AUTOMATIC HTML VERSION

体の乗法群の有限部分群(10/03に修正)のLaTeXML自動変換版です。自動検査には合格していますが、元PDFとの目視比較は未実施です。正本はPDF・TeXです。

体の乗法群の有限部分群について

電波通信
HTML変換日:2026年7月26日

この文章では体Kの乗法群K×の有限部分群が巡回群であることを示す。この文章ではわかりやすさのために自然数の整除関係をと書くことにする。つまりnmの約数の時にnmと書くのである。の違いに注意せよ。また、この文書において体とは可換体を指すことに注意せよ。

定義 1.

Gの元aの位数ord(a)an=eとなる最小のnとして定義する。このようなnが存在しない場合にはord(a)=とする。

命題 2.

Gの元aについてord(a)=n=xyとすると

ord(ax)=y

となる。

証明.

まず、(ax)y=axy=eなので、yord(ax)である。 そして、axord(ax)=(ax)ord(ax)=eなのでxord(ax)nとなる。以上からyord(ax)yなのでy=ord(ax)である。 ∎

準備のために次の整数に関する簡単な補題を証明する。

補題 3.

自然数n,mに対してx,y,s,tが存在してn=sxm=tygcd(x,y)=1xy=lcm(n,m)を充す。

証明.

自然数n,mに対して k個の素数p1,p2,,pka1,a2,,ak0b1,b2,,bk0が存在して

n=p1a1p2a2pkak
m=p1b1p2b2pkbk

と書ける。 このとき

lcm(n,m)=p1max(a1,b1)p2max(a2,b2)pkmax(ak,bk)

である。

ci={aiai=max{ai,bi}のとき0

とし

di=cixi

と定義する。そして

ei={bibi>aiのとき0

fi=bizi

とする。 そして

x=p1c1p1c2pkck
s=p1d1p2d2pkdk
y=p1e1p2e2pkek
t=p1f1p2f2pkfk

と定義すると、明らかにn=sxm=tygcd(x,y)=1を満たし、また、定義から

xy=(p1c1p1c2pkck)(p1e1p2e2pkek)=p1max(a1,b1)p2max(a2,b2)pkmax(ak,bk)=lcm(n,m)

を充す。 ∎

定理 4.

Gの元a,bab=baを充し、ord(a)=n,ord(b)=mとし、l=lcm(n,m)とする。この時cGが存在して

ord(c)=l

となる。

証明.

まずgcd(n,m)=1の時、c=abとおき、r=ord(c)とおくとl=nmよりとabの可換性より

cl=albl=ee=e

なのでrlでありまた

e=cnr=anrbnr=ebnr=bnr

よりmnrところでn,mは互いに素なのでmrとなる。同様にnrもわかるので結局lr(最小公倍数の性質である。)よってord(c)=l
一般の場合はn=sx,m=ty,g.c.d.(x,y)=1xy=lと表せるのでasbtを上の場合に当てはめれば結論が得られる。 ∎

注意.

また非可換な二元については定理4は成り立たないことに注意せよ。例えば三次の対称群などを考えよ。

定理4をアーベル群に適用すると次のことがわかる。

系 5.

有限可換群Gの元のに関する最大値をNとすると、これはGの元が取りうる位数の中でに関しても最大値となっている。つまり有限可換群Gのある元xが存在して

aGord(a)ord(x)

となるということである。

証明.

上の定理をGの元に次々に適用すればわかる。

定理 6.

Kの乗法群K×の有限部分群は巡回群

証明.

GK×の有限部分群とする。Gの最大位数を持つ元をaとし、ord(a)=Nと置く。Gの任意の元sについてord(s)Nなので

sN=1

となる。つまりGの任意の元はK上の多項式xN1の根である。xN1の根の個数は高々N個なので

|G|N

である。ところでN|G|でもあるからN=|G|よってaGを生成する。つまりGは巡回群。 ∎