AUTOMATIC HTML VERSION

入射角16.225°の測度論入門:-1のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

拡張された実数

電波通信
HTML変換日:2026年7月26日

この文書では拡張された実数を定義し、その性質を調べる。

定義 1 (拡張された直線).

実直線に属さない異なる2,+を付け加えた集合を𝔼と書き、拡張された実数、または拡張された直線という。つまり、集合として

𝔼={}{+}

である。この集合に順序、演算、位相を順次定義していく。

定義 2 (𝔼の順序).

𝔼の順序は任意のaについて<a<+と直感通りに定義する。この順序により𝔼は最小値、最大値+を備え、線型 111順序集合として線型であるということである。つまり任意の二元a,bについて a<b,a=b,a>b のいずれかが成り立つということである。 で完備 222線型順序集合として完備ということである。つまり任意の部分集合に上限と下限が存在するということである。 な順序集合となる。この事を確かめるのは簡単な割に長くなるので省略する。この順序を根拠にして、

𝔼=[,+]

と書いたりもする。

定義 3 (𝔼の演算).

𝔼の演算を、の元同士の演算はそのままに まず和を

(1) a(±)+a=a+(±)+a=±
(2) (+)+(+)=+
(3) ()+()=

と拡張する。複合同順である。そして積を

(4) [a𝔼a>0](±)×a=a×(±)=±
(5) [a𝔼a<0](±)×a=a×(±)=
(6) (±)×0=0×(±)=0

と拡張する。複合同順である。(4),(5)では(+)×(±)=(±)なども主張していることに注意しよう。さて次にa𝔼に対して1aという新しい演算a{0}なら1a=a1と定義し、a=±ならば

(7) 1±=0

定義する。以上の拡張された演算に於いても (+)+(),++,10定義しない。333 ++:=+×(1+)=+×0=0 と定義しても良かったが、考えることが増えるので慣習通り未定義と言うことにした。このような未定義な演算を不定形な演算と言う。

注意.

1の逆数と言う意味ではないまた、𝔼に於いてはもはや

yx=y1x

が成り立たないことに注意せよ。例えばx=y=のとき、そもそも左辺は定義されていない。

定義 4 (𝔼の位相).

𝔼に位相を定義するのだが、先に定義した𝔼の順序を用いて順序位相を𝔼に定義する。つまり

(,a)={x|x<a}=[,a),(b,)={x|b<x}=(b,+](a,b𝔼)

の形の集合全体からなる集合族を準開基とする位相である。同じ事だが

(c,d)={x|c<x<d}(a,b,c,d𝔼)

として、

(,a),(b,),(c,d)(a,b,c,d𝔼)

の形全体の集合 444開区間と呼ぶ 全体からなる集合族を開基とする位相である。

さて、以降はこの𝔼の性質を簡単に調べていく。

定理 5 (上の連続関数の𝔼への拡大).

写像f:(a,b)は連続であるとし、

limxaf(x)=α,limxbf(x)=β(α,β𝔼)

ならば、F:[a,b]𝔼

F(x)={αx=af(x)x(a,b)βx=b

と定義するとこれは連続である。また、fの拡張はこの関数に限る。

証明のスケッチ.

a,b,α,βがすべてに属してるならこれはの範囲で問題無く処理出来る。それ以外の場合、 例えばaα=のときつまりlimxaf(x)=+のとき、この式の意味は

K>0δ>0|xa|<δK<f(x)

だが、(K,+]という形の集合全体は𝔼に於いて+の基本近傍系を成してるので連続的に拡張出来ることはわかる。他の場合も同様である。 ∎

定理 6 (𝔼の位相).

𝔼の有界閉区間と位相同型である。よって𝔼はコンパクト距離空間である。

証明のスケッチ.

の有界閉区間はどれも位相同型なので例えば𝔼[1,+1]が位相同型であることを示す。まず双曲線関数tanh:(1,+1)は連続で、

tanh(x)=exexex+ex

である。これから簡単に逆関数g:(1,+1)が存在する事がわかり、

g(x)=12log(1+x1x)

である。さて

limxh(x)=1,limx+h(x)=+1

なのでhH:[1,+1]へと拡大する。 そして、

limx1g(x)=,limx+1g(x)=+

なのでG:[1,+1]𝔼へと拡張する。簡単にわかるようにH,Gは互いに逆写像なので 𝔼[1,+1]は同型である。 ∎

以下、𝔼の演算と位相の関わりを見るのだが、 距離空間の間の写像の連続性を点列で特徴付ける次の事実を思い出そう。

事実 7.

距離空間Xから距離空間Yへの写像f:XYについて以下は同値

(1) faX
(2) limnxn=aX{xn}nlimnf(xn)=f(a)
命題 8.

写像

f:𝔼{0}𝔼

f(x)=1x

と定義すると、fは連続写像である。

証明.
limxf(x)=limx+f(x)=0

と定理5よりわかる。 ∎

命題 9.

D=𝔼2{(,+),(+,)}と置き、

F:D𝔼

F(x,y)=x+y

と定義するとFは連続関数である。

証明.

事実7を用いる。(x,y)についての連続性は明らかなので、x,yが無限大の値を取りうる場合を考える。
x=+,yの場合:limnxn=+,limnyn=yとなる点列を考えたとき、十分大きい番号で{yn}は有界となる。つまりnNならば

M<yn<M

となるMが存在するので

xnM<xn+yn<xn+M

となり、limn+(xnM)=limn(xn+M)=+なのでこの点での連続性がわかる。[x=,y][x,y=+]そして[x,y=]の場合も同様である。Dの定義から残るはx=y=+x=y=の場合だが、limnxn=limnyn=+ならばlimn(xn+yn)=+からわかる。 ∎

注意.

わざわざ定義域をD=𝔼2{(,+),(+,)}としたのは

(+)+()

という不定形な演算を避けるためである。

次に積について調べるが、積は連続にはならない、しかし連続関数で近似できると言う性質を持っている。 以下の拡張された実数の積の性質の証明のために、実数の積の連続性を援用しよう。

事実 10 (実数の積の連続性).

(x,y)2xyを対応させる写像は連続

拡張された実数の積は先の2つの場合と違って連続にはならないが、連続関数列の極限になっていると言う性質がある。いまだ定義されてない言葉を使うと、積はボレル写像なのである。

命題 11.
G:𝔼2𝔼

G(x,y)=xy

と定義すると、G連続ではない。しかし、𝔼2から𝔼への連続関数列{gn}nが存在して、各点(x,y)𝔼2毎に、

limn+gn(x,y)=G(x,y)=xy

となる。つまり{gn}nGに各点収束する。

証明.

Gが連続出ないことは、(1/n,n)(0,)0×=0にもかかわらずG(1/n,n)=1であることからわかる。後半を示そう。まず𝔼からへの連続関数列{fn}n

fn(x)={nx[,n]xx[n,+n]+nx[+n,+]

と定義するとこれは確かに連続で各点x𝔼を固定する毎にlimnfn(x)=xとなる。そして{gn}n

gn(x,y)=fn(x)fn(y)

と定義すると、{fn}nの値しか取り得ないので事実10からgnは連続関数となり、 limnfn(x)=xなので各点(x,y)𝔼2を固定する毎に

Gn(x,y)=xy

となる。これで命題の主張が全て示された。