を仮定しない正規性が正則性を導出しない事を示す例
この文章では位相空間の正規性が正則性を導かないことを示す。を課した意味での正規生からはもちろん正則性を導けるのだが、そうでない時は正規性と正則性は独立した概念なのである。筆者が学部2年生の時の時にそのような考えようとしてその時は見つけられなかった覚えがあるが、ある時ふと思い付いたのでここに記しておく。
以下の文中では正規、正則という言葉はを積極的には仮定しない意味で用いてはを仮定した意味で使う。著者がこの言葉使いを採用した理由は定理2の見た目を良くするためであり、他の文章を読む時は定義をしかりと確認する必要がある。
定義 1.
分離公理位相空間について以下の条件を定義する。
異なる2点についての近傍でを含まないようなものが存在するか、もしくはの近傍でを含まないようなものが存在する
異なる2点についての近傍でを含まないようなものが存在する。
,もしくはハウスドルフ 異なる2点についての近傍の近傍Vで となるものが存在する。
正則 互いに素なる一点と閉集合についてを含む開集合となる開集合で となるものが存在する。
正規 互いに素な2つの閉集合が開集合で分離される
正則かつ
正規かつ
簡単にわかることなので注意にとどめるが、正則性と、各点の閉近傍全体がその点の基本近傍系を成すことは同値である。この事はこれから自在に用いる。また任意の空でない閉集合が交わるような空間は正規となることに注意しよう(所謂、空なる前提というやつである。)
事実 2.
定理 3 (本題に関係ないおまけ).
正則かつならばも充たす。すなわちそのような空間はハウスドルフである。
証明.
ハウスドルフ性を示す。異なる2点に対してそのいづれかの近傍が存在して他方の天を含まないが、の近傍が存在してと仮定しても一般性を失わない。さて正則性からの閉近傍が存在してとなる。よって特にであるが閉であることと再び正則性からとなる開集合が存在する。このがを分離する開集合になるのでこの空間はハウスドルフである。 ∎
例 4.
シェルピンスキー空間
に
を位相として入れた空間である。これが位相を定めることを確かめるのは容易い。
この空間の閉集合は
の3つである。この事からではないことと、全ての空でない閉集合が交わるので正規となる。
また閉集合を含む開集合はしかないことから1点と閉集合を分離する開集合はないので正則ではない。ちなみにこの空間はを充たす。
このシェルピンスキー空間は任意の空でない閉集合が交わるような空間である。そのことから正規性を導いているが、より多くを求めて、任意の空でない閉集合が交わってはいない空間で正規かつ正則でない例をあげよう。上の例から引き続きとする。
例 5.
正規かつ正則ではない例:1点とシェルピンスキー空間の位相的直和
位相的直和がわからない人のために明示すると台集合は
開集合系は
である。がシエルピンスキー空間。が1点という位相空間を務めている。位相的直和とは二つの空間を交わらないように”並べる”操作である
この空間がを充たさないこと、正則でないことは上と同様である。
正規であることは交わらない閉集合の対がと、もしくはとしかなく、これらはとと言う開集合で分離できるのでわかる。やはりこの空間もを充たす。
また上の二つの例は定理3の正則性を正規性に置き換えると結論がもはや成り立たないことも示している。