

{y}f(A)=Øf1(y)A=Øf1(y)XA

となる。XAは開集合なので(3)からyの開近傍Vが存在して

f1(y)f1(V)XA

となる。ここで系2より

f1(V)XAf1(V)A=ØVf(A)=Ø

となりyyf(A)となる任意のYの元なのでYf(A)は開集合となり結局f(A)が閉集合であることがわかる。AXの任意の閉集合であったのでfは閉写像である。 ∎

補題 8.

閉写像f:XYYの部分空間Sについて

f:f1(S)S

は閉写像である。

証明.

f1(S)の閉集合はXの閉集合Aを用いてf1(S)Aと書けるが、射影公式から

f(f1(S)A)=Sf(A)

となる。f:XYは閉写像なのでf(A)Yの閉集合であるのでSf(A)Sの閉集合である、よってf:f1(S)Sは閉写像である ∎

1.1 閉写像で保たれる性質

位相空間の閉写像による像を閉像という。閉像にはドメインの性質が伝播することがしばしばある。これから先の閉写像の特徴付けを用いてそれらを示そう。閉像にはもちろんコドメインから相対位相が入っている。更にコドメインを制限することによって一般性を失うこと無く閉像を考える時は閉写像は全射であるとしてもよい。 以下この§内では全射閉写像f:XYを考えているものとする。

定理 9 (T1).

T1空間の閉像はT1空間

証明.

xXについて{x}が閉なのでf({x})={f(x)}も閉となる。この事からすぐわかる。 ∎

定理 10 (正規性).

正規空間の閉像は正規

証明.

A,Bf(X)の互いに素な閉集合とする。このときf1(A),f1(B)Xの互いに素な閉集合となる。さてXが正規であることからf1(A)U,f1(B)Vで互いに素な開集合U,Vが存在する。すると定理の(4)から

f1(A)f1(O)U,f1(B)f1(P)V

となるAの開近傍OBの開近傍Pが存在する。この時O,Pは互いに素な開集合となるので結局f(X)は正規である。 ∎

定理 11 (遺伝的正規性).

遺伝的正規空間の閉像は遺伝的正規

証明.

SYの任意の部分空間とする。このときXは遺伝的正規なのでXの部分空間であるf1(S)は正規である。よって補題8からSは正規空間の閉像になるので上の定理からSは正規である。 ∎

定理 12 (完全正規性).

完全正規空間の閉像は完全正規

証明.

UYの開集合とする。これがFσ集合であることを言えば良い。f1(U)Xの開集合であり、Xの完全正規性からf1(U)XFσ集合となる。この事とfが閉写像で全射であることを踏まえればUYFσ集合となることがわかる。 ∎

明らかに次の系がわかる。

系 13.

T4空間の閉像はT4空間

系 14.

T5空間の閉像はT5空間

系 15.

T6空間の閉像はT6空間

定理 16 (コンパクトハウスドルフ性).

コンパクトハウスドルフ空間の閉像はコンパクトハウスドルフ

証明.

閉写像は連続なので閉像がコンパクトになることはすぐに分かる。あとは閉像のハウスドルフ性だが、コンパクトハウスドルフ空間がT4であることと上の定理からすぐに分かる。 ∎

定理 17 (コンパクト距離付け可能性).

コンパクト距離空間付け可能空間の閉像はコンパクト距離距離付け可能空間

証明.

ウリゾーンの距離化可能定理からわかる次の同値に注意しよう。

XX

また、系13からf(X)T4になるので、上の同値性を鑑みればf(X)が第二可算であることを示せば良い。𝔅Xの可算な開基とする。 そして𝔄={i=1nBi|Bi𝔅}とすると𝔄も可算である。さらに

={f!(O)|O𝔄}

とするとfは閉写像であるからf!(O)Yの開集合である。f(X)の開基であることを言おう。yf(X)yUとなる任意のYの開集合Uを考える。このときf1(y)f1(U)であり先の定理9からf(X)T1であるからyは閉集合でありf1(y)Xの閉集合となる。特にf1(y)はコンパクトである。よって𝔅が開基であることより𝔅の有限個の元B1,B2,,Bnが存在して

f1(y)i=1nBif1(U)

となる。B=i=1nBiB𝔄であるからf!(B)である。更に命題4f(f1(U))Uより

yf!(B)U

となる。之はf(X)の開基であることを示している。よってf(X)は第二可算なコンパクトハウスドルフ空間であり、距離付け可能である。 ∎

注意.

後に完全写像というものが出てくるが、この定理17の証明を真似っ子すると全射完全写像f:XYが存在するときw(Y)w(X)がわかる。ここでw(X)Xの重みである。

系 18.

Xをコンパクト距離付け可能空間Yをハウスドルフ空間とし、f:XYを連続写像とする。このときfによるXの像はコンパクト距離付け可能である。

証明.

コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続写像は閉写像であることからわかる。 ∎

2 固有写像

この§では固有写像についての性質を調べる。

定義 19 (固有写像).

連続写像f:XYが固有、または固有写像であるとはYの任意のコンパクト集合Kについて f1(K)Xのコンパクト集合となること。

定義 20.

連続関数f:XYが次の条件()充たすときfを完全写像と呼ぶ111完全写像に全射性を仮定する流儀もあるが、ここでは全射性は特に要求しないこととする。

()

任意のyYについてf1(y)Xのコンパクト集合であり、かつfは閉写像

固有写像と完全写像について次の2つの命題が成り立つ。

定理 21.

完全写像f:XYは固有

証明.

KYの任意のコンパクト集合とし 𝔘f1(K)の任意の開被覆とする。このとき𝔘は有限和について閉じているとしても一般性を失わないつまり𝔘

U,V𝔘UV𝔘

を充たすとしても一般性を失わない。

𝔙={f!(U)|V𝔘}

とするとこれはYの開集合族でありf1(y)がコンパクトであることと𝔘が有限和について閉じていると言う仮定からyKについてf1(y)UとなるU𝔘が存在するので命題4から𝔙222𝔙Vのフラクトゥールである。Kの被覆となる。そしてKはコンパクトなので𝔙の有限個の元{f!(U1),f!(U2),,f!(Un)}が選べて

Ki=1nf!(Ui)

と出来る。さてxf1(K)を取り、y=f(x)と置くとxf1(y)となる。yKKi=1nf!(Ui)よりあるiyf!(Ui)となるが命題4よりこのiについて

f1(y)Ui

となるのでxUiとなる。結局

f1(K)i=1nUi

となりf1(K)がコンパクトである事がわかる。 ∎

この定理のある意味での逆が成り立つこと証明するがその前に必要な補題は述べておく。

補題 22.

局所コンパクトハウスドルフ空間Xに於いて

FXXKKFK

が成り立つ。333これは局所コンパクトハウスドルフ空間の位相がそのコンパクト集合全体から誘導されるcoherent topologyと一致する事を示している。

証明.

()は明らかであるから()を示せば良い。

XKKFK

が成り立っているとしてA=CLX(A)を示せば良い。ここでCLXXに於ける閉包を表す。一般にACLX(A)なので逆向きの包含関係を示す。xCLX(A)を取るとXが局所コンパクトハウスドルフであることからxのコンパクト近傍Nが存在し条件からANNの閉集合である。つまり

AN=CLN(AN)=CLX(A)N

が成り立つ。xCLX(A)NなのでxANAが成り立ち結局xAなので

A=CLX(A)

が成り立つ。 ∎

定理 23.

Yが局所コンパクトハウスドルフのとき 固有写像f:XYは完全写像

証明.

まず任意のyYについてf1(y)Xのコンパクト集合であることはfの固有性から明らかである。よって以下fが閉写像であることを示す。AXの閉集合としKYのコンパクト集合とすると定理1の射影公式より

f(f1(K)A)=Kf(A)

となるがfの固有性からf1(K)はコンパクトでAが閉集合であることからf1(K)Aはコンパクト集合の閉集合であるからこれ自体コンパクト集合となる。そしてその連続像であるKf(A)もコンパクトであり、Yのハウスドルフ性からこれはYの閉集合である。そしてKは任意でYは局所コンパクトハウスドルフなので先の補題22f(A)が閉であることがわかる。 ∎

注意.

この証明の方針だとYについて

(k)FYYKKFK

及び

(kc)Y
444このような空間をKC-spaceと呼ぶようだ

が成り立ってさえいれば定理が成り立つことがわかる。面倒なのでここで注意するに留める。例えば第一可算なハウスドルフ空間や、条件(k)を充たし閉コンパクト集合で被覆される空間などがそうである。

(k)FYYKKFK

が成り立つ空間をk-spaceと呼んだりするがk-spaceと言うものは今や様々な同値ではない定義があるようだ。

系 24.

Xがハウスドルフ空間でYが局所コンパクトハウスドルフ空間であるとき連続写像f:XYに関する以下の2つの性質は同値

YKf1(K)
f

そしてこの2つの内いづれか(つまり両方)を充たすf:XYが存在するときXは必然的に局所コンパクトハウスドルフ空間となる。

証明.

同値性は先の定理たちから明らかであろう。このようなfの存在からXが局所コンパクトハウスドルフになることを言おう。局所コンパクト性からYは相対コンパクトな開集合で被覆されるが、その被覆のfのよる引き戻しは固有性からXの相対コンパクトな開被覆となる。相対コンパクトな開被覆が存在するハウスドルフ空間は局所コンパクトハウスドルフ空間になる。 ∎

3 おまけ

このセクションで述べる命題について厳密な証明はやらない。やっつけ仕事で作った。

定義 25 (普遍閉写像(universally closed map)).

連続写像f:XYが普遍閉写像であるとは任意の位相空間Zに対して

f×idZ:X×ZY×Z

が閉写像になることである。

事実 26.

完全写像は普遍閉写像である。

系 27.

局所コンパクトハウスドルフ空間の間の固有写像は普遍閉写像である。

注意.

ブルバキの数学原論ではむしろ普遍閉写像の事を固有写像(邦訳では適性写像)と読んでおり、今風の固有写像はこの文章で言う系24の形で局所コンパクトハウスドルフ空間に対する言い換えとして述べられていたのだが、いつの間にかそっちのほうが気に入られたのか使い勝手が良かったのか、コンパクト集合の引き戻しがコンパクトと言う定義に取って代わられてしまったようだ。

実は条件()は写像の普遍閉性と同値である。つまり完全写像と普遍閉写像は同値な概念である。証明は[1]の適性写像の章をを参照のこと。ただし完全写像という言葉は用いられていない。

命題 28.

コンパクトハウスドルフ空間の間の連続写像は条件()を充たす。特にそのような写像は固有であり、普遍閉である。

証明.

コンパクトハウスドルフ空間の間の連続写像なので当たり前。 ∎

定理 29.

2={0,1}は以下では離散位相の入った二元集合を表しC,Iはそれぞれカントール集合と単位閉区間を表すことにする。このとき 位相空間Xと任意の無限基数𝔪について以下は同値

(1) X×2𝔪
(2) X×C𝔪
(3) X×I𝔪
(4) w(Y)𝔪YX×Y
証明.

2𝔪C𝔪より(1)(2)はわかる。

(2)(3)は全射CIが存在することとコンパクトハウスドルフ空間の間の連続写像は常に普遍閉になることと正規空間の閉像が正規になることからわかる。

(3)(4)w(Y)𝔪となるコンパクトハウスドルフ空間はI𝔪に埋め込めることと正規空間の閉集合は正規であることからわかる。

(4)(1)は自明。 ∎

注意.

w(X)で位相空間の重みを表す。つまり位相空間Xの開基の最小濃度である。

この定理は実は𝔪-Paracompactnessの特徴づけに使われる。

References

  • [1] ニコラ・ブルバキ,数学原論 位相1
  • [2] 森田紀一,位相空間論,岩波全書331,岩波書店1981
  • [3] R,Engelking,General Topology ,PWN,1977