バナッハの不動点定理
この文章ではバナッハの不動点定理を証明する。普通のバナッハの不動点定理のあとに、パラメータ付きのバナッハの不動点定理も証明する。
定義 1.
距離空間のコーシー列がすべて収束するとき距離空間は完備であると言う。
命題 2 (M testもどき).
距離空間内の点列が
を充たすならはコーシー列であり、特にが完備ならこの点列は収束する。
証明.
として三角不等式を繰り返し用いて
ここで
なので任意にを与えると適当ながあって
となるので点列はコーシー列である。 ∎
定理 3 (Banachの不動点定理).
を完備距離空間とし、写像が
を充たすとする。(これを充たす写像を縮小写像と言う)このとき。には不動点が唯一存在する。
証明.
まずこの写像が連続であることが直ちに分かる。
の点を適当に選んで数列を帰納的に
と定義する。この時より
が成り立つことから帰納的に
がわかる。より
なので補題によりはコーシー列では完備であるからこの数列は収束する。その収束値をとするとの連続性と
及び
から
がわかる。これで不動点の存在は示された。一意性はをの不動点とするともちろんであるから
でよりとなり、がわかるのでの不動点は唯一である。 ∎
定理 4 (パラメータ付きの不動点定理).
を完備距離空間、を位相空間とし写像 が連続であるとし、と書くことにする。さらに
を充たし(がに依存してないことに注意せよ。)
であるとする。(このときを固定してがについて有界で連続になる。)このとき先の命題から存在と唯一性が示される毎のの不動点をと書くことにし、写像とみなしたとき、は連続写像である。
証明.
先とほぼ同様の証明である。一意性などは省き連続性を証明する。 の点を適当に選んで数列を帰納的に
と定義する。また実数をとなるとする。このようなはの有界性から存在する。さてこの時より
が成り立つことから帰納的に
がわかる。より
なので補題より各について
よって
つまりをと見なしたときこの関数列は一様距離でコーシー列では完備であるからこの点列列は収束し。各についてが連続であることから。その一様極限たるも連続である。これが不動点であることとかは先と同様である。 ∎
References
- [1] ユルゲン・ヨスト著,小谷元子訳,ポストモダン解析学,シュプリンガー・フェアラーク東京,2000