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バナッハの不動点定理のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

バナッハの不動点定理

電波通信
HTML変換日:2026年7月26日

この文章ではバナッハの不動点定理を証明する。普通のバナッハの不動点定理のあとに、パラメータ付きのバナッハの不動点定理も証明する。

定義 1.

距離空間Xのコーシー列がすべて収束するとき距離空間Xは完備であると言う。

命題 2 (M testもどき).

距離空間X内の点列{an}が

∑n=0∞d⁢(an,an+1)<∞

を充たすなら{an}はコーシー列であり、特にXが完備ならこの点列は収束する。

証明.

n≤mとして三角不等式を繰り返し用いて

d⁢(an,am)≤d⁢(an,an+1)+d⁢(an+1⁢an+2)+⋯⁢d⁢(am−1,am)=∑k=nm−1d⁢(ak,ak+1)

ここで

∑n=1∞d⁢(an,an+1)<∞

なので任意にε>0を与えると適当なN∈ℕがあって

N≤n,m⟹∑k=nm−1d⁢(ak,ak+1)<ε

となるので点列{an}はコーシー列である。 ∎

定理 3 (Banachの不動点定理).

(X,d)を完備距離空間とし、写像f:(X,d)→(X,d)が

∃q∈[0,1)⁢∀x,y∈X⁢d⁢(f⁢(x),f⁢(y))≤q⁢d⁢(x,y)

を充たすとする。(これを充たす写像を縮小写像と言う)このとき。fには不動点が唯一存在する。

証明.

まずこの写像fが連続であることが直ちに分かる。
Xの点x0を適当に選んで数列{xn}を帰納的に

xn+1=f⁢(xn)

と定義する。この時Xn+1=f⁢(xn),xn=f⁢(xn−1)より

d⁢(xn,xn+1)=d⁢(f⁢(xn−1),f⁢(xn))≤q⁢d⁢(xn−1,xn)

が成り立つことから帰納的に

d⁢(xn,xn+1)≤qn⁢d⁢(x0,x1)

がわかる。0≤q<1より

∑n=1∞d⁢(xn,xn+1)≤d⁢(x0,x1)⁢(∑n=0∞qn)=d⁢(x0,x1)⁢11−q<∞

なので補題により{xn}はコーシー列でXは完備であるからこの数列は収束する。その収束値をxとするとfの連続性と

xn+1=f⁢(xn)

及び

limn→∞xn+1=limn→∞xn=x

から

f⁢(x)=x

がわかる。これで不動点の存在は示された。一意性はx,yをfの不動点とするともちろんf⁢(x)=x,f⁢(y)=yであるから

d⁢(x,y)=d⁢(f⁢(x),f⁢(y))≤q⁢d⁢(x,y)

で0≤q<1よりd⁢(x,y)≤0となり、x=yがわかるのでfの不動点は唯一である。 ∎

定理 4 (パラメータ付きの不動点定理).

Xを完備距離空間、Tを位相空間とし写像 f:X×T→Xが連続であるとし、f⁢(x,t)=ft⁢(x)と書くことにする。さらに

∃q∈[0,1)⁢∀x,y∈X⁢∀t∈T⁢d⁢(ft⁢(x),ft⁢(y))≤q⁢d⁢(x,y)

を充たし(qがtに依存してないことに注意せよ。)

∀x∈X⁢ft⁢(x)⁢が⁢t⁢に⁢つ⁢い⁢て⁢有⁢界

であるとする。(このときxを固定してft⁢(x)がtについて有界で連続になる。)このとき先の命題から存在と唯一性が示されるt毎のftの不動点をh⁢(t)と書くことにし、写像h⁢(t):T→Xとみなしたとき、h⁢(t)は連続写像である。

証明.

先とほぼ同様の証明である。一意性などは省き連続性を証明する。 Xの点x0を適当に選んで数列{xn}を帰納的に

x0⁢(t)≡x0,xn+1⁢(t)=ft⁢(xn⁢(t))

と定義する。また実数Mを∀t∈T⁢d⁢(x0,x1⁢(t))≤MとなるMとする。このようなMはx1⁢(t)の有界性から存在する。さてこの時xn+1⁢(t)=ft⁢(xn⁢(t)),xn=ft⁢(xn−1⁢(t))より

d⁢(xn⁢(t),xn+1⁢(t))=d⁢(ft⁢(xn−1⁢(t)),ft⁢(xn⁢(t)))≤q⁢d⁢(xn−1⁢(t),xn⁢(t))≤d⁢(x0⁢(t),x1⁢(t))⁢qn

が成り立つことから帰納的に

d⁢(xn⁢(t),xn+1⁢(t))≤qn⁢d⁢(x0⁢(t),x1⁢(t))≤M⁢qn

がわかる。0≤q<1より

∑n=1∞d⁢(xn⁢(t),xn+1⁢(t))≤d⁢(x0⁢(t),x1⁢(t))⁢(∑n=0∞qn)=M⁢11−q<∞

なので補題より各t∈Tについて

d⁢(xn⁢(t),xm⁢(t))≤ε

よって

supt∈Td⁢(xn⁢(t),xm⁢(t))≤ε

つまり{xn⁢(t)}をxn⁢(t):T→Xと見なしたときこの関数列は一様距離でコーシー列でXは完備であるからこの点列列は収束し。各nについてxn⁢(t)が連続であることから。その一様極限たるh⁢(t)も連続である。これが不動点であることとかは先と同様である。 ∎

References

  • [1] ユルゲン・ヨスト著,小谷元子訳,ポストモダン解析学,シュプリンガー・フェアラーク東京,2000